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聴いてない 第278回 バックストリート・ボーイズ

我が国では、とある芸能事務所が一貫してアイドル男性グループを半世紀にわたり量産し続けるという不思議な文化があるが、欧米においてもいわゆるロックバンドとはやや異なるアイドルグループは存在する。
その男性アイドルグループの代表格として、以前ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックを採り上げたことがあるが、今日はもう1つの聴いてない団体、バックストリート・ボーイズについて書いてみます。

バックストリート・ボーイズ、聴いてる曲は「Everybody (Backstreet's Back)」と「I Want It That Way」だけ。
聴いてない度は盤石の3。
「Everybody」はMTVの音声をそのままテープに録音したので、ホラー映画仕立ての映像も含めてわりと印象に残っている。
「I Want It That Way」はどこで聴いたのかすら不明だが、彼らの代表曲でもあり世界中で大ヒットしたそうなので、日本でもテレビやラジオで相当流れていたのだろう。

この2曲とグループ名しか知らないので、てっきりメンバーもそれぞれ歳とって節々も痛くてすっかり太っちゃったりハゲ散らかしたりモメ事も勃発してやっぱりどこかで解散してすっかり過去の人たち・・・だと、さっきまで勝手に思っていた。

しかし。
人生で初めてバックストリート・ボーイズを調べてみて私は驚愕。
まず実績がものすごく(後述)、さらに今もグループは活動中で、2019年にもアルバムが全米1位を獲得するなど、現役そのもの。
知らなかった・・・
ファンの皆さまと事務所の方々に陳謝いたします。

あらためてバックストリート・ボーイズの栄光と信頼の軌跡をたどってみる。

ハワード・ドゥエイン・ドローとアレキサンダー・ジェームズ・マクリーンはフロリダ州オーランドの出身で、まずこの二人が出会い、その後オーディションを通じてニック・カーターが合流しトリオを結成した。

ケヴィン・スコット・リチャードソンとブライアン・トーマス・リトレルは、ケンタッキー州レキシントン出身のいとこ同士。
ケヴィンは90年にオーランドに移り住む。

1992年、ボーカルグループのオーディションを受けてハワード、アレキサンダー、ニック、ケヴィンの4人が合格。
その後ケヴィンの誘いでブライアンも加わり、93年4月20日にバックストリート・ボーイズが結成された。
グループ名はオーランドで開催されていた屋外フリーマーケット「Backstreet Market」にちなんで付けられた。

ただし、アメリカ出身なのに国内デビューは日本やヨーロッパよりも遅い。
グループはしばらく全米各地のテーマパークやショッピングモールや学校などで営業を行っていた。
95年9月に最初のシングル「We've Got It Goin' On」をリリース。
ヒットしたのはヨーロッパで、イギリスやスイスでは3位、ドイツで4位を記録した。
この実績により、デビュー当初のプロモーションは主にヨーロッパで行われることになる。
アルバム「Backstreet Boys」も日本や欧州各国では96年に発売されたが、アメリカでの発売は翌年になってからで、しかもセカンドアルバム「Backstreet's Back」とセットの2枚組という状態だった。
なおこの2枚組は全米4位を記録している。

96年の「Get Down (You're the One For Me)」はアメリカでもヒットし、10位まで上昇。
これでようやく本国でも認められるグループになり、97年には「Everybody (Backstreet's Back)」「All I Have to Give」を欧米でそれぞれヒットさせた。

グループ最大のヒットが99年のシングル「I Want It That Way」である。
イギリス・オーストリア・カナダ・ドイツ・オランダ・ニュージーランド・スイスで1位、オーストラリアとスウェーデンで2位というすさまじい売れ行き。(全米は6位)
アルバム「Millennium」も世界中で2400万枚以上を売り上げ、本国アメリカでも1300万枚を突破。
アメリカでは99年で最も売れたアルバムとなっている。
そうなの?知らなかった・・・

続く2000年の「Black & Blue」も全米1位に輝き、800万枚を売り上げた。
アルバムのプロモーションで世界各国を専用ジェット機でまわり、日本にも来たが公演はなく、すぐに次の目的地へ去って行った。

2001年にベスト盤「The Hits: Chapter One」をリリース。
この年の11月には待望の初来日公演が、東京・名古屋・大阪のドーム球場で開催され、計23万5千枚のチケットは即日完売という人気ぶりだった。
そうなの?知らなかった・・・

しかし。
頂点を極めていたこの期間、グループは良いことばかりではなかった。
98年には「プロデューサーのルー・パールマンとマネージャーのジョニーが勝手に10億円以上をネコババした」とメンバー側が訴え、1年ほどの法廷闘争の末に示談が成立している。
デビュー前からグループの面倒を見てきたルー・パールマンだが、あまり素行の良くない人物だったようで、後に詐欺罪で逮捕され懲役25年の判決を受け、2016年に獄死している。

2001年「Black & Blue」のツアー中、アレキサンダーはアルコール依存症とうつ病のリハビリに入ったため、1ヶ月ほどツアーが中断。
さらにツアー再開後の9月にクルーメンバーで大道具のダニー・リーが、同時多発テロでハイジャックされ世界貿易センターに衝突した飛行機に乗っていて死亡。
なおブライアンの妻リーアンも同じ便に乗る予定だったが、前日にキャンセルしている。

翌2002年頃からはグループ内に不協和音が発生し、マネジメント会社との関係も悪化。
グループは会社との関係をやめたいと主張したが、ニック・カーターはソロ活動のために会社に残ることを選ぶ。
こうしてニックと他のメンバーとの間にも意見の食い違いが起こり、ニックはソロ活動を開始。
他のメンバーはニック抜きで次のアルバムのレコーディングをし始めた。
しかし最終的にメンバーはニックに同調し、ソロアルバム「Now Or Never」の制作をサポートしたとのこと。
またアレキサンダーは再びアルコールや麻薬の依存症となり、グループは2年ほど停滞する。

2004年にグループは再始動。
9月には小規模なアジアツアーを開催。
北京、上海、東京、マニラを訪れ、東京では代々木競技場第一体育館で公演をおこなった。

1年以上のレコーディングを経て、アルバム「Never Gone」を2005年6月にリリース。
大幅なスタイルの変更は、ローリングストーン誌からは酷評されたが、アメリカでプラチナ認定を受け、チャートでも3位を記録。
4枚のシングルがリリースされ、「Just Want You to Know」は全英8位まで上昇した。
同年7月から「Never Gone」ツアーがスタート。
2006年正月には東京・名古屋・大阪でライブを行った。

しかしこの年の6月、ケヴィンが俳優など音楽以外の活動を行うため脱退。
残ったメンバーはケヴィンの後任加入の話を全て断り、ケヴィンがグループに戻るための扉を常に開けておくと声明を発表。

4人組となったバックストリート・ボーイズ。
だがケヴィン脱退は人気や実績には影響せず、2007年10月のアルバム「Unbreakable」は特に日本とカナダで好評を博し、日本のオリコンチャートでは1位、カナダのチャートで2位となる。(全米は7位)
日本での実績に気を良くしたグループは、翌年2月に東京ドームで2日間公演を行った。

事務所もグループも日本を優秀なマーケットとして認識するようになり、2009年にはアルバム「This Is Us」発売に合わせて来日。
ラゾーナ川崎でスペシャル・ライブを行い、新曲「Straight Through My Heart」「Bigger」に加え、大ヒット曲「I Want It That Way」「Everybody」も披露。
14000人が殺到するものすごいイベントとなった。
そうなの?知らなかった・・・
なお「Bigger」のプロモ・ビデオは東京で撮影されたそうです。
さらに翌年の日本公演は場所も回数も5都市10日間とぐっと増え、日本武道館でファイナルを迎えた。

2011年にはニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックとのコラボレーションアルバム「NKOTBSB」を発表し、欧米でツアーも開催。
この頃から脱退したケヴィンが時々ステージに姿を見せるようになる。
ファンの期待と憶測のとおり、2012年4月にはケヴィンが正式にグループに復帰する。

再び5人組となったグループは、2013年に新作「In a World Like This」をリリース。
日本で4位・カナダで2位と相変わらず好調な売れ行きを見せ、さらにオランダでは1位、ドイツでも3位を記録。
日本公演も過去最大の7都市で11日間行われている。

2018年に5年ぶりの新曲「Don't Go Breaking My Heart」「Chances」を発表。
翌年これまた5年ぶりのアルバム「DNA」が全米1位を記録し、衰えぬ人気ぶりを証明した。
今年はコロナの影響で年末に予定していたクリスマスアルバム発売を延期し、ラスベガスの特別公演も中止となったが、現在もグループは活動中である。

・・・今回もことごとく知らない話ばかりであった。
そもそも全て初めて知る話なのでいちいち驚いて当然ではあるが、ここまで人気と実績が継続しているグループだとは知らなかった。
実は一番驚いたのが「ラゾーナ川崎に14000人集めた」という話。
あそこは純粋なコンサート会場ではなく、ショッピングモールである。
敷地の中央に広場のような屋外スペースがあり、アイドルのミニコンサートみたいな催しが時々行われてるけど、まさかあそこでバックストリート・ボーイズも歌って帰ったとは・・

バックストリート・ボーイズが人気と実績を継続できているのは、歌唱力を売りにしてきたことが大きいようだ。
事務所やレコード会社の戦略でもあったとは思うが、結成当初から楽器を手にした野郎バンドではなく、一貫して歌えるボーカルグループであり続けている。
これは彼らを発掘したルー・パールマンの功績でもあるが、目指していたのは「ボーイズ・II・メンのように歌えて、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのように華やかなグループ」だったそうで、アカペラを多用したり、R&Bを基盤としたサウンドを採り入れてきたとのこと。

また同じくオーランドで結成されたボーイズグループのイン・シンクとの対立構造も、実はパールマン氏の戦略だそうだ。
二つのグループの本人たちは、それほど互いを悪くは思っていなかったらしい。
似たようなグループ同士を対立させて話題を作ったり人気をあおったりするのは割と古典的な手法で、ビートルズvsストーンズ以来、カルチャー・クラブvsデュラン・デュランオアシスvsブラーニルヴァーナvsパール・ジャムなど様々な組み合わせが作られている。
対立構造のほとんどは演出だったり周囲が勝手にけしかけたもので、当人同士は実は結構仲が良かったりすることも多い(オアシスとブラーはガチの不仲だったそうですけど)。
勝負の行方としては、実績ではバックス側の圧倒的勝利に終わり、イン・シンクはジャスティン・ティンバーレイクというスターを生み出したものの、2002年に解散している。

日本では最近男性アイドルグループの解散や活動休止が相次いでいるが、どこの国でもアイドルとして長年活動していくのは簡単ではないだろう。
美少年も歳を重ねればどうしたっておっさんになるのだ。
中高年が集まって「なんとかボーイズ」を名乗り続けるのも厳しいはずである。
そういう意味ではバックストリート・ボーイズは希有な存在と言えるかもしれない。

というわけで、バックストリート・ボーイズ。
今さらおっさんが夢中になってどうする的なグループではありますが、聴いてる「Everybody」と「I Want It That Way」は嫌いではありません。
なのでもし聴くとしたらやはり世界中で売れた「Millennium」からでしょうね。
他におすすめのアルバムがあれば教えていただけたらと思います。

 

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コメント

I Want It That WayはTV東京の周富徳が出てた番組か、その後の番組のエンディングで流れていたような気がします。あくまで気がするだけです。

ボーカリストに踊りの一団が寄生するのではなく、歌を聞かせるのが斬新なスタイルだったのか、あおい輝彦&ジャニーズに戻ったのか。数年前トランプのそっくりさんがI Want It That Way~Everybodyを歌っているのを海外番組動画で見て思いました。

投稿: nr | 2021.11.14 07:57

nrさん、コメントありがとうございます。

>I Want It That WayはTV東京の周富徳が出てた番組か、その後の番組のエンディングで流れていたような気がします。

これは知りませんでした。
調べたら「I Want It That Way」は日本のバラエティ番組「スキヤキ!!ロンドンブーツ大作戦」や深津絵里主演のドラマ「彼女たちの時代」でもエンディング曲として使われたようですね。

>ボーカリストに踊りの一団が寄生するのではなく、歌を聞かせるのが斬新なスタイルだったのか

あまり斬新と感じたことはないですが、似たようなスタイルのグループもそれほど多くなさそうですね。
歌唱力で人気と実績を維持できているのはすごいと思います。

投稿: SYUNJI | 2021.11.14 17:58

SYUNJIさん、こんばんは。
おお、あの「BTS」を記事にされましたか! 「聴いていない」では
ありますが、世界的人気のダンスグループを取り上げるとはとっても
意欲的です!
・・・・・・と思ったら、「BTS」ではなくて「BSB」でしたね。失礼
しました~。

そのBSBですが、名前は知っていましたが1曲も知りません。確か
15年くらい前に、女性同僚が大阪ドーム公演を観に行っていました。この
人たちは洋楽を全く聞かず、そういう人が見に行くぐらいの相当な
人気なのだとは思っておりました。
紹介していただいた「I Want It That Way」をユーチューブで見ました。
ハウス系やユーロビート系の派手なサウンドと口パク丸出しを想像
していましたが、全然違いますね。歌唱を重視していることがわかります。
おそらく、アメリカでは日本のアイドルグループのように「タレント性」
や「キャラ」ではなく、歌やダンスの実力が重視されるのでしょう。

投稿: モンスリー | 2021.11.14 20:57

モンスリーさん、こんばんは。
BTSはBSB以上によく知りませんが・・

>15年くらい前に、女性同僚が大阪ドーム公演を観に行っていました。
>この人たちは洋楽を全く聞かず、そういう人が見に行くぐらいの相当な人気なのだとは思っておりました。

大阪ドーム、調べたら2006年ですね。
この年は東京もドーム開催だったようです。
すごい人気だったんですね・・

>おそらく、アメリカでは日本のアイドルグループのように「タレント性」や「キャラ」ではなく、歌やダンスの実力が重視されるのでしょう。

BSBは確かに歌唱力を売りにしてきたグループのようです。
アメリカ芸能界の状況はよくわかりませんけど、まあ歌手なら本来は歌唱力重視が当然だとは思います。
日本のアイドルはダンスは必修だけど歌は?という人たちが多く、お料理や農作業や文学など歌と踊り以外で才能を発揮してるので、文化としては少し変わってるんじゃないですかね。
歌番組よりバラエティに出てるアイドルのほうがはるかに見応えがあって面白いんで、今のままで全然いいですけど・・

投稿: SYUNJI | 2021.11.15 21:47

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