行ってみた 第57回 函館・登別
2017年の首都圏の夏は正直異常でした。
きちんと記録を追ったわけではありませんが、8月の半分以上は雨で気温も上がらず、暑さで寝られないなどという日も数えるほど。
個人的には例年よりもラクでしたが、野菜やレジャー産業や家電販売など、多方面に影響は出たようです。
あとこれも個人的な感覚ですけど、世の中の人って思ったほど冷夏を記憶に残さない気がします。
そういうことはいちいち覚えてたらキリがないんで、「もう東京は毎年猛暑」と決めておいても日々の会話に何ら影響はないんでしょうね。
試しに忘年会あたりで「いやー今年の夏は暑かったよねぇ」などと話しかけると、おそらく大半の人が同意してくれると思うんですけど。
「いや、今年は冷夏だったよ」と正解を即答する人もあまりいないと思いますが、果たして?
そんなまぼろし冷夏のさなか、さらに低温な北海道に出かけてみました。
ここ数年は全都道府県制覇の野望を実現すべく山陰や北陸に遠征しており、主要な観光地はおおむね踏破済みの北海道には5年ほど行っておりませんでした。
ただし北海道と言っても広いので、場所によっては20年以上ご無沙汰という土地もあります。
今回は函館がまさに24年ぶりでした。
どちらかというと飛行機のほうが好きな自分ですが、函館まで昨年開業した北海道新幹線に初めて乗ってみることにしました。
東京から函館(正確には新函館北斗駅)は4時間程度。
その昔青函連絡船がだいたい4時間かけて青森から函館まで運行していたことを考えると、やはり早いです。
特に途中寝てたりするとホントにあっという間。
青函トンネルは20分間くらいで通過しますが、それ以外にもトンネルは多いので思ったほど感動はありません。
本当は函館市街で食事したかったのですが、今回は昼過ぎに新函館北斗に着く便だったので、車内で弁当を食う作戦を取りました。
無事に新函館北斗駅に到着。
駅前はホテルが1軒にレンタカー店が数軒あるくらいで、発展はこれからと思われます。
函館中心部までは鉄道でも車でも30分程度はかかる距離。
正直函館観光においては不便ですが、こうなった理由はやはりあるようです。
現在の函館駅は構造的に奥まった終着駅のため、札幌までの延伸を前提に新幹線駅を作るとどうしてもスイッチバックになってしまいます。
新幹線としては終着駅でもないのにスイッチバックだと、運転士の交代か移動により停車時間も長くなり、何かと不都合。
(そもそも新幹線ではスイッチバック運行は認められていないそうですけど)
現五稜郭駅を新幹線駅とし、スイッチバックしてでも函館駅に新幹線車両を乗り入れさせたらええやんけという意見もあったようですが、そうなると建設費約1千億円が全額地元負担となり、北海道からは現実的にムリとの回答があったそうです。
ということで、今後札幌まで延伸した時にも停車時間が短くて済むよう新函館北斗駅を作ったとのこと。
新函館北斗駅でレンタカーを借り、市街地へ。
赤レンガ倉庫や正ハリストス協会などを24年ぶりに見てまわりましたが、脳も24年分劣化しており記憶はほとんどありません。
五稜郭に行ってみました。
正確には五稜郭タワーに登っただけですけど。
ここも24年ぶりのはずですが、外壁も中身も非常にきれいになっていました。
後日友人から教えられて初めて気づいたのですが、以前よりも展望台が高くなったそうです。
調べてみると初代タワー展望台は高さ45m。
2006年に新しく開業した現タワーの展望台は90mと倍になっています。
言われてみれば確かに記憶にあった五稜郭よりも全景がよく見えました。
最近東京スカイツリーなどにもある「足元の床が透けて見える」ポイントが、五稜郭タワー展望台にもありました。
と言っても床が網状ではなく、透明アクリル板でできてる状態。
基本的にこの手の場所には恐怖を一切感じないタチなので、どすどす近寄って足の真下の風景を眺めていました。
たぶん網状の床でも喜んで飛び跳ねたりすると思います。(変態)
五稜郭は長いこと「星形の西洋式城郭」くらいの知識しか持ってませんでしたが、最近少しずつですが幕末に関する本を読むようになり、榎本武揚や土方歳三に関する情報も仕入れるようになりました。
当たり前ですけど、こうした歴史的背景をふまえて史跡をめぐると印象が全く違ってきます。
というか本来史跡見学はそういうもんですね。
中年になってやたら京都に行くようになりましたが、実は歴史に関する教養は中学生レベルのままなので、いずれ改めようとは思っています。(思うだけ)
この日の宿は五稜郭に近いホテルネッツ函館。
調べたら平成20年4月開業だそうですが、印象としてはもっと新しい気がしました。
ホテルのそばの「いか清」というイカ自慢の居酒屋に入ってみました。
今年はイカ漁も始まった時期は記録的不漁などと言われたものの、8月に入って盛り返したようです。
イカそうめんやメンチやまかない丼やゲソ焼きなどどれもおいしくいただきました。
イカ料理を堪能した後、市電とロープウェイを乗り継いで函館山に登ってみました。
この日は晴れだったので夜景コンディションは万全。
函館の夜景を見るのは3回目ですが、24年前に登った時は霧で視界がいまいちだった記憶があります。
また山頂に行く手段にはバスやタクシーもありますが、やはりロープウェイがおすすめ。
バスは値段が安いものの、混雑していると時間も意外にかかる上、暗い山道をぐりぐり登るのでうっかりすると酔います。
日本や世界の三大夜景にもよく数えられる函館。
確かに長崎や香港の夜景も見事ですが、函館は両側が海という特殊な地形で街がコンパクトにまとまっているので、個人的には世界一でいいと思っています。
翌朝は曇り。
大沼公園に行ってみました。
大沼周辺は昔とそれほど変わっていませんでした。
駒ヶ岳は相変わらず雄大で、大沼の湖面に美しく反射しています。
空が青ければもっといい景色。
「ハーベスター八雲」というレストランに寄ってみました。
ここも以前来たことがありますが、その時はお茶を飲んだだけでした。
当時はケンタッキー・フライドチキンの実験農場でしたが、2012年に実験農場ではなくなり、今は別会社が経営しているようです。
あまり深く考えずパスタやピザを食べましたが、後で調べたらここの目玉商品は今もチキンだそうです。
しまった・・
この店にはオープンテラス席があり、海の向こうには羊蹄山も見える絶景レストランです。
・・・が、確かに羊蹄山は見えましたが、やはり天気が悪いと眺めもいまひとつ。
室蘭にも行ってみました。
道内の著名観光地に比べて影が薄い土地ですが、室蘭にはひとつ強烈な思い出があります。
昔泊まったホテルのそばにあったラーメン屋でホタテラーメンを食べたのですが、このラーメンは今でも生涯で食べた中でも一番うまかったです。
おばちゃんが一人でやってる店でしたが、客は我々夫婦以外におらず、破壊力抜群のラーメンを堪能し、おばちゃんといろいろ話をして最後は記念撮影までしてしまいました。
自分は旅は好きですが、現地の人とのふれあいを楽しむといったマネは基本的にできないタイプの人間です。
なのでこの室蘭のラーメンは今でも忘れることのできない思い出です。
その後ネットで調べていくうち、この店は閉店してしまったことを知りました。
今回室蘭に立ち寄った時に店の跡地を訪ねてみようかと一瞬思いましたが、思い出はそのまま残しておくことにして、地球岬に進みました。
地球岬は「地球が丸いことを認識できる岬」という意味だと思っていましたが、それは後から付いた話で、もとはアイヌ語で「断崖」を意味する「チケプ」に由来しているようです。
灯台から海を見てみましたが、水平線は昔ほど丸くは感じませんでした。
天気が悪く水平線もいまいちボケて見えたせいかもしれません。
似たような地形に犬吠埼がありますが、こちらのほうが丸いことがはっきりわかる気がしました。
灯台のふもとには地球の枠がついた電話ボックスもあります。
地球とは関係ない話ですが、電話ボックスでテレホンカードを使って電話をかけたことがないという若者が激増してるらしいスね。
室蘭港で偶然豪華客船「飛鳥II」が停泊しているのを見かけました。
仙台から室蘭・釧路を回って仙台に戻るという航行のようです。
地元の人にとっても入港は珍しいらしく、港の駐車場には飛鳥IIを見に来た人たちが次々と現れ、写真を撮ったりしていました。
この日は登別温泉の「パークホテル雅亭」に泊まりました。
登別は何度か泊まったことがありますが、この宿はたぶん初めてです。
食事は全てバイキングでしたが、量や食べるものの調節ができるので最近はバイキングのほうがありがたいと感じます。
この日は客のほとんどが外国人(たぶん中国人)。
まあすでに夏休みも終わっている平日だったのでそんなもんでしょうけど。
ただその中国人の宿泊客も、日本の宿のスタイルにはかなり慣れていると思われました。
年齢層は様々でファミリーが多かったのですが、風呂でもバイキングでも目に余るようなマナーの悪さというものを感じることは全くなく、子供からお年寄りまで、温泉の使い方や食べ物を取る時にお互いに気を使うなどの所作はむしろ見事なくらいでした。
やはり北海道、それも登別温泉を目指してやってくる観光客は、おそらくは「初めて日本に来た」という人は少ないのではないかと思われます。
天気は残念ながらこの日から下り坂で、翌日以降毎日雨に当たることになります。
ということで旅はまだ続きます。
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