聴いてない 第250回 ゲイリー・ニューマン
アジアで二番目に貧弱なBLOGの最劣等シリーズを15年半続けてようやくたどり着いた250回。
今回は記念すべき250回目にふさわしいアーチストをお呼びしました。
皆さま拍手でお迎えください、ゲイリー・ニューマンです。(場内大歓声)
ゲイリー・ニューマン、1曲しか聴いてません。
「お前みたいなヤツがよく1曲聴いてたな」と感心されそうですが、その通りです。
79年のシングル「Complex」だけ聴いている。
聴いたのは80年になってからで、当時最先端の一流FM音楽番組「サンスイ・ベストリクエスト」で録音。
しかしその後FMでゲイリー・ニューマンを録音できたことは一度もない。
出会いは非常に古いがその後の交流は一切なく、この曲以外に情報も全くない。
ゲイリーという外国人を最初に覚えたのは、ゲイリー・ムーアでもゲイリー・オブライトでもなくニューマンさんなのだった。
雑誌でもゲイリー・ニューマンの記事を見た記憶はないし、チャートに頻出してたとも思えないので、コアな歌手なんだろうなと思って調べてみたら、今回も驚愕の連続でした。
ゲイリー・ニューマンは本名ゲイリー・アンソニー・ジェイムズ・ウェブという長い名前。
1958年ロンドンで生まれ、77年にはチューブウェイ・アーミーというバンドを結成。
78年レコードデビューし、バンドと同名のパンク系ライブアルバム「Tubeway Army」を発表。
翌年には当時流行のテクノサウンドを採り入れたスタジオアルバム「Replicas」をリリース。
この時の展開が少しわかりにくいが、バンド名義でセカンドアルバムは出したけど実質はゲイリーのソロだったらしい。
じゃあ他のメンバーのみなさんはどうしたのと思ったら、ゲイリーのバックバンドと化し、以降は演奏はするもののバンド名が表に出ることはなくなったそうです。
ゲイリーだけが突出した才能を持ってたということだろうか。
その才能を振りかざすべく、ゲイリー・ニューマンは同じ79年に最初のソロ作品「The Pleasure Principle(邦題「エレクトリック・ショック」)を発表。
サウンドはシンセサイザーをふんだんに使用した先鋭的な音に進化しており、全英1位を記録。
ええ~??そうなの?
これに自分が聴いた「Complex」が収録されているが、この曲も実は全英6位。
ええ~??そうなの?
・・・すいません、何度も驚いてしまい恐縮ですけど、まさかそんなに売れた曲だったとは・・
柏村武昭も大ヒットの予感ゆえのオンエアだったのだろうか。
その後の活動もびっくり仰天(死語)な実績。
80年の彼の作品、ちょっと見てください。
ウィキペディア丸写しで申し訳ないが、こんなことになっていた。
テレコン (Telekon 1980年)
ダンス (Dance 1981年)
アイ・アサシン (I,Assassin 1982年)
ウォーリアーズ (Warriors 1983年)
バーサーカー (Berserker 1984年)
ザ・フューリー (The Fury 1985年)
ストレンジ・チャーム (Strange Charm 1986年)
メタル・リズム (Metal Rhythm 1988年)
オートマティック (Automatic 1989年)
80年代の10年間で9枚ものアルバムを残している。
発表しなかったのは87年だけ。
ええ~??そうなの?(しつこい)
まさに「逆ボストン」みたいな勢いである。
ただセールスとしては81年の「Dance」あたりから下降しており、イギリス本国ではなんとかチャートインはしてたようだが、日本では話題になることもほとんどなくなったらしい。
なおその「Dance」にはジャパンのミック・カーンやロブ・ディーン、クイーンのロジャー・テイラーが参加しているそうだ。
ちなみに80年には来日公演も行われている。
場所は日本武道館や中野サンプラザと書いてあるサイトもあったが、渋谷公会堂が正しいようだ。
90年代に入ってもゲイリーの創作意欲はそれほど変わることなく、毎年のようにアルバムを発表。
こうした活動が同業者からはリスペクトされていたようで、フー・ファイターズやマリリン・マンソン、ナイン・インチ・ネイルズなどがゲイリーの作品をカバーしたり、トリビュート盤が作られたりしている。
21世紀に入るとゲイリーには次々に子供が生まれ、親になることのプレッシャーから精神的にダメージを負い、2年ほど治療した経験も持つ。
2009年にはかつての大ヒットアルバム「Pleasure Principle」の発売30周年記念盤が発売された。
その後も精力的に活動を続けており、最新作は2017年の「Savage (Songs From A Broken World)」。
前作からは4年ぶり、通算22作目(!)。
ゲイリーによればこのアルバムは「トランプ大統領へのリアクションとして作った作品」だそうだ。
初めはそういうつもりはなかったらしいが、曲を書いている時にトランプが登場し、特にトランプの地球温暖化についての発言や行動には賛成できないものがあり、そうした思いがこのアルバムのテーマになっていったとのこと。
毎度のことながら何一つ知らない話であった。
特に驚いたのは英国での実績が非常に輝かしいものであり、また多作であること。
そして音楽活動が意欲的で評価も高いこと。
そんなスゴイ人だったんですね・・
全然知らなかった・・
ネットでゲイリー・ニューマンを調べると、必ず名前が出てくるのがジョン・フォックスである。
ジョン・フォックスのことを「一番影響を受けた、師と仰ぐミュージシャン」と公言もしており、そもそも最初にバンド結成したのも、ウルトラボックスやクラフトワークなどに影響を受けてのことだったそうだ。
ジョン・フォックスもウルトラボックスも全く聴いてないので、この情報は自分にとっては思い当たるものが何もない・・(いつものこと)
唯一聴いている「Complex」だが、決して明るく楽しくチャラい産業ロックではない。
ニューロマとプログレを混ぜたような、どっちかっつうとやや暗めで物憂いサウンドで、サビもなくどんよりと進行する変わった感じの曲である。
ゲイリーの声もどこか無機質で粘性の高いセメダインみたいなボーカル。
これ生声なんですかね?
今回歌詞を初めて見たが、やはり楽しい内容ではなく、絶望的な悲しみを短い言葉でじめじめと綴っている。
これがイギリスでは6位を記録するヒット曲なんスね・・
ちなみに「Complex」と同時に録音したのはバグルスの「ラジオスターの悲劇」やケニー・ロジャース「弱虫トミー」といった日本人にもなじみの深いヒット曲であった。
これらにはさまれて録音できてしまったので、その後も消さずに長年聴いていただけで、能動的なゲイリー・ニューマン鑑賞をしてきたわけではない。(よくあるパターン)
この曲の印象だけでずうっと内向的なスタジオ志向の人見知り芸人なのかと勝手に想像していたが、最近のインタビューで「最も興奮するのはステージの上」「ツアーで世界を旅することが大好き」などと発言している。
実は非常にアクティブで体育会系のパワーアーチストのようだ。
というわけで、ゲイリー・ニューマン。
驚愕の連続の割にはあまり鑑賞意欲もわいていませんが、こんな初心者でも聴きやすいアルバムがあれば教えていただけたらと思います。
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コメント
ゲイリー・ニューマン懐かしい!
「Replicas」(放題「幻想アンドロイド」)は狂ったように聴きまくったものです。冷徹なシンセの音に爬虫類のような気味の悪いヴォーカルが絡んで、未来への夢も希望も粉々に粉砕する世界観に打ち震えたものでした。
初来日コンサート行きました。
大阪の今はなき万博記念ホールだったと記憶しています。
今か今かとドキドキするなか幕が開き、ゲイリーちゃん登場!!!!!
思わず椅子から転げ落ちました。
そこにいたのはボテボテの小太りのおっさん「幻滅メタボタヌキ親父」。
(いやー、あれにはまいったな)
私の夢も希望も粉々に粉砕されたのは言うまでもあいません。
あれから40年。
ゲイリーちゃんも私もとっくに還暦を迎えてまだ生きています。
でも今でも活動しているのを知って、なんだか嬉しい気もします。
試しにamazon musicで検索したら、凄い!!!
めっちゃ現役ですがな。
私ももっと頑張らなと思いました。
(何を?wwwwww)
投稿: ぼんぼこ | 2019.09.25 22:53
ぽんぽこさん、コメントありがとうございます。
>冷徹なシンセの音に爬虫類のような気味の悪いヴォーカルが絡んで、未来への夢も希望も粉々に粉砕する世界観に打ち震えたものでした。
すごい評価ですね・・
とても自分みたいな素人が理解できる音楽ではなさそうですけど・・
>そこにいたのはボテボテの小太りのおっさん「幻滅メタボタヌキ親父」。
ははは!
それは衝撃でしたね。
ジャケット写真だとあまり体型がわかりませんけど、そんな感じの人だったんですね・・
>でも今でも活動しているのを知って、なんだか嬉しい気もします。
自分も調べてみて初めて知りましたが、こんなに多作で意欲的なミュージシャンだったとは驚きでした。
ゲイリー・ニューマンに限らず「聴いてない」音楽を長年にわたり披露してる愚かなBLOGですが、他にもお好きなアーチストについてご指導いただけたらと思います。
投稿: SYUNJI | 2019.09.26 21:16