« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »

やってない 第34回 DIY

基本的に「できること」の極めて少ない中高年のSYUNJIです。
いわゆるDIY、全くやってない。
正しくは「できない」のだが、「DIYができる・できない」ともあまり表現しないので、やってないと書くことにします。

DIYとは「Do It Yourself」の略で、まわりくどく言うと木工や金工や電気工作の分野においてプロなど他人に頼まず自力でモノづくりを行うことを意味する。
自分が子供の頃はこんな言葉は一般的でなく、あったのは「日曜大工」という呼び方であった。
そのものズバリの「にちようだいく」という名のホームセンターが近所にあったくらいだ。

DIYで作る対象は小物から大掛かりな家具や小屋やログハウスまで様々だろうが、いずれにしろDIYでなんか作ってみました的な経験はほとんどない。
例えば電化製品のプラグがちぎれたので新しいものに交換したりとか、脚が折りたたみ式の小さなテーブルを組み立てたことはあるが、プラグ交換なんて小学生でもできることだし、テーブルにしても全部そろったキットを買ってネジを締めただけなので、とてもDIYとは呼べない。

自分が中学生の頃は技術家庭という授業があり、基本的に男子は技術と称して木工や電工の実習を行っていた。
実習と言うと聞こえはいいが、これも学校側とぎっちり癒着した業者からラジオ組み立てキットや本棚作成セットを買わされて組み立てるだけである。(←見方がすさんでる)
当然仕上がりのレベルに差は出るが、まあよほどのアホウな生徒でない限り説明書どおりに組み立てれば成功するという、あまり創造性のない授業だった。
成果品については失敗した記憶はないけど、取り立てて褒められたこともない。
それよりウチの中学では「他人の完成品を盗んで自分のものとして提出する」というズルが横行していて、作業中は自分の作品から片時も目を離さないことが絶対条件という治安の悪さだった。
書いててイヤになる話だなぁ・・
そんな野蛮な学校だったので、授業をきっかけにDIYに開眼した・・なんて夢みたいな話は全く起こらず、その根性は今もあんまし変わっていない。
いや、根性が変わらないのは別に出身中学のせいじゃないですけど。

自分のDIY心のなさは家庭環境も大いに影響している・・と言いたいところだが、実は全く当てはまらない。
父親が全く不器用で金づちひとつ満足に使えないのであれば、少しは親のせいにもできるのだが、我が家の場合はかなり話が違う。
父親が言うには「オレは昔鳶をやっていた」とのことで、棚や机を作るなんてのは文字通り朝飯前。
人が入れるくらいのでかい鳥小屋を庭にこしらえたり、屋根付きのバイク庫を家の横にいつの間にか全部自前で作ったりしている、そういう人間だった。
家の前の畑(よその土地)に放置されていた折れた電柱(コンクリート製・1.5mくらい)を、地主や東電に断りもせず起こして立てた上に、下に穴を開けてレンガで囲い、見事な暖炉風焼却炉を作ってしまったこともあった。
ほっとけば家のひとつもひとりで建てそうなDIY親父だったのだ。

そんなわけで今も家には父親が生前使っていたいろいろな道具がある。
木工で言えばカンナは大小合わせて5つも6つもあるし、ノミも10本セットで残っている。
筋毛引きや墨壺、ラチェットドライバーや水道レンチなんていう一般家庭にはあまり置いてないものもある。
ラチェットドライバーくらいは自分もたまに使うことはあるが、カンナやノミは手入れもしておらず正しい使い方もよくわからない。
残念ながら父親からは道具の使い方をほとんど教わっておらず、完全に宝の持ち腐れ状態。

ちなみに墨壺ってのはでかい板や長い木材に長い直線を一発で描ける優れた道具である。
墨壺についてはかろうじて使い方を教わっていたので、高校の学校祭でベニヤにマス線を引くのに使ったりしたが、結局それっきり。
学校で墨壺を使うというちょっと珍しい高校生だったのだが、その後何も起こらなかった。(もったいない)

最近は男女を問わずDIYがブームだそうで、若い女性でもインテリアとして机や棚を自作する人が増えているらしい。
二子玉川や吉祥寺には女性をターゲットにしたDIY専門店も登場しているし、タレントの森泉や中田喜子がテレビで腕前を披露したりと、業界的にも乗っかりたいところのようだ。
非DIY中年男の自分としては肩身の狭い世の中になりつつあるが、トシとって突然目覚めるような性質のものではないような気がする。
大げさだけどDIYにはやはりある程度才能や創造性が必要であり、自分みたいな素質のない人間は今さらムリだと思うのだが・・

ということで、DIY。
自分はこの先もたぶんDIYにのめり込むようなこともなく、持ってる道具のほとんどを使いこなすことなく死の床につくような予感はするのですが、みなさまのDIY活動や成果について教えていただければと思います。

| | | コメント (2) | トラックバック (0)

聴いてみた 第128回 ウィンガー

ロスジェネ中高年メタル学習シリーズ、本日の必修科目はウィンガー。
実は全く聴いたことがなく、1曲も知らずメンバーの誰も知らないという知識ゼロ状態でいきなりCDを(中古だけど)買ってみた。

知っているのはバンド名とデビューアルバムのジャケットだけ。(貧弱)
聴く前にバンドについてオブラートのように薄く調査。
ウィンガーは80年代末期にニューヨークで結成されたメタルバンド。
元アリス・クーパー・バンドのキップ・ウィンガーとポール・テイラーを中心に、レブ・ビーチとロッド・モーゲンスタインを加えた4人体制でスタート。
なるほど・・と腕組みのひとつもしたいところだが、アリス・クーパーも名前しか知らないのでああそうですかという藤本義一的反応しかできない。
バンド名は初めは「サハラ」になる予定だったが、すでにサハラという別のバンドが存在したため、ウィンガーを名乗ることとなった。

バンド名のついたデビューアルバムは88年発表。
アメリカのビルボードでは21位、200万枚を超えるセールスを記録し、プラチナ・ディスクに認定された。
続く二作目の「In the Heart of the Young」は全米15位とさらに大売れ。
ところが93年ポール・テイラーが脱退。
騒動と混乱の中で発表された「Pull」は83位止まりでウィンガーは失速する。
ちょうどこの時期はグランジ台頭の真っ只中であり、メタルが軒並みグランジによって粉砕された頃だが、ウィンガーもこの波に飲み込まれた形となったようだ。
バンドは解散し、ギターのレブ・ビーチはその後ドッケンホワイトスネイクといった名店を渡り歩くことになる。
ちなみにレブは、エドワード・ヴァン・ヘイレンやスティーブ・ルカサーなど多くの名ギタリストを輩出したバークリー音楽学校の出身だそうだ。

2006年にメンバーを5人にして再結成。
2014年には4人でアルバムも発表し、現在も活動中とのこと。

ウィンガーを全然聴いていなかったのは、デビューが88年という点が大きな理由。
エアチェックをしなくなり、新しい音楽をあまり仕入れなくなった時期と重なる。
なのでもう3年ほどデビューが早ければ、少しは聴いていた可能性が高い。
そんな言い訳に何の意味もないが、後ろめたさ払拭のため取り急ぎデビューアルバムを聴くことにした。

Winger_2

・・・・・聴いてみた。

1. Madalaine
2. Hungry
3. Seventeen
4. Without the Night
5. Purple Haze
6. State of Emergency
7. Time to Surrender
8. Poison Angel
9. Hangin On
10. Headed for a Heartbreak
11. Higher and Higher

基本的には重低音なベースラインにメロディアスなギターを乗せたポップなサウンドである。
メタルなのでみんな楽しくワイワイやろうぜ的な曲はなく、どちらかというと辛口のヤケクソなメロディが続く。
でも「Without the Night」「State of Emergency」「Headed for a Heartbreak」なんてすごくアメリカン・ポップな音だし、サバイバーとかナイト・レンジャーがやりそうな曲だよなぁ。
ハードロック・バンドが好んで差し込みたがるようなうっとりバラードは、このアルバムにはない。
「Purple Haze」はジミヘンのカバーだが、メンバーや関係者はあんまし評価していないそうだ。

感覚的には「80年代産業ロックの香りを残すメタル」。
「デイヴのボーカルを上品にしたヴァン・ヘイレン
「メタル寄りにチューニングしたボン・ジョビ
「ワイルドにアレンジしたナイト・レンジャー」
「やや角の丸いデフ・レパード
・・・みたいな表現でわかっていただけるだろうか。
ここに挙げたどのバンドにも似ており、どのバンドとも違う。(当然か)
トータルで言うとデフ・レパードに一番近い気がする。

キップ・ウィンガーのボーカルも意外にまともで、どの曲もそつなく歌いこなしている。
厚めのコーラスを当てている曲も多く、ここはボン・ジョビやデフ・レパードと同じ手法。
逆さに言うとキップの声は全体を牽引するほど尖っておらず、ハードロックバンドのボーカルとしてはやや弱いように思う。
ケヴィン・ダブロウやサミー・ヘイガーややっさんのように、「一度聴いたら忘れない」ような人間離れしてる声とは違うのだ。
じっくりとソロで歌い上げるという曲はなく、どの曲でもわりと投げっぱなしな粗野な歌い方だ。

レブ・ビーチのギターもかなりテクニカルで、ところどころエドワード・ヴァン・ヘイレンみたいな音がする。
ただしヴァン・ヘイレンほどクスリっぽくもなく、あそこまでハジけたサウンドではない。
メタルにしてはどのパートも実直誠実な音であり、自分みたいな素人には聴きやすいことは確かだ。
こういう音楽はコアなメタルファンからの評価がどうなのか、気になるところではある。

ウィンガーがデビューからいきなり鋭いセールスを記録した理由は、メンバー全員の卓越した技量にあったという分析が定説のようだが、聴いてみてわかるような気はする。
職人さんの作るメタルサウンドという感じなので、粗暴で野蛮なニオイはあまりしない。
もしかしてメンバーのみなさんもすごくマジメで、ホテルの壁に日本刀で穴開けたり窓から女を投げたり頭に入れ墨して側転したりするヤツはいないのではないだろうか?

ジャケットは無機質な人面に光(稲妻?)が刺さっている絵だが、これはなぜかよく覚えている。
メタルバンドのアルバムジャケットにしては全然恐ろしくない、SFチックなアートである。
こういう絵は嫌いではない。
確かまだLPが店に置いてあって、バンド名もこのジャケットで覚えたのだが、メタルのコーナーにあったので聴く意欲は全くなかった。
バンド名のロゴの形はデフ・レパードに似ているけど、問題はなかったのだろうか?

というわけで、ウィンガー。
好みに程よく合致しましたとは言いがたいけど、悪くなかったです。
二作目はさらに売れたアルバムらしいので、次に聴くとしたらその「In the Heart of the Young」になると思います。

| | | コメント (2) | トラックバック (0)

聴いてみた 第127回 キャメル

今日聴いてみたのはキャメル。
久々にプログレ学習である。

キング・クリムゾンを教材にプログレ学習を始めて11年くらい経つが、知識も意欲も一向に向上しない。
最近はずうっとサボりっぱなしなので当然ではある。
やめてないけど籍だけ置いてるクラブ活動みたいな状況。
そんなバチあたりサラリーマンの自分は、1年半ほど前にキャメルを聴いてないことを世界中に発信している。
比較的初心者にも聴きやすいというありがたき情報になぜか今回発作的に背中を押され、近所のディスクユニオンで「Moonmadness」を購入。

Moonmadness

「Moonmadness」は1976年にキャメル4作目として発表された。
邦題は「月夜の幻想曲(ファンタジア)」である。
メンバーは以下の4人。
・アンドリュー・ラティマー(G)
・ピーター・バーデンス(K)
・ダグ・ファーガンソン(B)
・アンディー・ワード(D)

このアルバム発表後、ダグ・ファーガソンは脱退。
その後リチャード・シンクレアという歌えるベーシストの加入により、ボーカル入り曲の割合が高くなっていったそうだ。

さて「Moonmadness」。
叙情派プログレ・ファンタジックロックなどと呼ばれるキャメルだが、このアルバムが最高傑作だと推す人は多いようだ。
プログレ大好き芸人ならばキャメルと聞いてすぐに「アンドリュー・ラティマー!」と反射的に答えられなければ失格である。
三軒茶屋の中古CD店でキャロル・キングを聴いてないとド正直に告白してしまい、ぷく先輩に三角絞めで落とされているようではダメなのだ。(多少盛っているけどおおむね実話)

そのアンドリュー・ラティマーとピーター・バーデンスによって作り出される美しいサウンドとリズムがこのアルバムのキモである。(知ったかぶり)
まあぷく先輩がそう言うんだから間違いはないはずだ。
あとは生ビールでも紹興酒でもじゃんじゃん飲ませておけば勝ったも同然。
そんな三流企業の営業担当みたいな思いあがった気持ちで余裕カマして聴くことにした。(勘違い)

さすがに自分も加齢によって人間が丸くなったのか(違うと思う)、かつて初めてクリムゾンやELPを聴いてみた時のムダな緊張感はもはやほとんどなくなってしまった。
いちいち緊張してたらプログレなんか聴いてられないのである。
果たしてあたしは最後まで緊張感のない筋肉弛緩状態でキャメルを聴くことができるでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Aristillus(アリスティラスへの誘い)
2. Song Within A Song(永遠のしらべ)
3. Chord Change(転移)
4. Spirit Of The Water(水の精)
5. Another Night(月夜の幻想曲:ファンタジア)
6. Air Born(ゆるやかな飛行)
7. Lunar Sea(月の湖)
8. Another Night (Single Version)
9. Spirit Of The Water (Demo)
10. Song Within A Song (Live)
11. Lunar Sea (Live)
12. Preparation Dunkirk (Live)

8以降はボーナストラックである。

率直な感想としては、思ったより軽快な音楽だ。
緻密で計算された理工学系のサウンドではあるが、難解で陰鬱なイメージは全くなく、フュージョンやイージーリスニングのような受け入れやすい音楽が続く。
「Another Night」のようなやや緊張感の高い曲もあるが、全体的にはゆったりと進行し、おだやかな印象の曲が多い。
少なくとも不快な音が延々続いたり絶叫したり火を吹いたり花道で突然長州を襲ったりということはない。

ボーカルの出番はわりと少なく、頭から終わりまで歌いっぱなしという曲はない。
キーボードやギターの音が比較的目立つが、主張はそれほどきつくなく、どのパートも出しゃばらずに調和を重視する構成となっているように聞こえる。
「Air Born」などはどこか昭和のムード歌謡みたいなイメージ。
「Lunar Sea」はギター中心の疾走感に満ちたハードなメロディだが、ノリはジャズのものでロックとは少し違う気がする。
もちろん全て初めて聴く曲なのだが、登場するリズムやサウンドはなんとなく「想定内」であり、意表をつく組み立てや劇的な転換などもなかった。

ボーナストラックにはライブバージョンが3曲あるが、歓声も拍手もそれほど聞こえず、メンバー紹介や観客とボーカルとの掛け合いなどもないので、ライブの臨場感はさほどない。
スタジオでの演奏と変わらない精緻なサウンドを、クラシックコンサートのように静かに聴いているような雰囲気である。

ともあれ確かに自分のような素人にもやさしいプログレであることはわかる。
おだやかなフロイド・わかりやすいクリムゾン・やさしいU.K.といった感じ。
純喫茶のBGMになっていても全然違和感はない。
好きかと聞かれると微妙だが、途中で止めたくなるようなことはなかった。
こんなプログレもあったんだ・・という発見がそこにある。

キャメルが他のプログレバンドと違うのは、リードボーカル専門の人がいないことだそうだ。
クリムゾンもイエスもフロイドも、楽器演奏に重きを置くプログレなバンドではあったが、うまいかヘタかは別としていちおうメインでボーカルやってますという人が固定されており、それはバンドの顔でもあった。

一方でこの時のキャメルの4人はそれぞれが控えめに歌ったり合唱したりで、「オレ様が歌う!きぃいー!」というエゴの衝突はあんましなかったと思われる。
それがインストに強いバンドとしての個性を高めていた、という評価があるようだ。
確かに繰り返し聴いてみても、特にどの曲もどのメンバーもとがったボーカルではなく、決して楽器のジャマをしない絶妙な位置にいると感じる。
冒頭で書いたとおりこのあとキャメルはリチャードさんという歌うベースの人が加入して、歌もの重視志向が強くなっていったそうだが、どのくらいの変化があったのだろうか。

というわけで、キャメル。
初めて聴いてみましたが、それほど拒絶感もなくおだやかに聴くことができてよかったです。
機会があれば別の歌ものが多いアルバムも聴いてみようかと思います。

| | | コメント (8) | トラックバック (0)

聴いてない 第208回 シェリル・クロウ

今年の初めに「お笑いマンガ道場」について書いた記事が、川島なお美死去により自分のBLOG内でのランキングで最近トップになってることに多少驚いているSYUNJIです。
まああの記事はそもそも「お笑いマンガ道場」を見ていないことの告白であり、さらにどっちかっつうと川島なお美より柏村武昭について書いてるんで、あんなのがトップになってしまってなんか申し訳ない気がします。

さて絶望と背徳の聴いてないシリーズ、本日のお題はシェリル・クロウ。
90年代以降に売れた人なので、愚かな話だが自分にとっては「最近の人」という印象である。
キャリア20年以上だから全然最近じゃないけど。

聴いているという自覚はもちろんないが、調べてみたら、偉くもなんともないが意外にも3曲聴いていたことが判明。
従って聴いてない度は3となる。

聴いたことがあるのは以下の3曲。
・All I Wanna Do
・Everyday Is A Winding Road
・If It Makes You Happy

どれも大ヒット曲なので、日本国民であればこの程度は聴いていて当然であろう。
アルバムは聴いたことがなく、「All I Wanna Do」は当時流行っていた「NOW」系のオムニバスCDに収録されていた。
「Everyday Is A Winding Road」「If It Makes You Happy」はMTVの音声をテープに録音している。

経歴を調べると「カントリー&ウェスタン」というジャンル名が時々出現する。
聴いた範囲ではそういう認識は全くなかったのだが、本人はカントリー&ウェスタンを中心に活動してきた人のようだ。

シェリル・クロウは1962年アメリカのミズーリ州に生まれた。
父親がトランペット奏者、母親はピアノ教師という音楽一家に育ち、大学ではクラシック音楽と音楽理論を専攻。
一方で友人とバンドも組んでストーンズツェッペリンのコピーもやったりしていた。
大学卒業後、音楽教師をしながらバンド活動も続け、87年にマイケル・ジャクソンのツアーにバック・ボーカルとして採用される。

92年にデビューアルバムのレコーディングまで行ったが、レコード会社側の判断で発売は中止になった。
この危機をエンジニアであり恋人ともなったケビン・ギルバートとともに乗り越え、93年にケビンや仲間たちと作り上げたアルバム「Tuesday Night Music Club」でようやくデビュー。
シングル第3弾の「All I Wanna Do」が大ヒットとなり、アルバムも世界中で700万枚のセールスを記録した。

しかし売れれば何かと摩擦が生じるのが音楽界である。
ともにアルバムを作った仲間たちが、実はそれほど曲作りに関わったわけでもないのにあたかも全てシェリル自身が作ったかのように振る舞う彼女の姿に失望。
さらには恋人のケビンも事故死してしまい、シェリルにとってはつらい思い出が残るアルバムとなった。

再起をかけて96年に自身のプロデュースによるアルバム「Sheryl Crow」を発表。
「Everyday Is A Winding Road」「If It Makes You Happy」が大ヒットし、今度こそ名実ともに女性シンガー&ソングライターの地位を確立した。
なお「Everyday Is A Winding Road」は日本でも日産シルビアのCMに使われている。

自分が聴いたのはこの頃までのようだ。
この後98年、3枚目となるアルバム「The Globe Sessions」を発表。
全米5位を記録し、グラミー賞の最優秀ロックアルバムまで獲得した。

99年、ニューヨークでエイズの子供たちを救済するためのチャリティコンサートを開き、クリッシー・ハインドやスティーヴィー・ニックス、エリック・クラプトン、キース・リチャーズなど豪華メンバーが参加。

その後2000年にはガンズの「Sweet Child O' Mine」をカバー。
2002年にはレニー・クラヴィッツ、スティーヴィー・ニックス、ドン・ヘンリーなどが参加したアルバム「C'mon, C'mon」が全米2位を記録する。
翌年には日本公演を収録した「Live at Budokan」というチープ・トリックみたいなタイトルのライブ盤を日本限定で発売した。
さらに2005年、アルバム「Wildflower」がカナダで1位、全米2位となった。
このアルバムにはあのベックの父親がアレンジで参加しているそうだ。

この頃セールス的には絶頂にあったシェリルだが、実はガンになったり脳腫瘍になったりで肉体的にはハードな日々だったらしい。

2010年には日本でジャクソン・ブラウンとのジョイント・ツアーを行った。
このツアーの広告を、テレビCMや雑誌などで目にしたことは覚えている。
2013年にアルバム「Feels Like Home」を発表し、現在も精力的に活動中とのこと。

・・・・結局聴いた3曲以外はプロフィールも含めて何も知らないのだった。
実は顔もあまりよく知らない。

で、カントリー&ウェスタンというジャンルに関しては、具体的にどの曲やアルバムがカントリー調なのかはよくわからなかった。
「All I Wanna Do」はどこかラテンの香りもするリズムとサウンドで、歌詞もなんとなく投げやりな内容。
これを聴いた限りでは、カントリー&ウェスタンというジャンルは思いつかない。
「Everyday Is A Winding Road」「If It Makes You Happy」についても、特にバンジョーやバイオリンが鳴り続けるわけでもなく、ふつうにロックとかポップスに該当する音楽だと思う。
まあカントリー&ウェスタンというジャンル自体に対するイメージがそもそも貧困なだけなのだが・・

「遅咲き」という表現もあちこちに出てくる。
30歳を過ぎてようやくデビューしているので、そう言われてもやむを得ないとは思うが、「All I Wanna Do」「If It Makes You Happy」を聴いた時はもっと若い女性だと思っていた。
少なくともこの頃の声は「オトナの魅力」「妖艶」などという形容は全く該当せず、むしろ少女のような若さを感じさせるものだったのだ。

たぶん見た目も音楽性も全然違うとは思うが、個人的にイメージがダブるのがメイヤだ。
たまたま「All I Wanna Do」を聴いた頃にメイヤも売れていたので、時々混同することがあった。

ということで、シェリル・クロウ。
カントリーな曲に特に興味はなく、むしろチャリティーコンサートのライブ盤なんかは少し聴いてみたい気がしています。
相変わらず中身のない内容ですいませんが、おすすめのアルバムなどありましたら教えていただければと思います。

| | | コメント (4) | トラックバック (0)

« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »