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聴いてみた 第182回 ロッド・スチュワート

先日有明アリーナでロッド・スチュワートの公演が行われ、SNSでも自分の複数の友人がタイムラインでライブの様子を発信していた。
その楽しそうなレポートをぼんやりと眺めているうちに急速に感じた危機感。(遅い)
実はロッド・スチュワートの70年代ソロ作品を全然聴いていなかったのでした。(遅い)
ということで間違った焦燥感に押し流されるようにあわてて聴いてみたのが「Foot Loose & Fancy Free(明日へのキック・オフ)」。(遅い)

聴く前にアルバム概要を拙速に学習。
「Foot Loose & Fancy Free(明日へのキック・オフ)」は77年発表。
ロッドは70年代前半はフェイセズに所属しながらソロ作品も発表していた。
75年にフェイセズは解散し、ロッドはワーナー・ブラザースに移籍。
アメリカで録音した「Atlantic Crossing」「A Night on the Town」がヒットし、引き続き多くのアメリカ人ミュージシャンが参加して完成したのが「明日へのキック・オフ」で、スタジオ盤としては8作目となる。

Foot-loose-fancy-free

ロッドのバックバンドとして演奏しているのは以下のメンバーである。
・ジム・クリーガン(G)
・ゲイリー・グレインジャー(G)
・ビリー・ピーク(G)
・フィル・チェン(B)
・カーマイン・アピス(D)
・ジョン・バーロウ・ジャーヴィス(K)

さらにスティーブ・クロッパー、ニッキー・ホプキンス、ジョン・メイオール、フレッド・タケットなどの大物芸人も参加し、豪華な内容となっている。
プロデューサーにはアメリカ進出以来成功を共有してきた信頼と実績のトム・ダウドを起用。
チャートでは1位は逃したものの、全英3位・全米2位を記録した。
構成としては「Atlantic Crossing」と同様に「A面=ファストサイド=ロック色の強い楽曲中心、B面=スローサイド=バラード・タイプの楽曲中心」となっている。

安心材料として、ロッドの代表作「Hot Legs」「You're In My Heart」や、ヴァニラ・ファッジもカバーした名曲「You Keep Me Hangin' On」が収録されている。
まあ仮に全曲初鑑賞だとしてもロッドのボーカルなので不安はあまりないはずである。
そんな思い上がった態度で聴いてみました。

・・・・・聴いてみた。

1. Hot Legs
ロッドの代表曲とも言えるガヤ系ナンバーでスタート。
意外に長いイントロからワクワクさせる。
やはりこういう下品な曲がロッドには似合う。

2. You're Insane
初めて聴く曲。
リズミカルではあるがやや重いメロディで、ベースがべんべんと響く。

3. You're In My Heart(胸につのる想い)
ファストサイドに収録されているが、思いっきりスローでおだやかな曲。
なんでA面に入ってんの?
これもロッドの代表的なバラードである。
歌詞をきちんと見たのは初めてだが、けっこういろんなことを語っている。
「You're celtic, united,」というサッカーチーム名を入れて女性への想いを語る部分が有名だそうだが、サッカー好きのロッドならではの表現だと思う。
ただ感覚的には日本人にはいまいちわかりにくい気がする。
例えば「君はガンバ、セレッソ」と言われてキュンとなる浪速女子がどれくらいいるのか・・・?

4. Born Loose
一転スピーディーなメロディのロック。
・・・と思ったら中盤でどんどんスピードが落ちてゆっくりになり、再び加速する不思議な構成。
タイトルは「生まれながらのだらしないヤツ」という意味らしい。

5. You Keep Me Hangin' On
シュープリームスの曲をヴァニラ・ファッジがカバーして大ヒットしたあの名曲を、なぜかロッドもカバー。
たぶん元ファッジのカーマイン・アピスの発案じゃないかと思う。
雰囲気はファッジ版に寄せていて、長さもキーボードもコーラスもファッジ風。
中盤の静寂のあと、ピアノやストリングスが鳴る間奏があり、ファッジ版よりも物憂い味付けになっている。
ちなみにこの曲、86年にキム・ワイルドもカバーしており、さらに日本では野口五郎や西城秀樹、五木ひろしもカバーしてたそうです・・

6. (If Lovin' You Is Wrong) I Don't Want to Be Right
この曲も聴いたことがあった。
ロッドのオリジナルかと思っていたが、元々はザ・エモーションズというグループのために書かれた曲のカバー。
他にも多くの歌手やグループがカバーしており、フェイセズも解散直前にレコーディングしたことがあるそうだ。(フェイセズとしては未発表)
スローサイドならではの憂いに満ちたバラードで、ロッドのボーカルはどんな曲でも合うのがよくわかる。

7. You Got A Nerve
さらに哀愁漂うバラードが続く。
アコースティックギターで静かに始まり、ロッドが一人で歌う。
コーラスはなく、メンバーのガヤもこの曲では聞こえない。
どこかフラメンコのようなスパニッシュな雰囲気。
時々鳴るインド風のような音は、スライドギターを使ってシタールのような音を出しているらしい。

8. I Was Only Joking(ただのジョークさ)
ラストは温かみのあるメロディのバラード。
アメリカではシングルカットもされ、22位を記録している。
この曲もアコースティックギター中心のサウンドだが、間奏ではエレキギターでのソロも入れている。
エンディングはロッドとは思えないほど声が小さくなっていて、どこか照れながら語りかけるようにささやき、静かに終わる。

聴き終えた。
当たり前だが全部ロッドのボーカルなので、やはりフェイセズよりも安心して聴ける。
本人も声が世界最強の武器であることを自覚して歌っているし、どんな曲調でもこなせる自信にあふれたアルバムになっている。
ファストサイド・スローサイドという構成も、このアルバムではうまく機能していると思う。
「You're In My Heart」がファストサイドのA面収録だけは変だけど。
発売当時から聴いていたら間違いなく定着していたはずだ。(後悔)

このアルバムがロッドの最高傑作であり頂点と評するファンも多いようだ。
この後の「スーパースターはブロンドがお好き」からディスコサウンドを採り入れるなど産業ロック化していき、日本では大ヒットしたが、古くからのファンには評判が悪くなっていったらしい。
本人はあまり気にしてなかったと思うが、キャリアの中では80年代はそれほど評価されていない、ということになっている。
個人的には「Tonight I'm Yours」「Baby Jane」「Infatuation」「People Get Ready」「Every Beat of My Heart」「Lost in You」など、80年代のシングルこそむしろマメに聴いてきたクチなので、そうなの?とも思うが。
実際79年の「Da Ya Think I'm Sexy?」以降10年間は全米・全英ともトップ10入りした曲がなく、再びトップ10入りしたのは89年「Downtown Train」である。

というわけで、「明日へのキック・オフ」。
これは非常に良かったです。
名曲の連続でアルバムとしてのまとまりもあり、ベスト盤くらいの水準にあるんじゃないかと感じました。
この前の作品である「Atlantic Crossing」「A Night on the Town」も、早急に鑑賞しておきたいと思います。
 

Foot-loose-fancy-free

ロッド・スチュワート 明日へのキック・オフ

Atlantic-crossing
ロッド・スチュワート Atlantic Crossing
A-night-on-the-town
ロッド・スチュワート A Night on the Town

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