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聴いてみた 第152回 ドゥービー・ブラザーズ その2

中高年今さら名盤学習シリーズ、今回は70年代を代表する名作。
ドゥービー・ブラザーズの「The Captain And Me」を聴いてみました。

ドゥービー・ブラザーズ学習はサラリーマンの英会話教室同様ほぼ手つかずで放置状態だった。
このBLOGを始めたあとでベスト盤を聴いたが、その後ちっとも定着せずアルバムも全然聴いていない。
引き合いに出すのもよろしくはないが、70年代の作品はいちおう全部聴いたイーグルスに比べてお勉強ははるかに遅れている。
忘れていたわけではないが、危機感も全然ないまま惰性加齢。
あまりの杜撰さにあきれたモンスリー師匠から直々に申告漏れ追徴と衛生指導と非難勧告を受け、今回の鑑賞となった次第。(毎度の展開)

The-captain-and-me

「The Captain And Me」は1973年の作品。
ドゥービー・ブラザーズにとって3枚目のアルバムで、全米週間チャートでは最高7位、年間でも17位を記録した。
メンバーは以下の皆さんである。
・トム・ジョンストン
・パトリック・シモンズ
・タイラン・ポーター
・ジョン・ハートマン
・マイケル・ホザック

ゲストとしてリトル・フィートのビル・ペイン、後にバンドに加入することになるジェフ・バクスターが参加。
プロデューサーは後にヴァン・ヘイレンを発掘養成するテッド・テンプルマン。
と言ってもヴァン・ヘイレン聴いてて「ああこれテッドっぽい音だよな」などとわかったりすることは全然ないですが。
ドゥービー・ブラザーズとヴァン・ヘイレンで共通する音づくりなんてあるんでしょうか?

このアルバムの鑑賞においては、トム・ジョンストンとパトリック・シモンズの作風の違いとバランスを味わう、というのがドゥービー黄金の教義らしい。
トム・ジョンストンの作る軽快でノリのいいロックと、パトリック・シモンズが作るカントリーやバラードの対比を楽しむアルバム・・だそうです。

初期ドゥービー・ブラザーズの最高傑作との呼び声高き「The Captain And Me」。
果たして自分の耳にもキャプテンは的確に案内してくれるでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Natural Thing
明るく軽快でドライブにも合いそうな爽快感の充満するサウンドでスタート。
酒とか車のCMに使われてもよさそうな曲だ。
中盤でころころころ・・と鳴る楽器はなんだろう?

2. Long Train Runnin'
国民の誰もが知っている名曲。
実はメロディも歌詞も明るくはないのだが、リズムは軽快そのものでこれがイヤという人もあまりいないだろう。
印象的なギターのカッティング、サビのコーラスなど聴きどころは多いが、イントロのギターリフについて「誰でもやりそうで実は誰もやらなかった」という評価があちこちのサイトに書いてある。

3. China Groove
引き続き町内の誰でも知っている全米15位の名作。
これも軽快で湿度の低い乾いたサウンド。
メロディが明るいので「Long Train Runnin'」よりこっちのほうが好きという人も多いようだが、自分もどちらかと言えばこれのほうが好みだ。

4. Dark Eyed Cajun Woman
前の3曲よりも少しテンポを落としたブルース調の1曲。
途中ギターソロがあったりコーラスポイントがあったりの正統派な構成。
ここまでがトム・ジョンストンの作品。

5. Clear As The Driven Snow
今度は趣きの違ったアコースティックの美しい旋律で始まる。
・・・と思ったら途中でブルージーな短調にスイッチするという意外な展開。
パトリック・シモンズの作品だそうだが、確かにトム・ジョンストンとは少し雰囲気が違う。
繰り返すアコギの音色は美しいけど、後半の演奏はやや重く長く難しい流れ。

6. Without You
B面は重厚なロックでスタート。
コーラスを多用しているが、イーグルスのような精緻なハーモニーではなく、ノリ重視のような感じに聞こえる。
後半の演奏の盛り上がりは、ザ・フーのような音にも聞こえる。
ドゥービーはツインドラムを擁するバンドだそうだが、言われてみれば確かに左右から異なるドラムの音がする。
この曲はメンバー全員の共作とのこと。

7. South City Midnight Lady
再びパトリック作のゆるやか西海岸ソング。
5分以上もあって結構長い。
アコギとピアノで進行し、合いの手のように入る甲高いギター、ボーカルに寄り添うコーラス。
こうなるとやはりイーグルスに似ていると感じる。

8. Evil Woman
再び切れ味鋭いシャープなロック。
軽快でも爽快でもなく、サビをハイトーンなコーラスで歌い、エンディングはバシっと切れる。
これもパトリックの作品だが、アルバムの中でもこの曲だけやや異質な気がする。

9. Busted Down Around O'Connelly Corners
ここでなぜか短いギターインストが入る。
1分もない。

10. Ukiah
「ユカイア」と読み、カリフォルニア州北部にあるのどかな町の名とのこと。
都会の喧騒とは別世界の自然豊かな町を歌っているらしい。
リズムは軽やかだが旋律はやや辛口で、どこか「Long Train Runnin'」にも似ていると思う。

11. The Captain And Me
前の曲がフェードアウトするところにイントロが重なって始まる。
アコースティックギターとバンジョーで組み立てられたソリッドなサウンドに、ボーカルとコーラスがからむというお得意の建てつけ。(受け売り)
終盤ややテンポアップして去っていく。

聴き終えた。
通して聴くと、LPのA面B面では雰囲気が少し違う気がする。
全編通してウエストコーストの青く乾いたサウンドなのだが、A面は軽快で楽しく、B面はやや重厚で思ったよりも多彩なイメージ。
最初の3曲につい引きずられてしまうが、想像以上に多面的なアルバムである。

冒頭で挙げたトム・ジョンストンとパトリック・シモンズの作風は、確かにわかりやすくはっきりと違う。
どちらにもいい曲はあるが、今のところトムの作品のほうが好みには合うと感じる。

ただここからドゥービーが定着する予感はまだない。
何度も引き合いに出して恐縮だが、イーグルスを聴いた時の感覚にやはり近いのだ。
いい音楽だなあ・いい曲だなあとは思うけど、繰り返し聴きたい音楽なのかと言われるとまだわからない。
他のアルバムもどんどん聴いていくぞう!という決意の感情はまだ湧かない。
一生湧かないかもしれませんけど。

ジャケットは建設中の高速道路の下に、開拓時代のような馬車に乗っているメンバーという不思議な絵。
時代の異なる要素を上下に同時配置する表現は面白いと思う。

というわけで、「The Captain And Me」。
定着する予感はまだないのが正直なところですが、もちろん名盤であることになんら異論はありません。
ドゥービー・ブラザーズ学習のさらに大きな課題としてジョンストン期とマクドナルド期の聴き比べというのも依然として残っていますので、引き続き学習を拡張させていく所存です。(ぬるい答弁)

 

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
ドゥービーをお聞きいただき、誠にありがとうございます。
早速ですが、

>>コーラスを多用しているが、イーグルスのような精緻なハーモニーではなく、
>>ノリ重視のような感じに聞こえる。
>>ボーカルとコーラスがからむというお得意の建てつけ。

あーっ、それそれ!
的確にドゥービーの本質をつかんでいらっしゃいます。さすがです!
ドゥービーは歌うバンドなんですよ。それも、メンバー全員が
声を合わせてパワフルに(時に美しく)歌い上げるんです。
これを感じていたいたSYUNJIさんは、もうブラザーの一員です。

>>2. Long Train Runnin'
>>国民の誰もが知っている名曲。

名曲中の名曲ですので、ドゥービーの公式ライブ盤には必ず
収録されています。ですが、私はこのオリジナルバージョンが
一番好きです。この曲を聴いて、80年代サウンドしか知らなかった
私が「アコースティックギターってかっこいいなあ」と
思うようになりました。34年前です(笑)

>>5. Clear As The Driven Snow
>>8. Evil Woman

パットはカントリー系と思われていますが、5曲目はプログレ、
8曲目はハードロックだと思います。意外な趣味が出ています。
ちなみに、タイトル曲はトムの作品ですが、これこそトムと
パットのそれぞれの持ち味が融合した曲だと思います。

で、次回ですが、
・キャプテンの路線ですと、2nd「トゥールーズ・ストリート」
・より豪快かつ多様な曲ですと、5th「スタンピード」
・マイケル時代ですと、迷わず8th「ミニット・バイ・ミニット」
をどうぞ。

投稿: モンスリー | 2019.10.28 22:16

モンスリーさん、今回も直々の行政指導ありがとうございました。

>ドゥービーは歌うバンドなんですよ。それも、メンバー全員が
>声を合わせてパワフルに(時に美しく)歌い上げるんです。

今回聴いてみてようやくわかりましたが、なるほどそういうことですね。
ただコーラスは多用してますけど、それをメインで押してくるわけではないので、イーグルスとの違いはその点だと感じます。

>パットはカントリー系と思われていますが、5曲目はプログレ、
>8曲目はハードロックだと思います。

あー確かにプログレっぽいなぁ・・
途中でメロディが大幅に変わったり、後半重く難しいところはプログレの要素が香りますね。
まだあまり慣れませんけど、プログレありハードロックありとけっこう不思議な構成ですね。

もう少しトム・ジョンストン時代を学習しないといけないような気がしますんで、次に聴くとしたらやはり「トゥールーズ・ストリート」ですかね。(いつになるやら・・)

投稿: SYUNJI | 2019.10.29 22:57

SYUNJIさん、こんにちは。

ドゥビーブラザーズは洋楽を聴く切っ掛けになった音楽の一つです。
 かなり個人的には好きで思い出もいっぱいあります。
と、いっても初期のサザンロックやウエストコーストのスカッとしたアメリカンロックではなくて
マイケル・マクドナルドの後期のしっとりした音楽が好みです。

この辺の感覚や音楽体験はなかなか共感してもらえないですね(笑)
実際にAORのドゥビーも悪くありません(笑)

投稿: bolero | 2019.11.03 14:54

boleroさん、コメントありがとうございます。

>ドゥビーブラザーズは洋楽を聴く切っ掛けになった音楽の一つです。

え、そうだったんですか?
それはかなり重要な存在ですね。

>マイケル・マクドナルドの後期のしっとりした音楽が好みです。
>この辺の感覚や音楽体験はなかなか共感してもらえないですね(笑)
>実際にAORのドゥビーも悪くありません(笑)

なるほど・・boleroさんはマクドナルド期のほうがお好みですか。
ドゥービーのファンはたいがいどちらかに割れるようですね。
マクドナルド期はベスト盤でしか聴いてませんので、あまり自信はありませんが・・
取り急ぎ聴き比べてみます・・(不安)

投稿: SYUNJI | 2019.11.03 21:46

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