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聴いてみた 第156回 ELO

16年半も珍奇BLOGを続けていながら、聴いてて当然の名盤を未だに聴いてないという緊急事態が一向に解除できないSYUNJIといいます。
70年代名盤回帰シリーズ(遅い)、今回は信頼と実績の大英帝国名門バンド、エレクトリック・ライト・オーケストラの「Discovery」を聴いてみました。

「Discovery」は1979年の作品で、ELOとしては8枚目のアルバム。
全英1位・全米5位を記録し、さらに21の国でプラチナムやゴールドディスクを獲得というやたら輝かしき名盤である。
シングル5曲も本国イギリスではいずれもトップ10入りしており、簡単に言うとELOの代表作だ。
本当は全曲シングルカットする予定で、PVも全曲用意していたという意欲と自信に満ちた作品。
先日紹介したフェイセズ「Ooh La La」、ブロンディ「Parallel Lines(恋の平行線)」とともに渋谷のレコファンで購入。

Discovery

当時のメンバーは以下のみなさんである。
・ジェフ・リン
・ベヴ・ベヴァン
・ケリー・グロウカット
・リチャード・タンディ

全曲ジェフ・リンが作詞作曲。
タイトル「Discovery」は直訳すると「発見」だが、実は「Very Disco」を入れ替えたもので、当時流行のディスコサウンドを彼らなりに皮肉も込めて表現した・・という説があるそうだ。
本気でディスコブームに乗っかったわけではないにせよ、こうした売れ線意識丸出しの姿勢については、一部のプログレマニアからは厳しい評価を受けているとのこと。
まあそうかもしれない。
ジャーニーもボストンもそうだが、高い技術力や創造性を持ちながら、それをプログレ志向に振り向けていかない産業ロックバンドは、やっぱりプログレ好きのみなさんからは評判悪いんでしょうね。
でもそんなインダストリーなサウンドはおおむね自分の耳にはマッチすることが多いので、多少ディスコが混じろうが不安はほとんどない。
知ってる曲も半分くらいあるので、慢心増長の想い(なんだそれ)で聴くことにした。

・・・・・聴いてみた。

1.Shine A Little Love
これはベスト盤で聴いていたが、オリジナルはイントロが長い気がする。
タイトルのとおりキラキラとロマン輝くELOお得意のサウンド、ノリのいいリズム。
星屑を振り撒きながら通り過ぎる馬車のようなイメージ。
1曲目から期待感満載である。

2.Confusion
中学生の時に初めてエアチェックしたELOの曲がこれ。
リズムは比較的ゆったりだが、じゃららんと鳴るギター、どんどん!という象徴的なドラム、奥行きあるエコーサウンドやエレクトリックなアレンジは、何度聴いても飽きない。

3.Need Her Love
初めて聴く曲。
後の「Don't Walk Away」にも通じるバラード。

4.The Diary Of Horace Wimp(ホレスの日記)
これもベスト盤で聴いていた。
ホレスというモテない若者が一週間で天の声を聞いて恋して誘って告白して結婚するという物語を曜日ごとに分けて歌う。
歌詞に土曜だけ出てこないのは、英国男子にとって土曜日はサッカー見る日だからだそうだ。
途中からずんずんとリズムが強くなり、電気的にゆがめたバックコーラスやストリングスも効果的だ。
前の曲もそうだが、ポール・マッカートニーの香りが漂うという評価は同感である。

5.Last Train To London(ロンドン行き最終列車)
これもベスト盤にあって聴いてはいたが、特にリズムギターなどやや70年代ディスコっぽい音がするので、他の曲よりも相対評価は少し下がる感じ。
決して悪くはないが・・

6.Midnight Blue
3曲目の「Need Her Love」と同系統のバラード。
アレンジはそれほど強くなく、正統派のクラシカルな音造り。
基盤にビートルズがあるのはELOの特徴だが、個人的にはこの曲はジョン・レノンの色が濃いような気がする。

7.On The Run
テンポアップした楽しい曲。
この曲はエレクトリックなアレンジがふんだんにあり、コーラスワークも美しく整えている。
エンディングでスピードを落としているところはやはりビートルズの影響かな?

8.Wishing
この曲も初めて聴いた。
特に尖ったところもなく、イメージどおりのELOサウンドが続く。
間奏で電子オルガンなどでなくピアノを入れているのが特徴と言えるかも。

9.Don't Bring Me Down
ラストもおなじみ、どんどんばすばすドラムが響くELOの教科書サウンド。
シングルとしてはこの曲が一番売れて全米4位・全英3位を記録している。
メロディは決して楽しくはないんだが、つい体が揺れてしまうような楽曲。
エンディングはぶつっと終わるが、最後にわずかにカチャッというノイズが聞こえる(ような気がする)。

聴き終えた。
いやー楽しいね。
やっぱELOいいね!
軽いけど、そんな感想がまずある。
考え込むような音楽じゃないので、聴いていてラクだ。
聴いていた曲はもちろん、初めて聴く曲にも拒絶感や苦手意識は一切感じない。
聴く前の余裕と聴いた後の感動が整合する、聴いてみたシリーズでは割と珍しいパターン。

慣れてるつもりのELOサウンドだが、「Discovery」までは自分が聴いてきた80年代作品とは少し違い、ストリングスをより多用してるそうだ。
言われてみればそうかなくらいの認識でしかなかったが、聴いていて心地よい音なのはこの点にも要因がありそうだ。
ただし「Discovery」はむしろシンセサイザー使用によって前作「Out Of The Blue」よりもストリングスの比重は減っているとのこと。

どこのサイトにも書いてあり共感しかない「基盤がクラシックとビートルズ、味付けはシンセサイザー」だが、全くその通りだと思う。
ジェフ・リンはビートルズを基盤にこういうどんどんばすばすなサウンドでELOを作ってきたけど、その功績がポールやジョージに評価されて、再結成ビートルズやソロ作品にちゃんと還元されていってるってのは面白い話だ。
ジェフ・リンも音楽家冥利に尽きるというか、さぞかし嬉しかっただろうね。

断言できるが、発売当時にきちんと聴いていたら、間違いなくヘビーローテーション盤として定着していただろう。
遠ざける理由は何もない。
90分テープに録音して旅先にも持っていったはずである。
もっと早く聴いておけばよかった・・というこのBLOGでの決まり文句は、まさにこのアルバムのためにあるような言葉。

ジャケットはアラビアン・ナイトをモチーフにしたとされており、映画のポスターのようなアートである。
ELOのアルバムジャケットは芸術性が高いものが多く、メンバーのダサい集合写真などは使っていない。
このジャケットも壁にかけて飾っておける絵だと思う。

というわけで、「Discovery」。
発売後40年(!)以上経って聴いてる時点でもはや救いようはないが、死ぬ前に聴けてよかったと思います。(大げさ)
このバンドに対するマイナス感覚は全くないことを再確認できましたので、引き続き他の未聴盤も聴いていこうと決心した次第です。

 

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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。
私は有名プログレが好きですが、ボストンやスティックスなど
産業も大好きです(笑)

さて前回のとき、私の書き方がとても乱暴でした。たとえば「トワイライト」
ですが、この曲がものすごく好きで、それで「トワイライトがあれば
ELOは十分だ!」と思っていたのです。これが足かせになって、
他の曲、アルバムをきちんと聞くことができなくなりました。
今回紹介された「ディスカバリー」も、私はめちゃくちゃ書きました。
いろいろ反省しています。

で、改めて1週間ほど聞き直しました。
前回「ディスコ曲が今ひとつ」などと偉そうなことを書きましたが、
改めて聴くとディスコ曲の方が好きです。1曲目はトワイライト
みたいですし。「フゥーッ!」という合いの手もノリノリです。
ギターのリフもかっこいい~。といいますか、やっぱりELO
の1曲目はつかみたっぷりでずるいですな(笑)
「ロンドン行き最終列車」もクラビネットやらベースがソウルフル。
サビのファルセットがまたノリノリ。
「On The Run」もコーラスは楽しいし、エレポップな感じがいいです。
最後の「Don't Bring Me Down」が一番渋い路線でしょうか。とても
気に入りましたが、なるほどシングル曲でしたか。

それからSYUNJIさんの記事を拝見して、ビートルズ風というのも
理解できました。特に「ホレスの日記」です。

今回聞き直して「ELOはアップテンポの曲なら行けるぞ」と
思いました。しかし、「Shine A Little Love」や「トワイライト」
のような曲ばかりを集めたマイベスト盤を作ると、きっと飽きそうです。
ELOとの今後の接し方に課題を残しました(大げさ)。

投稿: モンスリー | 2020.05.24 15:08

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>この曲がものすごく好きで、それで「トワイライトがあればELOは十分だ!」と思っていたのです。
>これが足かせになって、他の曲、アルバムをきちんと聞くことができなくなりました。

あーなるほど、そういう意味だったんですね。
あの曲は苦手なんだ・・と、すっかり勘違いしてました。
でも「足かせになって他の曲やアルバムを聴かない」という状態もわかります。
そういうことなら、アルバム「Time」はおすすめです。

>前回「ディスコ曲が今ひとつ」などと偉そうなことを書きましたが、改めて聴くとディスコ曲の方が好きです。

ディスコ調ですけど、そこはELOの枠を堅持しつつ微妙にズラしてる感じですね。
やっぱジェフ・リンはどういう音だったら売れるかよくわかってますよね。

>やっぱりELOの1曲目はつかみたっぷりでずるいですな(笑)

確かにその通りです。
このアルバムも、「Time」「Secret Messages」も自慢の曲を先頭に持ってきてますね。

>今回聞き直して「ELOはアップテンポの曲なら行けるぞ」と思いました。

そうですね、ノリのいい曲ならはずさないのがELOだと思います。
でもこのアルバムは「Need Her Love」「Midnight Blue」などバラードもいいと感じました。
取り急ぎ「Out of the Blue」「オーロラの救世主」は聴いてみようと思います。

投稿: SYUNJI | 2020.05.25 21:33

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