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聴いてない 第241回 キム・ワイルド

女性ボーカリスト全般に疎いあたくしですが、この人もまた例にもれず聴いてません。
キム・ワイルド、聴いてるのは92年の「Million Miles Away」という1曲のみ。

存在はわりと早くから知っていたような気はするが、FMでふんだんにエアチェックしたり雑誌で頻繁に目にしたりといった人ではなかったと思う。
顔もレコードのジャケットなどを目にしていたので覚えてはいたが、事務所の戦略だったのか基本的に不満そうな表情(失礼)で、笑顔のイメージはない。
どこかSF映画の冷酷な悪役女性みたいな感じだと思っていた。

「Million Miles Away」はFMではなく、MTVの音声をテープに録音したのだった。
しかしテープが傷んでいたのか音飛びが発生してしまい、それで記憶に残っているという失礼かつ不本意な結果に終わっている。

これまでBLOGで採り上げてきたアーチストの大半が「自分が知らないだけで実はものすごい人気のスーパースター」だったりするので、キム・ワイルドもたぶんそうなんじゃないか・・?とおそるおそる調べてみたら、やっぱりそうでした。すいません・・・

キム・ワイルドは1960年11月ロンドン生まれ。
父親は歌手のマーティー・ワイルド。
母親もコーラスグループ所属の歌手、弟(兄と書いてあるサイトもあり)のリッキーも歌手・プロデューサーという音楽一家である。

81年にシングル「Kids In Ameica」でデビュー。
全英2位・全米25位を記録し、デンマークやアイルランドでは1位を獲得するなどヨーロッパ各国でも大ヒットとなった。
デビューアルバム「Kim Wilde(誘惑のキム)」は、父親マーティと弟リッキーが曲の大半を作詞・作曲し、リッキーがプロデュースを担当。
時代なんだろうけど、やっぱ邦題はダサい。
鋭いロックをまだあどけなさの残る美貌のブロンドが歌う、というミスマッチな魅力を狙っていたとされる。

82年のセカンドアルバム「Select」は、シンセサイザーを多用したポップ・ニューウェーブにシフト。
83年には日本の清涼飲料水のテレビCMに出演し、土屋昌巳がプロデュースした「Bitter Is Better」もヒットした・・ということですけど、すいません、全く覚えてません・・

ここまでは順調に進んできたキム・ワイルドだったが、アメリカ市場を意識してかダンスに路線変更。
しかしこれは裏目に出て、83年のアルバム「Catch As Catch Can」は全英最高90位にしかならず、続く「Teases & Dares」も全英66位・全米84位という悲しい結果に終わる。

低迷を脱出したきっかけは、86年発表のシュープリームスのカバー「You Keep Me Hangin' On」であった。
当時流行のディスコ調エフェクトで彩られたサウンドが世界中で大ヒットを記録し、キム・ワイルドは全米1位という自身初の快挙を達成。

88年に新曲「You Came」のプロモーションで来日。
あの11PMにも出演したそうだが、残念ながら記憶にない。
番組は見てたのかもしれないが、たぶん村上麗奈とかうさぎちゃんの登場を固唾を飲んで待っていて、キム・ワイルドはスルーした可能性が高い。

で、いよいよワールドクラスのスターの地位を確立・・かと思われたが、その後は意外に浮き沈みの激しい展開。
90年のアルバム「Love Moves」はアコースティック寄りに転向したことで、全米37位・全英24位といまいちな結果に終わる。
続く92年の「Love Is」もトップ10入りは果たせなかった。
自分が聴いた「Million Miles Away」はこのアルバム収録である。

93年にベスト盤「The Singles Collection 1981-1993」を発表。
シングル「If I Ccan't Have You」は全英12位・全豪(という言い方はチャートではあまりしないけど)3位のヒットを記録した。

しかし。
95年のアルバム「Now & Forever」”は全米114位・全英68位というかつてないほどの惨敗。
ここから活動はしばらく停滞し、新盤発表もなくなる。
2001年にまたベスト盤「The Very Best Of Kim Wilde」を作るなど、過去の財産を切り売りするような状況となる。

2003年に久々のシングル「Anyplace, Anywhere, Anytime」を発表。
あのネーナとデュエットしたことが話題となり、ヨーロッパ各国で大ヒット。
この影響からか、06年のアルバム「Never Say Never」は特にドイツで好評だったそうだ。
・・ネーナとキム・ワイルドがデュエットしてたなんて知らなかった・・
これ日本ではリリースされたんですかね?

2010年以降も活動は継続しており、2013年にクリスマス・アルバム「Wilde Winter Songbook」を発表。
企画盤のためセールスとしては全く話にならないレベルだったらしいが、本人はもうチャート入りなどどうでもいいことのようだ。
今年の3月にも「Here Come the Aliens」をリリースしている。

いろいろアップダウンはあったものの、世界的ヒット曲をいくつも持つシンガーであることは間違いないようだ。
全然知らなかったけど。
ただ日本では同じ時代に女性シンガーとしてマドンナシンディ・ローパーシーナ・イーストンオリビア・ニュートン・ジョンなんて人たちが活躍していて、これらの強敵を押しのけてFMや雑誌やMTVにぐいぐい露出する・・というのはかなり厳しかったと思われる。

聴いてない理由は単に機会がなかったからだけど、声やビジュアル面でも好みではなかった点もあるとは思う。
柏村武昭がもう少し推してくれていれば違った展開もあり得たのに・・(毎度)

変わった経歴?としては、キム・ワイルドは「世界で最も高いところで行われたライブ」の記録保持者だそうだ。
2013年にイギリスの航空会社が企画したイベントで、スパンダー・バレエのトニー・ハードリーとともにキム・ワイルドが飛行機に乗り、観客128人を前にライブを行った。
この時の高度が上空43000フィート(約13km)で、「世界で最も高いところで行われたライブ」の記録を更新したそうです。
飛行中の機内なんてキーンというノイズが鳴りっぱなしで、音響としても相当な悪環境だと思うが、ファンからすれば間近で歌うキム・ワイルドと世界記録達成を同時に共有できて、それは素晴らしい体験だったんだろう。

そんなわけで、キム・ワイルド。
今日本でふつうに手に入るかどうかもわかってませんが、聴くとしたらデビューアルバムか、むしろ売れなかったと言われてるアコースティック寄りの作品のほうが聴きやすいのではないか・・とぼんやり考えています。
みなさまの鑑賞履歴はいかがでしょうか?

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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。
キム・ワイルドですが、名前しか知りません。多分、FM誌の特集で
見ていたのだと思います。

ユーチューブで「You Keep Me Hangin' On」と「You Came」を
見ました。両方とも80年代調で結構いいですね。
デボラ・ハリーみたいなものかと思っていましたら、全然違いました。

ただ、今から追いかけるのはちょっと・・・という気もします。ごめんなさい。

>>日本では同じ時代に女性シンガーとしてマドンナやシンディ・ローパー
(略)
>>というのはかなり厳しかったと思われる。

これも大きいです。当時私は中高生。FMで録音するにも、カセット代が
かかります。中高生としては厳選して録音、という感じでした。
私の場合、録音して、それを聞いて、気に入らなかった消去、という
選択肢はありませんでした。録音→保存版(たまにダビング編集)で
やっておりました。
今のようにアマゾンやユーチューブで試聴する環境があれば、また違う
展開があったと思います。

投稿: モンスリー | 2018.09.09 09:55

モンスリーさん、こんばんは。

>キム・ワイルドですが、名前しか知りません。多分、FM誌の特集で見ていたのだと思います。

やはりそうでしたか。
同じような状況ですね。

>デボラ・ハリーみたいなものかと思っていましたら、全然違いました。

デボラのような妖艶路線ではなかったと思いますが、似てる人もあまりおらず、どこか独特で孤高なイメージがありました。イメージだけですけど・・

>FMで録音するにも、カセット代がかかります。中高生としては厳選して録音、という感じでした。

そうですねえ、自分の好きなアーチストの曲がいつかかるかわからないので、厳選せざるを得なかったですね。
FMで1曲だけ聴いてレコード借りに行くのも勇気がいりましたし。(大げさ)

>今のようにアマゾンやユーチューブで試聴する環境があれば、また違う展開があったと思います。

確かに能動的に試し聴きができる、というのは当時全くなかった環境ですね。
もし当時今と同じようなネット環境があったとしたら、自分の場合、曲鑑賞に向き合う集中力は半分以下だったと思います。
その条件でキム・ワイルドに興味がわいたかどうかは全くわかりませんが・・

投稿: SYUNJI | 2018.09.09 20:58

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