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聴いてない 第345回 ショーン・マリンズ

聴いてないアーチスト告白シリーズという東洋でもウチだけの珍奇BLOGを20年以上続けているが、今日のお題は日本での知名度は相当に厳しいと思われる、ショーン・マリンズ。
みなさんはこの人をご存じでしょうか?

ショーン・マリンズ、98年の大ヒット曲「Lullaby」だけ聴いている。
実はBLOGでショーン・マリンズを採り上げるのは初めてではない。
BLOGを始めて間もない頃、一度書いたことがあるのだ。
だが録音した時も記事を書いた時も、ショーン・マリンズについての情報はほとんど仕入れることができず、以降他の曲を聴くこともなく今に至る。
アルバムはもちろん聴いておらず、日本で発売されていたのかどうかもわからない。
むしろ「なんでお前みたいな素人がショーン・マリンズなんて知ってるんだよ」という疑問がわいて当然でしょうね。
意欲的に聴きにいったわけでもなく、たまたまMTV見てて録音できただけである。

あらためて謎のシンガーであるショーン・マリンズについて独占取材を敢行。
・・・ネットで検索しただけだが、やはりショーン・マリンズについて日本語で書かれたサイトは少ない。
なので以下に記す情報の大半は、英語表記サイトの翻訳から得たものだ。

ショーン・マリンズはアメリカの歌手である。
ジャンルとしてはフォークロック・オルタナなどに該当するらしい。
68年ジョージア州アトランタで生まれ、4歳で初めてドラムスティックを手にし、チェロ、ギター、ピアノなどを学ぶ。
高校時代にはパンク、ハードロック、メタルといったハードな音楽スタイルに興味を持つようになり、AC/DCジューダス・プリーストに夢中になった。

陸軍予備役将校訓練の奨学金を得て大学に入学し、軍楽隊でも活動。
この頃には興味はハードロックからフォークに移っており、インディゴ・ガールズやボブ・ディランの作品にも影響を受け、よりアコースティックな音楽に傾倒していった。
大学卒業後は陸軍の歩兵将校として勤務する。
しかしやはりミュージシャンの道を捨てきれず除隊。
友人とトゥワイス・リムーブドという名のトリオを結成し、地元で活動を続けた。

90年代のほとんどの間、ショーンはミニバンにギターと犬を乗せてアメリカ中を走り回り、各地のライブハウスで演奏し、後部座席に積んだ自分のCDを手売りしていた。
大手レコード会社にデモテープを送り続けても返事はなく、SMGレコードという自身のレーベルを立ち上げた。
当時の全米芸能界は80年代の残り香のポップと、退廃的なグランジやニューメタルが全盛で、アコースティックギターを弾きながらフォークソングを歌うショーン・マリンズは時代遅れの存在だったようだ。

ショーンのアメリカンドリームは97年、ロサンゼルスでのある出会いから始まる。
ロスでのあるライブの後、ギターを片付けていたショーンに一人の女性が近づいてきた。
二人はライブハウスの近所の小さな中華料理店で話すことにした。
ショーンの歌を気に入ったという彼女は、「ハリウッドの有名人たちの近くで育ったけど、華やかな場所の割に精神的には空虚で孤独だった」と身の上を打ち明けた。
ショーンが聞いた彼女の話が、後の「Lullaby」の歌詞になる。

初めは古典的なロック調の曲だったが、リズムを大幅にスローダウンさせ、優しく繰り返すアコースティックギターのパートを重ね、一方で歌詞の大半はメロディに乗せず語りかけるような会話風の歌い方にした。
こうしてできあがったのが、不思議な構成と独特の雰囲気を持った「Lullaby」だった。

とは言えショーン・マリンズも周囲も、この曲がすぐに売れるとは全く思っていなかった。
最初に火を付けたのは、地元アトランタのラジオ局「99X」だった。
たまたまショーンは「Lullaby」のデモテープを局宛てに送っており、99Xはアトランタのアーティストを紹介する番組「Locals Only」でこの曲をかけた。
この時「Lullaby」を聴いていた番組ディレクターが鋭く反応。
すぐにショーンをオフィスに呼び、「Lullaby」を番組のプレイリストに追加すると告げる。
ディレクターは半分冗談で「これで君の人生は変わるぞ、覚悟しておけよ」と伝えたそうだ。

だがその冗談は現実となっていく。
X99には「Lullaby」をリクエストする地元民からの電話が殺到。
ショーンのインディーズCDはアトランタのレコード店だけで約6000枚も売れた。
ショーンはもともとライブで地道にファンを獲得することが成功への道だと思っていたので、この曲と自身がラジオ番組で有名になるなどとは考えもしていなかった。

話はこれで終わらなかった。
何年もショーンのデモテープを無視していた大手レコード会社が、続々と契約しようと連絡してきたのだ。
契約話を持ちかけた会社は25社もあったそうだ。
最終的にショーン・マリンズはコロンビア・レコードと契約し、98年夏にアルバム「Soul's Core」をリリースする。

「Lullaby」は全米のラジオで繰り返し流され、爆発的なヒットとなる。
ショーンもコロンビアも年間2万枚くらいのレコードを売ることを目標としていたが、すぐに週3万枚を売り上げるようになり、「Lullaby」はビルボード・ホット100チャートで7位、アダルト・トップ40チャートで1位を記録し、オルタナティブ・ロック・チャートでもトップ10入りを果たした。
さらにヒットは世界中に波及し、オーストラリアやカナダ、イギリスでもトップ10入りとなった。

X99のディレクターの予言どおり、ショーン・マリンズの人生は激変する。
アトランタの片隅の小さなライブハウスで演奏していたショーンが、ずっと憧れだったシカゴの有名なクラブ「メトロ」で800人もの観客を集めて歌うことができ、全米で放送されるテレビのエンタメ番組「ザ・トゥナイト・ショー」に出演するようにまでなった。
アルバム「Soul's Core」はアメリカでプラチナ認定を受け、100万枚以上を売り上げた。
「Lullaby」はグラミー賞最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンス部門にノミネートされた。

だがそんなに甘くはないのが全米芸能界でもある。
大ヒット曲「Lullaby」に続くシングル「Shimmer」は、「Lullaby」同様に歌い上げと語りかけで構成された独特の歌唱スタイルで、ラジオで多少オンエアされたもののチャートにはランクインせず、コロンビアが期待した成績には届かなかった。
ここから少しずつコロンビアとの関係が微妙になっていく。

99年にはインディーズ時代の持ち歌やデビッド・ボウイのカバー「Changes」を収録した企画盤「The First Ten Years」をリリースするが、チャートの100位以内には入らなかった。
また映画「Big Daddy」のサウンドトラック用としてジョージ・ハリスンの「What Is Life」をカバーし、シングルとして発表。
「What Is Life」は全英・全豪チャートで最高62位を記録したが、全米ではチャートインしなかった。

ショーン・マリンズは2000年10月にアルバム「Beneath The Velvet Sun」をリリースした。
このアルバムには、ツアーミュージシャンとして旅先で妻と離れている時のことを歌ったシングル「Everywhere I Go」が収録されている。
だが「Everywhere I Go」はアダルト・オルタナティブ・エアプレイ・チャートで3位にランクインしたものの、「Lullaby」ほどのヒットにならなかった。

しかも「Everywhere I Go」は後に深刻な衝突を起こす因縁の曲になる。
この曲はショーンと友人のマシュー・ケーラー、レコード会社が連れてきたナッシュビルのミュージシャンであるマイク・ローラーとの共作である。
で、曲が完成した後やっぱり印税の分配方法について意見が対立した。
ショーンは「マイクはコード進行は考えたが、歌詞もメロディも書いていない」と主張し、マイクの貢献度から見て印税を均等に3人で分ける必要はないと考えていた。
これにマイク・ローラーは憤慨し訴訟を起こしたが、なんとマイクが勝訴。
敗訴したショーンは今もこの曲をライブでは演奏していないそうだ。

評論家はアルバム「Beneath The Velvet Sun」を「リチャード・マークスベックで濾過したような作品」と評した。
・・・称賛なのか批判なのかよくわからないが、そんなに高評価ではなかった、ということだろうか?
コロンビア・レコードとしてはショーンに「Lullaby」の路線を維持してほしかったようだが、ショーンがそうしなかったことに失望し、売り上げも伸びなかったため契約を解除する。

コロンビアにもナッシュビルにも失望したショーン・マリンズは、2002年にマシュー・スウィート、ピート・ドローグとともにザ・ソーンズという名でアコースティック・バンドを結成する。
アメリカやイギリスをツアーで巡り、アルバムを作ったり他のミュージシャンのサポートでステージに立ったりしたが、1年ほどで解散。

2006年、ショーン・マリンズはヴァンガード・レコードに移籍し、アルバム「9th Ward Pickin Parlor」をリリースした。
シングル「Beautiful Wreck」はアメリカのアダルト・アルバム・オルタナティブ・チャートで2位を獲得。
「Lullaby」ほどのヒットにはならなかったが、この曲で新たなファン層を獲得した。
「Beautiful Wreck」はショーンの最も人気のある曲の1つであり、今ではセットリストの定番となっているそうだ。

2008年にはヴァンガードから2枚目のアルバム「Honeydew」を発表。
2009年にショーンがザック・ブラウンを含む4人で共作した「Toes」は、ザックのバンドのシングルとして全米カントリー・チャートで1位を獲得した。
2010年、8枚目のスタジオアルバム「Light You Up」をリリース。
2015年にはアルバム「My Stupid Heart」を発表。
現時点での最新作は2018年の「Soul's Core Revival」だが、これは「Soul's Core」の各曲をアコースティックで再録した2枚組企画盤。
現在も精力的に活動中で、来月も全米各地を回るツアーが予定されている。
なお私生活では4回も結婚してるそうです。

以上が長いこと勝手に謎だったショーン・マリンズの略歴である。
もちろん知ってた話は微塵もない。
「Lullaby」以外の曲をYou Tubeで聴いてみたが、やはりどれも知らない曲だった。
明るく楽しい曲はあまりなく、かと言ってグランジのような退廃的で破滅を歌うような曲もないようだ。
地味で不器用な男の心情を朴訥に歌うというスタイルの歌手・・で合っているだろうか。

「Lullaby」の訳詞やレビューをいくつか見たが、正直何を言おうとしているのかはよくわからない。
ハリウッドやロサンゼルスの実在する場所の名前や、デニス・ホッパーやボブ・シーガーやソニー&シェールといった有名人の実名も出てきて、そこで育った裕福で空虚な少女に対して「大丈夫だ、全てうまく行くから心配ない・・」と子守歌を歌う・・という内容。
ちなみに全てが少女の談話に基づいているわけでもなく、両親はデニス・ホッパーやシェールと交流があったのは事実だが、ボブ・シーガーはショーンが大ファンだったから適当に付け加えたそうで、少女も両親も実際にはボブ・シーガーを知らなかったらしい。
なので少女の語った話をもとにショーンが一部脚色してできた歌詞、ということになる。

で、実在の地名や人物や裕福な家庭の少女という描写がすごく具体的なわりに、まとめは「全部うまくいく」という普遍的・汎用的な言葉である。
誰に向けての歌なのか、ショーン・マリンズの周りの人にはわかってしまうんじゃないかと思うが、その少女へのラブソングでもないし、励ましの歌というほど高揚もしない、不思議な曲だ。
ただ雰囲気もメロディも語りかけるスタイルも悪くはなく、印象に残る曲ではある。

なおタイトルは「Lullaby」だがサビで繰り返されるのは「Rockabye」。
「Rockabye」って何?と思ったら、赤ちゃんをゆりかごで揺らす様子を意味する擬音語、だそうです。

というわけで、ショーン・マリンズ。
聴くとしたら当然「Lullaby」収録の「Soul's Core」ははずせないでしょうね。
さすがにこの人のアルバムを全て持ってますよという日本人リスナーもあまりいないとは思いますが、もし他の作品で「これもよかった」というアルバムがあったら教えてください。

Souls-core
ショーン・マリンズ Soul's Core
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ショーン・マリンズ Beneath the Velvet Sun
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藤田まこと 夜のララバイ

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聴いてみた 第189回 ジョン・レノン その3

今日聴いてみたのはジョン・レノンの「Mind Games」。
積年の課題であるジョン・レノンの未聴盤鑑賞だが、学習はちっとも進まず、前回「Imagine」を聴いたのはもう5年も前である。

ファンなら誰でも知ってる話だとは思うが、あらためて制作経緯を調査。
「Mind Games」は73年の作品。
当時のジョンの生活は、やはり安定したものではなかった。
この年の3月、アメリカ出入国管理局は、滞在延長申請を却下した後もアメリカで政治活動を続けたジョン・レノンに対して、国外退去命令を出した。
命令に反発したジョンとヨーコはニューヨークで会見を開き、領土も国境もない架空の理想国家「ヌートピア」の建国を宣言し、アメリカ政府の対応を痛烈に批判。
ジョンは退去命令撤回を求める訴訟を起こすが、判決が出るまでの間もずっとFBIに行動を監視され続けた。

本業の音楽活動でもジョンは窮地に立たされていた。
前作「Sometime in New York City」は、ストレート過ぎる歌詞やジャケットにニクソンと毛沢東が裸踊りしている合成写真を使うなど過激な内容がゆえに、全米ビルボードが48位・キャッシュボックスは26位でいずれも10位には届かず、商業的には失敗となった。

より受け入れられるアルバムを作る必要があったジョンは、ニューヨークで作曲と録音を始める。
ほぼ1年ぶりの作曲活動ではあったが、「Mind Games」用の全曲を1週間ほどで書き上げた。
ただし決して順調だったわけではなく、電話を盗聴されたり尾行されたりといった状況とストレスの中での創作だったそうだ。

ジョンはジム・ケルトナー、デビッド・スピノザ、ゴードン・エドワーズ、マイケル・ブレッカーなどのミュージシャンを起用し、7月から2ヶ月ほどでレコーディングを行った。
フィル・スペクターには依頼せず、自身でのプロデュースによりアルバム「Mind Games」は完成。
短期間での制作だったにもかかわらず全米9位・全英13位を記録し、セールスとしてはめでたく復活となった。
なお日本での発売時には「ヌートピア宣言」という邦題が付けられている。

Mind-gamesl

一方でこの頃の夫婦仲は悪化するばかりだった。
ジョンが国外退去命令を受けていた間に、ヨーコは永住権を獲得。
それが決定打となって・・というわけでもなかったとは思うが、二人の溝は深まる一方だった。
アルバム「Mind Games」完成後の9月にジョンはヨーコのもとを離れ、メイ・パンとともにロサンゼルスで暮らし始めた。
ジョンは自らの意志でヨーコと別居しメイと暮らし始めたつもりだったと思うが、実はメイにジョンと一緒にいるよう指示したのはヨーコだった。
このあたりの経緯は以前に書いたとおりである。

こうして決して穏やかな状況ではない中で作られたのが「Mind Games」である。
まあビートルズ解散後のジョンはだいたい混乱の中で名盤を作ってきたので、あまりそうした背景を気にせず鑑賞することにした。
果たしてどんな曲が綴られているのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Mind Games
タイトル曲でスタート。
この曲はベスト盤にあるので知っていたが、あらためて聴いてみると思ったよりジョンは力強く歌っている。
作り初めた時は歌詞の終わりのほうにある「Make Love , Not War」というタイトルだったが、直接的な表現を抑えた「Mind Games」に変えたとのこと。
同じメロディが繰り返されるシンプルな構成で、感覚的には「Imagine」に近い感じがする。

2. Tight A$
軽快なリズムのロック。
楽しそうではあるが下品な歌詞でどこか皮肉っぽく歌うジョン。
「A$」はケツを意味するスラング「Ass」を書き換えたものらしい。

3. Aisumasen (あいすません)
一転おだやかな調べに乗せてヨーコへの謝罪を歌う曲。
ジョンの情けなくもいじらしい心情が全開の名曲・・なのかもしれないが、「あーすいませんよーこさん・・」と繰り返されるフレーズは、日本人の我々には少し違和感がある。
我が国では男が愛情のもつれの際に女性に謝る時「すいません」はあまり言わないからだ。
試しに夫婦仲が険悪になった時に奥さんに「あーすいません」と言ってみたらわかるが、事態は悪化するだけだよね。
なお正しい?日本語で言うなら「あいすみません」だが、なぜかスペルは「Aisumasen」。
ヨーコか日本のレコード会社が直してあげたらよかったのに・・と思うが、なんでこのまま発表されたんだろう?

4. One Day (At A Time)
これもゆったりしたリズムで、ジョンが終始裏声で歌う。
女性コーラスも当てられているが、どちらもキーが高く少し飽きる。
「僕は魚、君は海」「僕はリンゴで君はリンゴの木」といった言葉を使って、ジョンにとってヨーコが互いにかけがえのない存在であることを語っている。

5. Bring On The Lucie (Freda Peeple)
政治的メッセージを込めたミドルテンポの曲。
副題の「Freda Peeple」はタイプミスではなく「Free the People(人々を解放せよ)」という言葉をもじった造語だそうだ。
歌詞は反戦を訴える内容だが、権力者を攻撃する言葉を使わず、「ひとつ頼みたいことがある、やっても後悔はしないはずだ、今すぐ人々を解放するんだ、殺戮を止めろ」という呼びかけになっている。
デモの段階ではもっと叫んで歌ったバージョンもあったらしい。
メッセージが届きやすいよう抑えたボーカルを採用したのだろうか?

6. Nutopian International Anthem(ヌートピア国際賛歌)
ジョンとヨーコが建国した新国家「ヌートピア」の国歌とされた曲だが、実際には6秒間の無音。
LPではここまでがA面。

7. Intuition
「Intuition」とはあまりなじみのない言葉だが、直感という意味とのこと。
訳詞をたどっていて勝手に感じたのだが、この曲はジョン・レノン版「Let It Be」ではないだろうか。
当時のヨーコとの不仲やアメリカ政権との戦いに疲れていた状況の中、精神をなんとか平常化したいという心情が、「直感を信じて生きていればいいんだ」と自分に言い聞かせる歌詞になったのではないかと思う。

8. Out The Blue
壮大なメロディに乗せたジョンのボーカル。
この曲が最もジョン・レノンらしく聞こえる。
タイトルは「a bolt out of the blue」という言葉から来ており、直訳は「青空から突然落ちてくる雷」だが、「突然」とか「いきなり」「不意に」などという意味で使われるそうだ。
で、突然現れたヨーコによりオレの人生は劇的に変わったよという感謝の歌。

9. Only People
ノリのいいロックだが、この歌も社会的なメッセージソングである。
「People」は主権者としての民衆・人民のことで、ジョンは「民衆だけが民衆への語りかけ方や世界の変え方を知っているんだ、さあ行こう」と、自身も民衆として呼びかけている。
「Power to the People」の続編という見方があるが、確かにそう思う。

10. I Know (I Know)
旋律やリズムは「I've Gotta Feeling」に似ており、また思ったよりベースも動いていて、勝手な感想だがポールの香りを感じる。
・・・と思ったら、この曲について解説しているサイトをいくつか見て納得。
この曲を作る直前、ジョン(ジョージとリンゴも)はアラン・クラインとの契約を終了している。
ビートルズ末期にクラインを排除すべきと言って3人と対立したのはポールだが、結果的にポールの意見は正しかったことがジョンにもわかったため、イントロを「I've Gotta Feeling」に寄せたり、歌詞に「Yesterday」や「Getting Better」を採り入れたのがこの曲とのこと。
様々な解釈はあるようだが、ジョンのポールに向けた謝罪や和解の曲である、という説に共感する。

11. You Are Here
どこかハワイアンな感じのリズムにおだやかなメロディが聴きやすい。
「リバプールから東京までという長い道のり、そんな遠く離れた国で生まれた女(ヨーコ)と男(ジョン)が、全方位に風を吹かせる」「あなたがどこにいようとも、あなたはここにいる」と二人の絆を歌うジョン。
だがこの曲を書いた後、二人は「失われた週末」と言われた別居期間に入る。
そういう情報を仕入れて聴くとやはり切ない気持ちになる。

12. Meat City
ラストはこれもまたジョンのワイルドな辛口ボーカルの重いロック。
個人的には「You Are Here」のほうがエンディングにはふさわしいのでは・・とも思う。
で、タイトルの「Meat City」って何?と思ったら、最初の「Mind Games」と対になっていて「精神ー肉体」という対比を表しているのではないか?という解釈があるそうだ。そうなの?
歌詞もアルバム中一番何を言ってるのかわかんない曲ではあるけど、「指をなめ、チキンをつまんでアメリカを脅した」「中国に行くぜ、自分のために」などのあたりがニクソン政権に対する皮肉らしい。そうなの?

聴き終えた。
まだ比較できるほど聴きこんでいないが、ここまで聴いてみたアルバムの中では一番聴きやすいと感じた。
どの曲も難しいと感じる音がほとんどない、という感想がまずある。
ジョンは大衆受けする音を意識して作ったそうなので、それは自分のような素人リスナーにもわかる気がする。

歌詞もポールを攻撃したり政治家を非難したりといった過激な内容はなく、半分はヨーコに向けた謝罪や感謝のメッセージである。
「Mind Games」「Bring On The Lucie」など反戦や社会的主張を歌った曲も、攻撃的な言葉はあまり使わず、誠実で実直な表現で書かれている。
それに世界中の若者が共感して大ヒットした・・・ということだろう。
「Imagineの焼き直し」「平凡で全曲B級」「B面特集」などといった批判もあるようだが、「Sometime in New York City」の失敗を教訓にした、より大衆に届くようにという戦略のとおりなので、尖ったジョンが好きなファンや評論家には物足りないのかもしれない。

このアルバムではジョンにとってヨーコが大切な存在であるとあらためて告白しているが、それはジャケットにも表れている。
草原に一人たたずむジョンの背景は、山のように大きなヨーコの横顔である。
(裏ジャケットは同じ構図に虹がかかっている)
どこかプログレっぽいアートだが、悪くないと思う。
ヨーコがこのジャケットをどう評価しているのかわかりませんが・・

というわけで、「Mind Games」。
毎回月並みな感想ですが、これはよかったです。
「ジョンの魂」「Imagine」よりも自分の好みに寄ってきたのがありがたかったです。
次回は「心の壁、愛の橋」を聴いてみようと思います。

Mind-games
ジョン・レノン Mind Games
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ジョン・レノン 心の壁、愛の橋
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中山美穂 Mind Game

 

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