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聴いてない 第338回 ポーラ・アブドゥル

毎回聴いてないアーチスト量産型のお約束珍奇BLOGですが、今日のお題ポーラ・アブドゥルもすでに壊滅状態。
そもそもどんな人なのかもよくわかっておらず、時々テイラー・デインと混同したりする有様です。
テイラー・デインも全然聴いてませんが・・・

あらためてポーラ・アブドゥル、全然聴いてません。
88年の「Forever Your Girl」、91年の「Will You Marry Me?」だけ聴いてるので、聴いてない度は慟哭の3。
どちらもMTVの音声をカセットテープに録音したのだが、映像は全く覚えていない。
正直聴いた2曲は悪くはないけど他の曲への鑑賞意欲もあまりなく、情報も仕入れることなく30年以上経過。
日本での人気や知名度もさっぱりわからないが、調べたら全米No.1ヒットシングルを6曲も出しており、本国アメリカでは歌手以外の活躍でも有名な人だそうだ。
知ってました?
以下はネットで調べたポーラ・アブドゥルの経歴と実績である。

ポーラ・ジュリー・アブドゥルは1962年6月、カリフォルニア州サンフェルナンドで生まれた。
父親はシリア系ユダヤ人、母親はロシアとウクライナにルーツを持つカナダ出身のユダヤ人である。
幼い頃からバレエやジャズダンスを習い、高校ではチアリーダー部に所属。
映画「雨に唄えば」のジーン・ケリーに影響を受け、将来はショービジネス界で活躍したいと思うようになった。

大学生の時、ロサンゼルスのバスケットボールチーム、レイカーズのチアリーディングチームに選ばれた。
その後ポーラはチームの中心的存在となり、リーダー役や振付担当となる。
この経験がその後のキャリアにも活かされることになったようだ。

プロとしての最初の仕事は振付師だった。
レイカーズの試合を観戦していたジャクソンズのバックバンドメンバーは、ポーラ・アブドゥルにジャクソンズのシングル曲「Torture」のミュージック・ビデオの振り付け担当を依頼。
ポーラはジャクソンズにダンスを教えるというものすごいプレッシャーの中、「どうやって乗り切ったのかよく覚えていない」と回想している。
「Torture」の振り付けの成功により、ポーラはミュージック・ビデオの振付師としてのキャリアをスタートさせた。

その後ジャネット・ジャクソンの「What Have You Done for Me Lately」「Nasty」「When I Think of You」「Control」の振り付けを手掛け、「What Have You Done for Me Lately」では自身もジャネットの友人役としてビデオに出演している。
またジョージ・マイケル、 ZZトップデュラン・デュランなどの振り付けも担当し、プロモ・ビデオの流行にも乗って活動を広げていった。

振付師として注目されたポーラだったが、実は本人は歌手になりたかった。
そこでポーラは自腹で歌のデモテープを制作し、ジャネット・ジャクソンのマーケティングを担当していたジェフ・エアロフに売り込む。
ジェフはポーラのダンスや振り付けの実力は認めていたが、歌は未熟と判断し、周囲の様々な関係者と協力してポーラの歌唱力を鍛えたそうだ。

こうしてポーラ・アブドゥルは、ジェフ・エアロフによって新しく設立されたヴァージン・レコード・アメリカと契約。
88年にデビューアルバム「Forever Your Girl」を発表すると、全米ビルボード200アルバムチャートでいきなり1位を獲得した。
アルバムは最終的にプラチナ認定を受け、世界中で1200万枚以上を売り上げる大ヒットとなった。
また収録シングル「Straight Up」「Forever Your Girl」「Cold Hearted」「Opposites Attract」の4曲が全米1位となり、女性歌手のデビューアルバムとしては初の快挙となった。

ポーラは2枚目のアルバム「Spellbound」でも再び全米1位と成功を収め、全世界で700万枚を売り上げた。
シングル「Rush Rush」「The Promise of a New Day」も1位を記録。
なお「Rush Rush」のミュージックビデオには映画「理由なき反抗」をモチーフにした作品があり、キアヌ・リーブスがジェームズ・ディーン役で出演している。
また「Will You Marry Me?」にはスティービー・ワンダーがハーモニカでゲスト参加。
91年、ポーラはダイエットコークの人気コマーシャルに出演し、アイドルである若き日のジーン・ケリーのデジタル画像と一緒に踊った。
92年には日本を含む初のワールドツアーが行われ、大阪・横浜・東京での公演も実現。

人気実績ともに絶頂にあったポーラ・アブドゥルだが、この後健康面や私生活でいろいろなトラブルに見舞われる。
だがその主張には疑わしいという意見もあるようだ。
本人によれば、92年頃ツアー中にアイオワ州で飛行機墜落事故に遭い、15回もの頸椎手術を受けたと述べている。
しかし全米の航空事故の調査を任務とする国家運輸安全委員会には、ポーラの説明に合致する事故の記録がないとのこと。
この事故については、ポーラは今も自分の主張を曲げていない。

さらに彼女は10代の頃に過食症を発症し、スターになってから症状が悪化し治療が必要になったと明かす。
また17歳の時に「チアリーディング中の事故に遭い、慢性的な痛みを引き起こす反射性交感神経性ジストロフィーと診断された」とも述べている。
これも一部のマスコミなどからは「薬物使用の疑惑隠しではないか」などと言われているようだ。
ポーラの不安定な部分は、その後も度々世間を賑わすこととなる。

ポーラは92年に俳優のエミリオ・エステベスと結婚するが、94年には離婚してしまう。
96年には服飾デザイナーのブラッド・ベッカーマンと結婚したが、1年半ほどでまた離婚している。

95年6月に再起をかけてアルバム「Head over Heels」を発表。
ポップとR&Bの要素を採り入れ、全米最高18位を記録したが、以前ほどの実績は残せなかった。
結果的に歌手としてのオリジナルアルバムはこの作品で終了となる。
なおこの年の11月には来日公演が行われ、有明コロシアムで歌っている。

その後引退してオクラホマの農場でのんびり過ごす・・といった状況にはならず、かなりドラマチックな展開となる。
新曲発表はなくなったが、2000年にはベストアルバム「Paula Abdul: Greatest Hits」をリリース。
ダンサーとしてエクササイズDVDを発表したり、映画に出演するなどの活動は続いた。

転機となったのは2002年。
ポーラはテレビの人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」の審査員の1人として出演し始める。
彼女は振付師としての実績を活かし、出場者のパフォーマンスの評価に的確で親切な評価やアドバイスをし、他の無愛想な審査員と比べて高い評判を得た。

この番組出演のおかげでポーラの人気が復活し、チアリーディング番組の司会やダンス指導などの仕事をするようになる。
2008年には久々の新曲「Dance Like There's No Tomorrow」を発表し、スーパーボウルの試合前のショーでこの曲を披露した。
ポーラ人気もあって「アメリカン・アイドル」は2016年まで15年間も続き、ポーラは2009年頃まで審査員を務めた。

ただ人気の一方でトラブルや疑惑の話も多かったらしい。
2004年にロサンゼルスでひき逃げ事故を起こしたり、テレビ番組出演中の奇行やインタビュー中に呂律が回らなくなる様子などがネット上で拡散され、その都度薬物使用が疑われた。(本人は否定)
またこれは本人に非はないようだが、2008年にはポーラの自宅前で熱狂的な女性ファンが薬物過剰摂取により車中で死亡する事件が発生。
女性は「アメリカン・アイドル」のオーディションで落選しており、ポーラへのストーカー行為もあったそうだ。

その後は主にダンスオーディション番組の審査員や振付師、俳優として活動。
2016年には歌手として25年ぶりのツアーも行い、2018年にはデビュー30周年記念ツアーが行われた。
2023年、ブロードウェイ・ミュージカル「How to Dance in Ohio」の製作チームに参加。
2024年にはニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの10年ぶりのツアーでヘッドライナーを務める。
今もテレビや映画に出演し、その多くは本人役だそうだ。

以上がポーラ・アブドゥルの経歴である。
知ってた話は微塵もなし。
オリジナル盤が3枚だけ(しかも2枚は全米No.1)というのも初めて知った。
アルバム「Forever Your Girl」のジャケットはかすかに覚えているが・・・
日本では誰でも知ってる大スターというわけではない(と思う)ので、本国と日本での人気や知名度がかなり乖離している人だと思われる。
ヒットを飛ばしていた時は、個人的にはFMエアチェックをしなくなり、FMステーションやミュージックライフ購読もやめた頃なので、ポーラ・アブドゥルに限らずアーチスト情報を仕入れなくなった時期なのだ。(言い訳)

「Forever Your Girl」はジャネット・ジャクソンが歌っても違和感のない楽曲だと思う。
ジャネット・ジャクソンも全然聴いてないので説得力は全くないけど、軽快なリズムやきらびやかなサウンドは、ジャネットが歌って踊ってもヒットしたんじゃないかなと思う。(適当)

というわけで、ポーラ・アブドゥル。
オリジナルアルバムは3枚なので全盤制覇も難しくはなさそうですが、聴くならまずは最初で最大のヒットアルバム「Forever Your Girl」でしょうね。
聴いていた方からのご感想をうかがってみたいと思います。

Forever-your-girl
ポーラ・アブドゥル Forever Your Girl
Spellbound
ポーラ・アブドゥルSpellbound
Photo_20251018084101

ブッチャー: 幸福な流血

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聴いてみた 第186回 オアシス その2

今日聴いてみたのは、いよいよ来日公演が間近にせまったオアシス。(行かないけど)
彼らの現時点で最新・最後のスタジオ盤「Dig Out Your Soul」を聴いてみました。
まだこんなの聴いてなかったヤツが日本にもおるんかと言われるほどの名盤である。(適当)

Dig-out-your-soul_large

アルバムの基礎情報は以下のとおり。
「Dig Out Your Soul」は、オアシス7枚目のスタジオアルバム。
2007年8月から12月にかけてロンドンのアビー・ロード・スタジオで録音され、プロデュースは前作に続いてデイブ・サーディが担当。
なおリンゴ・スターの息子ザック・スターキーは2004年からオアシスのツアーゲストメンバーとして参加し、このアルバムでもドラムを担当している。
一時は「正式にオアシス加入か」などとも伝えられたが、最終的にザックはザ・フーの正式なメンバーとしての活動を選択した。
ツアーではアイシクル・ワークスやザ・ラージでドラマーを務めたクリス・シャーロックがザックの代役で演奏したが、クリスもオアシスに加入することはなかった。

アルバムが2008年10月に発売されると、多くの音楽評論家から「バンド史上最強のアルバム」「『Morning Glory 』と並ぶ作品を作った」「無駄を削ぎ落としたロックのルーツに立ち返った」などと高評価を受けた。
チャートにもその評価は反映され、全英ではめでたく1位、全米も5位を獲得。
1年半に及ぶツアーも開始された。
アルバムそのものの概要はこんな感じである。

だが。
皆さんよくご存じのとおり、このアルバムはバンドにとって終わりの始まり、終末への序曲、一人民族大移動、戦いのワンダーランドの幕開けでもあったのだ。
アルバムツアー期間中、ギャラガー兄弟にはトラブルが頻発する。
2008年9月、トロントで演奏中に観客の一人がステージに乱入し、ノエルを背後から突き倒すという事件が発生。
倒されたノエルは肋骨を折り、その後いくつかの公演をキャンセルするはめになった。

翌年8月22日、バンドはイギリスのウェストン・パークでライブを行う。
だが今度はリアムの体調不良により、翌日以降予定されていた公演をキャンセル。
この時兄弟は激しい口論となり、1週間後に予定されていたパリ公演も中止となった。
直後にノエルはオアシス脱退を発表。
世界中の誰もが「またケンカが始まったよ」と本気にしなかったが、残ったメンバーはビーディ・アイと名乗ってバンドを再開、ノエルもソロとして活動を開始。
以来15年以上にわたり兄弟の断絶が続いたのだった。

作ってる間はまさか本人たちも分裂するとは思ってなかったはずの「Dig Out Your Soul」。
原点回帰なサウンドは果たして自分の耳にはどう聞こえるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Bag It Up
2. The Turning
3. Waiting For The Rapture
4. The Shock Of The Lightning
5. I'm Outta Time
6. (Get Off Your) High Horse Lady
7. Falling Down
8. To Be Where There's Life
9. Ain't Got Nothin'
10. The Nature Of Reality
11. Soldier On
12.I Believe in All
13.The Turning(Alt Version # 4)

ラストの2曲は日本盤のみのボーナストラックである。

聴き終えた。
まず感じたのは全般的に曲調が重く暗い点。
もちろん彼ら本来のワイルドなロックではあるが、気分が高揚したりリズムに乗って体が揺れたり・・といった感覚とは少し違う。
リアムが歌う曲だけでなく、ノエルがボーカルでも太く重い曲が多く、二人の声の差はむしろ小さくなっている。
もちろん「The Shock Of The Lightning」などスピーディーで心地よいロックもあるが、そういう曲は思ったより少ない。

「初期のオアシスに近い」「原点回帰」といった評価があるようだが、確かに当たってはいると感じる。
ヤンチャで野蛮なサウンドと野太いリアムのやさぐれボーカルは健在なので、じゃあいいことじゃん・・となるはずなのだが、自分の好きな初期のオアシスとはどこか違うのだ。

全体を聴いて気づいたが、このアルバムにはバラード曲がほとんどない。
「Don’t Look Back in Anger」「Wonderwall」「Whatever」「Stand by Me」といった、後世に歌い継がれるような名曲に並ぶようなバラードが、このアルバムには入っていないのだ。
「I'm Outta Time」が唯一のバラードで、悪くはないがやはり過去の名曲と比べると弱い。

前半はそのワイルドな曲が多いが、後半には多少大人しい?曲がある。
「(Get Off Your) High Horse Lady」はテンポを落とした曲だが、終始暗い雰囲気で、ボーカルもノエルの良さはあまり感じない。
「Falling Down」は静かに始まり中盤からは力強く歌うノエルの曲。
これも悪くはないけどやはり暗くて会場を沸かすような曲とも違う。

このアルバムではバンドの民主化・分業が進んでいて、ギャラガー兄弟以外のメンバーが作った曲がある。
「To Be Where There's Life」はゲム・アーチャーの作品、「The Nature Of Reality」がアンディ・ベルの作品だそうだが、聴いてわかるほど差があるわけでもない。
どちらもリアムが歌っておりオアシスの楽曲として機能はしているので、試みとしてはこの分業も悪くないと思う。

また「The Turning」のエンディングにビートルズの「Dear Prudence」の一部をサンプリングしたり、「I'm Outta Time」ではラストにジョン・レノンの声を入れてみたりといった、お得意のビートルズ趣味はこのアルバムにもちゃんと仕込まれている。
そういう意味では相変わらずなオアシスである。

というわけで、「Dig Out Your Soul」。
「こりゃあいいや」という朗らかな感想は浮かんで来ず、どちらかというと残念な感覚が残りました。
「Standing on the Shoulder of Giants」を聴いた時の違和感にも近い心境です。
本国での再結成ツアーのセットリストには、このアルバムから選ばれた曲はほとんどないそうなので、まあそうなんだろうなとも思いました。
もう少し聴くとまた違った感想になるかもしれませんが、やはり「Morning Glory?」を超える作品は出ていなかったんだという確認になってしまった、というのが正直な気持ちです。

Dig-out-your-soul_20251005175701
オアシス Dig Out Your Soul
Dont-believe-the-truth_20251005175901
オアシス Don't Believe the Truth
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