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聴いてない 第248回 ブラック

80年代に産業ロックにかぶれて中途半端に洋楽を聴きあさり、結果としてこれだけの「聴いてない」アーチストを量産してきたのだが、当時と今で決定的に異なるのは、当然だがネットの存在である。
90年代後半あたりからパソコン通信という手段が出現してはいたが、そこで自分がしていたのは「洋楽なんでも相談」であった。
「○○というアーチストについて教えてください」「○○の86年のヒット曲名の原題は××で合ってますか」という、今のYahoo!知恵袋みたいなことを厚かましくやっていたのだ。
自分の低レベルな質問に多くの方が親切に答えてくれていた。
今もこの図式のままBLOG続けてますけど・・

21世紀に入ると、そうした「洋楽調べもの」において画期的なサービスが登場する。
それはGoogleをはじめとする検索サイト、そしてYou Tubeに代表される動画サイトである。
この二つによって、それまで自分が長年知りたかった洋楽の情報が、能動的に入手可能となったのだ。
もちろん今も使用しているBLOGというフォーマットと、ネットの向こうに存在する「洋楽に詳しい親切な方々」が、自分の音楽鑑賞人生を支えていることは言うまでもない。

一方で、疑問の発生から情報の発見までのプロセスと時間が飛躍的に簡略短縮された現在、事実確認によって衝撃を受けるケースもわりと多い。
自分の場合、そもそものレベルが低いので「えっそうなの?」ということが多発するだけなんでしょうけど。

前置き長くなりましたけど、今日ご紹介したいブラックも、まさにそういう状態。
先に書くが、今回の衝撃は以下の2つだ。
1.実はスタート時はグループだった
2.実はもう亡くなっている

ブラック、聴いたのはメジャーデビュー曲にして最大のヒット作「Wonderful Life」だけ。
聴いてない度は2。
日本じゃ一発屋という扱いも多いらしいので、自分と同じ状態の人はそれなりにいるんじゃないだろうか。

あらためて謎のシンガー、ブラックについて迅速拙速に調査。
ブラックの正体は、リバプール出身のコリン・ヴァーンコム。
特に本名にはブラックとは付いていないし、なんでブラックなのかはよくわからない。
やってる音楽もブラック・ミュージックではないようだし、コリン自身は白人である。
たぶんサバスリッチーにあこがれたのかもしれない。(適当)

で、ブラックは3人組としてスタートしたグループだったが、デビューする前に2人が抜けてコリンのソロプロジェクトとなり、コリンはそのままブラックを名乗ってデビュー。
自分は「Wonderful Life」をMTVで聴いた(観た)ので、歌ってる人がどうやら1人だけというのは知っていた。
なので「もともとはグループ」というのは全然知らなかったのだ。
まあデビュー時点でソロなんで、ソロシンガーでいいんでしょうけど。

87年のシングル「Wonderful Life」は全英8位を記録した大ヒットだが、実はメジャーデビュー前の85年と、デビュー後の94年と通算3度もリリースされており、いずれもトップ100に入るという快挙?を成し遂げた名曲とのこと。
日本でもサントリーのオールド・フォレスターというウィスキーのCMに使われたそうだ。
同名のアルバムも全英3位を記録。
来日公演もあったそうです。

しかし残念ながら以降はデビュー作を超える実績を一度も残していない。
各アルバムの最高位は88年「Comedy」が全英32位、91年「Black」が42位で、93年の「Are We Having Fun Yet?」に至っては100位にも届いていない。
99年と2001年にはコリン・ヴァーンコムとしてアルバムを発表したが、いずれも100位圏外という結果に終わる。
なお97年から2000年にかけてベスト盤が3枚ほど出ていて、これらは評判がよいらしい。
2002年には全英ツアーも行ったが、05年に再びブラックに戻り活動再開・・といっても中身はコリンさんで変わらないですけど。

その後はコリン・ヴァーンコムとブラックの間を行き来しながら地味に活動を継続。
たぶん日本では話題になることもあまりなかったのではないかと思われる。

で、今回調べていて実はブラックはすでに亡くなっていたことを知る。
2016年1月にアイルランドで自動車事故にあい昏睡状態となり、2週間後に53歳で死去。
そうだったのか・・
事故死とはあまりにもむごい最期だが、本人はワンダフルなライフだったのだろうか。

「Wonderful Life」しか聴いてないので何も語れないのだが、この曲は嫌いではない。
「素晴らしい人生」を連呼するわりにちっとも楽しそうじゃないメロディ、終始鳴り続けるスティール・パン?の音、とぼとぼ歩くようなけだるいリズム、高いキーだがハリのない歌声・・といった特徴が印象的。
プロモ・ビデオの映像はほとんど覚えていない。

あたらめて歌詞を見たが、いまいち何を言いたいのかはわからない。
基本は「逃げる必要も隠れる必要もない、泣いたり笑ったりも不要な素晴らしい人生」という歌詞なので、じゃあいいじゃんと言いたいところだが、まあ逆説的というか皮肉っぽいヤケクソな心境を投影しているのだろう。
少なくとも「オレ様の素晴らしい人生」を強調するようなイケイケ人生賛歌ではない。
もしそうだったらこのメロディにはならないよね。

ちなみに続けて録音したのがチープ・トリックの「Ghost Town」なのだが、この2曲は偶然にもリズムがほとんど同じなのだった。(どうでもいい情報)

というわけで、ブラック。
聴くとしたら当然デビューアルバムからで、その後ベスト盤を経て他のアルバムにもアプローチしていく、というのが正しい学習姿勢でしょうか。
かなりコアなアーチストだと思うのですが、みなさまの鑑賞履歴はいかがでしょうか?

 

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行ってみた 第68回 浜松

浜松は過去に仕事と観光でそれぞれ数回訪れていますが、実は名物の餃子を浜松で食べたことはありません。
そこで安直に浜松餃子を食べることにしました。
何をもって浜松餃子と言えるのか、実はあまりよくわかっていませんが、宇都宮では出てこない「もやし」が付いている・・というところまでは知っています。

しかし。
駅周辺の餃子店を数軒回ってみましたが、どこも御朱印待ちのようなおびただしい行列。
回った店全てが店の外にまで行列が伸びています。
連休という背景だけではなさそうで、やはり浜松の人は打倒宇都宮を掲げて気合を入れて餃子を食べているようです。
おとなしく行列に並んでもよかったのですが、天気もいまいちで根性もなかったので、餃子をあきらめて他のメニューにしようかと駅北側をうろうろしました。

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薄れゆく意識の中で一軒のラーメン屋を発見。 
行列もなく餃子もあるようなので、入ってみました。
「しるし」という名のラーメン屋です。

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ラーメンと餃子を注文。
1人前なのでテレビでよく見るような丸い皿にぐるりと乗った餃子ではありませんが、もやしは付いています。
これで浜松餃子を食ったことにしていいのかわかりませんが、味はうまかったです。
もやしがなくても普通にうまいですが・・

翌朝はやっと晴れました。
令和最初の晴れ。
うなぎパイの春華堂が経営する新業態の店舗「nicoe」に行ってみました。

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「nicoe」は2014年にオープンした「スイーツ・コミュニティ」と呼ばれる複合施設で、うなぎパイの販売はもちろんありますが、ケーキや洋菓子も売っており、レストランや和カフェ、見学できる工場や体験工房などもあります。
うなぎパイと言えば昭和のおっさんがOLに言わせて喜ぶ「夜のお菓子」という妙なキャッチで有名ですが、そんな不本意なおっさんの運用から脱却すべく登場したオシャレなお店が「nicoe」。
団体観光客も来ていましたが、「夜のお菓子」を連呼して喜ぶおっさんはさすがにいませんでした。
そういうおっさんが明らかに場違いであると自覚させられる、そんな雰囲気です。
和カフェで柏餅を食べましたが、これはうまかったです。

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「nicoe」から車で20分ほどのところにある「ドロフィーズキャンパス」という謎の街に移動しました。
説明が難しいですが、ドロフィーズとは地元の都田建設という会社が手掛けるライフスタイルのブランドで、キャンパスは「生活を豊かに美しくする」をコンセプトに、大小25の施設が集まる小さな北欧タウン・・だそうです。
建設会社が運営と言われても、ガテンなイメージは一切ありません。
北欧雑貨や文化に感度の高い女子が好きそうな雰囲気、という表現でわかっていただけるでしょうか。
北欧行ったことないけど。

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インテリア、雑貨、マリメッコ専門店、ガーデン、レストラン、カフェ、本屋などが地区内に点在しており、古い家屋を北欧風のデザインでリノベーションしたりリフォームしたり・・といった、独特の空気感を持つエリアになっています。
ベタな言い回しですが、確実に「インスタ映え」する場所です。

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実際に何組もの女性たちがそれぞれの店構えを丁寧に撮影したり、店をバックに自撮りしたりしていました。
おそらく彼女たちはみんな「なんとなく来てみた」のではなく、「目的意識を持ってやって来た」ものと思われます。
買い物や飲食で消費するというよりは、コンセプトや世界観に共感する場所、という感じでしょうか。(知ったかぶり)

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天竜浜名湖鉄道の都田駅が最寄りですが、駅からも徒歩15分くらいかかります。
駅舎にあるカフェもこの会社がプロデュースしているそうで、田舎駅の喫茶店とは全く雰囲気が違います。
決してよいアクセスとは言えない場所ですが、それなりに観光客は来ていて(大半が女性)、レストランには行列ができていました。

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キャンパスエリアの明確な敷地境界区分はなく、営業中の店舗ならどこでも出入りは自由で、特にゲートや塀もありません。
実際に店舗と店舗の間に一般の民家がふつうにあったりしていて、「ドロフィーズの店舗ではありません」と注意書きされた家もあります。

都田建設の取り組みや経緯を説明する展示スペースもありました。
きっと様々な苦労や課題はあったと思いますが、この建設会社が地域住民や行政との良好な関係のもとで開発を進めてきたことはよくわかります。
地方創生というお役所言葉は好きではありませんが、町おこしのあり方としては独自性が高く画期的でよいのではないかと思いました。
今後も全国各地でこうしたエッジの効いた町づくりは増えていく気がします。

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午後は島田市にある蓬莱橋に行ってみました。
大井川にかかる「世界一長い木造の歩道橋」です。
ただし橋脚はコンクリート製だそうですが・・

全長は897.4m。
この数字が語呂合わせで「8974=ヤクナシ=厄無し」、また「長い木の橋=長生きの橋」で縁起が良いとされているそうです。
厄無しはありがたいですが、ふつうに歩いても対岸まで渡るのに10分以上かかります。

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橋にはひざ下程度の欄干しかなく、気をつけないと川に落ちそうになります。
この日は強風でさらにスリルは増していました。
ネットでは「台風の影響で破損した箇所があり、通行は途中まで」と書いてありましたが、この日は対岸まで通行可でした。

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帰りの東名が激しく渋滞していたので、いったん御殿場で降りて焼肉を食いつつ渋滞解消を待つことにしました。
しかしやはり憲政史上初の10連休中。
飛び込みで入った焼肉屋もむやみに混雑しており、食べるまで1時間待たされました。
さらに食い終わって再び東名に乗ったものの、渋滞はちっとも解消しておらず、舌打ちしながらようやく帰りつきました。
なんか今年の連休の渋滞予測はあちこちで外れてたらしいですが・・

というわけで、旅は終了。
久しぶりに名古屋・浜松に行けて、いちおう一通り名物料理にもありつけてよかったです。
次の機会にはもう少しゆっくり名古屋を観光したいと思います。

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行ってみた 第67回 瀬戸・名古屋・岡崎

憲政史上初の10連休となった今年のゴールデンウィーク。
たかだか10連休程度で大騒ぎする日本人を、欧米の方々はさぞかし冷ややかにながめているのではないかと思いますが、そんな不安な心境の中、やっぱり小市民なあたしも旅に出ることにしました。
とは言え憲政史上初の10連休なので、飛行機や新幹線は席の確保ができません。
従って行き先は車で行ける愛知県方面を選択。

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まず最初に訪れたのは多治見。
愛知県と宣言しといていきなり岐阜県にある焼き物の街です。
美濃焼・織部焼で有名ですが、行ったのは初めてです。
焼き物に特にこだわりはありませんが、昨年笠間で買った茶碗が早くも欠けてしまったので、多治見か瀬戸で買おうと思って寄ってみました。

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中心部に残る古い町並みを「オリベストリート」と名付けていますが、実際に焼き物を売る店は思ったより少なく、軒を連ねるというほどではありません。
天気もいまいちで連休中でも観光客はほとんどおらず、かなり地味な印象。

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そこで隣町の瀬戸に移動。
瀬戸は以前2度ほど来ています。
焼き物の店は多治見より多いですが、やはり瀬戸の街も閑散としていました。
タイミングもあるのでしょうが、多治見も瀬戸も、同時期の益子や笠間に比べて人の数は比較にならないほど少ないです。
器をじっくり選ぶことができてありがたいですが、もう少し盛り上がってくれたら・・と勝手なことを思いました。

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さて平成最後の晩は名古屋の東横インに泊まりました。
名古屋駅から少し距離があるのですが、連休中なのにツインで1万円しないという鬼のような安さ。
チェックインも朝食もやたら混雑はしてましたが、外国人観光客は思ったほどいませんでした。

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名古屋駅前も平成ラストナイトでそれなりに人出はありましたが、特に騒乱状態というわけではなく、名鉄前のナナちゃんが「令和」の書を携えており、それを地元の報道機関がおだやかに取材していました。
テレビで全国各地の平成カウントダウンの様子を報道してましたが、渋谷や道頓堀の騒乱ってマスコミも絶対に期待して騒乱ありきで取材してますよね。

久しぶりの名古屋なので夜は直球名古屋メシである味噌カツを食うことにしました。
しかし。
平成最後の晩餐を楽しもうとする名古屋市民のすさまじい郷土愛?により、メイチカやユニモールの飲食店はどこも行列。
そうなれば頼るのはエスカですが、状況はエスカも同様で、味噌カツの名店「矢場とん」は朝の北千住みたいな大混雑。
あまりの混雑に呆然としていると、たまたま行列のほとんどない店を発見。

そこは「忠助」という定食屋でした。
すぐに入れたので味噌カツを注文したところ、味噌の上に目玉焼きが乗ってきました。

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これが非常にうまかったです。
何度か食べてきた名古屋の味噌カツですが、目玉焼き付きは初めてでした。
濃い味噌味が卵でマイルドになり、食べやすくなります。
平成最後の名古屋メシをありがたく堪能しました。

明けて令和元年初日。
小雨の中、熱田神宮に行ってみました。
参拝は初めてです。
10年以上前、熱田神宮の横で突然車が不調となり、ディーラーに飛び込んだものの直せないと言われて不調のまま家まで帰るはめになったという思い出の場所です。

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参拝はふつうにできましたが、参道の端にものすごく長い行列ができており、敷地の外の道路にまで伸びていました。
参拝するまで何の行列かわからなかったのですが、列の先頭を見てやっと理由が判明。
「令和元年五月一日」の日付が入った御朱印をもらう行列だったのです。

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あとで聞いたら午後はさらに行列が伸びて3時間待ちだったそうです。
全国で御朱印集めがブームだそうですが、みなさんここまで熱心だとは知りませんでした。
最近は御朱印の趣旨を理解せず、メルカリで転売したり対応が遅いなどと社務所で文句つける人が登場して批判を浴びているようですが・・・

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果てしない行列を横目に神宮をあとにして、有松という街に行ってみました。
絞り染めと古い町並みで有名だそうですが、行くまで存在すら知りませんでした。

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名鉄有松駅前というアクセスの良さ。
絞り染めに古い町並みといった若い女性に受けそうな要素はあるものの、この日は観光客は全くいませんでした。
個人的にはもう少し古民家カフェなど飲食店があれば、もっと人気が出るのではないかと感じました。

昼になったので「おかげ庵」に行くことにしました。
コメダ珈琲店が経営する和風喫茶チェーンですが、実は我が家の近所にもあります。
調べたら店は愛知県の7店と神奈川県の2店しかないようです。

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ここでもあんかけスパ・きしめんという外角低めの直球名古屋メシを注文。
味はウチの近所も含めてどの店でも同じだとは思いますが、今回は観光で来ているので、やはり本場で食べるとテンションが上がります。(単純)
地元の方の評価はどんなもんなんでしょうか?

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午後は岡崎に移動。
名古屋もそうですが、岡崎も実はその昔何度も宿泊した都市です。
トヨタ関連の仕事で頻繁に出張していた時期があり、泊まった日数だけで言えば名古屋はおそらく100回以上、岡崎も安城も刈谷もそれぞれ20回くらいは宿泊しました。
ただし毎回ひたすら宿と工場の往復だったため、岡崎は一切観光しておらず、お城も今回初めて訪れました。

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明治維新後、徳川家康生誕の城ということで岡崎城は特に念入りに新政府によって破壊されたといわれています。
今の岡崎城は昭和の再建なので歴史的価値はあまりないようですが、家康を誇りに思う市民の方々の熱意によって、ほぼ江戸時代どおりの天守閣が復元されたそうです。

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このあと城のすぐ近くのカクキューに行ってみました。
江戸創業の八丁味噌屋で、工場やフードコートもある味噌のテーマパークみたいな施設ですが、観光バスで団体が大量に来ており、城よりも混雑していました。

令和最初の宿泊は浜松。
浜松は10年ぶりですが、適当に選んだホテルは10年前にも泊まったところでした。
旅はもう1日続きます。

 

 

 

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