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聴いてない 第308回 エイス・ワンダー

前回のトム・ウェイツからの振り幅が大きすぎて自分でも混乱しますが、今日のお題はエイス・ワンダー。
80年代洋楽沼にはまった元ナウいヤング(主に元少年)であれば、おそらくご存じであろう。

エイス・ワンダーが日本でもヒットしたのは、ボーカルがティーンエイジャーの金髪少女だったことが大きいと確信している。
その名はパッツィ・ケンジット。
聴いてない自分でも、当時から名前だけは知っていた。
「Stay With Me」がヒットしてた頃は18歳。
日本でもパッツィちゃん目当てに聴いていた少年は多かったはずである。

エイス・ワンダー、聴いたのは大ヒット曲「Stay With Me」と、「Open Your Mind」という曲。
アルバムは聴いてないので、聴いてない度は3。
パッツィとこの2曲以外に情報は持っておらず、そもそも何人組だったのかも知らない。
日本でも人気はあったんやろとは思っていたが、調べたら人気が出たのはむしろ本国イギリスよりも日本が先とのこと。
そうなの?
取り急ぎエイス・ワンダーについて調査開始。

エイス・ワンダーは1983年にロンドンで結成されたイギリスのポップ・バンド。
結成当時はスパイスというバンド名で、ギターのジェイミー・ケンシットとジェフ・ボーチャン、ベースのローレンス・ルイス、ドラムのジェイク・ウォルターズ、パーカッションがナイジェル・デイヴィスというメンバーだった。
ジェイミーは当時15歳だった妹のパッツィを、バンドのオーディションに参加させた。
パッツィはただの素人少女ではなく、幼少の頃から子役として雑誌やCMに出演しており、72年「For the Love of Ada」で映画デビューもしていた。
その後も「華麗なるギャツビー」でロバート・レッドフォードやミア・ファローと共演したり、「ハノーバー・ストリート 哀愁の街かど」でハリソン・フォードとも共演。
79年の日本映画「ベルサイユのばら」にオスカルの幼少時代役として出演もしている。

だが、ケンジット兄妹はかなり強烈な家庭に生まれ育っている。
母親はディオールの秘書で元モデルだったが、父親はギャングの側近でパッツィが生まれた時は刑務所に服役中。
父方の祖父も強盗や通貨偽造をはたらく犯罪者だった。
兄妹は幼少期を公営団地で過ごし、床にマットレスを敷いて寝ていたほど貧しかったそうだ。
父親と祖父が犯罪者という経歴だと、日本では芸能人として活躍するのは相当難しい気がするが、兄妹は逆境に関係なく活動を始めている。

84年後半にナイジェル・デイヴィスが脱退し、アレックス・ゴッドソンがバンドに加わった。
同時にバンド名をエイス・ワンダーと改名。
85年CBSレコードと契約し、ロンドンでレコーディングを開始。
その後ローレンス・ルイスとジェイク・ウォルターズも脱退。

ふつうの新人アーチストであれば、まずシングルが売れる→連動してアルバムも売れる→本国以外の国に進出、というのが通常の出世コースだが、エイス・ワンダーは全く異なる展開だったようだ。
まず85年にシングル「Stay with Me」をリリース。
本国イギリスではほとんど話題にならずチャートでも65位だったが、なぜかイタリアでは4位と大ヒット。
日本でも「Stay with Me」のプロモ・ビデオでミニスカートで歌うパッツィが人気を呼び、87年に日本限定盤ミニアルバム「Brilliant Dreams」も発売された。
自分が聴いた2曲はこの「Brilliant Dreams」に収録されている。

エイス・ワンダーとしての正式なスタジオアルバム「Fearless」は88年になってからようやく発表された。
シングル「I'm Not Scared(モンマルトルの森)」「Cross My Heart」がイギリスでヒットし、やっと本国でのブレイクを果たす。
しかし続くシングル「Baby Baby」は全英65位と失速。
頼みの日本向けに限定シングル「Use Me」をリリースするが、思うような実績を残せず、89年に解散。(早い)
再結成もしていないので、結果的に「Fearless」が唯一の公式アルバムとなっている。
自分みたいな素人リスナーでも2曲聴いてたくらいなので、本国ではもっと長く多く売れてたんやろと思ってたけど、なぜか日本で極端に売れたバンドなのだった。
全然知らなかった・・・

解散後パッツィは主に女優として活動。
89年「リーサル・ウェポン2 炎の約束」でメル・ギブソンと共演し、その後も多くの映画やテレビドラマに出演しているが、主役はあまりないそうだ。
クイズなどバラエティ番組の出演も多いとのこと。

なおパッツィは4度の結婚と離婚を経験していて、お相手は全員ミュージシャンである。
88年にビッグ・オーディオ・ダイナマイトのダン・ドノヴァンと結婚したが、91年に離婚。
翌年シンプル・マインズのジム・カーと結婚するも96年離婚。
翌年オアシスのリアム・ギャラガーと結婚し、息子にレノンと名付けたが、2000年にやっぱり離婚。
その後DJのジェレミー・ヒーリーと交際し、2007年に結婚を発表。
2009年に結婚式を挙げたものの2010年には別居していると報じられた。(早い)
あまり結婚に向いてない人のようだけど、離婚後も毎回すぐに次の夫が見つかってるので、男が放っておけないタイプの女性なんでしょうかね。

パッツィについては当時からプロモ・ビデオで目にしてはいたが、かわいいとは思ったが夢中になるようなことはなかった。
やはり自分にとってデボラ・ハリーを超える女性アーチストはいなかったのだ。
全然関係ないが、エイス・ワンダーのアルバム「Fearless」のプロデューサーには、ブロンディを長く手がけたマイク・チャップマンの名前がある。

ちなみに「Open Your Mind」は「サンスイ・ベストリクエスト」ではなく「クロスオーバー・イレブン」でエアチェックしている。
人気重視の「サンスイ・ベストリクエスト」に比べて「クロスオーバー・イレブン」は独自の選曲で格調高い番組というイメージだったが、エイス・ワンダーもオンエアしていたのだ。
今思うと不思議な気もするが、「Open Your Mind」は「Stay with Me」のようなチャラい曲ではなく、どこかフレンチポップのようなやや物憂げな雰囲気のある曲だったので、「クロスオーバー・イレブン」でも紹介されたのだと思う。

というわけで、エイス・ワンダー。
失礼ながら正直聴いておかねばならないという存在でもないと思われますし、唯一の公式アルバム「Fearless」を聴けば学習終了なんですけど、むしろ日本限定盤ミニアルバム「Brilliant Dreams」に少しだけ興味があります。
入手可能なんだろうか・・・?
鑑賞履歴も含め、ご存じの情報がありましたら教えていただけたらと思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
エイス・ワンダー、全く覚えがありません。ユーチューブで
「Stay With Me」を見ましたが、まるで覚えがありません。
この曲がヒットした85年は、勉強をさぼってMTVを見まくって
いたナウいヤングだった私ですが、こんなていたらくです。

日本でバカ売れだったようですが、レコード会社がG.I.オレンジ
の二匹目のドジョウを狙ったのでしょうか。

しかし、パッツィ・ケンジットという名前は聞き覚えがありました。
SYUNJIさんの記事のよると、

>>89年「リーサル・ウェポン2 炎の約束」でメル・ギブソンと共演

多分これです。ただし、私が見たのは多分2000年代、レンタルか
何かです。今となってはケンジットがどんな役だったのか、
まるで思い出せません。

投稿: モンスリー | 2023.12.10 21:43

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>エイス・ワンダー、全く覚えがありません。
>ユーチューブで「Stay With Me」を見ましたが、まるで覚えがありません。

おや、そうでしたか。
まあ自分もたまたま2曲聴いてただけでしたが。
「Stay With Me」の映像もほとんど覚えてませんでした。

>日本でバカ売れだったようですが、レコード会社がG.I.オレンジの二匹目のドジョウを狙ったのでしょうか。

どっちもレコード会社はソニー系のようですね。
時系列ではG.I.オレンジが先に売れてたので、ありえる話だと思います。

>今となってはケンジットがどんな役だったのか、まるで思い出せません。

自分は映画を見てませんので調べてみました。
パッツィ・ケンジットはリカ・ファン・デン・ヴァールスという長い役名で、悪役南アフリカ総領事の秘書という設定。
メル・ギブソン演じるマーティンに接近しベッドシーンまで演じたものの、総領事に拉致されて殺されるという悲しい役どころだそうです・・・

投稿: SYUNJI | 2023.12.12 17:59

クロスオーバー11。NHKがジェットストリームっぽいのを狙ってつくった番組だったとFM誌で読んだ(ような気がする)のですが、クロスオーバーってフュージョンの前身だからと思ってエアチェックの対象から外していたので、まさに「聴いてない」でした。
エイス・ワンダーがかかるって全然クロスオーバーじゃないですね。番組も11時から開始だったと思うんですが、オーバーはしてるけど11時にクロスしてなかったです。エイス・ワンダーはステイウィズミーしか知りませんが困ったような事はありませんでした。

投稿: nr | 2023.12.16 23:24

nrさん、コメントありがとうございます。

>クロスオーバーってフュージョンの前身だからと思ってエアチェックの対象から外していたので、まさに「聴いてない」でした。

自分もあの番組は録りたい曲がオンエアされる時だけ聴いてました。
ジャンルを超えてジャズやフュージョンなどいろいろ流していたようですけど、ロックの割合は少なかったんじゃないかと思います。

>エイス・ワンダーがかかるって全然クロスオーバーじゃないですね。

まあ逆さに言えばエイス・ワンダーも流すよという姿勢はまさにクロスオーバーだったんでしょうかね?
おそらく「Stay With Me」はオンエアしていないとは思いますが・・・

>エイス・ワンダーはステイウィズミーしか知りませんが困ったような事はありませんでした。

ファンの方には申し訳ないですが、自分も確かに困るようなことはなかったです・・
公式アルバムが1枚だけというのも驚きましたが・・

投稿: SYUNJI | 2023.12.18 20:45

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