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聴いてない 第257回 パブロ・クルーズ

2020年最初の聴いてないシリーズはみなさまご存じのパブロ・クルーズ。
もちろん聴いておらず、バンド名と83年の「Will You, Won't You」しか知らない。
調べてみてわかったが、この曲が公式には最後のシングルのようだ。
従って聴いてない度は安定の2。

「Will You, Won't You」は柏村武昭プレゼンツでリアルタイム録音はできたが、その後パブロ・クルーズの曲や情報にふれたことは全くなく、自分の中では大変失礼ながら一発屋のような存在だった。
しかし調べてみると一発屋どころか輝かしい栄光の歴史を持つバンドであることが判明。
にわかに身の危険を感じ、今回の記事執筆に至った次第である。(場内静寂)

調査開始はしてみたが、またしてもウィキペデイアには日本語版がない。
いやがるところをムリヤリGoogle翻訳してカタコト日本語を解読し、その他のサイトやBLOGで情報を補いながらまとめたのが以下である。

パブロ・クルーズは1973年にサンフランシスコで結成された。
最初のメンバーは以下の面々である。
デビッド・ジェンキンス(ギター、リードボーカル)
コリー・レリオス(キーボード、ボーカル)
スティーブ・プライス(ドラム、パーカッション)
バッド・コックレル(ベース)

元々はデビッドとコリーとスティーブが「ストーン・グラウンド」というバンドを組んでおり、そこにバッド・コックレルが合流してパブロ・クルーズとなった。
1975年8月にバンド名タイトルのファーストアルバムをリリース。
さすがにいきなり大ヒットということにはならず、全米チャートでは最高174位。
翌76年にはセカンドアルバム「Lifeline」を発表するが、139位というそれなりに厳しい立ち上がり。

77年からようやくパブロ・クルーズの快進撃が始まる。(表現が昭和)
シングル「Whatcha Gonna Do?」が全米6位、「A Place in the Sun」が42位を記録し、アルバムも19位に達した。
しかしこのヒットの最中にバッド・コックレルが別のユニット結成のため脱退。
後任にはサンタナとの共演実績を持つブルース・デイが加入。

このメンバーチェンジはとりあえず興行的には吉と出て、ブルース・デイ加入後のアルバム「Worlds Away」からは全米6位の「Love Will Find a Way 」と21位の「Don't Want to Live It It」のヒットシングルが生まれている。
またこのアルバムには「You're Out To Lose」というマイケル・マクドナルドが参加している曲もあるそうだ。
79年には初来日公演も行われた。

しかしブルース・デイはわずか3年ほどで脱退。
ベースのジョン・ピアス、ギターのアンジェロ・ロッシが加入し、81年にアルバム「Reflector」をリリース。
アルバムは34位と微妙な売上だったが、シングル「Cool Love」は13位を記録。
残念ながらこれが最後のトップ100入りとなる。

バンドは83年にアルバム「Out of Our Hands」を発表するが、全く売れなかったらしい。
方向性をポップなキーボード路線に変更したりシンセサイザーを多用したりといった工夫が裏目に出たようだ。
自分が唯一聴いた「Will You, Won't You」も全米107位に終わっている。
バンドは混乱しメンバーチェンジを繰り返し、85年頃に解散。
その後再結成に向けての動きは何度かあったものの、単発的なものに終わる。

パブロ・クルーズが本格的に再結成されたのは2004年。
結成当時のメンバーであるデビッド・ジェンキンス、コリー・レリオス、スティーブ・プライス、バッド・コックレルが再会し、スティーブの結婚式で演奏したことがきっかけとなった。
盛り上がった彼らはマジメに再結成を検討し活動をスタート。
しかし結局バッド・コックレルは再結成パブロ・クルーズに参加せず、ジョージ・ガブリエルがベースとして加入する。

その後ジョージ・ガブリエルは2009年に脱退し、翌2010年にラリー・アントニーノが参加。
バッド・コックレルは2010年3月に糖尿病の合併症により59歳で亡くなったそうなので、再結成に参加しなかったのは病気が理由だったのかもしれない。

2011年11月に初のライブアルバム「It's Good to Be Live」をリリース。
2012年にはなんと33年ぶりの来日公演(ブルーノート東京)を実施。
2015年にも同じブルーノート東京でライブを行った。

2017年以降はロビー・ワイコフを加えた5人で活動中とのこと。
ロビー・ワイコフはロジャー・ウォーターズのザ・ウォール・ライブ・ツアーに帯同した経歴を持つミュージシャンで、パブロ・クルーズではパーカッションを担当。
再結成後は新曲もニューアルバムも出さず、主にカリフォルニア周辺をツアーして懐かしのヒット曲を披露するというスタイルだそうだ。

ということで、調べてみたら唯一聴いた曲が今のところ最後のシングルであり、全盛期を過ぎて解散寸前のところでかろうじて1曲聴いたという状態だった。
往年の大ヒット曲の存在すら知らず、もったいない状況のまま加齢してしまったことになる。(そんなんばっか)

ジャンルとしては「サーフ・ロック」という呼ばれ方をされることが多いようだ。
テンポのよいリズム、明るくさわやかなサウンド、太陽や海や砂浜などの情景を描いた歌詞などが特徴で、ジャケットにもヤシの実のロゴマークが使われているとのこと。
ただアルバムごとの雰囲気はかなり違うらしく、評価や好みも割れるらしい。
77年の「A Place in the Sun」と78年の「Worlds Away」の評価が高いようだが、「ファーストアルバムは隠れた名盤」といった意見もあった。

ということで、パブロ・クルーズ。
唯一聴いてる「Will You, Won't You」を頼りに最後のアルバムを聴くよりも、評判の「A Place in the Sun」と「Worlds Away」から聴いたほうが良さそうである、ということはなんとなくわかりましたが、みなさまの鑑賞履歴や評価はいかがでしょうか?

 

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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。
パブロ・クルーズですが、何年か前に友人に聞かせてもらいました。
今回記事を拝見して、あわてて聞き直しました。
「Part of the game」、「Place in the Sun」、「Worlds Away」
の3枚です。

とてもよいです。明るい楽曲にうるさくない程度のハイトーンの
ボーカル、そしてサビでビシッと決めるコーラス。
演奏も流れるようなギターにリズミカルなキーボード類と
リズム。
例によって例え話にすると、
・AORよりウェストコーストロック
・イーグルスよりドゥービー・ブラザーズ
・ドゥービーでもマイケル時代ではなくトム時代
・しかしブルースやかんとりーはなくあくまでも都会的

また、私はサーフィンやドライブをしないので正確な表現では
ありませんが、サーフィンより海岸線をオープンカーでドライブ
するのに似合いそう。

ここから個人的な感想ですが、いかにも私が好きそうなバンド
なのに深入りしませんでした。これは、聞く時期を逃したことが
大きいです。もう一つ、アルバム3枚とも陽性の曲ばかりでした。
できれば陰のある曲もほしいというのが、贅沢な注文になります。

それで私が聞いた3枚ですが、どれから聞いても間違いなしだと
思います。強いて言えば、「Part of the game」は一番クロスオーバー
感があって、マイケル・マクドナルド風のキーボードが多いので
一番気に入りました。

投稿: モンスリー | 2020.01.19 16:44

モンスリーさん、コメントありがとうございます。
やはり聴いておられましたね。

>とてもよいです。明るい楽曲にうるさくない程度のハイトーンのボーカル、そしてサビでビシッと決めるコーラス。
>演奏も流れるようなギターにリズミカルなキーボード類とリズム。

なるほど・・
特に難解とか首をひねりそうな音楽ではなさそうですね。
歳とるとどうも許容範囲が狭くなってきて、新しい音(実際は全然新しくないんですけど)を聴くのも不安ばかりで・・

>・ドゥービーでもマイケル時代ではなくトム時代
>・しかしブルースやカントリーはなくあくまでも都会的

ここも結構安心ポイントですね。
さらに聴けそうな気がしてきました。

>これは、聞く時期を逃したことが大きいです。

80年代も引き続きヒット曲を飛ばしていたら、違った展開になっていたかもしれませんね。

>できれば陰のある曲もほしいというのが、贅沢な注文になります。

これは好みの問題ですが、なんとなくわかる気はします。
ただしおそらく自分は陰のある曲だと苦手と感じると思いますが・・

>それで私が聞いた3枚ですが、どれから聞いても間違いなしだと思います。

やはりそうですか。
機会があったら探してみようと思います。

投稿: SYUNJI | 2020.01.19 18:20

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