私とニフティ
今回はココログからのお題指定に従って書いてみます。
自分がニフティを利用し始めたのはメールアカウントからです。
1994年頃だったと思いますが、会社でも電子メール導入が始まり、ビジネスアカウントとして自分を含む数十人分のアドレスが社員に割り当てられました。
当時大手自動車部品メーカーからの受注業務を担当しており、連絡やデータ納品に電子メールを利用できるようになりました。
電子メールは自分や会社にとって産業革命的なツールとなりました。
それまでフロッピーディスク(5インチ)を緩衝材で包んで宅配便で取引先に送っていたのが、電話回線で一瞬にして送れるという、時間もコストも大幅に圧縮できる非常に画期的な手段でした。
確か最初の回線スピードは2400bpsだったと思います。
作業効率が劇的に向上したため、余力?を利用してパソコン通信「ニフティサーブ」のサービスをいろいろ探してみました。
アカウントがあれば参加可能な電子会議室「フォーラム」や、クローズドな会議室「パティオ」といった様々なコミュニケーションサービスがあり、仕事以外の分野で楽しそうなジャンルがたくさんありました。
書き込みせず見るだけの利用者はROM=Read Only Memberと呼ばれてましたが、まさに自分もしばらくはROMとしてニュースやプロ野球情報のフォーラムをおそるおそる見たりしていました。
その後パソコン通信が社会的に極めて有用なツールであることを痛感する出来事が発生します。
阪神淡路大震災です。
当時都内で働いていたので、自分も職場も実害はありませんでしたが、大阪市内の支社は建物は無事でしたが棚や机などはかなり倒れたようでした。
同じ部署にいた同僚の実家が阪神地区にあり、会社から何度も電話していましたが、全く通じません。
携帯電話はまだ一般には普及していない時代です。
一日中電話をかけ続け、公衆電話からやっとつながり、なんとか家も家族も無事だったのを確認できたのは夕方でした。
翌日から同僚はニフティサーブに震災情報をやりとりできるフォーラムが立ち上がったことを発見。
「GO EARTHQUAKE」というコマンドを入力すると、現地の被害状況や安否確認など様々な情報を得ることができるようになったのです。(最初は有料でしたが、のちに無料化されました)
自分も同僚とともに画面をのぞいてみましたが、利用者の「あーパソ通やっててよかった」というコメントは今も記憶に残っています。
こうしてパソコン通信が仕事にも非常時にも、そして趣味にも役に立つものであることがわかってきました。
徘徊を続けているうちに、ロック・リスナーズ・フォーラム(FROCKL)にたどり着きます。
FROCKLにはクラシックロックやプログレ、ハードロック・メタルといったジャンルごとに「部屋」があり、
自分が出入りするようになったのはチャートポップス部屋(通称チャポ部屋)です。
折りしもチャポ部屋では「ごま蛙」さんという方が主催する洋楽アーチスト別好きな曲投票が始まったところでした。
一定の期間投票を受け付け、締め切り後にごま蛙さんが集計して発表してくれるという企画です。
この企画なら自分にも参加できそうだと思い、初めて書き込みをしてみました。
もちろん全然聴いてなかったアーチストには投票できませんでしたが、この企画は本当に楽しく、仕事そっちのけで夢中になりました。
さすがにビジネスアカウントで趣味のフォーラムに参加し続けるのも気が引けたので、個人のアカウントを取り直しました。
その後もチャポ部屋で「83年頃にOpen Your Eyesという曲を歌ったバンド名がわかりません」などといったYahoo知恵袋みたいな質問を何度もしてしまい、その都度親切な方が丁寧に教えてくれました。
この時のやりとりが、今の自分のブログ「言黙」の原点でもあります。
21世紀に入りインターネットが急速に普及し、基本テキストのみだったパソコン通信は衰退。
自分もパソ通・フォーラムは自然と疎遠になりました。
代わって登場したのはブログサービスです。
初めはウェブログと呼ばれていました。
その前から個人で文章や画像を表示できる「ホームページ」サービスはありましたが、ブログはそれ以外にコメント入力やトラックバックというコミュニケーション機能が標準で備わっており、他人との交流が簡単にできる点が画期的でした。
各プロバイダが続々とウェブログサービスを始めました。
自分はニフティのメールアカウントをそのまま使用していたので、ニフティから新しいウェブログサービス「ココログ」の案内が届きました。
ちょうど音楽や旅行の話を発信したいと思ってホームページを開設しようと考えていたところだったので、ココログを利用してウェブログを始めることにしました。
2003年末です。
初めは昔友人のサイトに書いた文章を転載したり、レベルの低い思い付き話を脈絡なく発信していましたが、当然誰からも反応もなく何も起こりません。
せっかくのコミュニケーション機能がもったいないと思い、聴いてないアーチスト・名盤なら売るほどあったので(表現がおかしい)、「聴いてない音楽を公表して聴いてる人からアドバイスを受ける」というセコい動機で、北半球でもウチだけの珍奇な「聴いてないシリーズ」を始めました。
おかげさまで「聴いてないシリーズ」ではFROCKL同様、やはり親切な方々のお世話になることができました。
やはり洋楽好きな方はみなさん親切ですね。
交流したブロガーさんの中には、実際にお会いして会食したり、いっしょにライブを見に行ったりした方もおられます。
基本的に自分は学校や会社など同じ組織に所属する間柄でない限り他人との交流をしないタイプの人間なので、ブログを通じての交流が面会にまで発展するのは非常に画期的な出来事でした。
珍奇ブログ「言黙」を開設してまもなく17年になります。
早い段階で「週刊ココログ・ガイド」に採り上げていただいたり、雑誌「ユリイカ」に掲載していただいたことは、続ける上で大きな励みにもなりました。
ココログ以外のサービスを試しに利用して別のブログを作ったこともありましたが、どれも長続きはしませんでした。
交流してきたブロガーさんも、更新を続けている方、ブログは停滞・撤退した方、発信交流の場をSNSに移した方と様々です。
自分も一応SNSのアカウントは人並みに持っていますが、それほど頻繁には発信していません。
普段からしょうもない文章をダラダラグダグダ書くのが好きなようで、おそらくはその気質がSNSの手軽さとはあまり合わず、やはりブログが性に合っているんだと思います。
電子メールから始めたニフティ利用歴も25年を超えました。
いつまで続けられるかわかりませんが、引き続きニフティでメールアカウントとココログを使っていこうと思います。
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