« 2022年の終わりに | トップページ | 聴いてみた 第175回 ジェフ・ベック その6 »

聴いてない 第296回 ジョージア・サテライツ

東日本一中身のない低レベルBLOG、さて今年最初の戯言でも書こうかと思ったところにジェフ・ベックの訃報。
でも今日はベックについては語りません。
まあ偉そうに宣言したところでこんな惰性BLOGなんて誰も見てないし、そもそも語れるほどベック聴いてないし。
ベックの未聴盤なんて山ほどあるので、書くならばやはり聴いてみたシリーズで行きたいと思います。

というわけで、20年目最初の聴いてないシリーズに見事選ばれたのはジョージア・サテライツ。
みなさんは覚えておられますでしょうか?
どうせ名前しか知らんやろとタカをくくっていたが、You Tubeで「Keep Your Hands to Yourself」のプロモ・ビデオを見て聴き覚えがあることが発覚。
偉くもなんともないが・・
聴いてない度はいちおう2となるが、エアチェックはできなかったので実質1である。

個人的につい混同しそうになるのがフーターズだ。
シングルに「Satellite」という曲があるので間違いそうになるが、両バンドには共通点も交流もないと思う。
しかたがないのでジョージア・サテライツについて正月早々ゆで卵の薄皮をはがす程度に薄ーく調査開始。
調べてみたら、結成当初からかなり苦労してきたバンドのようだ。

ジョージア・サテライツはその名のとおりジョージア州アトランタ出身のアメリカのサザン・ロックバンドである。
原型はベーシストのキース・クリストファーを中心としたキース・アンド・ザ・サテライツというバンド。
1980年にキースとダン・ベアード(G)、リック・リチャーズ(G)、デヴィッド・ミケルソン(D)はアトランタでキース・アンド・ザ・サテライツを結成。
地元のバーなどで演奏していたが、キースとデヴィッドが脱退。
ベースはデイヴ・ヒューイット、ドラマーはランディ・デレイに代わり、バンド名もジョージア・サテライツに変更した。

デビュー時の話はかなりドラマチックな展開。
バンドはアトランタで低迷し、メンバーは希望を失って84年夏頃に解散する。
だがイギリス人マネージャーのケヴィン・ジェニングスが、解散したはずのバンドのデモテープを小さなレコード会社に持ち込むことで事態が急変。
レコード会社はデモを気に入って85年にEPとしてリリースした。
これが意外に反応がよく、レコード会社側はバンドに再結成を促すことになった。

メンバーはそれぞれ別のバンドで活動していたが、ダン・ベアードがリック・リチャーズのいたヘル・ハウンズというバンドに加入することで、ヘル・ハウンズは新生ジョージア・サテライツとなった。
メンバーは以下のみなさんである。
・ダン・ベアード(V・G)
・リック・リチャーズ(V・G)
・リック・プライス(B)
・マウロ・マゼラン(D)

86年にデビューアルバム「Georgia Satellites」をリリースし、全米5位を記録。
シングル「Keep Your Hands to Yourself」はビルボードホット100で2位の大ヒットとなった。
ちなみにこの時1位を阻んだのがボン・ジョビの「Livin' on a Prayer」だったそうだ。
なおアルバムにはロッド・スチュワートのカバー「Every Picture Tells a Story」も収録されている。

このまま波に乗ると思われたジョージア・サテライツだが、以降の実績はかなり厳しいものとなった。
88年に映画「カクテル」の挿入歌として「Hippy Hippy Shake」のカバーを録音。
オリジナルはチャン・ロメオという歌手が59年に発表した曲で、スウィンギング・ブルー・ジーンズが64年にカバーして全英2位・全米24位を記録している。
映画「カクテル」は大ヒットしたのでジョージア・サテライツ版シングルも期待されたが、記録は45位。

この年には2枚目のアルバム「Open All Night」も発表。
スモール・フェイセズのイアン・マクレガンが参加し、リンゴ・スターが作ったビートルズの「Don't Pass Me By」のカバーもあったが、前作ほどの成功は収められず全米77位止まりに終わる。

バンドは再起を賭けて89年にアルバム「In the Land of Salvation and Sin」をリリース。
イアン・マクレガンが再び参加し、85年に作ったEPから「Six Years Gone」と「Crazy」を再録音して収録したが、商業的には失敗し全米130位という悲しい結果となった。
ダン・ベアードはソロに転向するためバンドを脱退。

93年にベスト盤「Let It Rock」が出て、黄金期メンバーで復活かと思いきや、ダン不在のままジョージア・サテライツは再結成。
メンバーはリック・リチャーズとリック・プライスに、ジェレミー・グラフ(G)。
その後ビリー・ピッツ(D)が加わり、96年にアルバム「Shaken Not Stirred」をリリースする。
これはオリジナル盤ではなく、初期の楽曲の再録音に、ビートルズの「Don't Pass Me By」「Rain」などカバーを含む8曲を追加した企画盤である。
90年以降現在まで新曲や新盤は出ておらず、最近のインタビューでもリック・リチャーズは「バンドが新譜をリリースする予定はない」と述べている。

なおリック・リチャーズは、元ガンズ・アンド・ローゼズのイジー・ストラドリンの11枚のアルバムに参加したり、元マネージャーであるケヴィン・ジェニングスとともにウェスタン・シズラーズというユニットで2013年に「For Ol' Times Sake」と題したアルバムを発表するなど、バンド外の活動にも積極的である。

ではジョージア・サテライツは解散したのかというとそうでもなく、一応活動は継続中。
2000年以降は基本的にアメリカ国内のライブが活動の中心のようだ。
単独のツアーもあるが、他のミュージシャンとのジョイントライブも多い。
アトランタ・リズム・セクション38スペシャルZZ TOPなど南部のバンドと、またREOスピードワゴンチープ・トリックなどと共にステージに上がっており、意外なところではエディ・マネーとも何度か共演している。

現在のメンバーはリック・リチャーズ、フレッド・マクニール(G)、ブルース・スミス(B)、トッド・ジョンストン(D)。
昨年3月には88年クリーブランドのナイトクラブでの演奏を録音した初のオフィシャルライブアルバム「Lightnin' In A Bottle」をリリースした。
自前のヒット曲に加え、ストーンズの「It's Only Rock n Roll」、ラモーンズの「I Wanna Be Sedated」などカバー曲も多数収録されている。

以上がジョージア・サテライツの意外に落差の激しい来歴である。
もう少し長く好成績を積み重ねてきたバンドなのかと思っていたが、チャートで上位を賑わせていたのは最初の頃だけだったようだ。
それでも30年以上新曲を出さずに昔の曲だけでライブを続けているので、昔からの根強いファンがアメリカ南部にはたくさんいる、ということなんだろう。

バンドを紹介してるサイトに共通して書いてあるのが「泥臭い」「古臭い」といった形容。
わかってるようでイマイチきちんと理解できていないけど、ストレートで野太くワイルドなサウンドやボーカルを指していると思われる。
ジョージア・サテライツが登場した80年代後半は、産業ロックとLAメタル全盛&グランジ前夜という微妙な時期で、その時代にオールドなロックを土埃っぽくガヤガヤ歌って演奏するというスタイルは、かえって新鮮だったんじゃないだろうか。
その後急激に失速したのも、グランジ台頭が大きく影響していたと思う。

大ヒット曲「Keep Your Hands to Yourself」は今も彼らのライブで聴けるはずだが、ヒット当時歌ってたダン・ベアードはもう長いこと不在のまま。
歌詞のあちこちで裏声を駆使するちょっと変わった歌い方なので、今のジョージア・サテライツではダン・ベアードが歌わなくてもファンは満足なんだろうか?

カバー曲「Every Picture Tells a Story」「Don't Pass Me By」もYou Tubeで聴いてみたが、元曲とはかなり雰囲気が異なり、彼らなりのワイルドな仕上がりになっている。
ビートルズの曲をカバーしたミュージシャンは世界中にいるが、200曲以上の中からリンゴの「Don't Pass Me By」を選んだセンスはいいと思う。
ただどちらも悪くはないけど、やはり元曲のほうがいいかなという感じ。

ということで、ジョージア・サテライツ。
スタジオ盤は4枚とのことですので、全盤制覇もそう難しくはないと思われますが、聴くならデビューアルバムだけでいいような気もします。(偉そう)
ただライブ盤「Lightnin' In A Bottle」も少しだけ興味があります。
全盤聴いてる方はおられますでしょうか?

| |

« 2022年の終わりに | トップページ | 聴いてみた 第175回 ジェフ・ベック その6 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 2022年の終わりに | トップページ | 聴いてみた 第175回 ジェフ・ベック その6 »