聴いてない 第217回 エイミー・ワインハウス
先月の話になるが、FMを聴いていたらエイミー・ワインハウスの特集をやっていた。
命日が7月13日で、それに合わせてドキュメンタリー映画「AMY」が日本でも公開されたのを受けての特集だったようだ。
エイミー・ワインハウスの歌を聴いたのは初めてだった。
名前と、破綻の上早逝したことしか知らない。
エイミー・ワインハウスの名前はどこで知ったのかは不明。
類まれなる才能を持ち、若くしてトップスターにのぼりつめたが、薬物やアルコール中毒で心身ともに破綻し、27歳でこの世を去ったという、映画のような人生。
ここまで突出した人だと、極東の万年素人の中年でも情報は入ってきていたのだった。
でも曲は全く聴いたことがない。
エイミーが亡くなったのを知ったのはたぶんネットだと思う。
頂点からの転落と27歳という若さでの死は、イヤでも話題になる。
しかも27歳というのが、これまた中高年が食いつきたくなる年齢。
ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリスン、カート・コバーンが亡くなったのがいずれも27歳だったため、エイミーも本人の意志に関係なく「27クラブ」に加入させられてしまった。
21世紀なのにまだこんなことが起こるんだね。
で、結局今に至るまで、クスリや早死にといったダークな情報しかふれて来ず、本業である歌や曲を一切知らずにいる。
FMで少し聴いた歌に特に感動したわけでもないが、その才能や芸術性を全く知らないのもなんとなく惜しい気がした。
そんなの全然エイミーに限ったことじゃないんですけど。
そんなアーチストのモメ事や死にざまに異様に興味を示すバチ当たりリスナーなあたしですが、モメ事以外も含めてエイミー・ワインハウスについて少し調べることにしました。
エイミー・ワインハウスは1983年9月14日イギリス生まれ。
1984年生まれと書いてる人もいるが、これは亡くなった2011年から単純に27を引いて1984年としただけだろう。
2011年7月に亡くなったので、あと少しで28歳になるところだった、ということになる。
両親はユダヤ人で、父はタクシー運転手(のちにジャズシンガーとしてデビュー)、母は薬剤師。
父親の名はミッチ・ワインハウスとなっているので、ワインハウス姓は本名なんだろう。
あまり聞き慣れない名前だけど、なんとなく芸名っぽいステキな響きである。
しかし家庭環境は複雑で、エイミーが9歳の時に両親は離婚。
その後演劇学校に通うが、卒業せず退学。
演劇学校の友人に協力を得てデモテープをレコード会社に送り、アイランド・レコードと契約を結ぶ。
2003年「Frank」でデビューし、シングル「Stronger Than Me」も高い評価を受ける。
しかし本人は精神的に不安定でアルコール依存となり、リハビリ施設への入退院を繰り返す。
ようやく復調した2006年にアルバム「Back To Black」を発表し、全英1位・全米7位を記録した。
この頃ビデオの撮影アシスタントをしていたブレイク・フィルダー・シビルという男と知り合い、2007年5月に結婚する。
残念ながらこのブレイクという人はまったくのポンコシヒモ男で、エイミーの稼ぎをあてにしてまともに働かず、さらにはエイミーにヘロインを教えたというB級映画みたいな悪いヤツだったそうだ。
結局エイミーは2008年1月に再びリハビリ施設に戻ることとなる。
リハビリ中に自分をモデルにした「Rehab」が大ヒットするという皮肉な展開に。
その後もブレイクとは別れたりよりを戻したりを繰り返す。
2010年11月にクインシー・ジョーンズのトリビュート・アルバム「Q:Soul Bossa Nostra」に参加。
結果的にこれが生前最後の公式作品となった。
2011年4月にはブレイクが別の女性と結婚し、夫婦としての関係は完全に終了。
エイミーは再起をかけてヨーロッパでライブを行うが、すでにまともにステージ上で歌える状態ではなく、ツアーは中止となる。
そして7月にロンドンの自宅で遺体となって発見され、27歳の生涯を閉じた。
死因はしばらくは不明とされていたが、2013年になってアルコールの過剰摂取による急性アルコール中毒から心臓発作を起こしたと判明した。
周囲からは薬物中毒や摂食障害などの証言も出ていて、とにかくカラダに悪いことを全部やってたようだ。
うーん・・・
ありきたりな感想だが、なんかひたすら気の毒な人である。
破綻の仕方がやはり70年代っぽくて、また安いケータイ小説のようで余計に痛々しい。
才能があっても親や夫などがダメで家庭環境がハードだと、そこを克服して成功をおさめるのがいかに難しいことかを示す見本みたいな話だ。
さらにドラッグやアルコールが加われば破滅しないほうがおかしい。
基本的にアーチストのモメ事って大好きなんですけど、ここまで悲惨だと笑えないスね。
元夫のブレイクは、エイミーが死んだ時には服役中だった。
出所後にエイミーの墓をたずね、思い出をしみじみと語る映像が公開されたそうだが、実はこれもヤラセであり、ブレイクはドラッグをやりながらギャラをもらって撮影に臨んでいたという・・・
世界中のどの国にも一定の割合でこういう根本的にダメなヤツは存在するんだろうけど、エイミー本人はおそらくこのダメな男ブレイクに相当依存していたんだと思う。
実は今まで顔もよく知らなかったのだが、ネットでエイミーの写真を見てみると、やはり年齢の割に苦労が積み重なった表情の画像が多い。
特に薬物依存後の写真は見ていて寒くなるほどで、オカルトの領域に入ってしまっている。
先にこうした暗い話題を仕入れてしまうと、音楽の評価も難しくなるかもしれないが、歌手・ソングライターとしての才能は間違いないく本物だったはずなので、聴いてみる価値はありそうだ。
ハスキーボイスと歌唱力が支持されたそうだが、FMで少し聴いただけではそれほどハスキーな声に特徴は感じなかった。
ピーター・バラカンはインタビューで、「Rehab」を初めて聴いた時の感想を「衝撃を受けた。一発で好きになった」と答えている。
聴くとすればやはりこの曲と、アルバム「Back To Black」ははずせないのだろう。
というわけで、エイミー・ワインハウス。
中高年が今さらむさぼり聴くようなアーチストではないかもしれませんが、おすすめのアルバムをご存じでしたら教えていただければ幸いです。
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