聴いてない 第227回 イギー・ポップ
孤高の淫力魔人イギー・ポップ。
なんか昭和のエロい映画みたいなキャッチですけど、みなさんの期待を裏切ることなく、全く聴いておりません。
というか名前しか知らず、人物像や資格や懲罰などの情報も全然仕入れてこなかった。
1曲も知らず、アルバムのタイトルもジャケットも一切思い浮かばない。
聴いてない度は孤高の1。
超難関大学というより、全国でそこしかない独特な研究をやってる謎の学部という感じ。
自分みたいな万年ド素人がたしなむようなアーチストではないのだった。
イギー・ポップと聞いてうっすら前頭葉に浮上するのは「たぶん変わってる人」「なんかいつも上半身裸」といったイメージである。
これだけだと天龍でも飯伏でも真壁でも当てはまってしまうので、イギー・ポップについてマジメに経歴調査。
イギー・ポップは1947年アメリカのミシガン州に生まれる。
・・・出だしからつまづいてるけど、イギリスの人じゃないんですね。
イギーリスのポップな歌手だからイギー・ポップなのかと思ってました・・
本名はジェームズ・ニューエル・オスターバーグ・ジュニアという長い名前。
どこにもイギーもポップもない。
ウィキペディアには「ハイスクール時代にザ・イグアナズなるバンドを結成する」と書いてあるけど、もしかしてこれが芸名の由来なの?
あとバンド名は正確には「ジ・イグアナズ」じゃないの?
その後パイン・ムーヴァーズというバンドを結成(加入?)。
ドラマーとしてスタートするが、ジム・モリソンに憧れてボーカリストに転向。
67年には伝説の破天荒バンド、ザ・ストゥージズを結成する。
69年に元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルのプロデュースによりアルバム「The Stooges」でデビュー。
当時の流行音楽を全て否定したサウンドや、ステージでの暴力的なパフォーマンスで元祖パンクとして若者の支持を集める。
70年にはアルバム「Fun House」を発表。
ここでバンドはいったん解散し、73年に再結成。
「Raw Power(淫力魔人)」はデビッド・ボウイがミキシングで協力したアルバムとして知られる。
しかしイギーの奇行やメンバーの薬物中毒が問題となり、再び活動停止となる。
イギー・ポップ本人はストゥージズを「独創的だっただけ」ととらえていて、メンバー間でもめたりすることもない平和なバンドだったそうだ。
その後ドイツ・ベルリンでボウイとの共作活動を開始する。
77年ボウイのプロデュースでソロアルバム「Idiot(愚者)」「Lust For Life(欲情)」をリリース。
79年にはボウイの力を借りずに「New Values」を発表。
80年以降も毎年アルバムを出したものの、セールスとしては低迷する。
86年に再度ボウイの協力を得てアルバム「Blah-Blah-Blah」をリリース。
収録されていたシングル「Real Wild Child」とともにイギー史上最大のヒットとなる。
・・・86年だと自分も毎晩サルのようにエアチェックしてた頃なのだが、申し訳ないけどイギー・ポップがヒットを飛ばしていたことは全く知らなかった。
たぶん柏村武昭の趣味ではなかったのだろう。
めでたく大ヒットでがっちりお金も儲けたはずだったが、イギー本人は世間に迎合しすぎたと感じていたらしく、このアルバムもシングルも気に入らなかったようだ。
続く88年の「Instinct」で自らの望む方向性に戻したが、売り上げは当然前作に比べて落ちてしまい、レコード会社を移籍することになる。
移籍後第1弾として、90年にドン・ウォズがプロデュースした「Brick By Brick」を発表。
このアルバムにはガンズ&ローゼスのスラッシュとダフ・マッケイガンも参加し、新境地を開拓したと評価されたそうだ。
98年には日本で開催されたフジ・ロック・フェスティバルに登場。
2003年に29年ぶりにストゥージズを再結成し、2007年にはストゥージズとしてアルバムも発表。
イギー本人はストゥージズのピークをこの再結成後の頃だと認識しているらしい。
なおその後も2007年までフジ・ロックなど日本のロック・フェスに度々出演している。
だが2014年ストゥージズのドラマー、スコット・アシュトンが亡くなり、バンドとしては活動停止となった。
イギーは今もステージには上がり続けているが、ストゥージズ時代の曲はもう歌っていないとのこと。
毎度のことながら端から端まで全く知らない話であった。
逆になぜイギー・ポップの名前だけは知っているのかが不明。
FMステーションやミュージックライフでイギーの記事を見た記憶も一切ない。
「なんか変わってる人」というのはたぶん当たっているだろう。
まあロックやパンクの人はだいたい変わってるとは思うが、ライブでのセットリストを事前に決めずステージに上がってから決めたとか、マイクを放り投げて探しもしないとか、客席にダイブしてそのまま帰ってこないとか、いろいろ周りは大変だった人のようだ。
ちなみに江頭2:50はイギーのステージに強い影響を受けてあの芸風になった、という話もあるようです。
イギー・ポップを調べていくと、デビッド・ボウイの名前が頻繁に出てくる。
ボウイが亡くなった後、イギーはボウイについて「人生の光」だと表現したそうだ。
あまりパンクロッカーらしくないけど、いい話だなぁ。
イギーはボウイの協力で何度かアルバムを発表しており、またボウイの作品にもイギーが協力したりという間柄だったそうだが、おそらくはイギーの鋭すぎる個性・音楽性と一般大衆をつなぐ役割をボウイが果たしたのではないかと思う。
ボウイとの共作活動をしていた「ベルリン時代」に作った曲を、今でもイギーは一番気に入っているらしい。
というわけで、イギー・ポップ。
アルバムをじっくり聴いて味わうタイプのミュージシャンではなく、むしろ映像から入ったほうがよさそうな気もしますが、80年代産業ロックに汚染された自分がもし学習を始めるのなら「Blah-Blah-Blah」「Brick By Brick」あたりになるのでしょうか。
みなさんの鑑賞履歴やおすすめのアルバムをご紹介いただけたらと思います。
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コメント
SYUNJIさん、こんばんは。
ここ数年前から聴いています、CDではなくてyoutubeです(笑)
>「たぶん変わってる人」「なんかいつも上半身裸」といったイメージである。
凄く当たっています(笑)昔のStoogesのライブなんか観ると、いい意味でエネルギッシュ、だけど凄く独特で変な動き・・・(笑)
ちなみにステージダイブはこの人が最初だとか・・・
>ジム・モリソンに憧れてボーカリストに転向。
実際にライブを観て「俺にもあのパフォーマンスは出来るっ」て思ったそうです(笑)
映画「トレインスポッティング」のオープニング曲の「just for life」がお勧めです。
>ちなみに江頭2:50はイギーのステージに強い影響を受けてあの芸風になった
それは初耳ですね、まさにエガちゃん!!
イギーの昔のライブ映像はあんな感じです(笑)
投稿: bolero | 2017.08.11 20:06
おーっ、イギー・ポップ!!
一部のアルバムは無茶苦茶大好きですっ!!
初めての出会いは30年以上前ですが、忘れもしない『セブンイレブン』。
有線放送で流れていて、あまりのカッコ良さに一目惚れ……じゃなくて
一聴惚れ? しました。
「これ、誰っ!? ボウイっぽいけれど、こんな曲は知らない。
って事は新曲!? でもボウイが新曲出す話聞いてないし……」と、
ずーっと気になっていました。
その後ラジオでも耳にしてイギー・ポップの"Cry For Love"と判明。
「Blah-Blah-Blah」収録曲です。
そうかぁ、あのアルバムが一番売れたんですか。
それ迄も「ボウイゆかりの人物」という事で名前だけは知っていたんですが
ちゃんと聴いた事はなかったんです。
なので、あれがイギーとわかって、しかもボウイがプロデュースしていると
知った時は、自分のセンスにうっとりしました(ばか)。
ボウイはイギーの事、大好きなんですよね。
ボウイは作品によって歌い方が全く違うんですが、
イギーそっくりに歌っている曲、結構あります。
冒頭では「ボウイっぽい」と書いちゃいましたが、
一時ボウイが大好きなイギーのマネをしていたんでしょう。
マネというか、影響受けまくったという感じ?
ボウイ度が高く、しかも80年代という事で私が一番好きなのは圧倒的に
「Blah-Blah-Blah」ですが、そんな事をイギー・ファンに言ったら
ナメられそうな気もします(汗)。
「Lust For Life」あたりは聴きやすく、しかもナメられず、
一般教養として身につけてる分にもよろしいのではないかと(笑)。
タイトル曲は映画『トレインスポッティング』の冒頭に使われています。
ロックファンは抑えておくべき名曲かも(^_-)。
主人公の部屋に飾ってあったのは「Raw Power」のジャケットの
ポスターだったような。
……『トレインスポッティング』ではなく
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の1シーンだったかな?
私にはストゥージズの良さはわからないです(^^;;;;;;)。
うー、布袋さんとの共演とか、語りたい事まだまだあるのですが……
この位で勘弁してあげましょう(笑)。
投稿: YAGI節 | 2017.08.11 22:41
boleroさん、コメントありがとうございます。
CDではなくてyoutubeってのが今風ですね。
>ちなみにステージダイブはこの人が最初だとか・・・
あーやはりそうですか。
今でこそ客席ダイブは日本のアーチストでも珍しくないですけど、元祖はイギー・ポップだったんでしょうかね。
>実際にライブを観て「俺にもあのパフォーマンスは出来るっ」て思ったそうです(笑)
それだとなんか話が少し違うような・・
憧れではなく自信だったんですかね。
>映画「トレインスポッティング」のオープニング曲の「just for life」がお勧めです。
なるほど。
イギーを検索するとこの映画と曲がよく出てきますね。
映画そのものは評価が分かれる作品のようですが・・
>イギーの昔のライブ映像はあんな感じです(笑)
本当ですか?(笑)
江頭が本当にイギーに影響を受けたのかはよくわかりませんが、検索するとやはり「似ている」と感じる人はたくさんいるようです。
投稿: SYUNJI | 2017.08.12 22:28
YAGI節さん、コメントありがとうございます。
きっとYAGI節さんは聴いておられると思ってました。
>これ、誰っ!? ボウイっぽいけれど、こんな曲は知らない。
>その後ラジオでも耳にしてイギー・ポップの"Cry For Love"と判明。
セブンイレブンで曲だけ聴いてボウイっぽいと感じたってところがすごいですよ。
ご自身のセンスにうっとりしてよいと思います(笑)
>「Lust For Life」あたりは聴きやすく、しかもナメられず、一般教養として身につけてる分にもよろしいのではないかと(笑)。
YAGI節さんもこの曲推しですか。
やはりイギーの一般教養的な曲なんですね。
>布袋さんとの共演とか、語りたい事まだまだあるのですが……
あ、そんな話もあったんですね。
そこまでは調べられませんでした。
イギー・ポップ、いろいろ幅広いエピソードがありそうですね。
とりあえず「Blah-Blah-Blah」からチェックしておこうと思います。
投稿: SYUNJI | 2017.08.12 22:49
SYUNJIさん、こんにちは。
イギー・ポップですが、名前と「Raw Power(淫力魔人)」の
ジャケットだけ知っています。なお、あのジャケットが
「Raw Power(淫力魔人)」というタイトルであることを、
今初めて知りました。
>>逆になぜイギー・ポップの名前だけは知っているのかが不明。
同じです。
なぜ知っているのか、自分でもわかりません。おそらく「名盤特集」
やらレコードコレクターズ誌の「70年代名盤100選」あたりで、
見ていたのかなと思います。
ちなみに、私も「裸の人」というイメージがあります。
裸の人が映っているジャケット、他にどんなのがあったかなと
思ったら、私の聞いている中では、
ブラインド・フェイス「ブラインド・フェイス」
ジミ・ヘンドリックス「エレクトリック・レディランド」
ロキシー・ミュージック「Country Life」(1回聞いただけ)
などがありました。(いつものように脱線ですみません)
投稿: モンスリー | 2017.08.15 16:43
モンスリーさん、こんばんは。
>名前と「Raw Power(淫力魔人)」のジャケットだけ知っています。
自分も名前とあのジャケットのイメージだけでした。
しかし「淫力魔人」という邦題のセンス、「原子心母」とは比較にならないほどダサいスね・・
>おそらく「名盤特集」やらレコードコレクターズ誌の「70年代名盤100選」あたりで、見ていたのかなと思います。
うーん、そうでしたか。
自分の場合80年代初めあたりからたぶん名前を知ってはいましたので、可能性としてはミュージックライフではないかとも思います。
が、写真や記事の記憶は全くありませんし、姉が聴いていたとも思えないので、結局謎のままですね。
>裸の人が映っているジャケット
あーブラインド・フェイスとロキシーは有名ですね。
ロキシーの「Country Life」の右の人は実は元男性だそうですが・・
あと裸ジャケットだとプリンスやニルヴァーナも思い浮かびますが・・
投稿: SYUNJI | 2017.08.15 21:55