聴いてない 第252回 ロビー・デュプリー
子供の頃は「オトナの音楽だから」と解釈してあまり聴こうともしなかったAOR。
年齢だけはアダルトどころかシニアの領域にさしかかりつつあるものの、結局全然聴いてないAOR。
そんなAORの世界に燦然と輝く?アーチスト、ロビー・デュプリー。
イントロからグダグダですけど、台本どおりロビー・デュプリー、聴いてはおりません。
ただ今回はむしろこんな偏差値の低い自分でも2曲聴いてることをむしろ自慢したい気分。
聴いたのは「Steal Away(ふたりだけの夜)」、「Hot Rod Hearts」。
意外でもなんでもなく、当時のヒット曲を柏村武昭が紹介し、従順にエアチェックしただけ。
聴いてない度は3。
で、名前とアルバムジャケットの薄暗い顔とこの2曲以外に持ってる情報は一切ない。
曲の感じからなんとなくAORにくくられる人だろうなくらいにとらえていたが、これはおおむね当たっていそうだ。
AORファンの方であれば押さえていて当然の歌手・・なのだろうか。
まずは略歴を調査します。
・・・と意気込んだものの、心の友ウィキペディアは日本語版がない。
日本だとそんな扱いなの?
聴いてもいないくせに不満をもらしつつ、他のサイトやBLOGで学習続行。
ロビー・デュプリーは1946年ニューヨーク州ブルックリンに生まれる。
AORの人というくくりは間違いではないようだが、元々はR&Bの人だったようで、70年代には他のメンバー全員が黒人というバンドで活動していたらしい。
また多くのサイトでブルー・アイド・ソウルという形容がなされている。
で、70年代初めにザ・バンドやトッド・ラングレンらと交流・・といくつかのサイトに書いてあるが、ザ・バンドとトッド以外に誰と交流があったのかは不明。
英語版ウィキペディアにはザ・バンドやトッド・ラングレンの名前もない。
どれも聴いてないのでよくわからないけど、ザ・バンドやトッドはAORとも雰囲気は違うように思いますが・・・
その後西海岸に拠点を移し、80年にアルバム「Robbie Dupree」でデビュー。
シングル「Steal Away(ふたりだけの夜)」が全米チャート6位、「Hot Rod Hearts」は15位を記録。
ということは、いちおう自分もデビュー当時に聴いたことになる。
本人も認めているが、人生初の大ヒットの時にすでに33歳になっており、当時の米歌謡界では遅咲きの人だった。
あとシングル「Steal Away」は確かに全米6位の大ヒットだが、アルバムは最高51位と意外な成績。
トップ20のシングル曲を2つ収録しながら、アルバムは50位以内には入らなかった・・というアメリカ音楽界の厳しさを物語る結果となっている。
理由はよくわかりませんけど。
翌81年にはほぼ同じスタッフのもとで2作目アルバム「Street Corner Heroes」を発表。
しかし残念ながら前作ほどには売れず、シングル「Brooklyn Girls」も全米54位といまひとつ振るわず。
その6年後にアルバム「Carried Away」、93年「Walking On Water(傷心の街)」、95年「Smoke and Mirrors」をリリースするが、商業的にはほとんど話題にならなかった。
なお「Walking On Water」にはナイル・ロジャースがギターで参加してる曲があるそうだ。
えっそうなの?
いやーだったらギターだけでなくプロデュースもお願いしたらよかったのに・・と思いました。
なんでもロビーとナイルは昔バンド仲間だったそうだが、ロビーは話題作りや売上のためだけに旧友ナイル・ロジャースの力を借りることはしなかったらしい。
98年にはライブアルバム「All Night Long」を発表。
意外・・と言っては失礼かもしれないけど、ロビー・デュプリーは何度か来日してライブも行っており、2004年に渋谷Duo、2008年と2011年には丸の内コットン・クラブで歌っている。
2008年のライブでは、新作アルバム「Time and Tide」をまるごと全部歌うという大胆なステージを披露したとのこと。
2012年にはカバー集EP「Arc of a Romance」を発表。
フラミンゴスやアイズレー・ブラザーズ、プリファブ・スプラウトなどをカバーしている。
その後もヒット曲は出ないもののマイペースで活動中。
昨年デビューとセカンドアルバムがそれぞれ本国で再発され、ボーナストラックとして「Steal Away」「Hot Rod Heart」を含む4曲がスペイン語バージョンで収録されているそうだ。
こういう企画、ファンにとってはたまらない、のだろうか?
当然だが、今回も全く知らない話だらけ。
聴いてた「Steal Away」「Hot Rod Heart」はどちらも悪くはなかったが、アルバムを借りて聴こうという心境には至らず。
ちなみに「Steal Away」と同時にエアチェックしたのがアリ・トムソンの「Take A Little Rhythm(恋はリズムに乗って)」である。
たぶん二人の間に交流はない(と思う)。
さて多くのサイトに書いてある話として、「Steal Away」はドゥービー・ブラザーズの「What A Fool Believes」のパクリ、というのがある。
まあ確かに両方聴けばリズムは同じだし、音も似てるとは思う。
ただそれぞれ書かれてるニュアンスや事情が少しずつ違っていて、「似ている」「パクリ」だけでなく「ドゥービー側からクレーム」「裁判沙汰」などの楽しそうな話もあれば、「ドゥービー側のスタッフがロビーのアレンジにも参加」とか「マイケル・マクドナルドもコーラスで参加」などの記述もあった。
全部総合するとなんかつじつまが合わない気もするけど、真相はいかに?
で、いろいろ調べていくとどうやらカギとなりそうな存在は「クラッキン」のようだ。
クラッキンはニューヨーク郊外のウッドストックで結成された白人黒人混合のブルーアイドソウルグループ。
ロビー・デュプリーはウッドストック時代からクラッキンのメンバーとつき合いがあり、クラッキンが西海岸へ活動拠点を移すと、ロビーも彼らの後を追って西海岸へ移動。
クラッキンはドゥービー・ブラザーズのツアーで前座を務めたりしながら、4枚のアルバムを発表するもののあまり売れず解散。
ただメンバーは解散後も西海岸で様々な活動を続け、ロビー・デュプリーのデビューのために協力する。
主力メンバーだったリック・チューダコフとピーター・バネッタは、ロビーのデビューアルバムのプロデュースを担当。
「Steal Away」はロビーとリックの共作で、アレンジにはこれまた元クラッキンのレスター・エイブラムスが参加。
なるほど・・・
おそらくはこのファミリーを含むクラッキンのメンバー参加が、ロビー・デュプリーの音をドゥービー寄りにした要因と言えそうだ。
意図的にそうしたのか、やってるうちになんか似ちゃったのかはわからないですけど。
というわけで、謎のAOR住人ロビー・デュプリー。
デビューアルバムが必修であることは間違いなさそうですが、他の作品でもおすすめがあれば教えていただけたらと思います。
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コメント
SYUNJIさん、こんばんは。
この人、名前も知りませんでしたが、「ふたりだけの夜」
のジャケットだけは覚えています。この1枚だけ、AOR
解説本に必ず登場するのです。
ですが、一度も聞いたことがありません。理由はいつもの
とおりで、知っているミュージシャンが参加していない
からです。今回改めてみると、ビル・ラバウンディが
コーラスで参加しているようですので、ちょっと期待して
しまいましたが。
>>「Steal Away」はドゥービー・ブラザーズの
>>「What A Fool Believes」のパクリ
これも全く初めて聞く話でした。ユーチューブで試聴しますと
おお、似ています(笑)
ですが、この頃はマイケルの音作りがAORの最先端かつ
業界標準でしたので、やむを得ないかな~(笑)
私は、「意図的にそうした」にスーパーひとし君を。
投稿: モンスリー | 2019.09.08 14:36
モンスリーさん、こんばんは。
>この人、名前も知りませんでしたが、「ふたりだけの夜」のジャケットだけは覚えています。この1枚だけ、AOR解説本に必ず登場するのです。
あ、やはりそうなんですね。
なんでも「ひとりドゥービー」なんてアダ名もあるそうですが・・
>ですが、一度も聞いたことがありません。
そうですか、意外ですね。
日本ではたぶん名前より曲のほうが知られているんじゃないかとも思いますが・・
>これも全く初めて聞く話でした。ユーチューブで試聴しますとおお、似ています(笑)
自分も今回ロビー・デュプリーを調べてそういう説があることを初めて知りました。
どっちも結構前から聴いていた曲だったんですけど、「言われてみればその通り」でした。
>私は、「意図的にそうした」にスーパーひとし君を。
やはりそうなんですかね?
まあ確かに「知らなかった」では済まされないレベルではありますが。
ロビー本人はともかく、参加ミュージシャンもドゥービーに近い人たちのようなので、「この音なら売れる」とわかっていたんでしょうね。
投稿: SYUNJI | 2019.09.09 21:19
SYUNJIさん、こんばんは。
本日iPod用のHDDを整理していましたら、なんとロビー・デュプリー
が出てきました。早速聞きました。
私の音楽感想はいつも、
「誰それに近い」とか、
「年代的になんとかムーブメントの影響下にあって」
みたいな、解説丸写しで本質から遠いところばかりで情けないのですが、
今回も結局それになります。
1曲目「ふたりだけの夜」は、確かに「What A Fool Believes」
を取り入れています。で、その他の曲にも、マイケル紀ドゥービー
が見え隠れします。アルバムで言えばドゥービー7枚目
「運命の轍」あたりです。渋い。
この系統で、スティーリー・ダン的な曲作りもあるのです。
これらにデュプリーをはじめとする、軽やかなコーラスワーク
がのります。これはうまいわ~。
プレイヤーも、名だたる人がいない分、先入観がなくなって
軽快です。
有名作品がこれ1枚とは残念ですが、これは日本人に愛される
AORの見本だと思いました。
オススメできます。
投稿: モンスリー | 2019.10.12 21:29
モンスリーさん、こちらにもコメントありがとうございます。
>本日iPod用のHDDを整理していましたら、なんとロビー・デュプリーが出てきました。早速聞きました。
いやーやっぱりお持ちでしたか。
AORや西海岸のファンであれば当然の1枚なんでしょうけど・・
>1曲目「ふたりだけの夜」は、確かに「What A Fool Believes」を取り入れています。で、その他の曲にも、マイケル期ドゥービーが見え隠れします。
断言ですね(笑)
自分はかなり後から「What A Fool Believes」を知ったのであまりわかりませんでしたが、ドゥービーを聴いていればすぐわかるようですね。
>これらにデュプリーをはじめとする、軽やかなコーラスワークがのります。これはうまいわ~。
>プレイヤーも、名だたる人がいない分、先入観がなくなって軽快です。
おおー絶賛ですね。
まあパクリ疑惑はともかく、普通に楽しめそうな音楽のようですね。
少し興味がわいてきました。
投稿: SYUNJI | 2019.10.13 18:24