聴いてない 第215回 レニー・クラヴィッツ
世の中には様々なジャンルの音楽があるが、そのジャンルの壁を越えて存在するという規格外ミュージシャンがいる。
古くはジミ・ヘンドリックスがそうだったと言われるが、現代を代表するクロスオーバーでマルチジャンルでひとりオーケストラで三つ又の槍的なアーチストと言えば、レニー・クラヴィッツである。
そんな歩く音楽ジャンルのレニー・クラヴィッツ。
全然聴いてません。
こんだけのビッグネームでありながらずいぶんと登場までに時間がかかってしまった。
知ってる曲は「Rock And Roll Is Dead」「Are You Gonna Go My Way」の2曲だけ。
「Are You Gonna Go My Way」はCMによく使われていたので知っているが、たぶんきちんとフルコーラスを正座して聴いたことはない。
なので聴いてない度は2でいいと思う。
アルバムは全く聴いていない。
レニクラがジャンルを超越した存在であり、それは本人の血筋や生い立ちに源流がある、という考察は本やネットでもわりとよく目にするが、全然聴いてないミュージシャンなのであまり深くは学習して来なかった。
取り急ぎレニーのエントリーシートをイヤミな人事課のようにざっと斜め読みしてみることにした。
関係ないが、「就活」「イーエス」といった略語には未だにどうもなじめんなぁ・・
おじさんが若かった頃こんな言葉は日本にはなかったんだよ。
レニー・クラヴィッツは、1964年に東欧ユダヤ系の父とバハマ系黒人の母との間に生まれた。
父親はMBCテレビのプロデューサー、母親は後に女優となる人物で、両親ともに音楽好きであった家庭で育つ。
74年に一家はニューヨークからロサンゼルスに移住。
レニーはビバリーヒルズ高校というアメリカの青春テレビドラマの舞台みたいな名前の学校に入学。
この高校はOBにフィル・スペクターやスラッシュ、レッチリのアンソニー・キーディスとマイケル・バルザリーがいるという名門校だそうだ。
でもレニー・クラヴィッツはいろいろあってこの高校を中退。
プロのミュージシャンとして本格的に活動を始めたが、ソウル歌手として売り出そうとするレコード会社側の思惑と、ロック・ミュージシャンとしてデビューしたかったレニーの思いは合致せず、苦難の日々が続く。
89年、ファースト・アルバムの制作費を自前で用意し、ほとんどの楽器を自分で演奏し、プロデュースまで自ら手がけるという根性ラーメン屋の開店物語みたいなデビューを果たす。
アルバム「Let Love Rule」は「ジャンル破壊の象徴」のような扱いを受ける一方で「昔のロックをなぞってるだけ」といった厳しい評価もあったようだ。
ただレニーのマルチな才能は自身の作品以外でも様々な場面で話題を呼ぶことになる。
マドンナの「Justify My Love」を共作・プロデュースし、デビッド・ボウイのツアーで前座を務め、ミック・ジャガーのシングルにボーカルとして参加し、憧れのプリンスとも親交が始まるなど、デビュー間もない頃からビッグネームたちの高い評価と信頼を得ていた。
1991年、ビバヒル高の同級生スラッシュも参加したセカンドアルバム「Mama Said」が大ヒット。
93年には「Are You Gonna Go My Own Way(自由への疾走)」、95年に「Circus」、98年には「5」というヒットアルバムを実直誠実に発表。
こうした安心と信頼の実績は、本人の評価とともに他のアーチストや関係者からの支持にもつながっていく。
99年末にはバハマでのんびりオフを楽しんでいたところを先輩プリンスに突然呼びつけられミネソタ州ミネアポリスに急行。
レニー到着を待っていたムダにテンションの高い先輩プリンス、ここでもやっぱり寝ない。
結局レニーもほとんど寝かしてもらえないまま2日ほど音合わせと練習にあけくれ、そのままライブにも参加させられたそうだ。
キツイなぁプリンス。
休暇中の後輩を呼びつけて寝かさずライブにまで引っ張るとは・・
さすがは王子、たけし軍団みたいな体育会のノリである。
残っているライブ映像でも、異様に元気いっぱいのプリンスと過労で調子悪そうなレニーの動きや表情があちこちで確認できるそうです。
21世紀に入ってからのレニーは映画音楽の制作や俳優業にも活動の幅を広げてきた。
もちろん本業のほうでも2014年に直球なロックンロールアルバム「Strut」を発表。
ただ日本公演は体調不良との理由で何度か予定が中止となっており、日本のファンにとってはやや残念な結果になっている。
また最近はプリンスが亡くなったこともあっていまいち元気がないという噂。
毎度のことながら今回も知ってる話は全然なかった。
レニー・クラヴィッツを聴いてない理由は特にない。
どこかでソウルやファンクなヒトなんだと勘違いしていた可能性はあるが、明確な決意があったわけでもない。
いつもの言い訳だが、もう少しデビューが早く柏村武昭の後押しがあれば、結果は違っていたような気もする。(力のないコメント)
実は柏村武昭も深夜にレニクラをがんがんオンエアしてたかもしれないけど、もはや確かめるすべもない。
柏村武昭本人に聞いてみてもおそらくは「さぁ・・?覚えてませんね」と言って伏し目がちにお好み焼きをつつくだけであろう。
日本では「Are You Gonnna Go My Way」のほうが知名度は高いと思われる。
いくつかのCMやテレビ番組のテーマソングなんかに使われており、一番有名なのは「あなたも私もポッキー!」というグリコのポッキーのCMだろう。
また日産の「ウイングロード」とスズキ「アルトワークス」のCMにも使われたそうだが、自動車という同じカテゴリーの中で異なる会社・車種のCMに二度使われるというのは非常に珍しい話ではないかと思う。
先日の「アメトーーク!」の「ギター芸人」の回では、吉本新喜劇の松浦真也が「Are You Gonnna Go My Way」を「超しんどい」曲だと話していた。
ものすごく押さえにくいコード進行を延々と最後まで繰り返し続けなければならず、指がとても疲れる曲なんだそうだ。
自分が聴いた「Rock And Roll Is Dead」はたぶんNOW系のオムニバスCDに収録されていたもので、リアルタイムではなかったと思う。
少なくともこの曲はソウルやダンスといった趣きではない。
歌詞は「もうお前のロックンロールなんか死んでるんだよ!」という痛烈な内容らしいが、業界や特定のロックスターを批判しているわけではなく、金持ちになってロックな魂を失っていったロッカーを演じて歌ってみたら案外面白かった、とのこと。
逆説的にロックなサウンドだが、最初に聴いた時は特にいいとか気に入ったとかの感情はわかなかった。
今あらためて聴いてみると悪くなくかっこいい音である。
ちなみに先輩プリンスはこの曲に対して「Rock And Roll Is Alive!」という返曲?を作ったそうです。
というわけで、レニー・クラヴィッツ。
おそらくそんなに難解ではないだろうけど、好みに合致するのかそれほど自信はありません。
聴くならアルバム「自由への疾走」「Circus」ははずせないと思いますが、それ以外も含め、レニー・クラヴィッツ学習の定番をご指導いただければ幸いです。
| 固定リンク | 0
コメント
こんばんは、JTです。
レニクラ、89年のデビュー当時、巷のレコーディングスタジオはデジタル化ほぼ完了しているのに、アナログレコーダーで喜々として録音していたアナログ大好き野郎です(その後もアナログ録音は続く)。
おすすめは1st~4thアルバムかな。中でも個人的に気に入っている1st「Let Love Rule」と曲が粒ぞろいの2nd「Mama Said」かな。1stはホワイトアルバムでのジョン・レノンを思わせる曲もあり、よいです。
バネッサ・パラディ(ジョニー・ディップの元内縁妻)のアルバムもレニー・クラヴィッツが全面サポートしていて、これもよいです(当時恋人だった)。
>日本では「Are You Gonnna Go My Way」のほうが知名度は高いと思われる。
ああ、そうですね、イントロのリフのみってパターンが多いですが。あの頃が日本での人気のピークだったかなぁ。
>ムダにテンションの高い先輩プリンス
日本ではライブのない時はスタジオでレコーディング、夜は女性をはべらせて遊びまくり。渋谷陽一もプリンスって3,4人いるんじゃないかって言ってたな。レコーディング用プリンス、ライブ用プリンス、夜遊び用プリンスなど。
>どこかでソウルやファンクなヒトなんだと勘違いしていた
基本はロックな人ですが、そういった素養もあります。
投稿: JT | 2016.07.06 00:03
JTさん、コメントありがとうございます。
>アナログレコーダーで喜々として録音していたアナログ大好き野郎です
ええ~?そうだったんですか?
この情報は見つけられなかったなぁ・・
個人的には見た目あんましアナログ好きな感じはしませんけど・・
>中でも個人的に気に入っている1st「Let Love Rule」と曲が粒ぞろいの2nd「Mama Said」かな。
なるほど。
今調べて気づいたんですけど、「Mama Said」にはショーン・レノンも参加してるそうですね。
やはり聴くなら初期の作品からですかね。
>ああ、そうですね、イントロのリフのみってパターンが多いですが。
えーと、すいませんその通りです。
本文にも書きましたが、フルコーラス聴いたことがありません・・
>渋谷陽一もプリンスって3,4人いるんじゃないかって言ってたな。
3人いても怖いですけど、寝ないのも怖いですね。
やはり睡眠不足が命を縮めたんでしょうか・・
投稿: SYUNJI | 2016.07.08 23:11