« 聴いてない 第257回 パブロ・クルーズ | トップページ | 聴いてみた 第154回 フェイセズ その3 »

聴いてない 第258回 ELO(70年代)

80年代に活躍したバンドの中で、70年代の作品をさかのぼることなく過ごしたパターンとして、これまでにスティクスハートなどを採り上げてきたが、もうひとつ大事な存在を忘れていた。
ご存じエレクトリック・ライト・オーケストラだ。

ELOの80年代作品は以下を聴いている。
・Xanadu(80年)
・Time(81年)
・Secret Messages(83年)

「Time」と「Secret Messages」は今もよく聴いており、好きな曲ばかりの名盤である。
だったら70年代の作品にもトライしてよさそうなもんだが、なぜかそうはならなかった。
「Out of the Blue」や「Discovery」が貸しレコード屋に並んでいるのを見た記憶はあるが、おそらく持ち合わせがなかったとかつまらない理由で借りなかったものと思われる。

この中途半端な鑑賞で危機感がないことが、学習の大きな障害となった。
この現象は前述のスティクスやハートやブロンディなどにも同様に起きていて、余命いくばくもない今頃になってあわてて聴き始めている状況である。
さらにELOについては数年前に「Light Years」という2枚組ベスト盤を買ってしまい、これまた名曲揃いですっかり満足。
結局未だに70年代のアルバムは全く聴いてないという壊滅的な状態。

聴いてない感覚は希薄なのだが、振り返ると知識も教養も希薄だ。
ジェフ・リンのワンマンバンドであることはよく知っているが、他のメンバーは顔も名前も知らない。
70年代を聴いてないと書いたが、90年代以降も聴いてないのは同じである。
そこで生まれて初めて能動的にELOを検索して調べてみたのだが、その歴史は想像以上に複雑だった。

ELOの源流は「ザ・ムーブ」という名のバンドで、1970年には「エレクトリック・ライト・オーケストラ」の名を併用して活動。
・・・併用ってどういうこと?
スタートから不思議な展開だが、理由や経理処理は不明。
またその併用期間で人事異動も多少あったらしく、草創期の人数が3人なのか4人なのかもよくわからない。
とりあえずELOとして発進した時のメンバーはロイ・ウッド、ジェフ・リン、ベヴ・ベヴァン。
ベースのリック・プライスを加えた4人がELOとしての始まりとしてるサイトもある。
この後もいろいろなミュージシャンが出入りしてるらしいが、どこまでが正式なメンバーになるのかがどうもわかりにくいのもELOの特徴のようだ。

1971年にバンド名アルバム「Electric Light Orchestra」を発表。
ザ・ムーブとの併用は72年にはもうやめており、バンドはELO一本でやっていくことを決意。
2枚目のアルバム「ELO II」の制作中にロイ・ウッドは脱退。
このあたりからジェフ・リンのワンマン経営が始まる。

74年のアルバム「Eldorado」は全米16位を記録し、ゴールドディスクに輝く。
翌年「Face The Music」で初めて全米アルバムチャートのトップ10入りを果たす。(最高8位)
さらに76年「A New World Record(オーロラの救世主)」は全英6位・全米5位、77年には2枚組アルバム「Out of the Blue」で全英・全米とも4位を記録し、トップ10の常連となった。

78年に初の日本公演が行われた。
ただし意外なことに現時点では日本ではこの時しかライブをやっていない。
79年「Discovery」が初の全英1位となり、バンドとしても頂点を極める。
それまではアルバムチャート順位は本国イギリスよりアメリカのほうが毎回上だったが、この「Discovery」からは逆転する。
乱暴に言うと70年代はアメリカでのほうが売れており、80年代はイギリスでの成績のほうがよかった、ということになる。

80年に映画「ザナドゥ」のサントラ盤を発表。
オリビア・ニュートンジョン主演の映画だが、自分は例によって映画を見ておらずレコードだけ聴いている。
A面がELOサイド、B面がオリビアサイドだったが、オリビアの曲はいまいち好みに合わずA面ばかり聴いていた。
調べて初めて知ったが、ELOとオリビアのどっちがA面なのかは国によって異なるそうだ。
映画の興行成績は知らないけど、サントラ盤は全英2位・全米4位を記録したので、この企画はELOとしても大成功だった、ということになる。

勢いに乗ったバンドは81年アルバム「Time」をリリース。
ウィキペデイアには書いてなかったが、日本盤の副題は確か「時へのパスポート」だったと思う。
これもあっさりと全英1位を獲得。(全米は16位)
このアルバムには後に日本でテレビドラマ「電車男」のテーマ曲に使われた「Twilight」が収録されている。

名実ともにビッグなバンドとなり、てっきりうまいこと行ってるもんだと当時は思ってたが、実はこの頃から事務所とバンドの関係がこじれ始めるというどこかの国のお笑い芸人みたいな事態が発生していたそうだ。
83年にアルバム「Secret Messages」が出てきちんと全英4位の成績を収めるが、事務所とモメたせいか新作発表後の全米ツアーも行われることはなかった。
86年「Balance Of Power」が出たことは知っていたが、これは聴いていない。

その後ELOがどうなったのかはよく知らなかったのだが、ジェフ・リンは様々なモメ事に嫌気がさし、バンド活動を停止してしまったとのこと。
なんかジェフ抜きのELOができたとか名前でモメたとかうっすら聞いたような気がしたけど、そういうことだったのか・・

ここからの展開もやはり複雑なようだが、とりあえずベヴ・ベヴァンがELOとして活動継続を望んだものの、ジェフ・リンが拒否。
じゃあお前抜きでもELOやるからなとベヴがジェフに言ったら、ジェフはそれも拒否。
ジェフにしてみれば「オレ様がいないのにELOを名乗るのは許さない」ってことかな。
まあ実態は確かにジェフ・リン・バンドではあるけど、拒否ばっかでジェフの駄々コネという感じもするなぁ。
ベヴは仕方なく「ELO Part2」という偽物っぽい名前で活動開始。

ここで登場するのがジョン・ペイン。
後にエイジアに参加してボーカル務めたあの人です。
でも調べてみたらジョン・ペインはELO Part2としての実績はほとんどないようだ。
「元ELO」って紹介してるサイトもあったのに・・

整理するとベヴはジョン・ペインに歌わせるつもりで曲作りを始めたが、バンド名の話でジェフ・リンともめて、なんとかPart2で折り合いがついたものの、今度はプロデューサーになるはずのジム・スタインマンともめて、ジョン・ペインはそれがイヤでELO2の正式加入前に脱退・・・というロックバンドあるあるなプロレスっぽい展開だそうです。
誰が悪いのか知らないけど、ジェフがいないとやはりまとまらない人たちみたいスね。
ベヴ・ベヴァンも苦労しながらELO Part2としてライブ盤を含むアルバム3枚を発表している。
残念ながらチャートインしたことはなかったようだが・・

全然売れなかったので、ベヴ・ベヴァンは力尽きて2000年にELO Part2は解散。
しかし話はこれで終わらず、ベヴ以外のPart2メンバーのミック・カミンスキー、ルイス・クラーク、エリック・トロイヤーといった人たちが、エレクトリックもライトも取り外した「The Orchestra」という大ざっぱな名前でバンド活動を継続。
2001年にアルバム「No Rewind」をリリース。
2008年にはライブ盤「The Orchestra Live」、翌2009年にはコンピ盤「Anthology 20Years and Counting...」を発表し、ELOの曲中心にライブ活動を続ける。

力尽きたはずのベヴ・ベヴァンは一度は芸能界を引退したのに、2004年には「ベヴ・ベヴァンズ・ザ・ムーブ」というバンドを旗揚げ。
こちらは「The Orchestra」とは対照的に、ELOの曲もPart2の曲も一切演奏しないという意地のポリシーを持って活動していたとのこと。

一方ジェフ・リンはバンドが割れた80年代後半から90年代は何をしてたかというと、ビッグネームとの共演やプロデュース業に力を注いでいた。
ジョージ・ハリスンやトム・ペティ、ロイ・オービソンといったアーチストのプロデュースで大いに盛り上がり、とうとうボブ・ディランも加わって覆面バンドのトラベリング・ウィルベリーズを結成。
ビートルズのアンソロジーでも共同プロデューサーとしてがっちり爪跡を残している。
まとまりのないメンバーでイヤイヤELOやるよりも、大スターを支えるプロデューザー業のほうが圧倒的に楽しかったのだろう。

なおアンソロジーの際にポール・マッカートニーはジェフ・リンの参加に最初は難色を示していたが、ジョージの説得に押し切られたらしい。
ポールほどの大作曲家でさえ「あいつにやらせたら全部持っていかれる」と思うほどジェフの才能に恐れを抱いていた、ということだろうか。
後にポールもジェフの才能を受け入れ、97年発表の自身のアルバム「Flaming Pie」には共同プロデューサーとして採用している。

21世紀もいちおうELOは続いている。
2000年にELO結成30周年記念ボックスセット制作のため、久々に昔のメンバーとジェフが再会し、ジェフはELOとしての活動再開に意欲を見せ始める。
2001年にはELO(実態はジェフのソロプロジェクト)としてアルバム「Zoom」をリリース。
しかしその後しばらくELOは停滞。
10年以上経過した後、コンピ盤やライブ盤が散発的に発表され、2014年からようやく「ジェフ・リンズELO」として活動再開。
2015年にアルバム「Alone In The Universe」、2019年には「From Out Of Nowhere」を発表する。
やはり実態はジェフのソロプロジェクトだが、キーボード奏者のリチャード・タンディが、アルバム制作やライブでサポート参加しているそうだ。

ということでずいぶんと長く引き写してしまったが、90年代以降の経緯については、やはりほとんど知らない話ばかりだった。
ジェフのソロプロジェクトではあるが、ELOとして活動が再開され昨年アルバムも出たというのも今回調べてみて初めて知った。
まあモメ事が多かったのは予想通りだったが、やめたリーダーがバンド名を巡ってメンバーとモメるってのは、スティクスでも聞いた話だったような気がする。

説明不能な矛盾話だけど、聴いている範囲でのELOの音楽は非常に好みに合致している。
クラシック基調の壮大なメロディ、エレクトリックなアレンジ、緻密なコーラス、ばすんばすん鳴る印象的なドラム、どれを取っても魅力満載の楽曲とサウンド。
基盤にはビートルズとオーケストラがあることも丸わかりで、この音が苦手な人ってあんましいないんじゃないかとも思う。
なのでなぜ70年代作品にさかのぼることをしなかったのか、今もよくわからない。

ELO学習としては、時間とお金があれば当然ファーストから順に鑑賞するのが正しい教職課程ではあるが、その中でも実績から見てもはずせないのは「オーロラの救世主」「Out of the Blue」「Discovery」の三部作でしょうね。
いずれもベスト盤で聴いてる曲がそれぞれ収録されているし、そもそもELOやジェフ・リンのサウンドに抵抗感は一切ないので、おそらくは関東最大級の余裕な鑑賞となるはずである。(さっさと聴けよ)
むしろ黎明期の作品にこそバンドの真の魅力ありと分析されるファンの方もおられると思いますが、70年代作品で一押しはコレ!というのを教えていただければ幸いです。

 

|

« 聴いてない 第257回 パブロ・クルーズ | トップページ | 聴いてみた 第154回 フェイセズ その3 »

コメント

SYUNJIさんこんにちは。

ELOって結構有名なバンドなのですが未聴です。
中学生だった83年当時、YMOが流行っていてテクノとかが「カッコイイ!!」っていう風潮の中で秀才の学級委員(女子)が
「YMOっていう名前はELOのパクリじゃん!!」って怒っていました(笑)よっぽどのファンだったらしいです。

投稿: bolero | 2020.02.02 12:44

boleroさん、こんばんは。

>ELOって結構有名なバンドなのですが未聴です。

えーそうだったんですか?
意外ですね。
まあ日本のバラエティ番組でもBGMによく使われますんで、ELOと認識せずに耳にしてる曲もあるかもしれないですね。

>「YMOっていう名前はELOのパクリじゃん!!」って怒っていました(笑)

YMOの名前は確かにELOをパクってつけたみたいですね。
どこまで本当なのかはわかりませんが、3人組という点ではELPを意識して結成したそうですけど・・

投稿: SYUNJI | 2020.02.03 21:38

SYUNJIさん、こんばんは。
私の取ってELOは「トワイライト」です。これが呪縛になって、
他のアルバムをまともに聞くことができませんでした。
「トワイライト」を収録した「Time」までも。
家に「Out Of The Blue」と「Discovery」があるのに。
というわけで、いったん「トワイライト」をなかったことにして
「Out Of The Blue」と「Discovery」を聞き直しました。

まず「Discovery」ですが、
この作品は、キーチューンがディスコ寄りになっていて、個人的に
これが苦手でした。弦楽団による演奏は豪華で、本場のソウルの
ようにも聞こえます。楽曲もポップすぎるくらいポップです。
が、どうしても好きになれません。

次に「Out of the Blue」、
「トワイライト」のような曲、端的に言えばアップテンポ
の曲はあまりないのです。
ですが「トワイライト」を忘れると、さすが代表作、よかったです。
まず演奏はアコースティックギターとストリングスが織り成す
アレンジが素晴らしい。楽曲はとても親しみやすいです。
また、ジェフ・リンのボーカルはクセがなく、コーラスは練りに練って
います。個人的には、フィル・スペクターの影響が感じられるところも
よかったです。
というわけで聞き直して、とても気に入りました。

ところで、私が聞いたELOのアルバムの1曲目は

「Out Of The Blue」は「Turn To Stone」
「Time」は「トワイライト」
「Secret Message」はアルバムを聞いていませんがタイトル曲

ずるい曲ばかり(笑)。ベスト盤も聞いたことがありませんが、
こんな曲ばかりなら一度聞いてみようと思います。レンタル屋
のぞいてみます。

投稿: モンスリー | 2020.02.08 20:39

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>これが呪縛になって、他のアルバムをまともに聞くことができませんでした。
>「トワイライト」を収録した「Time」までも。

ええ~?そうだったんですか?
「Twilight」はたぶんELOで一番好きな曲なんですけど、やはり苦手な方もおられるんですね・・
確かにあちこち盛りすぎで騒々しい曲ではありますけど。

>この作品は、キーチューンがディスコ寄りになっていて、個人的にこれが苦手でした。

「Shine A Little Love」のことですかね。
タイトルどおりムダにキラキラした曲ですが、これも自分は嫌いじゃないですね。
あと「Confusion」「Don't Bring Me Down」は知ってるので、このアルバムはハードル低そうと勝手に思っています。

>まず演奏はアコースティックギターとストリングスが織り成すアレンジが素晴らしい。楽曲はとても親しみやすいです。

なるほど、このアルバムのほうが評価が高いですね。
こっちにもいくつか聴いている曲があります。

総合するとモンスリーさんと自分では、ELOの曲への評価やアルバム鑑賞履歴が相当異なりますね。
自分としては逆に「Time」「Secret Messages」はおすすめです。
自分も早いうちにおすすめの「Out Of The Blue」を含む70年代作品を聴いてみようと思います。

投稿: SYUNJI | 2020.02.11 10:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 聴いてない 第257回 パブロ・クルーズ | トップページ | 聴いてみた 第154回 フェイセズ その3 »