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聴いてない 第294回 ブルーノ・マーズ

今回は珍しく現役の若きミュージシャンを採り上げてみます。
先日来日公演も行われ、日本のナウいヤングにも大人気のブルーノ・マーズ。
名前をいつ知ったのかも不明だが、初めはどこかのオシャレなライブハウスの名前かと思ってました・・・
曲も全く聴いていない・・・と思ってたが、「Just the Way You Are」はどこかで聴いたことがあった。
もちろんビリー・ジョエルの名曲とは別の曲である。
調べたら「カネボウ・コフレドール」や「三井のリハウス」のCMで使われたそうです。
いずれにしろ能動的鑑賞はしたことがなく、聴いてない度は実質1。

ブルーノ・マーズはアメリカのミュージシャンだが、ジャンルはとても幅広く、ロックやポップス、R&B、ファンク、ソウル、レゲエ、ディスコなど、枠にとらわれずに表現する歌手。
歌うだけでなくギターやベース、ピアノにキーボード、ドラムなど様々な楽器を演奏し、また他のアーチストのプロデュースや、ミュージックビデオの監督まで手がける多彩な人物である。
・・・という基礎情報もさっき調べて知りました。
なんか有能な人なんだろうなということはうっすら感じていたが、調べたら想像以上にスゴイ経歴と実績の持ち主だった。

なぜ突然ブルーノ・マーズを採り上げようと思ったのか。
それはカナさんのBLOGに「彼の芸名が、ブルーノ・サンマルチノに似ているから」と書いてあったからだ。(そこかよ)
・・・まあブルーノを聴いてるヤングにはサンマルチノなんて誰それ?という感じでしょうね。
人間発電所の異名で馬場と幾多の名勝負を繰り広げ、スタン・ハンセンが首を折ったことで出世のきっかけにもなったプロレスラーである。(←説明がウザい中高年)
そんなわけで動機はデタラメだけど、とりあえず若いヒトたちの話題に遅れまいと必死でかき集めたブルーノ・マーズの情報は以下です。

ブルーノ・マーズは世界中で1億3千万枚以上のレコードを売り上げ、史上最も売れたミュージシャンの一人。
8曲がビルボードホット100で1位を獲得し、グラミー賞15回(うち年間最優秀レコード賞が3回)、ブリット・アワード4回、アメリカン・ミュージック・アワード11回、ソウル・トレイン・アワード13回など、数々の栄冠を手にしている。

本名はピーター・ジーン・ヘルナンデス。
1985年10月8日ハワイ州ホノルルに生まれた。
父親はニューヨーク出身でプエルトリコ人と東欧系(ウクライナとハンガリー)ユダヤ人のハーフ、母親はフィリピン出身でフィリピン人とスペイン人の血を引く。
ピーター少年は幼少の頃、プロレスラーのブルーノ・サンマルチノに似ていることから父親からブルーノとあだ名を付けられ、これを後に芸名に採用。
ブラッシーとかフリッツ・フォン・エリックに似てたら芸名に使ったんだろうか。(うるさいよ)

芸歴は非常に長く、4歳で早くも映画に出演。
92年の二コラス・ケイジやサラ・ジェシカ・パーカー出演の「ハネムーン・イン・ヴェガス」で「リトル・エルヴィス」を演じている。
地元ハワイでは子役ブルーノ・ヘルナンデスとして、プレスリーやマイケル・ジャクソンのモノマネをしていた。
またジミ・ヘンドリックスに影響を受けてギターを弾くようになり、小学生の頃には家族のバンドで一晩に2回ステージに立ったり、雑誌の表紙に載ったりしていたそうだ。

2003年ロサンゼルスに住む姉に呼び寄せられて音楽活動をするためにロスに移住。
しかしヘルナンデスという名字はいかにもヒスパニックの人名ということで、最初に所属したレコード会社からは「スペイン語で歌え・ラテン音楽をやれ」と言われたそうだ。
ブルーノはラテン音楽をやるつもりはなく、レコード会社の指示も断ってしまった。
この時芸名をブルーノ・マーズに変えようと決心。

後のインタビューでは周囲の女性からその才能を「この世の人とは思えない」と高く評価され、じゃあいっそ火星からやって来たってことにしたろかと思ってマーズを名乗るようになった、と答えている。
しかし真の理由は、レコード会社や事務所がブルーノ・ヘルナンデスを名前だけでラテンの人と扱うステレオタイプな発想がイヤだった、ということでもあった。

ブルーノ・マーズの音楽活動は最初から順調だったわけではないようだ。
2004年にモータウン・レコードと契約を結んだが、1年足らずで解除されている。
今頃モータウンの担当者は上司からメチャクチャ怒られてるんじゃないだろうか・・・

しかしブルーノはその後もロサンゼルスに残り、2005年にレコードプロデューサーであるスティーブ・リンジーと出会う。
ブルーノはリンジーの元で5年ほど他のアーチストにヒット曲を書いてプロデュースする活動を続けた。
なのでブルーノ・マーズのロサンゼルスでの音楽活動は、歌手ではなく裏方から始まっているようだ。
やがてブルーノは音楽プロデューサーとして認められ、アレクサンドラ・バーク、アダム・レヴィーン(マルーン5のボーカル)、ブランディ、ショーン・キングストン、フロー・ライダーなどのために曲を書いた。

2009年にはイギリスの女性3人組シュガーベイブスのヒット曲「Get Sexy」を6人共同で書き、2010年のアルバム「Sweet 7」ではバックボーカルを担当した。
またアジア系ヒップホップユニットのファー・イースト・ムーブメントのアルバム「Animal」、ラッパーB.o.Bの「Nothin’ On You」にもシンガーとして参加。
この頃から歌手としての活躍が増えていくことになる。

ブルーノ・マーズのソロシンガーとしてのスタートは非常に華々しいものだった。
2010年にソロとしてのデビューアルバム「Doo-Wops & Hooligans」を発表。
全米3位を記録し、イギリスやカナダやオランダなどでは1位を獲得。
シングル「Just the Way You Are」「Grenade」は全米で4週連続1位となり、「The Lazy Song」も4位とヒットを連発した。
翌2011年のグラミー賞で、ブルーノ・マーズは「Just the Way You Are」でグラミー賞の最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞を初めて受賞した。
ちなみにその次の2012年のグラミー賞では、ノミネートされた6部門すべてをアデルに奪われている。

2012年末には2枚目のアルバム「Unorthodox Jukebox」をリリース。
制作前のインタビューでは「より音楽的に変化に富んだものになる」「今日はヒップホップ、R&B、ソウル、ロックのレコードを作りたいと言える自由と贅沢を手に入れたい」と宣言。
内容は宣言どおりバラエティに富んだ傑作となり、全米やオーストラリア、カナダ、イギリスでも1位にチャートインし、世界中で600万枚以上売れた。
さらにシングル「Locked out of Heaven」「When I Was Your Man(君がいたあの頃に)」「Treasure」も1位を獲得。
プレスリーを除けば、ブルーノ・マーズほど早く5枚のナンバーワンシングルを達成した男性アーティストはいないという記録を打ち立てた。

若きスターの快進撃は続く。(表現が昭和)
2014年2月に行われたスーパーボウルのハーフタイムショウで、ブルーノはレッド・ホット・チリ・ペッパーズをスペシャルゲストに迎え、ヘッドライナーとして歌と演奏を披露。
スーパーボウルのハーフタイムショウで30歳以下のパフォーマーがヘッドライナーを務めたの10年ぶりのことだったそうだ。
しかもハーフタイムショウの視聴率は、試合の視聴率よりも高かったらしい。

2014年のグラミー賞で、ブルーノ・マーズの「Unorthodox Jukebox」が最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞を受賞。
「Locked Out of Heaven」は年間レコード・ソング賞に、また「When I Was Your Man」は最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞にノミネートされた。

2014年11月10日、イギリスのミュージシャンでプロデューサーでもあるマーク・ロンソンとのコラボで「Uptown Funk」をリリースした。
この曲は全米では14週、全英で7週1位となり、またオーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどでも1位を記録。
トータルの売り上げは2000万枚を突破している。

2016年2月にコールドプレイがスーパーボウルのハーフタイム・ショウでヘッドライナーを務め、ゲスト・アクトとしてブルーノ・マーズとビヨンセが出演。
ブルーノは二度目のハーフタイム・ショウでの登場となった。

2016年11月に発売行されたアルバム「24K Magic」は、アメリカの他カナダやフランス、ニュージーランドで初登場2位となり、世界中で売り上げ500万枚を突破。
シングル「That's What I Like」と、ラッパーのカーディ・Bをフィーチャーした「Finesse」はビルボードのR&B/Hip-Hopで1位を獲得した。
2018年のグラミー賞では、「24K Magic」でアルバム・オブ・ザ・イヤーおよびベストR&Bアルバム、タイトル曲でレコード・オブ・ザ・イヤーなどノミネートされた6部門全て受賞。

最近のブルーノはコラボや映画など多方面で活躍。
2018年にシックのアルバム「It's About Time」に参加したり、昨年はラッパーのアンダーソン・パックとシルクソニックというバンド名でアルバム「An Evening with Silk Sonic」を発表している。
また2年前にはディズニーと提携して自身が主演・製作・楽曲提供を担当する長編映画を製作すると発表された。(まだ公開はされていないらしい)

以上がブルーノ・マーズ栄光の歴史絵巻である。
知ってた話は今回も全くない。
こんなにすごい人だったのね・・・
本国と日本では人気や知名度に大幅な乖離がある、というパターンではなく、日本でも人気が非常に高い人でした。(自分がよく知らないだけだった)
日本の芸能人にもブルーノのファンはたくさんおり、特に女性からの人気が高いようだ。
観月ありさや倖田來未、水樹奈々、日向坂46の佐々木久美と影山優佳などが、先日行われた日本公演の鑑賞報告をSNSなどで発信しているとのこと。

ブルーノ・マーズのヒット曲をいくつかYou Tubeで聴いてみたが、楽曲はバラエティに富んではいるが、どの曲も聴きやすい。
各ジャンルの先人が築いてきた王道なサウンドを比較的誠実に表現しているように感じた。
どういう音楽が売れるかをよくわかっている、という印象。
この人はたぶんメタルやプログレには当分手を出さない気がする。
(やってたらすいません)

というわけで、ブルーノ・マーズ。
公式スタジオ盤としては3枚なのでさっさと全部聴けよということでしょうけど、中でもこれが一番というアルバムがあれば教えていただけたらと思います。

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コメント

ブルーノ・マーズですが、私も全然聴いてません。理由は、イメージ的にマイケル・ジャクソンの二番煎じ的に見えていたので、あえて聴く必要はないかなと思っていたからです。

しかしです。

syunjiさんも記事で触れた、シルクソニックは買いました。

このアルバムは、二人の70年代ソウルミュージック愛が溢れていて、宝石箱のようなアルバムです。

マーヴィン・ゲイ
テディ・ペンダーグラス
カーティス・メイフィールド
パーラメント等々、色んなアーティストの美味しいところを上手く拝借して、彼らの色も出しながらひとつの作品に仕上げています。

また、アンダーソン・パークのヴォーカルがいい味を出していて、ブルーノ・マーズ色が控えめなのもgoodなポイントなんだと思います。

このアルバムはオススメですよ。

投稿: getsmart0086 | 2023.01.24 00:23

ゲッツさん、今年もよろしくお願いします。

>イメージ的にマイケル・ジャクソンの二番煎じ的に見えていたので、あえて聴く必要はないかなと思っていたからです。

あー・・そういう捉え方だったんですね。
自分はブルーノの見た目や歌声からはマイケル・ジャクソンは思い浮かびませんでしたが・・

>syunjiさんも記事で触れた、シルクソニックは買いました。

あ、そうだったんですね。
もちろん自分の記事はよそのサイトの引き写しなんで、シルクソニックがどれほどスゴイのか全然わかってませんが。

>このアルバムは、二人の70年代ソウルミュージック愛が溢れていて、宝石箱のようなアルバムです。

なるほど・・
カバーではないけど、70年代ソウルのいいところを取り込んで作ったオリジナルということでしょうか。
ゲッツさんならではの評価ですね。
自分が聴く場合はまず70年代ソウル学習から始めないとダメかもしれません・・

投稿: SYUNJI | 2023.01.24 21:11

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