聴いてみた 第147回 グレン・フライ
今日聴いてみたのは前回のジェフ・ベックとは全く関係ないグレン・フライ。
たぶん競演したこともないと思います。(あったらすいません)
聴いたのは95年発売の「Solo Collection」というベスト盤である。
母校イーグルスの学習については、いちおう最初の解散までの全アルバムは履修済みで、最近は書籍などで少しずつ情報も仕入れたりもしている。
ただイーグルスのファンになったりライブに足を運んだり貴重な音源を西新宿で漁ったりといった発展成長にはつながっていない。
名曲をたくさん生み出した上に争い事も多いという極めて魅力的な団体のはずだが、何度聴いてもあまり向学向上心がわかないのだ。
理由は今もよくわからない。
そんな惰性で出席だけしてるバカ大学生みたいな自分だが、何を思ったかグレン・フライのソロまで聴くことになった。
イーグルスという名門バンド創設者のひとりであり、ソロでもヒットをたくさん飛ばしたことはもちろん知っているが、メンバーの中で特にひいきにしたりというわけでもない。
なおドン・ヘンリーについてもかなり前に「Boys Of Summer」を友人から借りて聴いたが、今も全然定着はしていない。
なんかよくわかりませんけど、自分はどうもイーグルス関連にはつれない感じなのだ。
そんな自分でもグレン・フライで知ってる曲もいくつかある。
「Sexy Girl」「Heat Is On」「You Belong To The City」「Love in the 21st Century」あたりがそうで、いずれもリアルタイムで聴いている。
テープに録音できたのは「Love in the 21st Century」だけだが、どれも覚えてしまうくらいFMやMTVでよくかかっていたのだろう。
まあベスト盤なので初心者学習にはぴったりである。
知ってる曲もあるのでさほど不安なく聴けそうである。
果たして本当にグレン・フライの頭蓋骨はボコボコなのでしょうか。(意味不明)
・・・・・聴いてみた。
1.This Way To Happiness
2.Who's Been Sleeping in My Bed?
3.Common Ground
4.Call On Me
5.One You Love
6.Sexy Girl
7.Smuggler's Blues
8.Heat Is On
9.You Belong To The City
10.True Love
11.Soul Searchin'
12.Part Of Me, Part Of You
13.I've Got Mine
14.River Of Dreams
15.Rising Sun
16.Brave New World
17.Strange Weather
ベスト盤ではあるが、4曲目までは発売時点での新曲であり、またラストの「Strange Weather」は日本盤ボーナストラックのライブ曲。
「The Heat Is On」は映画「ビバリーヒルズ・コップ」の挿入歌、「You Belong To The City」はテレビドラマ「マイアミ・バイス」で使われた曲。
どちらも全米2位というグレンのキャリアの中で最高位を記録している大ヒット曲である。
なお「The Heat Is On」はグレンの作品ではなく、グレン自身も頼まれて歌った時はそこまでヒットするとは思っていなかったそうだ。
あらためて聴くと、イーグルス時代からのヒットメーカーとしての才覚がソロでも機能しているのがわかる。
AORとロックとポップスがバランスよく収録されており、飽きの来ない構成だ。
ベスト盤だから当然かもしれないが、どの曲も基本的に楽しくわかりやすく耳なじみの良い音で作られていて、変な旋律や不思議なアレンジといった演出がない。
加えてグレンのボーカルは、ゆったりAORでもスピーディーなロックでも不安定な箇所はなく、どの音域においてもツヤを失うことなく響いてくるので、引っかかる部分がどこにもない。
まさに信頼と実績のサウンドだ。
ただ、イーグルスのサウンドとはやはり違う。
当たり前だが、ドン・ヘンリーもジョー・ウォルシュもランディ・マイズナーもドン・フェルダーもいないからだ。
特にバックコーラスの作り込みは、やはりバンドとしてのイーグルスのほうが見事である。
バラエティに満ちたグレンのベスト盤なんだが、グレンが作ったり歌ったりしてるイーグルスの曲・・ではない。
ビッグなバンドの中では優れた才能同士が相互に作用して化学変化を起こし、1+1が3にも4にもなる、ということはよく言われる。
世界で一番有名な事例はもちろんレノン&マッカートニでありジャガー&リチャーズだが、この法則はフライ&ヘンリーにも当てはまるのだろう。
で、結局どう感じたのか?
サウンドが違うなどとエラそうに言っときながら、感想としてはイーグルスと同様なところになってしまう。
聴きやすくいい曲ばかりだが、繰り返し聴きたくなるかと言われると非常に微妙。
一軍登録から抹消するようなこともしないと思うが、先発ローテーション入りするのかどうか、現時点では断言できない・・といった低迷するダメ球団の監督みたいなコメントしか出てこない。
個人的には、この人はやはりしっとりバラードよりは軽快なロックで力を発揮するミュージシャンだと思っている。
なのでドン・ヘンリーとどちらが好きかは意見が割れると思う。
ドン・ヘンリーの神経質な世界観や哀愁に満ちたボーカルのほうが魅力を感じるという人もいるはずである。
グレン・フライは2016年1月に亡くなっている。
死因はリウマチ性関節炎と急性潰瘍性大腸炎、急性肺炎による合併症と発表されたそうだが、日本のニュースでの扱いはそれほど大きなものではなく、テレビで追悼番組が企画されることもなかったと思う。
本国アメリカや地元ロサンゼルスではどうだったんですかね?
なおその後今年になって、グレンに対して適切な治療を行わなかったとして、シンディ未亡人が病院と医師を訴えるという事態になっているらしい。
その後イーグルスとしては、ドン・ヘンリー、ジョー・ウォルシュ、ティモシー・B・シュミットの元メンバーに、カントリーミュージシャンのヴィンス・ギルとグレン・フライの息子ディーコンを加えた5人で全米ツアーを行い、来年はオーストラリアとニュージーランドでの公演も決定しているそうだ。
最近ヴァン・ヘイレンやチープ・トリックなど、かつての名門バンドにメンバーの子供が加入してそれなりに活動してる例が増えているが、イーグルスも上記のツアーにドンの息子ウィル・ヘンリーも一時サポート参加するなど、このパターンになりつつある。
ライブでは息子側にも観客側にもやはり多少の緊張感はあるらしいが、名曲の演奏が進むにつれて相互の緊張も解けて大いに盛り上がる・・という共通した現象が起きるようだ。
息子の演奏技量や歌唱力が親父よりもポンコツだと、バンドまるごとダメージを負うため、息子もメンバーもそりゃあ緊張するでしょうね。
イーグルスもなんとかうまくやってもらいたいものだと思います。(上から目線)
というわけで、グレン・フライ「Solo Collection」。
もちろん決して悪い評価ではないのですが、ここからスタジオ盤学習へと発展するかどうかは自分でもわかりません。
イーグルスの作品含め、もうしばらく繰り返し聴いていこうと思います。
| 固定リンク | 0
コメント
SYUNJIさん、こんばんは。
私はイーグルスのソロでは、ヒット曲はヘンリーが好きですが、
アルバム単位ではフライとウォルシュが好きです。
このベスト盤には代表的な曲がまんべんなく収録されており、
おすすめできます。欲を言えば、フライのソロアルバムの
個性が少し見えなくなっています。
フライのソロアルバムは作品ごとに微妙に異なっておりまして、
1st:AOR+ロックンロール風味
2nd:コンテンポラリーなロック+AOR
3rd:マイルドなソウル風味。これが一番評価が高いです。
4th:フライの考える90年代型ロック
5th:(ノーコメント)
>>イーグルスのサウンドとはやはり違う
その通りですね。
・イーグルスの「ハートエイク・トゥナイト」
・フライの「ヒート・イズ・オン」
似て非なる曲です。演奏面でも、後者はブラス隊を導入したり
音作りに80年代テイストを入れるなど、時代に対応しています。
>>しっとりバラードよりは軽快なロックで力を発揮する
これもその通りだと思います。加えて、イーグルスで見せた
カントリー風味ですが、ソロでは封印していまいた。
おそらく、90年代半ばからイーグルスとして再度活動するように
なったため、ソロ作品も出さなくなり、
「カントリーはイーグルスで」と考えていたのでしょう。
ヘンリーが、フライの死後、「Cass Country」というカントリーアルバムを
出しました。ものすごくいい作品です。と同時に、こういうのをフライが
出してくれれば・・・という無念さも感じました。
いずれにしても、イーグルス、ソロを通じて優れたアメリカンミュージシャン
であることには変わりません。
最後に私の好きな曲は、1,5,8,9,10,16,17です。おすすめ作品としては、
2nd、3rd、4thを推します。
投稿: モンスリー | 2018.12.04 21:32
モンスリーさん、今回もお世話になりました。
>1st:AOR+ロックンロール風味
>2nd:コンテンポラリーなロック+AOR
おそらく自分の好みはこのあたりのような気がしますね。
実際に聴いてみないとわかりませんけど・・
>・イーグルスの「ハートエイク・トゥナイト」
>・フライの「ヒート・イズ・オン」
>似て非なる曲です。
あー具体例をあげていただくと確かにサウンドの違いはわかりやすいですね。
「The Heat Is On」はグレンの作品ではないそうですが、「Heartache Tonight」のイーグルスならではのコーラスも、「The Heat Is On」にはないですよね。
>イーグルスで見せたカントリー風味ですが、ソロでは封印していました。
そうか、何か足りないと思ったら、このベスト盤だとカントリー調の曲はないですね。
イーグルスの本によれば、グレン・フライ自身はバンドでもカントリーよりはロックをやりたがっていたようですので、ソロではなおさらカントリーはやらなかった、ということでしょうか。
>いずれにしても、イーグルス、ソロを通じて優れたアメリカンミュージシャンであることには変わりません。
異論はもちろんありません。
そのわりに感情の盛り上がりはいまひとつですが・・
ドン・ヘンリーのソロも学習しなければいけませんね。
投稿: SYUNJI | 2018.12.04 22:40