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聴いてない 第218回 ジョン・デンバー

誰でも全く聴いていないジャンルはあると思うが、自分の場合カントリーはとにかく壊滅的である。
まあジャズもクラシックもフュージョンもシャンソンも同様に壊滅的ではあるが、カントリーも徹底して聴いていない。
テイラー・スウィフトが実はカントリーの人と知ったのもつい最近である。
そのカントリー界で、こんな自分でも名前を知っている数少ない歌手、それがジョン・デンバーである。

ジョン・デンバー、唯一聴いているのはド定番の「Take Me Home, Country Roads」。
邦題は「故郷へ帰りたい」だが、日本でも「カントリー・ロード」と認識してる人が多いと思う。
オリビア・ニュートン・ジョンがカバーしたことでも知られる名曲である。

唐突に思い出したジョン・デンバー、ネットで朴訥にざっくり調べた経歴は以下のとおり。
ジョン・デンバーは1943年ニューメキシコ州生まれ。
本名ヘンリー・ジョン・デュッチェンドルフ・ジュニアという長い名前。
父親ヘンリーは空軍のパイロットで、いわゆる転勤族であり、ヘンリー坊やも全米各地を転々として過ごしたそうだ。
一時家族は日本にも住んでいたことがあり、弟ロンは日本で生まれている。

若きジョン・デンバー、ヘンリー君はハイスクール時代に音楽活動に没頭するようになる。
しかしやはり父親は息子をパイロットにしたがって親子衝突というありがちな展開に。
ヘンリー君はいちおう軍の採用試験も受けてみるが、近視のため不採用となった。
その後は建築家を目指して工学系大学に進学するが、音楽活動もやめることはできなかった。

60年代前半にあるオーディションに合格し、ロサンゼルスで歌い始める。
この頃芸名であるジョン・デンバーを名乗り、ミッチェル・トリオというフォークバンドでボーカルをつとめた。
なお芸名デンバーはコロラド州にある都市名からとったものだ。
ジョン・コロラドだと語感がいまいちな気がするので、デンバーさんで正解だったんじゃないだろうか。

その後ジョン・デンバー作の「Leaving on a Jet Plane(悲しみのジェット・プレーン)」をピーター・ポール&マリーが大ヒットさせ、69年に見事全米1位を獲得。
71年には友人たちとの共作「Take Me Home, Country Roads」がミリオン・セラーを記録。
全米のみならず世界的なヒットとなり、ジョン・デンバーはカントリー歌手として不動の地位を確立する。

その後「Rocky Mountain High」「I'd Rather Be A Cowboy(さすらいのカウボーイ)」「Sunshine on My Shoulders(太陽を背にうけて)」「Annie's Song(緑の風のアニー)」などの名曲を世に出し続け、全米を代表するカントリー歌手として活動。

一方でテレビドラマシリーズ「警部マクロード」に出演し、俳優業も始める。
「Oh, God!」「「The Christmas Gift」「The Leftovers」「Foxfire」などの映画にも登場し高い評価を得た。

だが。
80年代以降、全米チャートはキラキラなダンスやチャラいポップ中心となり、ジョン・デンバーの曲が上位に登場することはほとんどなくなった。
この頃からジョン・デンバーは反戦や環境保護活動に力を注いだり、スペース・シャトルの民間人搭乗計画に協力するなど、社会奉仕的慈善活動が多くなっていく。
大統領になるにはどうしたらいいか、ということを真剣に考えていた時期もあったらしい。
ミュージシャンとしてもソ連や中国でアメリカ人歌手として初めてツアーを行い、活躍の場を世界中に広げていった。

しかしながらアメリカ音楽市場においては大スターだった頃のセールスをあげることはかなわず、アルバムは出すものの商業的には非常に厳しい結果となることが続いた。
悲しいことに私生活も乱れ始め、病気になったり離婚したり飲酒運転でつかまったりと暗い話題で世間をにぎわすようなことが増えていく。

そして1997年10月。
小型自家用機を自ら操縦中に海上に墜落、53歳の若さで生涯を終えることとなった。

うーん・・・
もちろんどれも知らない話ばかり。
月並みな感想になるが、まるで映画のような人生である。
というかもしかしてすでに映画化や小説化されたりしてますかね?
歌と同様に素朴でおだやかな人生を送ってきた人なのかと思っていたが、やはりアメリカの芸能界はそんなに甘くないのである。
さすがにステージで火を吹いたりホテルの窓から女を投げたり逃げたグルーピーを寝台車の中で追いかけまわしたりはしてないみたいだが、浮き沈みはそれなりにあったんスね。
それにしても没後20年近く経つというのもけっこう驚きである。

最大のヒット曲「Take Me Home, Country Roads」はふたりの友人との共作だが、歌詞に出てくるウェスト・ヴァージニア州には、3人とも実は行ったことがなかったそうだ。
21世紀の今なら炎上必至な話だが、行ったことのない土地を想像して作った曲が大ヒットしてしまい、相当あわてたんじゃないだろうか。

一方「Rocky Mountain High」という曲は、ジョン・デンバーの故郷コロラド州アスペンへの愛着を現したものであり、2007年にはコロラド州の公式州歌に認定されている、といったことがウィキペディアに書いてある。
・・・あれ?
生まれたのはニューメキシコ州じゃないの?
故郷コロラド州ってスルっと書いてあるけど・・・
誰か校正したの?ウィキペディア。

まあセールス的には波も様々あれど、人気にあぐらをかいてふんぞりかえったり偉そうにしたり、というようなことはあまりなかった人のようだ。
アメリカのとある小さな田舎町で、たまたま「ジョン・デンバーそっくりさんコンテスト」が開かれていたのを知って、ジョン・デンバー本人はそっくりさんになりきって出場。
ところが本人なのに優勝できず5位に終わったそうだ。
これに似た話は他にもネットで見つかる。
テレビ番組のそっくりさんコンテストに身分を隠して出場したものの、審査員からキツイ評価を受け、出場者4人の中で最下位となった、という話。
伝わるうちに状況がいくつか変化した伝説という感じだが、根幹のところは事実だったのだろう。
ジョン・デンバー本人はコンテストで優勝できなかったことはあんまし気にしてなかったらしい。

ちなみにかなりあやふやな記憶だが、来日中のジョン・デンバーのテレビ映像をうっすら覚えている。
確かニュースのような番組であり、コンサート風景ではなく街中でファンに囲まれる姿なのだが、ジョン・デンバーは次々に握手を求めてくる日本のファンに気さくに応対していた。
そのファンに混じって握手してもらった女子高校生が、歓声をあげながらそばにいた友人に「ねえ、これ誰?」と大声で聞いていたのだった。
誰だか知らないけどなんか盛り上がってるし有名人っぽいから握手してもらおう、ということだったのだろうが、ジョン・デンバーはもちろんそんなことはわからずにこやかに握手していたのだ。

さて肝心の歌や楽曲。
カントリーの人は基本的に声につやがあってよく通る印象なのだが、ジョン・デンバーも全くその通りに聞こえる。
聴いてて精神的に安心するような声だ。
ガース・ブルックスはそうでもないが、アラン・ジャクソンは典型的なカントリーボイスというイメージ。
すごいハスキーなダミ声とか、舌足らずで甘ったれた鼻声のカントリー歌手っているんですかね?
音声学的に検証したわけではないが、カレン・カーペンターの声も、人の心を安心させるという点でジョン・デンバーと共通するものがあるように勝手に思う。

曲も「カントリー・ロード」のようなほのぼのサウンドであれば、あまり拒絶感はないような気はする。
ただし心がそんなにピュアな中年ではないので、アルバム1枚まるごと正座して聴けるのかどうか自信はあんましない。
退屈・物足りないといった感情がわく可能性も大いにあり得る。

カントリーというジャンルはアメリカの音楽の中で最も裾野の広い分野であり、ジョン・デンバーすら聴いてない極東のポンコシ中年には到底理解できるものではないだろう。
正直ベスト盤だけ聴いておくという安直な方法もあるけど、アメリカで大ヒットしたアルバムが、ゴールド・プラチナ合わせて20枚以上あるらしいので、どれか聴いてみてもいいかなとぼんやり考えている。

というわけで、ジョン・デンバー。
日本での人気が2016年現在どういう状態なのか見当もつきませんが、もしおすすめのアルバムがあればご指導いただきたいです。

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コメント

故郷に帰りたいが、オリジナルだったとは、知りませんでした。カントリーって、みんなトラッドだと思っていました。

あもーすと へーぶん うえすと じゅにあ って鼻歌歌ってたんですが、ウェストバージニアだとわかったのは、歌詞検索が出来るインターネット時代になってからです。故郷というより田舎道に連れてってという意味でしょうか。アイムソーリーという歌もありました。さすがに、すんまへんという和製タイトルをつけるわけにもいかなかったのでしょう。


オリビア・ニュートン・ジョン・デンバー コンビでフライアウェイって歌ってました。リアルタイムです。

投稿: nr | 2016.09.03 23:28

SYUNJIさん、こんばんは。

ジョン・デンバー=カントリー・ロード
これ以外のことは全く知りません。もちろん、他のヒット曲も
知りません。そもそも、「カントリー・ロード」ですら、
初めて聞いたのは多分ジブリ映画で使われた日本語カバーだった
と思います。(この映画の中では、オリビア・ニュートン=ジョン
のバージョンも出てきたような気がしますが、うろ覚え)

>>悲しいことに私生活も乱れ始め、

もったいない。実にもったいない話です。
もし健在でしたら現在72歳。
持ち直しさえしていれば、2000年以降はアメリカの小さい
コンサート会場を回って、かなりの人気者だったはずだと思います。

投稿: モンスリー | 2016.09.06 21:25

こんばんは、JTです。

実家に居たころ、兄がジョン・デンバーのライブアルバムを持っていたのでよく聞いていました。当時AMラジオでもよくオンエアされていました。

>「Leaving on a Jet Plane(悲しみのジェット・プレーン)」
>「Take Me Home, Country Roads」
>その後「Rocky Mountain High」「I'd Rather Be A Cowboy(さすらいのカウボーイ)」「Sunshine on My Shoulders(太陽を背にうけて)」「Annie's Song(緑の風のアニー)」などの名曲

I'd Rather Be A Cowboy以外の曲は知っています。

自分の音楽趣味がストーンズやクラプトンといった「ほのぼの」とは正反対の方向に振れていった頃には、ジョンデンバーの曲はあまりラジオでも聞かれなくなりました。

>カントリーというジャンルはアメリカの音楽の中で最も裾野の広い分野

そうですね。映画「ブルース・ブラザース」で、カントリー専門のライブハウスでジョン・べルーシがR&B(ギム・サム・ラビン)を歌い始めたら客からビール瓶が飛んできました(笑)。

ジョン・デンバーのライブ盤、聴きたくなりました。ビートルズの「マザー・ネイチャーズ・サン」もカバーしていて、ビートルズのバージョンよりこちらを先に聞いていました。ジョン。デンバーの方はバンドアレンジなので、後にビートルズ(ポール)のオリジナル・バージョンを聴いた時、なんだか大人しいなぁ、と思った記憶があります。

投稿: JT | 2016.09.07 00:35

nrさん、コメントありがとうございます。

>故郷に帰りたいが、オリジナルだったとは、知りませんでした。

そうでしたか。
自分はジョン・デンバーのオリジナルだと思ってましたが、共作だったとは知りませんでした。

>アイムソーリーという歌もありました。さすがに、すんまへんという和製タイトルをつけるわけにもいかなかったのでしょう。

そうですねぇ・・「すんまへん」じゃちょっと売れそうにないですね。
井上陽水の歌で「御免」ってのありましたけど・・

>コンビでフライアウェイって歌ってました。

これも知りませんでした。
ネットで映像見てみましたが、この曲も聴いたことがないですね。
オリビアは「カントリー・ロード」をカバーしただけでなく、別の曲を一緒に歌ってたんですね。

投稿: SYUNJI | 2016.09.07 21:34

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>これ以外のことは全く知りません。

そうでしたか・・自分も同じです。

>持ち直しさえしていれば、2000年以降はアメリカの小さいコンサート会場を回って、かなりの人気者だったはずだと思います。

そうでしょうね・・
セールス的には売れなくなってはいたものの、薬や酒で人として完全に破綻したわけでもなく、亡くなる直前まで全米各地を回って歌い続けていたようですので、存命であれば息の長い歌手として活躍していたんじゃないでしょうか。

投稿: SYUNJI | 2016.09.07 21:48

JTさん、こんばんは。

>兄がジョン・デンバーのライブアルバムを持っていたのでよく聞いていました。

そうですか・・今気づきましたけど、自分の敗因?は姉もジョン・デンバーを聴いてなかった点ですね。
仮に姉がレコードを持っていれば、記憶に残った可能性はあったと思います。

>ジョンデンバーの曲はあまりラジオでも聞かれなくなりました。

そうですか・・
まあ聴いてた番組にもよるとは思いますけど、自分もジョン・デンバーの曲をエアチェックできたのは「カントリー・ロード」だけでした。

>ビートルズの「マザー・ネイチャーズ・サン」もカバーしていて、ビートルズのバージョンよりこちらを先に聞いていました。

この話は今回ジョン・デンバーを調べて初めて知りました。(こんなんばっか)
これは聴いてみたいですね。
ビートルズのほうは確かにほぼポール一人の弾き語りで静かな曲ですよね。

投稿: SYUNJI | 2016.09.07 22:01

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