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聴いてない 第233回 J.D.サウザー

ウエストコーストの黄金期を支えた一人、J.D.サウザーことジョン・デビッド・サウザー。
全然聴いておりません。
聴いているのは誰でも知ってる大ヒット曲「You're Only Lonely」だけ。
この曲はほぼリアルタイムで聴いたはずだが、エアチェックできたのはなぜかライブバージョンだった。
長いことスタジオバージョンのオンエアを待っていたのだが、柏村武昭はその少年の思いにこたえてはくれなかった。

ジェームス・テイラーとの共作「Her Town Too(憶い出の町)」もエアチェックはしたが、この曲はジェームス・テイラーのアルバム収録曲なので、J.D.サウザー名義では実質1曲しか聴いていない。
聴いてない度は2。

J.D.サウザーはイーグルスを学習していれば必ず登場する人物である。
・・・という話だけはこっそり知っているが、具体的にどう関係していたのか詳しくは知らない。
というわけで、このまま表層的知識だけでやっていくのもオトナとしてどうかなと思いまして(ウソ800)、略歴を調べてみました。

ジョン・デビッド・サウザーは1945年デトロイトに生まれ、あのザ・ファンクスの故郷テキサス州アマリロで育った。
若きジョン・デビッドは音楽で身を立てることを決意し20歳でロサンゼルスに移住。
ここで偶然同郷のグレン・フライに出会い、共同生活を始める。
68年グレン・フライとともにロングブランチ・ペニーウィッスルという名でユニットを結成し、70年にアルバムも発表。
しかしユニットはアルバム1枚で解散となり、グレン・フライは71年にイーグルスを結成する。
J.D.サウザーはグレンと決別したわけではなく、その後も互いの活動に参加協力していく。

72年、グレン・フライも参加したソロアルバム「John David Souther」を発表。
しかしセールスはいまいちだったため、レコード会社の意向もあって74年には元バーズのクリス・ヒルマン、元バッファロー・スプリング・フィールド、ポコのリッチー・フューレイとともにバンドを結成。
メンバーの名をつなげたサウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドは2枚のアルバムを残すが、思ったほど売れず解散。
バンド解散後もイーグルスの曲作りに協力したり、リンダ・ロンシュタットのプロデュースを手掛けたりといったスタッフとしての活動を続けた。

ソロに戻ったJ.D.サウザーは76年にリンダ・ロンシュタットやデビッド・クロスビー、イーグルスのメンバーが参加したアルバム「Black Rose」を発表。
さらに79年「You're Only Lonely」をリリース。
ジャケットはうつむき加減で立つJ.D.サウザーの姿で、当時流行のAOR感に満ちた絵はあちこちの貸しレコード屋でよく見かけたものだ。(借りませんでしたが・・)
ただし内容はAORというよりややロック寄りな曲が多いらしい。
同名シングルは全米7位を記録する大ヒットとなり、日本でもその名を知られることとなる。

「You're Only Lonely」は確かに名曲だと思う。
おだやかな旋律は当時極東の貧乏中学生だった自分が聴いても心温まるものだったし、友達の間でも人気があったことを覚えている。
ロイ・オービソンの影響を強く受けた曲だそうだが、わかるような気もする。
(ロイ・オービソンもあまり聴いてませんけど)

だが。
全米7位のヒット曲を持ちながら、80年以降のソロ歌手としての活動はかなり控えめである。
アルバムは84年の「Home by Dawn」、その次がなんと24年後の2008年「If the World Was You」。
ただし24年間表舞台から姿を消したわけではなく、他のミュージシャンとの活動は続けていたようだ。
以降のソロアルバムは2009年の「Rain」、2011年「A Natural History」となっている。

最近も2014年9月にテネシー州ナッシュビルでの「アメリカーナ・ミュージック・アワード2014」でジェームス・テイラーと共演。
2015年にはアルバム「Tenderness」も発表し、ビルボード東京や大阪で歌ったりしている。

・・・というわけで、やはり知らない話ばかりであった。
リンダ・ロンシュタットとの交流もどこかで聞いたような気はするが、一時期恋仲にあったりリンダに捧げる曲を書いたりといった深い情報までは知らなかった。

45年以上のキャリアでリリースしたソロアルバムは10枚に満たないことになる。
なんとなくわかってきたが、この人はソロ歌手としてのゴージャスな立ち位置をあまり好まないようだ。
いい曲を作って友達に歌ってもらって売れたら自分もハッピー、みたいな裏方志向のミュージシャンなのだろうか。
スパンコール付きの衣装でステージ上を回転しながらスポットライト浴びたり、ホテルの窓から裸の女を投げ捨てたり、バックステージでメンバー同士殴り合って血だらけでアンコール登場といったことは苦手なんだと思う。

J.D.サウザーが制作に参加したイーグルスの主な名曲は以下である。
・Doolin-Dalton
・James Dean
・Best Of My Love(我が愛の至上)
・New Kid In Town
・Victim Of Love
・Heartache Tonight
・The Sad Cafe

最近の来日公演ではこれらイーグルスの名曲も歌ったりしたそうだ。

不思議なのはイーグルスにどうして加入しなかったのか?という点。
ジャクソン・ブラウンもそうだが、メンバーとの親交も深く、これだけ数々の名曲も手掛けてきたのであれば、「オマエも入れよ」とか「じゃあオレも入るかな」という流れになってもおかしくない気はするが・・
イーグルスもモメ事の多いパープルっぽい団体だったので、純粋に音楽は追求するけどグレンやドン・ヘンリーともめたりするのは御免だと思ってたんだろうか?
ランディ・マイズナーが加入に反対だったとかレコード会社が認めなかったとか、いろいろ楽しそうな話もあるようだが・・

というわけで、J.D.サウザー。
今さらですが聴くとすれば当然まずは「You're Only Lonely」でしょうけど、他にもおすすめのアルバムがあれば教えていただけたらと思います。

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コメント

お邪魔します。

J.D.サウザー好きです。
派手さはありませんが、優しい声で大人な雰囲気ですよね。
「なんとなく、クリスタル」も通過しているのでA.O.R.も聴いてました。(笑)

”You're Only Lonely”は
カーラ・ボノフの2ndと一緒に買った覚えがあります。

オススメは
”Black Rose”
”You're Only Lonely”
と提供曲をカバーしたりしてる”Natural History”

投稿: tatsuroman | 2018.01.29 11:47

SYUNJIさん、こんばんは。
イーグルスの最重要関係者として名前が出るJ.D.サウザー。
紹介されている「You're Only Lonely」は、日本でCD化された
頃に、イーグルス学習の一環で聞いています。CDは手放しました
が、iPod用の音源がありますので、聞き直しました。

聞き直して、なぜ手放したのか思い出しました。
もっとロック的なもの、イーグルスで言えば「Heartache Tonight」
的なものを期待していたのです。実際には、大人の甘いメロディ
が多いです。日本で人気の出るAOR的なものを感じました。
ヘンリー以上に甘いボーカル、カントリータッチの曲、今聞くと
とてもよいですが、今聞き直しても「もうひとつ強力な何かがほしい」
と思ってしまいます(ファンの方、ごめんなさい)。

それにしても、サウザーが協力したイーグルスの曲は素晴らしい
ものばかりです。特に「サッド・カフェ」は、サウザーを含めた
当時の仲間たちのことを歌っているはずであり、イーグルス
有終の美を飾る曲だと思います。イーグルスに解散コンサート
があれば、最後に歌うのは「ならず者」ではなく、
絶対のこの曲にすべきです。
それから、イーグルスの2007年のスタジオ作品に
「ハウ・ロング」という曲を単独で提供していますが、
他のメンバーよりイーグルスらしい曲(笑)で好きです。

投稿: モンスリー | 2018.01.29 21:03

tatsuromanさん、コメントありがとうございます。
守備範囲が広いですね。
まあ自分が狭すぎるんですけど・・

>派手さはありませんが、優しい声で大人な雰囲気ですよね。

そうですね、1曲しか聴いてませんけどそう思います。
なのでイーグルスの「Heartache Tonight」制作にも関わったと聞いて少し意外でした。

>提供曲をカバーしたりしてる”Natural History”

やはりそうですか。
たぶん自分にもこれが一番聴きやすいと思われます。
知ってる曲多いし。
ただどうしてもイーグルスと聴き比べになるでしょうから、先に聴くべきはおすすめの「Black Rose」「You're Only Lonely」ですね。

投稿: SYUNJI | 2018.01.29 21:46

モンスリーさん、こんばんは。

>もっとロック的なもの、イーグルスで言えば「Heartache Tonight」的なものを期待していたのです。

あれ、そうなんですか?
ネットでは半分くらいはロック寄りな曲だという評価もありましたが・・

>日本で人気の出るAOR的なものを感じました。

そうなると自分には微妙なところですね。
いい曲でいい歌声であることは間違いないと思いますが・・
若い頃はいわゆるAOR系の音楽も気に入っていた(と思っていた)時期もありましたが、BLOGを始めて以降はやはりハードロック優勢であることを自覚しました。
聴いてみないことには何もわかりませんけど。

>それにしても、サウザーが協力したイーグルスの曲は素晴らしいものばかりです。
>特に「サッド・カフェ」は、サウザーを含めた
当時の仲間たちのことを歌っているはずであり、イーグルス有終の美を飾る曲だと思います。

同感ですね。
解散を前提に作っていたわけでもないと思いますが、結果的に解散前のアルバムのラストになってますね。
J.D.サウザー参加の中ではやはり「Heartache Tonight」「The Sad Cafe」が好きです。

投稿: SYUNJI | 2018.01.29 22:12

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