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聴いてみた 第143回 ブロンディ

今回聴いてみたのはブロンディ
さりげなく書いてますけど、このバンドのアルバムをまともに聴くのは初めてである。
中学生の頃からデボラ・ハリーの顔と体つきにだけ反応し続けてきて、アルバム鑑賞なんかほったらかしだったのだが、今回ようやく「Eat To The Beat(恋のハートビート)」を聴くことができたよ。(手遅れ)

Eat_to_the_beat

「Eat To The Beat」は79年発表の4枚目のアルバム。
全英チャートで見事に1位を記録した名盤である。(全米は最高17位)
前作「Parallel Lines(恋の平行線)」に続いてプロデューサーにマイク・チャップマンを起用。
チャップマンさんは田村信の漫画の主人公・・ではもちろんなく、ナックの「My Sharona」を手がけたことでも有名。
前作で開花した多様性がさらにレベルアップし、Amazonのレビューでも高く評価している人が多い。

知ってるヒット曲も多数あり、おそらく困惑するような結果にはならないだろう。
聴いてみたシリーズ、聴く前からこれだけ精神的に余裕のある作品は初めてである。
ふんぞりかえって聴くことにした。

・・・・・聴いてみた。

1.Dreaming
オープニングにふさわしいノリのいい大ヒット曲。
あらためて聴くとキーボードの音が効果的だと感じる。

2.The Hardest Part
シングルにもなっていた曲だそうだが、これは初めて聴く。
やや辛口なナンバー。
エンディングで拍が足りない部分があるような気がしたけど、違います?

3.Union City Blue(涙のユニオン・シティ)
数あるシングルの中でも好きな曲。
ユニオン・シティはニュージャージー州の都市だが、ニューヨークの隣にあり、マンハッタン島からハドソン川を渡ったところに位置する街。
プロモ・ビデオにも都市の風景や自由の女神が映っている。
どこか都会的な香り漂うサウンドがいい。
レディオヘッドがカバーしているそうだ。

4.Shayla
実はブロンディで一番好きな曲がこれ。
シングルカットはされておらず、隠れた名曲だ(と思っている)。
前の曲と音の雰囲気は似ており、ライブでも続けて歌うことがあった。
歌詞は名前でなく番号でしか呼ばれない工場で働く娘が、工場をやめてどこかに行ったという少しさびしい内容。

5.Eat To The Beat(恋のハートビート)
一転パンクなタイトルチューン。
そのせいかどうか不明だが全英チャートでは1位を記録している。
「Eat To The Beat」とはどういう意味かと思ったが、歌詞カードの訳では「ビートに合わせて食べるのよ」となっている。
何を意味しているのだろう・・

6.Accidents Never Happen
初めて聴く曲。
流れは前の曲に近く、疾走感に満ちたロック。
ただメロディはそれほど抑揚はなく、意外に地味。
エルビス・コステロの「Accidents Will Happen」という曲へのアンサーソングという噂もあるそうだけど、本当?

7.Die Young Stay Pretty(青春のときめき)
南国調のサウンド、レゲエっぽいリズム。
プロモ・ビデオの映像をうっすら覚えている。
なんとなくブロンディっぽくなくて誰かのカバーなのかと勝手に思っていたが、これもデボラとクリス・シュタインの作品。

8.Slow Motion(素敵な時間をスローモーション)
フレンチっぽいオシャレなサウンド。
タイトルに反してリズムはわりとキャッチーである。
奥のほうで控えめに鳴るキーボードが意外にいい感じ。

9.Atomic(銀河のアトミック)
デボラのお色気(死語)全開の一曲。
音はアメリカっぽい気がするけど、売れたのはやっぱりイギリスで、きちんと1位を獲得。
(全米は最高39位)
デボラの「・・・Atomic」という低くてエロい声が印象的だが、リズムを刻むドラムとしゃりしゃり鳴り続けるシンバルが楽曲をよりきらびやかに彩っており、結構凝った造りだ。
ダサい邦題が一周回って今は秀逸に思える。

10.Sound-A-Sleep
アルバム中唯一のスローバラード。
初めて聴いたが、非常にいい。
シングルカットされてもヒットしていただろう。

11.Victor
前の曲とは真逆のガサツな雰囲気。
男どものむさ苦しいバックコーラス、デボラがヤケクソ気味にシャウト。
ここまで散りばめられたヒット曲や極上のバラードに比べてずいぶんひねった感じ。

12.Living In The Real World
同じノリのまま加速してパンクロック。
この終盤の流れは少し好みからは遠い。

以下はボーナストラック。
13.Die Young Stay Pretty (青春のときめき:Live)
14.Seven Rooms Of Gloom (BBC Live)
15.Heroes (Live)
16.Ring Of Fire (Live)

ボーナストラックはいずれもライブだが、グラスゴーやロンドンなどイギリスでの公演らしい。
思ったより音が安い感じで、逆に臨場感がある。

聴き終えた。
曲ごとの好みの差はもちろんあるが、やはりバラエティ豊かなアルバムである。
バンドの特徴そのものでもあるが、パンク・ロック・レゲエ・バラード、どれもクオリティが高くゴージャスな仕上がりだ。

ただ初めて聴く曲に、よいと思える作品が意外に少なかった。
「Sound-A-Sleep」はいいと思うが、「Accidents Never Happen」「Victor」「Living In The Real World」などは特に楽しくなるような印象ではない。
もう1曲明るくノリのいい作品があればよかったのだが・・

しかしどんな曲でもデボラは器用に歌う。
加えて楽器や作り込みもしっかりしており、レベルの高い音楽だと思う。
クレジットを見ると、半分以上の曲作りにデボラとギターのクリスが参加しており、他の男どもはそれぞれ手分けして担当している状態。
少なくともデボラはただ歌うだけのエロいお飾り姉さんではなく、クリエイティブ面でもバンドを牽引するフロントウーマンである。
これまでずうっとデボラの顔とか露出の多い衣装しか見てこなかったんですけど、なんかすごくチカラのあるバンドだったんスね。(今さら)

このアルバムのオリジナル収録曲は全てプロモ・ビデオが作られているそうだ。
まあ映像の出来は70年代末なのであまり凝ったものではないようだが、この後やってくるMTV時代を見通しての戦略だったとすれば、先見の明があったということだろう。
エロいボーカルにばかり気を取られてましたが、ラップを初めてポピュラー音楽に大胆に採り入れて見事チャートインさせるなど、やってることはかなり野心的だったのだね。

気になるのがなぜかイギリスでの評判が高いブロンディ。
このアルバムも含め、セールスとしては本国アメリカよりもなぜかイギリスのほうが売れている。
見るからにアメリカンな人たちだと思うのだが、理由はよくわからない。

というわけで、ブロンディ「Eat To The Beat」。
おおむね想定どおりで余裕の鑑賞となりましたが、あらためてこのバンドの楽曲の多様性に気づかされました。
70年代のアルバムはあと3枚ありますが、全部聴いていきたいと思います。

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聴いてない 第234回 トリーネ・レイン

北欧のシルク姉さん、トリーネ・レイン。(大スベリ)
こんなあたしでも1曲聴いてるし、1枚だけだがアルバムジャケットもよく覚えているので、日本でも相当流行ったと思われる。
聴いたのはもちろん大ヒット曲「Just Missed The Train」。
昨日たまたま耳にしてトリーネ・レインを思い出した次第。
93年の曲だが聴いたのはその3年後くらい。
当時もうFMからのエアチェックなんか誰もやっておらず、自分もNOW系オムニバスCDで聴いた。
あともう1曲聴いてるはずだがタイトルが不明。
後で調べます。
聴いてない度は2。

「Just Missed The Train」はいい曲だったが、CDショップに大量入荷してた爆乳ジャケットには手を出さず、トリーネ・レインについてさらに掘り下げることはしていない。
繰り返しの言い訳になるが、聴いた当時はもうエアチェックもFMステーションもミュージックライフも卒業しており、自主的な音楽学習をほとんど行わなくなった時期にあたる。
なのであと5年登場が早ければおそらく違った展開になっていたと思う。
あのジャケットのイメージから、マドンナデボラ・ハリーのような妖艶路線(表現ダサ過ぎ)の人なのかと思ったけどそうでもないみたいです。

ということで25年(!)経った今頃トリーネ・レインについて、果てしなき手遅れ学習を敢行。
毎回恒例で当たり前だが調べてみると驚くような話が続出である。

トリーネ・レインは1970年サンフランシスコに生まれ、ノルウェーで育つ。
91年頃からノルウェーで活躍し始め、93年11月にソロデビューアルバム「Finders Keepers」発表。
このアルバムについてはどこのサイトでも全世界で60万枚売れたとあるが、内訳についてはあるサイトが「ノルウェーで20万枚」、別のサイトでは「日本で40万枚」などとなっており、総合するとノルウェーと日本でしか売れてないことになるけど合ってます?
いずれにしろ日本で本国以上のセールスを記録しており、ジャケットも大きく売り上げに貢献したと思われる。

96年のセカンドアルバム「Beneath My Skin」も30万枚中日本では18万枚売れ、同年来日コンサートが行われた。
さらに98年アルバム「To Find The Truth」を発表するが、セールス的には10万枚と伸び悩む。

ここから先の経歴はサイトによりニュアンスが少し異なる。
ウィキペディアでは「有名人としての生活に辟易」「活動を停止し2000年にアメリカ移住」「数年間リムジンのドライバーなどを経験」となっている。
しかし別のサイトでは「リムジン会社で運転手のアルバイトをしながらソングライターやプロデューサーとのネットワークを作っていった」と書いてある。
アメリカ移住・リムジン運転手は同じだが、芸能界がイヤで移住だったのか、さらなる夢を抱いて移住だったのかで話は大きく変わってくる気がするが・・・

諸説あるようだが、転機は意外なところから。
ケリー・クラークソンというアイドル歌手が2003年に「Just Missed The Train」をカバーしヒットしたことで、再びトリーネ・レインが注目されることになったらしい。
その後2004年にノルウェーでの野外フェス出演をきっかけに本格的に復帰し、ベストアルバム「The Very Best Of Trine Rein」も発表というハッピーな展開。
2010年に12年ぶりのシングル「I Found Love」とアルバム「Seeds of Joy」をリリース。
2011年3月にはノルウェーで東日本大震災復興支援チャリティコンサートを開催。
現在もノルウェーで音楽活動を続けているそうだ。

もちろん知ってた話はひとつもないが、本国より日本のほうが多く売れたアルバムがある、というのはかなりすごいことのように思う。
トリーネ・レイン本人も日本に対して良い思いでいるであろうし、そうしたことが復興支援コンサート主催などの行動にもつながっているのだろう。

「Just Missed The Train」しか聴いてないが、歌唱力は非常に高いものがある。
シンディ・ローパースティービー・ニックスのような特徴的な声ではないが、情感こめてひきずるように歌うボーカルは聴いていて安心する。
またセールスとしてはマライア・キャリーセリーヌ・ディオンには及ばないだろうが、個人的にはあの2人よりもトリーネ・レインの声のほうが好きである。
ちなみに「Just Missed The Train」はトリーネのオリジナルではなくダニエル・ブリズボワという人の作品で、94年にダニエル自身がセルフカバーを発表しているそうだ。

トリーネ・レインについて調べていくと、度々名前が見つかるのが椎名林檎だ。
椎名林檎は中学生の頃に「Just Missed The Train」を聴いて歌を作ろうと決心し、高校2年生でヤマハ主催の音楽フェスティバル全国大会にバンドで出演、この曲を歌い激励賞を受賞したとのこと。
椎名林檎のアルバムには「Just Missed The Train」に似ている曲もあるようなので、トリーネ・レインに強く影響を受けているのは間違いなさそうである。

というわけで、トリーネ・レイン。
オリジナルアルバムは今のところ4枚なので、「Finders Keepers」から順番に聴けばいいだけの話だが、ベスト盤でお手軽に学習してしまう予感もする。
みなさまの鑑賞履歴はいかがでしょうか?

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