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聴いてない 第346回 ベアネイキッド・レディース

前回ショーン・マリンズを採り上げたが、「Lullaby」とほぼ同時に録音したのがベアネイキッド・レディースの「One Week」だった。
残念ながらベアネイキッド・レディースもこの1曲しか聴いていない。
なので聴いてない度はショーン・マリンズと同じく2である。
ただベアネイキッド・レディースの場合、「One Week」がタイトルどおり1週間だけ全米1位になった、という話題性や、2002年三菱ランサーのCMに「One Week」が使用されたため、日本でも知名度はそれなりにあったのではないかと思われる。

あらためてベアネイキッド・レディースについて1週間かけて綿密に調査。
ベアネイキッド・レディースはカナダのトロントで結成されたオルタナティヴ・ロック・バンド。
高校の同級生だったエド・ロバートソンとスティーブン・ペイジのデュオとして結成された。
二人は幼少の頃から知り合いではあったが、特に仲良しという間柄ではなく、ピーター・ガブリエルのコンサートの後でレストランにいたエドにスティーブンが声をかけたところから交流が始まった。
それまでお互いがピーター・ガブリエルのファンだったことも知らなかったそうだ。
意気投合した二人は高校で歌を歌ったりギターを弾いたりして多くの時間を一緒に過ごしたが、プロになるつもりはまだなかった。

その後地元のイベントやロカビリーバンドの前座などで即興演奏したり、曲を作ってデモテープに録音するようになる。
この頃知り合ったベースのジム・クリーガンと、弟のアンディ・クリーガン、ドラムのタイラー・スチュワートを誘い、ベアネイキッド・レディースを結成する。

91年にアルバム「Barenaked Ladies(通称:The Yellow Tape)」を自主制作する。
これはテキサス州で行われたイベントのために制作されたデモテープで、メンバー全員が参加した初のレコーディングだったが、カナダではすべてのレコードレーベルに断られてしまった。
仕方なくバンドはテープを大量にコピーし、イベント会場で販売した。
すると地元の店でテープを求める声が上がり、スティーブンの父親はテープの製造と販売を行うために独立系レーベルを設立した。

驚いたのはこのアルバムがカナダのチャートで9位を記録していること。
・・・そんなことあるの?
カナダの当時の音楽マーケット事情がどうだったのか知らないが、アマチュアのデモテープがトップ10以内に入るって、すごくないスか?
その時10位だったプロのミュージシャンはどんな気持ちだったんだろうか・・
なお地元トロントのダウンタウンにあるレコード店では、「The Yellow Tape」がマイケル・ジャクソンの「Dangerous」やジェネシスの「We Can't Dance」やU2の「Acton Baby」の売り上げを上回ったとのこと。
で、商業的に立派に成功した「The Yellow Tape」は、翌年イギリスでCDとアナログ盤で再販売されたそうです。

ベアネイキッド・レディースのカナダでの成功を聞きつけ契約に持ち込んだのは、ワーナー系のレーベルのサイアー・レコード。
バンドは92年7月にアルバム「Gordon」でメジャーデビューする。
ファーストシングル「Enid」や、ジョンとヨーコの関係にたとえて愛を歌った「Be My Yoko Ono」、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンにちなんで名付けられた「Brian Wilson」など、後にバンドの代表的な曲になるものが収録されていた。
「Be My Yoko Ono」は後にヨーコ自身がバンドに送った映像を使ったビデオクリップも作られている。
ただ「Gordon」はカナダでは期待どおり1位を獲得したが、アメリカでは苦戦し100位にも入らなかった。

2枚目のアルバム「Maybe You Should Drive」を94年に発表するが、カナダでは前作ほど売れず最高3位に終わる。
3位なら上出来じゃないのかとも思うが、メンバーもレコード会社もかなりへこんだようだ。
全米では175位とまた苦戦し、全米ツアーも客が入らず赤字だった。

メンバー間にも軋轢が生じ、エドとスティーブンは会話しなくなり、スティーブンはアルコール依存症と鬱病を患った。
アンディ・クリーガンはバンドの方向性に幻滅し脱退する。
いったん4人になったバンドは96年にリプリーズ・レコードからアルバム「Born on a Pirate Ship」をリリースした。
アルバムの売上はカナダでは12位とそこそこのヒットとなり「Maybe You Should Drive」より良かったものの、「Gordon」ほどの成功は収められなかった。
ただメンバー間の仲はまたよくなっており、レコーディングは順調で、アルバム完成直前には新メンバーとしてケビン・ハーンが加入。
この年にはアメリカでの公演を収録したライブ盤「Rock Spectacle」も発表した。

98年にようやくアメリカでの大ヒット曲が登場する。
シングル「One Week」は偶然にもタイトルどおり全米チャートで1週間1位を獲得。(全英5位・カナダ3位)
アルバム「Stunt」もバンド最大のヒット作となり、全米3位・カナダで6位を記録した。
またシングルのパワーポップ「It's All Been Done」はアニメ「Baby Blues」のオープニングテーマに、バラード曲「Call and Answer」は映画「EdTV」に採用された。

2000年のアルバム「Maroon」では、プロデューサーにストーンズボニー・レイットなど数多くのアルバムを手がけたドン・ウォズを起用。
「One Week」のようなノリをやめ、落ち着いたサウンドと倦怠感や人間関係といった日常の憂鬱を歌った歌詞にシフトする。
「Maroon」は商業的には成功し全米5位・カナダで1位を獲得した。

2001年にベストアルバム「Disc One: All Their Greatest Hits (1991–2001)」をリリースした後、バンドは1年間活動を休止する。
解散はせず、2003年4月にはスタジオに戻り10月に「Everything to Everyone」を発表。
だがアルバムも収録シングルも思うような成績は残せず、リプリーズ・レコードとの契約は終了した。

バンドは次のアルバムのために自主レーベルを設立する。
レーベル初のアルバムは「The Yellow Tape」以来の自主制作となる2004年10月発表の「Barenaked for the Holidays」。
タイトルどおりホリデーをテーマにしたアルバムで、クリスマスとハヌカ(ユダヤ教の祝日)の歌や、大晦日に伝統的に歌われるスコットランド民謡「Auld Lang Syne」も収録されており、カナダ出身のサラ・マクラクランや、当時まだ無名だったマイケル・ブーブレも参加。

2006年にスタジオ盤「Barenaked Ladies Are Me」を、翌2007年に「Barenaked Ladies Are Men」をリリース。
ただし本人たちによれば「楽曲の多様性と豊富さ」から、リリースされたフィジカルディスクは以下のとおり数種類に及び、リスナーにとってはかなりわかりにくい商品構成となった。
・13曲入りCD「Barenaked Ladies Are Me」
・16曲入りCD「Barenaked Ladies Are Men」
・14曲入りスターバックス限定先行リリース「Barenaked Ladies Are Men」
・25曲収録の「Barenaked Ladies Are Me」デラックス・エディション(ボーナストラック4曲を除く両アルバムを収録した2枚組CD版)
・29曲収録の「Barenaked Ladies Are Me」デラックスエディション5.1ch(DVDオーディオ)
さらに収録曲数の異なるダウンロード版や、ライブ会場で販売されたUSBメモリ版なども追加発表されている。
いろいろ事情はあったようだが、こんなにいろいろ出されたらファンでも買いにくくないか?
なんで単純にセッション全曲を複数枚CDにしなかったんだろうか・・?

2008年5月に子供向けのオリジナル曲を収録したアルバム「Snacktime!」をリリースした。
ライナーノーツにはケビンによるアートワークが掲載されており、CD付きのハードカバー版も発売された。
企画盤ではあったが、カナダでは好評でチャートの10位を記録。
だがスティーブンはこのアルバムについて「この企画にはもともと反対だった。とても楽しかったけど、これは僕のアイデアじゃなかった。ただ付き添っただけだよ」と語っている。

この頃からスティーブンは自らのバンドへの貢献度について疑問を抱くようになったという。
他のメンバーが新しいアルバムを録音したいと望んでいたのに対し、スティーブンだけは消極的だった。
さらにスティーブンはニューヨーク州でコカイン所持で逮捕され、カナダでも大きく報道されてしまう。
これがメンバーとの間の溝をより深くすることになった。
後で判明することになるが、スティーブンは曲の印税配分を巡ってエドを訴えたりしていたそうだ。
結局2009年2月にスティーブンは20年間続けたベアネイキッド・レディースを脱退。
バンドは解散せず活動を続け、スティーブンは演劇活動を含むソロプロジェクトに取り組むことになる。

4人組となったベアネイキッド・レディースは、2010年3月にアルバム「All in Good Time」を発表する。
スティーブンの残した楽曲を使うことはなく、ジャケットも4人体制の決意を表すメンバーのモノクロ写真で、どこかU2っぽいアートになっている。
その後もスティーブンがバンドに戻ることはなく、2015年に「Silverball」を、2017年に「Fake Nudes」をリリース。

2018年3月バンクーバーで開催されたジュノー賞授賞式で、ベアネイキッド・レディースのカナダ音楽殿堂入りを祝うセレモニーが行われ、スティーブンがバンドと久しぶりに共演した。
会場の誰もが再結成を期待したが、スティーブンもバンド側も明確な声明は発表しなかった。
その後もスティーブンはバンドには戻っておらず、現時点での最新作は2023年の「In Flight」で、18作目のスタジオアルバムである。

以上が思ったよりも波乱に満ちたベアネイキッド・レディースの歴史である。
毎度のことながら知ってた話は微塵もない。
失礼ながら「One Week」だけの一発屋コミックバンドかと思っていた。

その「One Week」だが、早口でまくし立てる非常に面白い歌で、このノリも嫌いではない。
歌詞も思いついた言葉の羅列で深い意味はないそうで、スシとかワサビとかクロサワとかセーラームーンなどの日本語も混じっている。
英語圏の人でもよどみなくスラスラ歌うのは相当難しいはずだ。
この曲を上手にカラオケで歌える人もあまりいないだろう。
ズレた感想かもしれないが、日本でいうところの「勝手にシンドバット」のような曲ではないかと思う。
他の曲もみんなこの路線なのかと思ったらそうではなく、むしろ彼らのキャリアの中では「One Week」は少し変わった曲らしい。

というわけで、ベアネイキッド・レディース。
聴くとしたら当然「One Week」収録の「Stunt」からだとは思いますが、もし他のアルバムでおすすめがあれば教えてください。

Stunt
ベアネイキッド・レディース Stunt
Barenaked-for-the-holidays
ベアネイキッド・レディース Barenaked For The Holidays
Barenaked-jane

Deanna Lee Barenaked Jane

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