聴いてみた 第186回 オアシス その2
今日聴いてみたのは、いよいよ来日公演が間近にせまったオアシス。(行かないけど)
彼らの現時点で最新・最後のスタジオ盤「Dig Out Your Soul」を聴いてみました。
まだこんなの聴いてなかったヤツが日本にもおるんかと言われるほどの名盤である。(適当)

アルバムの基礎情報は以下のとおり。
「Dig Out Your Soul」は、オアシス7枚目のスタジオアルバム。
2007年8月から12月にかけてロンドンのアビー・ロード・スタジオで録音され、プロデュースは前作に続いてデイブ・サーディが担当。
なおリンゴ・スターの息子ザック・スターキーは2004年からオアシスのツアーゲストメンバーとして参加し、このアルバムでもドラムを担当している。
一時は「正式にオアシス加入か」などとも伝えられたが、最終的にザックはザ・フーの正式なメンバーとしての活動を選択した。
ツアーではアイシクル・ワークスやザ・ラージでドラマーを務めたクリス・シャーロックがザックの代役で演奏したが、クリスもオアシスに加入することはなかった。
アルバムが2008年10月に発売されると、多くの音楽評論家から「バンド史上最強のアルバム」「『Morning Glory 』と並ぶ作品を作った」「無駄を削ぎ落としたロックのルーツに立ち返った」などと高評価を受けた。
チャートにもその評価は反映され、全英ではめでたく1位、全米も5位を獲得。
1年半に及ぶツアーも開始された。
アルバムそのものの概要はこんな感じである。
だが。
皆さんよくご存じのとおり、このアルバムはバンドにとって終わりの始まり、終末への序曲、一人民族大移動、戦いのワンダーランドの幕開けでもあったのだ。
アルバムツアー期間中、ギャラガー兄弟にはトラブルが頻発する。
2008年9月、トロントで演奏中に観客の一人がステージに乱入し、ノエルを背後から突き倒すという事件が発生。
倒されたノエルは肋骨を折り、その後いくつかの公演をキャンセルするはめになった。
翌年8月22日、バンドはイギリスのウェストン・パークでライブを行う。
だが今度はリアムの体調不良により、翌日以降予定されていた公演をキャンセル。
この時兄弟は激しい口論となり、1週間後に予定されていたパリ公演も中止となった。
直後にノエルはオアシス脱退を発表。
世界中の誰もが「またケンカが始まったよ」と本気にしなかったが、残ったメンバーはビーディ・アイと名乗ってバンドを再開、ノエルもソロとして活動を開始。
以来15年以上にわたり兄弟の断絶が続いたのだった。
作ってる間はまさか本人たちも分裂するとは思ってなかったはずの「Dig Out Your Soul」。
原点回帰なサウンドは果たして自分の耳にはどう聞こえるのでしょうか。
・・・・・聴いてみた。
1. Bag It Up
2. The Turning
3. Waiting For The Rapture
4. The Shock Of The Lightning
5. I'm Outta Time
6. (Get Off Your) High Horse Lady
7. Falling Down
8. To Be Where There's Life
9. Ain't Got Nothin'
10. The Nature Of Reality
11. Soldier On
12.I Believe in All
13.The Turning(Alt Version # 4)
ラストの2曲は日本盤のみのボーナストラックである。
聴き終えた。
まず感じたのは全般的に曲調が重く暗い点。
もちろん彼ら本来のワイルドなロックではあるが、気分が高揚したりリズムに乗って体が揺れたり・・といった感覚とは少し違う。
リアムが歌う曲だけでなく、ノエルがボーカルでも太く重い曲が多く、二人の声の差はむしろ小さくなっている。
もちろん「The Shock Of The Lightning」などスピーディーで心地よいロックもあるが、そういう曲は思ったより少ない。
「初期のオアシスに近い」「原点回帰」といった評価があるようだが、確かに当たってはいると感じる。
ヤンチャで野蛮なサウンドと野太いリアムのやさぐれボーカルは健在なので、じゃあいいことじゃん・・となるはずなのだが、自分の好きな初期のオアシスとはどこか違うのだ。
全体を聴いて気づいたが、このアルバムにはバラード曲がほとんどない。
「Don’t Look Back in Anger」「Wonderwall」「Whatever」「Stand by Me」といった、後世に歌い継がれるような名曲に並ぶようなバラードが、このアルバムには入っていないのだ。
「I'm Outta Time」が唯一のバラードで、悪くはないがやはり過去の名曲と比べると弱い。
前半はそのワイルドな曲が多いが、後半には多少大人しい?曲がある。
「(Get Off Your) High Horse Lady」はテンポを落とした曲だが、終始暗い雰囲気で、ボーカルもノエルの良さはあまり感じない。
「Falling Down」は静かに始まり中盤からは力強く歌うノエルの曲。
これも悪くはないけどやはり暗くて会場を沸かすような曲とも違う。
このアルバムではバンドの民主化・分業が進んでいて、ギャラガー兄弟以外のメンバーが作った曲がある。
「To Be Where There's Life」はゲム・アーチャーの作品、「The Nature Of Reality」がアンディ・ベルの作品だそうだが、聴いてわかるほど差があるわけでもない。
どちらもリアムが歌っておりオアシスの楽曲として機能はしているので、試みとしてはこの分業も悪くないと思う。
また「The Turning」のエンディングにビートルズの「Dear Prudence」の一部をサンプリングしたり、「I'm Outta Time」ではラストにジョン・レノンの声を入れてみたりといった、お得意のビートルズ趣味はこのアルバムにもちゃんと仕込まれている。
そういう意味では相変わらずなオアシスである。
というわけで、「Dig Out Your Soul」。
「こりゃあいいや」という朗らかな感想は浮かんで来ず、どちらかというと残念な感覚が残りました。
「Standing on the Shoulder of Giants」を聴いた時の違和感にも近い心境です。
本国での再結成ツアーのセットリストには、このアルバムから選ばれた曲はほとんどないそうなので、まあそうなんだろうなとも思いました。
もう少し聴くとまた違った感想になるかもしれませんが、やはり「Morning Glory?」を超える作品は出ていなかったんだという確認になってしまった、というのが正直な気持ちです。
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