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聴いてみた 第129回 TOTO

今日聴いてみたのはTOTO
さりげなく書いてますけど、あのTOTOですら聴いてないアルバムはあったのだ。
そんな告白にはもう誰も驚かないが、それはTOTOのデビューアルバムである。
邦題は昔のSFアニメみたいな「宇宙の騎士」。

Toto

TOTOのデビューアルバムは1978年発表。
結成時のメンバーは以下のみなさんである。

ボビー・キンボール(Vo)
スティーブ・ルカサー(G・Vo)
デビッド・ペイチ(K・Vo)
スティーブ・ポーカロ(K・Vo)
デビッド・ハンゲイト(B)
ジェフ・ポーカロ(D)

スティーブが2人、デビッドが2人、ポーカロが2人という混乱しそうな編成だが、元々はジェフやペイチがバンドを組んでいて、75年にボズ・スキャッグスのアルバム制作時に集まったメンバーでTOTOとして結成された、という話はわりとよく知られていると思う。
実際自分もデビュー曲「Hold The Line」を聴いた頃には上記の情報も雑誌で仕入れていた。

TOTOで聴いたアルバムはベスト盤を除いて6枚あるが、聴いた順序で書くと以下である。

・Turn Back
・TOTO IV(聖なる剣)
・Isolation
・Fahrenheit
・The Seventh One(第7の剣)
・Hydra

3作目から7作目まで発表順に誠実に聴き、2作目「Hydra」をかなり後で聴いた、という鑑賞履歴。
実は「Hydra」も発表当時に姉が貸しレコード屋から借りたのだが、ちょうど自分は風邪で寝込んでいてTOTOどころではなかったので、姉は自分だけ聴いて弟の分をテープに録音することもなく返却。
積年の恩讐を超えて10年くらい前にようやく聴いた次第。
残念ながらすっかり中高年になった自分は、聴覚も感性も相当劣化していて、「Hydra」はイマイチ好みではなかったが。

で、そもそもデビューアルバムを聴いてないことは自覚はしていたのだが、ツェッペリンパープルストーンズイーグルスブルーザー・ブロディの学習を優先してしまい、この歳になってやっと聴く機会に恵まれたのだ。
知ってる曲もいくつかあるので、さほど緊張はしていない。
果たしてどんなアルバムだったのだろうか。

・・・・・聴いてみた。 

1. Child's Anthem(子供の凱歌)
82年の日本公演の模様を当時NHKの「ヤングミュージックショー」で見たが、番組のオープニングを飾ったのがこの曲だった。
結果的にTOTOにしては珍しいインストナンバーだが、冒険映画のテーマソングのようでかっこいいサウンドである。
最近日本では渡辺謙が登場するクルマのCMに使われたが、TOTOの楽曲そのものではなくカバーだった。

2. I'll Supply the Love(愛する君に)
この曲はデビュー当時ではなく、上述の日本公演の映像で知った。
ノリのいいロックで、彼らの曲の中では好きなほうである。

3. Georgy Porgy
これも少し後から知った曲。
数あるヒット曲の中でこれを最高傑作と評する人は多いらしく、またカバーしたアーチストも多い。
どこかジャズっぽい音で、ヒット曲の中でもやや異質だと感じる。
リズムは後の大ヒット曲「Africa」に似ている。
タイトルやサビの部分の歌詞はマザーグースからの引用。
ここで歌っている女性ボーカリストはシェリル・リンというソウルシンガー。

4. Manuela Run
サウンドはいかにも産業ロックなのだが、コーラスワークが非常に秀逸。
その後のTOTOはボーカルに関しては分業が進んでいるので、けっこう珍しい構成だと思う。

5. You Are the Flower
ボビー・キンボールの作品でボーカルもボビー。
どこか親分であるボズ・スキャッグスの香りがするAORなナンバーである。

6. Girl Goodbye
この曲は日本公演のライブ映像でしか聴いたことがなかった。
スピード感に満ちたロックだが、イントロはいいと思うが本編のメロディやサウンドは思ったほど好みではないのが不思議。
ルカサーのギターとか聴きどころは多いんだけどね。

7. Takin' It Back(ふりだしの恋)
スティーブ・ポーカロの作品で、歌っているのも本人。
おだやかな流れは、これも日本で言うところのAORサウンド。
素人の自分にはスティーリー・ダンのようにも聞こえる。(知ったかぶり)

8. Rockmaker
全体はTOTOらしい、やや軽めのロック。
ボビーが右奥に下がってバックボーカルに徹している。

9. Hold the Line
自分がTOTOを初めて聴いたのがこの曲だった。
もちろん柏村武昭の紹介である。
ちなみに同時にオンエアされたのがフォリナーの「蒼い朝」だ。
この柏村武昭の指導により、以来TOTOとフォリナーはセットで学習していくこととなる。
で、「Hold The Line」だが、TOTOの魅力が全て詰まっていると言って差し支えないだろう。
印象的なリズム、打楽器のようなピアノ、ルカサーの波打つギター、ジェフの暴れるドラム。
TOTOの曲の中で一番好き・・ではないのだが、最初の曲なのでやはり思い入れはある。

10. Angela
エンディングはおだやかなバラード。
その後の「I Won't Hold You Back」を思わせる壮大なメロディだが、中盤の力の入ったサウンドが意外な展開を見せる。
なんとなくプログレっぽい終わり方に、少し違和感。

通して聴くといろいろな音や曲があることがわかる。
バラエティに富んだアルバムだが、やや散漫な印象もある。
曲の大半はデビッド・ペイチによるものだが、歌える人が多いバンドなので曲の雰囲気を変えることができるのは強みだったと思う。
いずれにしてもリアルタイムで聴いていれば、きっと相当なヘビーローテーションになっていたと思われる。
今さらだが、ちゃんと若い時に聴いておくべきだったと後悔。

「Child's Anthem」「I'll Supply the Love」「Manuela Run」あたりが好みの曲である。
B面が若干弱い気がするが、トータルな雰囲気は悪くない。
まだ数回しか聴いてないので、各アルバムの序列はなかなか難しいが、「Turn Back」「Hydra」よりは楽しいと思う。
もっとも「Turn Back」はもう長いこと聴いていないが・・・
とりあえず一番好きな「IV」の順位が変わることはないようだ。

TOTOが高い演奏技術と優れた作品に裏打ちされたワールドクラスのビッグバンドであることは疑いようもないが、方向性においてはけっこう迷走の多い人たちであったことも否めないと思う。
デビューした後、ハードロックやプログレっぽい路線にシフトしようとしてあまりうまくいかず、「今度こそ売れるやろ」と思って出したのが「IV」であった。
ファンはやはり親しみやすいメロディと清らかなハイトーンボーカルを求めており、実際に「IV」はそれを証明するセールスを記録している。

デビッド・ペイチによれば、「IV」のあとであちこちのミュージシャンからTOTOっぽい音を求めて各メンバーに引き合いがあり、その引き合いにみんなわりとマジメに応えていたら、皮肉にも巷にはメンバーが協力したTOTOっぽい音が蔓延してしまい、TOTO本体の仕事もおかしくなってしまったそうだ。
その後方向性もボーカルも転々として迷走し、さらにジェフを失うという最大の危機を迎える。
ただ、ジェフを欠いても解散はしなかったところが偉いと思う。

さて今回TOTOのことをいろいろネットで調べていて、二代目ボーカリストのファーギー・フレデリクセンが2013年に、さらにマイク・ポーカロが今年亡くなっていたことを知った。
以前にも書いたことだが、自分はファーギーのボーカルも結構高く評価していて、好きな曲もいくつかある。
結局TOTOのボーカリストとしてはアルバム1枚で終わってしまったが、ボビーと違って再びTOTOに戻ることもなく生涯を閉じてしまったことになる。
なおファーギーはTOTO脱退後に、同じくTOTOを脱退したデビッド・ハンゲイトとメッカという名のを組んでアルバムも作っていたそうだ。
こっちも機会があれば聴いてみたいと思う。

というわけで、やっと聴いてみましたTOTOのデビューアルバム。
ある程度予想はしていましたが、かなり良かったです。
次に聴くとしたら99年発表のボビーが復帰した「Mind Fields」になると思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
TOTOのアルバムで最も好きなのがこれです。ちなみに
最も好きな曲は「Hold The Line」です。
2nd、3rd、4thも好きなのですが、各メンバーの力量と持ち味が
存分に発揮されているのは1stだと思っています。特に
キンボールの活躍する曲が多いのもうれしいです。

TOTOといえばAOR、AORといえばクロスオーバーです。
ジェフ・ポーカロが正式メンバーとして参加していたことも関係
しているかもしれませんが、スティーリー・ダン風クロスオーバー
をぐっとロックに引き寄せた点に1stの魅力があると思います。

その、ジェフ・ポーカロのドラムが圧倒的な存在感です。
意表を衝くインストの1曲目の、イントロでのたたみかけるような
ドラム。SYUNJIさんのおっしゃる通り、「Hold The Line」での
迫力のプレイ。聞き惚れてしまいます。
キンボールも、「You Are The Flower」で持ち前のソウルフル
なボーカルを披露。曲の後半がスリリングになる場面での調和も
いいですね。「Hold The Line」や「Girl Goodbye」などロック
な曲でのエモーショナルなボーカルも、この人でなければ、
と思います。

3rd「Turn Back」も極めてロック色が強いです。が、こちらは
ルカサー主導でギターロックに寄ってしましました。
ですので私にとってTOTOとは1stです。久しぶりに聞き直し
ましたが、いや~かっこいいです。

投稿: モンスリー | 2015.12.16 20:46

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>TOTOのアルバムで最も好きなのがこれです。
>ちなみに最も好きな曲は「Hold The Line」です。

おお、すごい絶賛ですね、そうでしたか。
勝手に二者択一にしてますけど、今思うと自分はフォリナー寄りだったと思います。
同時に知ったバンドですが、フォリナーはけっこう早くアルバムを聴きました。

>スティーリー・ダン風クロスオーバーをぐっとロックに引き寄せた点に1stの魅力があると思います。

これはモンスリーさんならではの見方ですね。
自分はスティーリー・ダンを聴いていないので、あまりよくわかりませんが・・
ただこのアルバムは、他のアルバムよりもいわゆるAOR色が濃いとも思いました。
オトナの音楽ですね。

>2rd「Turn Back」も極めてロック色が強いです。が、こちらはルカサー主導でギターロックに寄ってしまいました。

その通りですね。
ただ自分が期待したのはそのロック路線だったのですが、なぜかアルバム「Turn Back」はそれほど好みには合いませんでした。
「Goodbye Elenore」はTOTOで一番好きな曲だったんですが・・

投稿: SYUNJI | 2015.12.16 23:13

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