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聴いてみた 第165回 ハロウィン

中高年メタル緊急事態再履修シリーズ、今回はハロウィンの「Keeper Of The Seven Keys Part 1(守護神伝 第一章)」を聴いてみました。
CDは昨年渋谷レコファンが閉店する直前に買っておいたのだが、特にハロウィンについて主体的に購入しに行ったわけでもなく、閉店直前でザワつく店内で、目の前にあったから手に取っただけ。(失礼)
入院やボウイ学習やウィングス鑑賞のためすっかり放置しており、半年以上経ってようやく聴くことになった。

Keeper-of-the-seven-keys-part-1

「守護神伝 第一章」は87年5月にリリースされた、ハロウィン2枚目のアルバム。
メンバーは以下のみなさんである。
 マイケル・キスク(Vo)
 カイ・ハンセン(G、Vo)
 マーカス・グロスコフ(B)
 マイケル・ヴァイカート(G)
 インゴ・シュヴィヒテンバーグ(D)

アルバム最大のポイントは新ボーカリストとしてマイケル・キスクが登場したことだ。
前作ではカイ・ハンセンが曲作って歌って弾いてというえらくカイ一人に負荷のかかる作業配分だったが、カイ本人も自身のボーカルがあんましうまいとも思っていなかったらしく、ああしんどいもう誰かに歌わせたろとボーカリスト探しを始めたところに、当時18歳の若きマイケル・キスクが加入。
キスクがこれまたメタルのボーカルとして最適なハイトーンボイスの持ち主で、バンドのパワーバランスとクオリティは劇的に向上し、完成したのが「守護神伝 第一章」である。

当初は2枚組アルバムとしてリリースする予定だったが、レコード会社の指示で1枚ずつリリースすることになったそうだ。
なので第一章と第二章を両方聴かないと正しい鑑賞とは言えないらしい。
でも買ってきたのは第一章だけなので、とりあえず第一章で入門することにした。
ハロウィンのアルバムを聴くのが初めてなので、カイ・ハンセンとマイケル・キスクのボーカルを比較することもできないが、入門編としては申し分ないだろう。

・・・・・聴いてみた。

1.Initiation
オープニングはどこかELPを思わせる重く壮大なインスト。

2.I'm Alive
1曲目からそのまま疾走感あふれるロックに突入。
いわゆるメロスピの基本王道路線であり、キャッチーで聴きやすいが、行き急ぐギターやドラムがやややりすぎ感もある。

3.A Little Time
重厚なリズムとギターサウンドを重ねた楽曲。
中盤部分の構成はツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」を思わせる。

4.Twilight of the Gods
カイ・ハンセンの作品だが、歌うのはキスク。
速度は他の曲と同様に急いでいるが、メロディや曲調は意外に明るく、どこかコミカルでSFアニメのテーマソングのような雰囲気。
ヤケクソなギターソロが割といい感じだし、コーラスやエコーなどのアレンジが壮大なイメージを作り上げている。

5.A Tale That Wasn't Right
一転哀愁に満ちたバラード。
ギターのマイケル・ヴァイカートの作品。
サビではマイケル・キスクが高音で叫びつつ歌う。

6.Future World
これも保守本流なメタルの構成とサウンド。
シングルカットされた曲で、ライブでもよく歌われ、終盤は観客とともに大合唱となるそうだ。

7.Halloween
13分間に及ぶ長大な曲。
バンド名「Helloween」と同じタイトルだ・・と思ったら、曲のほうはハロウィンの正しいスペルだった。
中盤までは通常のメタルサウンド。
やがて左右のギターソロかき鳴らしが加わり、アコギを響かせて鎮めた後、再びギターソロの応酬、ボーカルに対してワイルドな合いの手など、このあたりは結構複雑な構成。
ただ基盤となるのはやはり速度超過気味のメタリックな金属加工進行である。
長さを感じさせない・・という評価が多いが、やはり初心者にはやや長い。
エンディングは唐突に切れる。

8.Follow the Sign
ラストは奥行きのあるサウンドに、重い響きをひっかけたギターが乗る短い曲。
ささやくような声は入っているが、ほぼインストである。

聴き終えた。

率直な感想として、やはりマイケル・キスクのボーカルに安定感があると感じる。
聴いていて考え込むような感覚は全くなく、個人的にはデイヴ・ムステインジェームズ・ヘットフィールドよりは好きな声だ。
この喜助ボーカルと、楽曲と演奏のバランスがとれていて聴きやすい。
「守護神伝」は第二章を高く評価する人が多いようだが、同じ頃に作られた路線であれば、おそらく第二章もさほど抵抗なく聴ける気がする。

「守護神伝」が作られた時期をバンドの黄金期と呼ぶそうだ。
カイ・ハンセンとマイケル・ヴァイカートのツインリードに、超絶高音ボーカルのマイケル・キスク。
この3人が創作と演奏の主軸であり、三頭体制とも呼ばれる・・などと以前の記事で勝手に書いてたけど、ハロウィンの場合あまりそういう言われ方はしてないみたいです。
すいません・・・

しかし、バンドとしては第二章をめでたく発表した後、カイ・ハンセン脱退、レーベル変更や裁判沙汰、キスクとインゴ・シュヴィヒテンバーグの脱退・・と絵に描いたようなトラブル続きで内紛崩壊していく。
それが作品にどう影響したかは聴いてみないとわからないが、ハロウィン鑑賞においてはバンド黄金期の「守護神伝」はやはり必修科目であることは間違いなさそうだ。

というわけで、ハロウィン「守護神伝 第一章」。
これは良かったです。
このトシで今さらメタル聴き始めてどうするつもりやというお叱りはあろうかと思いますが、せっかくなので第二章も聴いてみようと思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。
ハロウィン、確かメタル系ですね。ジャケットのおどろおどろしさ
がいかにもメタルな感じです。

タイトルに「第一章」とあるあたりと、

>>オープニングはどこかELPを思わせる重く壮大なインスト。
>>13分間に及ぶ長大な曲。

で、「これはプログレハードか!?」と思いましたが、

>>行き急ぐギターやドラムがやややりすぎ感もある。
>>サビではマイケル・キスクが高音で叫びつつ歌う。
>>速度超過気味のメタリックな金属加工進行

これは私には難しそうです。
ついでに「メロスピ」って何かなと思って調べましたら
「メロディックスピードメタル」で、代表格がハロウィンのようですね。

>>せっかくなので第二章も聴いてみようと思います

LP片面1曲20分展開を期待しています(^^;;;

投稿: モンスリー | 2021.08.09 17:09

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>ジャケットのおどろおどろしさがいかにもメタルな感じです。

そうですね、ジャケットは確かにメタル系の想定内なアートだと思います。
何を表しているのかはよくわかりませんが・・

>これは私には難しそうです。

うーん・・どうでしょうね?
好みの問題なんでなんとも言えませんが、感覚としてはメタルではあるけど攻撃的・暴力的なイメージはあまりないです。
もっと繊細で緻密な感じですね。

>LP片面1曲20分展開を期待しています(^^;;;

逆にそれだと自分には難しそうです。(笑)
調べたら第二章ラストの「Keeper of the Seven Keys」という曲は14分弱ありますね。
ハロウィンがプログレとはどこにも書いてませんけど、モンスリーさんにはむしろ合うのではないかという気もしてきました。

投稿: SYUNJI | 2021.08.11 17:48

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