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聴いてない 第211回 シェール

中東での原油価格暴落のニュースをぼんやりとながめていて思い出したシェール。
ダジャレな進行に脱力かとは思いますが、こんな素人BLOGなんかもうどうせ誰も見ていないので、やりたい放題で今日はこんな人を採り上げてみます。
そもそも何者なのかもあんましよく知りませんけど・・・

とりあえずオイルとかガスとは関係のないシェール。
個人的には歌や曲よりビジュアルにインパクトのある人だと思うが、実はめずらしく2曲も聴いている。
89年の「If I Could Turn Back The Time」と98年の「Believe」である。
どちらも鬼のようにヒットしたので、こんな自分でも知っている。
アルバムを聴いたり映画を見たりしたことはない。

聴いてない度は3。
偉そうに3とか言ってるが、知ってるのはこの2曲と顔くらいで、経歴や作品などは全くわからない。
そこでネットでシェールと入力して検索し、オイルやガスの情報をよけながら集めた情報は以下のとおり。

シェールはカリフォルニア州出身の歌手・女優。
父親はアルメニア人、母親はチェロキー・アイルランド・ドイツの血をひくという家系に生まれる。
1946年5月生まれなので、日本で言うと古希を迎える年齢である。
英語での発音は「しぇーる」ではなく「しぇあー」「しぇーぁ」に近いそうだ。
じゃあニュースに出てくるシェールガスも、本当は「しぇあーぎゃす」なのか?と思ったら、ガスはshaleで歌手シェールはCherですってよ。

16歳で歌手のソニー・ボノと出会い、1963年に17歳で結婚。
ソニー&シェールというデュオで「I Got You Babe」などをヒットさせる。
さらにアメリカのテレビ番組「ザ・ソニー&シェール・ショー」でも夫婦での司会で人気を得るが、75年には離婚。
なおソニー・ボノは98年にスキー場で事故死している。

シェールはその後ソロ歌手としても成功。
79年に「Take Me Home」、87年には「I Found Someone」「We All Sleep Alone」をヒットさせた。
89年にはピーター・セテラとのデュエット「After All (Love Theme From Chances Are)」が全米6位を記録。
さらに刺激的な衣装で歌うプロモ・ビデオに牽引された?「If I Could Turn Back The Time」が全米3位の大ヒットとなった。

98年には「Believe」が世界中で大ヒットする。
この曲でグラミー賞最優秀ダンス・レコーディング賞を初受賞。
ボーカルにエフェクトがかけられており、この技術には「シェール・エフェクト」と本人の名前が付けられている。
ELOの「Prologue」と「Epilogue」がサンプリングされているとのことだが、これは気がつかなかった。
あとであらためて聴いてみよう。
エフェクトのアイディアはシェール本人が思いついたもので、シェールの提案を受けたプロデューサーが録音済みのボーカルをピッチを変えるなど様々なアレンジを試し、あのような不思議な音に仕上がったとのこと。
レコード会社の会長は「この音じゃシェールだとわからない」と反対だったが、シェールは譲らなかったそうだ。

まもなく70歳を迎えようとしてなお歌手としては現役であり、2013年にはアルバム「Closer to the Truth」を発表。
これがなんとシェールのソロ作品としては歴代最高の全米3位を記録している。
あっそう・・・そんなにスゴイ歌手だったのね・・

一方で女優としても長い経歴を持っている。
1969年に映画「Chastity」でデビュー。
83年には、映画「シルクウッド」に出演しオスカーにノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞助演女優賞を受賞した。
さらに87年の「月の輝く夜に」でアカデミー主演女優賞を受賞。
その後も「イーストウィックの魔女たち」「恋する人魚たち」「ザ・プレイヤー」「フェイスフル」「ムッソリーニとお茶を」などの作品に出演している。
どれも全然見てませんが・・・

ということで、なんと芸歴50年を超える大ベテランなのだった。
グラミー賞とアカデミー賞を両方受賞している女性アーチストは、シェールとバーバラ・ストライサンドだけだそうだ。

初めてシェールの歌をまともに聴いた(見た?)のは「If I Could Turn Back The Time」である。
プロモ・ビデオに出てくる軍隊や戦艦は全て本物のアメリカ海兵隊だそうだけど、それにしてもこの映像でのシェールの格好にはやっぱり驚いた。
ネットでは「Tバックスタイルで歌う」などと書いてあるサイトが多いが、実際にはTフロントである。(そこにこだわるのかよ)
シェールはすでに当時43歳をだったそうだが、この衣装で歌うのが誰の発案だったのかはわからない。
曲自体はカバーであり、「もしも時間を戻せたなら・・」という切ない歌詞なのだが、そんなことはおかまいなしのすごい映像になっている。
日本で言うなら例えば今年43歳くらいの中澤裕子とか篠原涼子がTフロントはいて自衛隊をバックに歌うようなもんである。
そんなことやったら間違いなく炎上でしょうね。
それはそれで見たい気もしますが・・

「Believe」はNOW系のオムニバスCDにあったものを聴いている。
曲や詞がいいかどうかはあんましよくわからないのだが、ボーカルを大胆にアレンジしたサウンドは面白いとは思う。
ボーカル全てをいじってるわけではなく、声の伸びに合わせてポイントで変化させているのが効果的で、印象に残る音だ。

日本での知名度や人気は正直全くわからない。
「いや、わたしアルバム結構持ってますけど?」などと言われたらかなり驚きですけど、こんな自分でも2曲は聴いてるんだから「誰でも知ってる」人ではあるんだろう。
特に顔や声も好みというわけではない。
ただプロモ・ビデオやアレンジといったサブ的情報でしか知らないので、きちんと歌や楽曲を聴いてみたら評価は大きく変わるかもしれない。

というわけで、シェール。
素人がムリして聴くようなものではないとも思いますが、みなさまの評価はどんな感じでしょうか?

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聴いてみた 第131回 ポール・マッカートニー&ウィングス その2

シニア洋楽再履修の旅、今日の課題もポール・マッカートニー&ウィングス。
76年発表の「Wings at the Speed of Sound」を聴いてみました。

Speedofsound

邦題は「ウィングス・スピード・オブ・サウンド」で、名義はただのウィングスである。
メンバーはポールとリンダ、デニー・レイン、ジミー・マッカロク、ジョー・イングリッシュ。
なおジミーの「マッカロク」という表記は、「マカロック」「マクローチ」「マッカロー」などいろいろあるそうです。
ところで、ジョーさんは本名なの?
日本人だったら「日本人よしお」とかそういう名前になるってことか?

前回聴いた「Red Rose Speedway」、その次の「Band on the Run」「Venus and Mars」でいずれも全米1位を獲得しており、「Wings at the Speed of Sound」も時期的にはウィングス絶頂期と言って差し支えない。
実際このアルバムもまた全米1位を記録しており、スタジオ盤4枚連続全米1位という不滅の金字塔的名盤である。

・・・のだが、なんかネットで見ると思ったより評判は良くない。
全米1位ほどに売れたから人気アルバムなんじゃないのかと思ったのだが、シングル「心のラブソング」のセールスに牽引されただけとか、アメリカでのライブ成功に影響されただけとか、シビアな評価も多い。
「振り返ってみたらそんなに良くもなかった」ということだろうか。

ポイントとしては、ポールが歌う曲が11曲中6曲しかないことだ。
ポールが「ウィングスはバンドであること」を実証してみせた、という話らしいが、ファンからすれば少し損した感じになるのも無理はない。

このアルバム、姉はリアルタイムで聴いている。
レコードを友達から借りてテープに録音しており、インデックスの手書きの曲目がいくつか自分の記憶にも残っている。
ただし我が家は姉弟間でのテープの共有を一切していなかったため、自分のコレクションとすることはできなかった。
従って曲自体全て覚えてはいないのだが、姉が聴いていたその音が自分にも聞こえていたはずである。

というわけで、知ってる曲もいくつかあり、緊張感は全然ない。
余裕を持って聴くことにした。
果たしてどんなアルバムなのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Let 'Em In(幸せのノック)
この曲は昔から知っており、ウィングスのベスト盤「Greatest Hits」「Wingspan」にも収録されている。
聴き慣れているためか、あまりいいとか悪いとかを考えたことがなかった。
行進曲風のリズムが面白いが、前半に時々「キュッ」という変な音が聞こえたり、わざとはずした不協和音があったりでちょっと変わったサウンドである。
歌詞はあまり意味のない内容だが、「Brother John」とはジョン・レノンのことらしい。

2. The Note You Never Wrote
ボーカルはデニーだが、作ったのはポール。
どこかで聴いたことがある曇った物憂げなサウンドは、後の「London Town」を思わせる。

3. She's My Baby(僕のベイビー)
聴いてみてわかったが、長いことこのタイトルを別の曲のものだと勘違いしていた。
この曲自体は初めて聴いた。
ポールの作品でボーカルもポール。

4. Beware My Love(愛の証)
軽快なロックナンバーだが、これは聴いたことがある。
中盤のポールのシャウト気味のあたりに聴き覚えあり。
最近出たリマスター盤では、ジョン・ボーナムがドラムを叩いているバージョンが収録されているそうだ。

5. Wino Junko
ジミーのボーカルで、ジミーとコリン・アレンという人の共作。
以前からなぜこの曲のタイトルは関西弁なのだろう・・と不思議だったのだが、実際は「Wine Junky」の変形で発音も「ワイノ・ジャンコ」だそうだ。
確かにジュンコとは聞こえない。
ジミーはあんまし歌がうまくないように思う。

6. Silly Love Songs(心のラブソング)
ウィングスの中でも名曲中の名曲で、全米1位・全英2位の最大のヒット曲。
自分もこの曲は好きである。
ジョン・レノンやマスコミからの「ポールの作る曲はバカげたラブソングばっかし」という批判に応えたものだが、「バカげたラブソング?それで何が悪いんだよ」という曲でちゃんと大ヒットさせるんだから、どこまでもマーケットをわかっていたポールなのだった。
歌いだしのソの連打や終盤の三重奏など、何度聴いても秀逸な構成。

7. Cook Of The House
リンダが歌うコミック・ソング。
彼女の歌はあちこちで評判が悪いが、まあその通りだろう。
「Silly Love Songs」ではなかなか味のあるコーラスを聞かせてくれるのだが、メインをとった時の落差はかなりのものだ。
作ったのはポールだそうだが、なぜリンダに歌わせたんだろうか?

8. Time To Hide(やすらぎの時)
デニーの作品でボーカルもデニー。
少し重い雰囲気で、さすがに曲も歌もポールに比べるとどうも・・という感じ。

9. Must Do Something About It
前の曲とつながっているが、今度はジョーのボーカル。
楽しくていい曲なんだが、いまいちインパクトが弱く印象に残らない。

10. San Ferry Anne
ポールのボーカルで、ジャズ風の短い曲。

11. Warm And Beautiful(やさしい気持ち)
ピアノの弾き語りバラード。
中盤からホーンやストリングスも加わってくるが、これは全編ピアノだけで聴きたい気がする。

以下はボーナストラック。

12. Walking In The Park With Eloise
カントリー調の楽しいインストナンバーだが、50年代にポールの父親のジェームズが作った曲だそうだ。
コメディ映画のテーマソングみたいな曲である。

13. Bridge On The River Sweet
さらに続くインスト。
これもミステリー映画の主題歌のような感じ。

14. Sally G
本格的なカントリーソングで、録音されたのもナッシュビルとのこと。
ポールの器用さが如実に表れた曲だと思う。

聴き終えた。
全体的にはアメリカ市場を意識したサウンドだと感じる。
ジャズやブルースやカントリーのテイストがあちこちに置かれ、バラエティ豊かな構成ではある。
どんなジャンルもうまいこと作れるポールの才能、加えてデニーやジミーの高い演奏技術があらためて披露されているアルバムだ。
特に何度聴いても「Silly Love Songs」は楽曲・演奏・歌ともに素晴らしいし、あらためて歌詞を見てもポールのこの曲に込めた想いが伝わってくる内容である。

ただし。
やはりポール以外のメンバーの歌は、どれも今一つ好みに合ってこない。
デニーもジミーもジョーも歌えるメンバーではあるけど、ポールも思ったほどコーラスを乗せていないし、リンダの歌はお遊びのレベルだ。
バンドの一体感が感じ取れるのは「Silly Love Songs」以外にはあまりないように思う。

キツイ言い方になるが、もしも曲は全て同じだったとして、ポールが1曲も歌っていなかったとしたら、果たしてウィングスのアルバムとして商業的に成功しただろうか?
答えはすぐに出るように思うのだ。
こういうことを書くと「オマエは何もわかっていない」と思われる方も多かろうが、自分の三流な感想としてはこうなる。

全米1位は記録したけど、この後バンドとしては徐々におかしくなっていく。
77年にはジミーとジョーが脱退。
残ったデニーとポールでアルバム「London Town」をリリースするが、全米1位はならず2位、全英も4位に終わる。
なお脱退したジミーはスモール・フェイセズやワイルド・ホーセズに参加した後、79年に亡くなっている。
ウィングスは新たなメンバーとしてローレンス・ジュバー(G)とスティーヴ・ホリー(D)を加入させ、79年に「Back To The Egg」を発表するが、この後ポールの日本での逮捕・ウィングス日本公演中止騒動が発生し、結局再結成することなく解散する。
結果的には今回聴いた「Wings at the Speed of Sound」は、バンドのターニング・ポイントになっているような気もする。

ポールはこのアルバムの売り上げとアメリカ公演の成功を非常に喜んでいたそうで、「もうビートルズ再結成の話なんか必要ない」とまで発言した。
ところがやはり世間とマスコミはポールの思いとは逆の反応ばかりで、雑誌ローリング・ストーンはアルバムを「謎に満ちたおよび腰の珍品」と批判し、アメリカのプロモーターは「ビートルズ再結成公演に2億ドル以上出すぞ」といった新聞広告を打ったりした。
結局ポールがどんなにウィングス成功を証明して見せても、ファンもマスコミも「ほな再結成ビートルズならもっと成功するやろ」といった反応ばかりなのだった。

この頃本気で再結成したがっていたのは、実はジョン・レノンだったという話もある。
ポールほどハデに活動してなかったジョンは、ヒマな時にギターを持ってポールの家を突然訪ねたりしたが、ポールの反応は「いいかげんにしろよ」といったつれないものだったそうだ。
若き成功者同士ゆえの苦悩と言えば簡単だけど、ポールとしてもウィングスを率いている間中ずっと心乱れる日々だったんじゃないだろうか。

ジャケットはEXCELっぽい格子模様にタイトルロゴという、なんとなくプログレのようなデザイン。
ヒプノシスによる作品だそうだが、無機質でどうもいまいち好きになれない。
当時発売の実際のLPレコードジャケットはイギリス盤とアメリカ盤で微妙に色合いが違うそうだ。
(アメリカ盤は格子模様の地色が白っぽい)
自分が買ったCDはいちおう東芝EMIのものだが、どうやらイギリス盤を使っているようだ。
95年再発の安価盤で、裏ジャケットには絵もなく、曲目が淡泊に並んでいるだけである。

ということで、「Wings at the Speed of Sound」。
確かに評判のとおりいまひとつ物足りないと感じました。
やはりポールのボーカル曲が少ないのは大きな要因ではないかと思います。
ただあまり意味はないけど、「Red Rose Speedway」よりは楽しめたような気もします。

さてバンドも含めたポール・マッカートニーの70年代未聴盤、残るは「McCartney」「Ram」「Wings Wild Life」「Back to the Egg」の4作品となりました。
特に順序にこだわらず、聴けるものから聴いていきたいと思います。

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