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聴いてない 第319回 テン・イヤーズ・アフター

ブルース・ロックの元祖といわれるテン・イヤーズ・アフター。
元祖だけど1曲も知らない。
メンバーの名前も人数もわからず、バンド名だけをなぜ知っているのか謎だが、「夜明けのない朝」のジャケットだけ見覚えがある。
この歳になってもまだこういう「全く知らない」バンドが続出するという治療不可状態である。(今さら)
74年に一度解散してるそうなので、10年どころか解散後50年も経ってるバンドだが、50年記念に調べてみました。(適当)

テン・イヤーズ・アフターはイギリスのブルース・ロック・バンド。
バンドの源流は、60年代にノッティンガムで結成されたイヴァン・ジェイ&ザ・ジェイキャッツというグループ。
このグループにいたアルヴィン・リーとレオ・ライオンズが中心となって66年にテン・イヤーズ・アフターに改名。
バンドの名前の由来には諸説あるようで、レオ・ライオンズが雑誌で見つけた「Suez Ten Years After(スエズ危機)」という本の広告から拝借した説、「10年後もバンドが継続してるように」という願いを込めた説などがある。

バンドはマーキー・クラブでの継続的演奏や、ウィンザー・ジャズ・フェスティバルでのパフォーマンスが評価され、デッカの子会社であるデラム・レコードと契約。
67年10月、デビュー・アルバム「Ten Years After」をリリースする。
メンバーは以下のみなさんである。
・アルヴィン・リー(Vo・G)
・レオ・ライオンズ(B)
・チック・チャーチル(K)
・リック・リー(D)

リーさんが二人いるが、兄弟や親戚ではない。

68年、北欧とアメリカをツアーした後、ライヴ・アルバム「Undead(イン・コンサート)」をリリース。
2枚目のアルバムがライブ盤という大胆な展開だが、彼らの魅力はやはりライブにあったようだ。
69年にはニューポート・ジャズ・フェスティバルやシアトル・ポップ・フェスティバルに出演。
さらに同年8月にはあのウッドストック・フェスティバルにも登場している。
4作目のアルバム「Sssssh(夜明けのない朝)」は全米20位・全英4位の大ヒットを記録し、世界的な大きな成功を収めた。
・・・「夜明けのない朝」ってのはいい邦題だけど、原題の「Sssssh」ってどういう意味?

70年の「Love Like a Man」は全英チャートで10位を記録し、グループ唯一のトップテンヒット曲となった。
同年7月にはストロベリー・フィールズ・フェスティバルやワイト島フェスティバル1970に出演した。

71年にバンドはレコード会社を移籍し、アルバム「A Space in Time」をリリース。
このアルバムには彼らの最後のヒット曲「I'd Love to Change the World」が収録されている。

72年5月にプロコル・ハルムとのジョイント・コンサートで初来日。
同年9月、アルバム「Rock & Roll Music to the World」を発表。
翌年にはアルバート・ハモンドとともに再び来日し、2枚組ライブ盤「Ten Years After Recorded Live」をリリースした。

だが74年の「Positive Vibrations」発表直後バンドは解散する。
理由は不明だが、その後の展開を見るとアルヴィン・リーと他のメンバーとの間に確執があったものと思われる。
解散後アルヴィンはソロに転向したが、すぐに自身のバンド「テン・イヤーズ・レイター」を結成。
本人たちに聞いてみないとわからないが、アルヴィンのこういう行動が他のメンバーにイヤミと受け取られた面はあるんじゃないかと思う。
なおベースのレオ・ライオンズはプロデューサー業に転じ、UFOを手掛けて成功を収めた。

いろいろありそうなテン・イヤーズ・アフターだったが、83年にはオリジナル・メンバーによるステージが実現する。
この時はイベント出演のための一時的な再集結だったが、89年に再びオリジナル・メンバーでアルバム「About Time」を発表した。
バンドはその後も断続的に活動し、97年からは南米やヨーロッパでのツアーやイベントで演奏を行った。

2003年にアルヴィン・リーが脱退し、ジョー・グーチが加入。
2004年に自主レーベルを設立し、アルバム「Now」を発表。
2008年にはアルバム「Evolution」をリリースするが、アルヴィンのいないテン・イヤーズ・アフターの活動が話題になることはなかったようだ。

2013年3月、アルヴィン・リーが心臓手術後の合併症のため68歳で急死した。
同年12月にはジョー・グーチとレオ・ライオンズが脱退する。
2014年、マーカス・ボンファンティとコリン・ホジキンソンが加入。
2017年、9年ぶり13枚目のアルバム「A Sting in the Tale」を発表。

以上がテン・イヤーズ・アフターの50年以上にわたる歴史である。
知ってた話は一切なし。
現在も活動中だが、基本的には初期のジャズやブルース系の音楽性が評価されているバンドのようだ。
テン・イヤーズ・アフターを紹介するどのサイトでもアルヴィン・リーは「元祖速弾きギタリスト」「マシンガン・ピッキング」などと書かれており、フォロワーも多いとのこと。
じゃあ具体的に誰がフォロワーなのか?と思ったが、そこまで詳細に記したサイトは見つからない。

今回テン・イヤーズ・アフターの曲をいくつかYou Tubeで聴いてみた。
さすがに50年前の音なのでシンプルで乾いた感じがするが、アルヴィン・リーのギターは確かにテクニカルで、ライブ向きの演奏である。
「Crossroads」も聴いてみたが、さすがにクリームと比べるとやや重厚感や一体感が足りない感じがした。

「夜明けのない朝」のジャケットだけ見覚えがあると書いたが、実物のレコードではなく、雑誌(たぶんミュージックライフ)のレビューで見たような気がする。
メンバーの顔が重なったややオカルトチックなアートで、勝手にプログレのような音楽かと思っていた。

というわけで、テン・イヤーズ・アフター。
興味があるのは一応「夜明けのない朝」なのですが、このバンドにおいてはライブ盤を推す方が多いようなので、ライブ盤も含めておすすめのアルバムを教えていただけたらと思います。

Undead
テン・イヤーズ・アフター イン・コンサート
Ssssh
テン・イヤーズ・アフター 夜明けのない朝
10
荻原博子 10年後破綻する人、幸福な人

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コメント

アルビン・リー、最後に名前を見たのはジョン・ロードのジェミニ組曲再演版でした。ブラックモアの代役なので大物をと今まで思ってましたが、それはアルバート・リーだった事がこのコメント書こうとしてわかりました。ジョン・ウェイト=トム・ウェイツに続き晩年になって知ることばかりです。アルバート・リー、自分より年寄りには有名みたいなのですが、私は誰なのか知りません。

投稿: nr | 2024.08.14 07:29

SYUNJIさん、こんばんは。
名前だけ知っていますが、1曲も聴いたことがありません。
多分、レココレ誌でも積極的に取り上げられることが
なかったと思います。

リーダー兼ギタリストがアルなんとかリーということを
今回の記事で見たとき、
「ああ、アルバート・リーか。クラプトンの作品やライブで
客演している人じゃないか」と、nrさんと同じ勘違いを
しました。

それでユーチューブで1曲見ましたが、クリーム系列の
ブルースハードロック。メンバーが演奏でけんかしている
ところもクリームそっくりです。

全然話は変わりますが、アマゾン広告で出てきている
荻原博子さんは、わかりやすく消費者保護目線ですので
おすすめできます。

投稿: モンスリー | 2024.08.15 19:48

nrさん、コメントありがとうございます。

>それはアルバート・リーだった事がこのコメント書こうとしてわかりました。

実は自分もテン・イヤーズ・アフターを調べていてアルヴィン・リーのことをアルバート・リーだと勘違いしていました。
調べ始めてすぐに別人と気づきましたが・・
外国人の名前はわかりにくくて混同することが多いですね。

アルバート・リーのこともほとんど知りませんが、ジョン・ロードのジェミニ組曲にも参加してたんですね。
ジョンの希望実現のためパープルからはロジャーとイアン・ペイスが参加し、リッチーとイアン・ギランは不参加だったそうですが。

自分はアルバート・リーをペイジの「炎帝」で知りました。
http://kotodama.air-nifty.com/essay/2013/09/post-d440.html

投稿: SYUNJI | 2024.08.16 18:16

モンスリーさん、コメント感謝です・・が、テン・イヤーズ・アフター聴いておられなかったですか。

>「ああ、アルバート・リーか。クラプトンの作品やライブで客演している人じゃないか」と、nrさんと同じ勘違いをしました。

これはもう日本の洋楽リスナーの鉄板あるあるな話ですかね?
どこかで間違えたままサイトに書いたりしてる人もいそうな気がしてきました・・
なお上記の「炎帝」ではアルバート・リーはペイジと競演・・でもなく、曲ごとに交代で弾いてるみたいです。

本題のテン・イヤーズ・アフターですが・・

>それでユーチューブで1曲見ましたが、クリーム系列のブルースハードロック。メンバーが演奏でけんかしているところもクリームそっくりです。

雰囲気はクリームにも通じるものはあるかもしれないですね。
クリームほどのド突き合いや緊迫感はないようにも思いましたが・・
たぶんアルヴィン・リーと他のメンバーのパワーバランスが、クリームの三権分立ほど均等ではなかったんじゃないかと思います。

投稿: SYUNJI | 2024.08.16 18:25

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