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聴いてみた 第127回 キャメル

今日聴いてみたのはキャメル。
久々にプログレ学習である。

キング・クリムゾンを教材にプログレ学習を始めて11年くらい経つが、知識も意欲も一向に向上しない。
最近はずうっとサボりっぱなしなので当然ではある。
やめてないけど籍だけ置いてるクラブ活動みたいな状況。
そんなバチあたりサラリーマンの自分は、1年半ほど前にキャメルを聴いてないことを世界中に発信している。
比較的初心者にも聴きやすいというありがたき情報になぜか今回発作的に背中を押され、近所のディスクユニオンで「Moonmadness」を購入。

Moonmadness

「Moonmadness」は1976年にキャメル4作目として発表された。
邦題は「月夜の幻想曲(ファンタジア)」である。
メンバーは以下の4人。
・アンドリュー・ラティマー(G)
・ピーター・バーデンス(K)
・ダグ・ファーガンソン(B)
・アンディー・ワード(D)

このアルバム発表後、ダグ・ファーガソンは脱退。
その後リチャード・シンクレアという歌えるベーシストの加入により、ボーカル入り曲の割合が高くなっていったそうだ。

さて「Moonmadness」。
叙情派プログレ・ファンタジックロックなどと呼ばれるキャメルだが、このアルバムが最高傑作だと推す人は多いようだ。
プログレ大好き芸人ならばキャメルと聞いてすぐに「アンドリュー・ラティマー!」と反射的に答えられなければ失格である。
三軒茶屋の中古CD店でキャロル・キングを聴いてないとド正直に告白してしまい、ぷく先輩に三角絞めで落とされているようではダメなのだ。(多少盛っているけどおおむね実話)

そのアンドリュー・ラティマーとピーター・バーデンスによって作り出される美しいサウンドとリズムがこのアルバムのキモである。(知ったかぶり)
まあぷく先輩がそう言うんだから間違いはないはずだ。
あとは生ビールでも紹興酒でもじゃんじゃん飲ませておけば勝ったも同然。
そんな三流企業の営業担当みたいな思いあがった気持ちで余裕カマして聴くことにした。(勘違い)

さすがに自分も加齢によって人間が丸くなったのか(違うと思う)、かつて初めてクリムゾンやELPを聴いてみた時のムダな緊張感はもはやほとんどなくなってしまった。
いちいち緊張してたらプログレなんか聴いてられないのである。
果たしてあたしは最後まで緊張感のない筋肉弛緩状態でキャメルを聴くことができるでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Aristillus(アリスティラスへの誘い)
2. Song Within A Song(永遠のしらべ)
3. Chord Change(転移)
4. Spirit Of The Water(水の精)
5. Another Night(月夜の幻想曲:ファンタジア)
6. Air Born(ゆるやかな飛行)
7. Lunar Sea(月の湖)
8. Another Night (Single Version)
9. Spirit Of The Water (Demo)
10. Song Within A Song (Live)
11. Lunar Sea (Live)
12. Preparation Dunkirk (Live)

8以降はボーナストラックである。

率直な感想としては、思ったより軽快な音楽だ。
緻密で計算された理工学系のサウンドではあるが、難解で陰鬱なイメージは全くなく、フュージョンやイージーリスニングのような受け入れやすい音楽が続く。
「Another Night」のようなやや緊張感の高い曲もあるが、全体的にはゆったりと進行し、おだやかな印象の曲が多い。
少なくとも不快な音が延々続いたり絶叫したり火を吹いたり花道で突然長州を襲ったりということはない。

ボーカルの出番はわりと少なく、頭から終わりまで歌いっぱなしという曲はない。
キーボードやギターの音が比較的目立つが、主張はそれほどきつくなく、どのパートも出しゃばらずに調和を重視する構成となっているように聞こえる。
「Air Born」などはどこか昭和のムード歌謡みたいなイメージ。
「Lunar Sea」はギター中心の疾走感に満ちたハードなメロディだが、ノリはジャズのものでロックとは少し違う気がする。
もちろん全て初めて聴く曲なのだが、登場するリズムやサウンドはなんとなく「想定内」であり、意表をつく組み立てや劇的な転換などもなかった。

ボーナストラックにはライブバージョンが3曲あるが、歓声も拍手もそれほど聞こえず、メンバー紹介や観客とボーカルとの掛け合いなどもないので、ライブの臨場感はさほどない。
スタジオでの演奏と変わらない精緻なサウンドを、クラシックコンサートのように静かに聴いているような雰囲気である。

ともあれ確かに自分のような素人にもやさしいプログレであることはわかる。
おだやかなフロイド・わかりやすいクリムゾン・やさしいU.K.といった感じ。
純喫茶のBGMになっていても全然違和感はない。
好きかと聞かれると微妙だが、途中で止めたくなるようなことはなかった。
こんなプログレもあったんだ・・という発見がそこにある。

キャメルが他のプログレバンドと違うのは、リードボーカル専門の人がいないことだそうだ。
クリムゾンもイエスもフロイドも、楽器演奏に重きを置くプログレなバンドではあったが、うまいかヘタかは別としていちおうメインでボーカルやってますという人が固定されており、それはバンドの顔でもあった。

一方でこの時のキャメルの4人はそれぞれが控えめに歌ったり合唱したりで、「オレ様が歌う!きぃいー!」というエゴの衝突はあんましなかったと思われる。
それがインストに強いバンドとしての個性を高めていた、という評価があるようだ。
確かに繰り返し聴いてみても、特にどの曲もどのメンバーもとがったボーカルではなく、決して楽器のジャマをしない絶妙な位置にいると感じる。
冒頭で書いたとおりこのあとキャメルはリチャードさんという歌うベースの人が加入して、歌もの重視志向が強くなっていったそうだが、どのくらいの変化があったのだろうか。

というわけで、キャメル。
初めて聴いてみましたが、それほど拒絶感もなくおだやかに聴くことができてよかったです。
機会があれば別の歌ものが多いアルバムも聴いてみようかと思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。キャメル、聞かれましたか! 

私も聞き直しましたが、おっしゃる通り親しみやすいサウンド。
クリムゾンやフロイドと同様に、人気の出るプログレは、ロック
の範疇を超えていないということがわかりますね。
前半の叙情的かつ幻想的な曲もよいですし、最後の大曲「Luna Sea」で
は一転してハードな曲調になるダイナミックな展開が好きです。
アンディ・ウォードの手数の多いドラミングも、これまたロック的で
気に入っています。余談になりますが、ウォードは、78年のライブ盤
あたりまでが調子が良いです。

>>歌もの重視志向が強くなっていったそうだが、どのくらいの変化

あくまでも私の独断ですが、
次作からは、シンクレアの加入もあって、「Aristillus」
や「Song Within A Song」のような曲が増えます。それだけに、
「Luna Sea」の存在が大きく光ります。この曲は再結成以降も
重要な曲だと思います。

>>リードボーカル専門の人がいない

有名プログレと比べると、ボーカルが弱い、といえるかも
しれません。あくまでもアンサンブル重視、そこがキャメルの
魅力でもありあす。是非次に挑戦してください!

投稿: モンスリー | 2015.10.12 21:42

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>私も聞き直しましたが、おっしゃる通り親しみやすいサウンド。

そうですね、少なくとも自分にはクリムゾンやフロイドよりは圧倒的にわかりやすかったです。

>アンディ・ウォードの手数の多いドラミングも、これまたロック的で気に入っています。

なるほど・・そこまで注意して聴いてませんでしたが、いろいろ聴きどころの多いバンドですね。

>有名プログレと比べると、ボーカルが弱い、といえるかもしれません。

そのようですね。
でもじゃあボーカルが強力なクリムゾンやイエスはどうかというと、自分は少し「飽きる」感覚になるんですよね。
リスナーのわがままと言えばそれまでですが・・
いずれにしても、キャメルはもう少し聴けそうな気がしますので、また挑戦してみようかと思います。

投稿: SYUNJI | 2015.10.16 22:04

>でもじゃあボーカルが強力なクリムゾンやイエスはどうかというと、自分は少し「飽きる」感覚になるんですよね。

こんな感想を持つ方にロックを語って欲しくないぷくちゃんと言います。こんなブログにコメント寄せる方も同類だな。(数年前の○○ccでの事件を再現しようとしている悪い先輩)

僕はキャメルは苦手です。でもこうやってこのブログを読んでいると私なんかより本当に多く、広くロックを聴いているんだなあ、と感心しています。

投稿: ぷくちゃん | 2015.10.17 07:58

ぷく先輩、朝早くからコメント感謝です。
あれからすっかりこのBLOGも視聴率が急落しているので、もう何を書いても大丈夫です。(ヤケクソ)

>僕はキャメルは苦手です。

えええ~??!
そうだったんですか?
かまぼこRockさんに「キャメルと言えば?」と問われて食い気味に「アンドリュー・ラティマー!」と早押しで答えて場内(どこ?)を沸かせたのは先輩だったのでは?
そうスか・・やっぱ先輩くらいのベテランになるとキャメルくらいじゃ物足りないんスかね・・
自分こそが先輩を一番わかっていると自負していましたが(キモイ)、まだまだ修業が足りないようです。
今後も精進いたしますので、よろしくご指導ください。(棒読み)

投稿: SYUNJI | 2015.10.17 09:36

タバコは”キャメル”であると決めこんでいた、かまぼこRockです。(実は、ハイライト派でした。)

<インストに強いバンドとしての個性>

そうなんです、”キャメル節”(ゆったりと優しいファンタジーの世界)と言う、インスト(演奏)で個性を伸ばしたバンドです。

名盤『ムーンマッドネス』以外のアルバムでは、

『MIRAGE』わかりやすい名曲が多数収録。

『スノーグース』美しいアルバムです。すばらしいの一言。

『ブレスレス』ボーカル入りのポップな曲が多いアルバムです。


残念ながら『雨のシルエット』は、聴いたころがないのです。

投稿: かまぼこRock | 2015.10.18 14:17

かまぼこRockさん、コメントありがとうございます。

>そうなんです、”キャメル節”(ゆったりと優しいファンタジーの世界)と言う、インスト(演奏)で個性を伸ばしたバンドです。

なるほど・・そんなキャメルをこのトシまで聴かずにいたとは不覚です。
もっと若い頃に柏村武昭にキャメル指導を受けていれば・・(人のせい)

>『MIRAGE』わかりやすい名曲が多数収録。
>『スノーグース』美しいアルバムです。すばらしいの一言。
>『ブレスレス』ボーカル入りのポップな曲が多いアルバムです。

どれも高評価ですね!
『ブレスレス』の「ボーカル入りのポップな曲が多い」という点に興味がわいてきました。
次回の参考にいたします。

投稿: SYUNJI | 2015.10.18 20:54

兄さん、おはようございます。御無沙汰しております。
ひゃー、キャメル聴かれたんですね!!
しかもキャメル所有率ゼロという私からしたら、購入され、これからもプログレ芸人としていこうという光が見える兄さんの姿が輝かしく思えます。マジで。
キャメルを持ってたような気もするのですが、前のバイトで毎日棚に並べていたので、それがまるで自分の所有物のような錯覚となるんですね。でも『スノーグース』は聴いたことがあります。美しいアルバムです。どちらかというと激しいものやゴリゴリの変拍子の嵐みたいなものが好きだった当時の自分も「これはいい!」と思ったのを覚えています。

それと数年に一度の割合でON AIRされる全国のプログレ芸人によるプログレ祭りNHK-FM『今日は一日“プログレ”三昧』が先月ありましたが、キャメル、流れてましたよ。1日中プログレです。プログレの海で溺れる一日です。幸せな気持ちになれます(多分)。兄さんも次回お暇がありましたら聴いてみてはいかがでしょう。番組をやっている側と聴いている側の情熱と情熱の激しいぶつかり合いで番組が終わったあと、祭りのあとの寂しさのような余韻が好きです。今回は少ししか聴けませんでしたがまるでプロレス会場のような番組です(どんなだよ)。

私も兄さんが記事にされた事を機に、キャメルを少し聴いてみたくなりました。ありがとうございます。テンション上がりました!

しかし聴いてないと言いつつ、ホントに沢山の音楽を知ってらっしゃいますよね。私も以前のようにとはいきませんが、細々と好きなものを聴き続けていこうと思います。

あ、原点回帰の気持ちになりまして、グレノスに名前戻しました。こちらも細々とやっていきます。

投稿: 祥 | 2015.10.24 09:22

祥お嬢、コメント感謝です・・・が、キャメル所有率ゼロ?そうだったの?
それもなんか意外な感じですが・・

>これからもプログレ芸人としていこうという光が見える兄さんの姿が輝かしく思えます。

いえ、プログレ芸人はあきらめました。(早い)
キャメルくらいは聴いておいて先輩に褒められようとしたら「キャメルは苦手」とか言いやがってよぅ・・(タバコを投げ捨てる)
まあキャメルはこんなポンコツプログレ初心者にも比較的わかりやすい音楽でしたけど。

>1日中プログレです。プログレの海で溺れる一日です。幸せな気持ちになれます(多分)。

あー・・話には聞いてますが、あの番組ですね。友人にこの番組好きなヤツがいます。
毎回チェックしてFacebookに感想書いたりしてますね。
自分はおそらく開始26分あたりで寝るような気がします・・

>今回は少ししか聴けませんでしたがまるでプロレス会場のような番組です(どんなだよ)。

なんだかわかるような気がします。(ホントかよ)
でもやっぱ一日中プログレは自分にはハードル高いだろうなぁ・・
一日中パープルで曲紹介の間にモメ事トークとかそういうのやらないかなぁ・・

聴いてない音楽を世界中に拡散してもうすぐ12年になりますけど、開始当時と素人ぶりが全然変わってないことに呆然とします。(場内同感)
たぶん22年やっても変わんないと思いますが、今後ともよろしくご指導ください。

投稿: SYUNJI | 2015.10.24 21:37

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