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聴いてみた 第123回 ブラック・サバス

ようやく春めいて桜の便りもあちこちで聞かれる季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。(NHK調)
今日はそんな桜の季節にふさわしいミュージックとして、ブラック・サバスを聴くことにしました。

サバスを聴くのは生まれて初めてである。
1曲も知らないし、(中古だけど)CDを手に取ったのも初めてだ。
10年前にBLOGでも採り上げたけど、結局全く聴いていない。
昨年末に渋谷のレコファンを物色していて、発作的に購入。

Black_sabbath

買ったのはサバスのデビューアルバム。
タイトルはバンド名と同じだが、邦題は「黒い安息日」である。

聴く前にサバス発生の秘密を拙速に学習。
サバスの結成は60年代末と言われている。
バンド結成前のオジーはチンピラとミュージシャンの間を行き来するしょうもない不良で、仕事もなく盗みを繰り返していたそうだ。
そんなオジーとオカルト大好きベース芸人ギーザ・バトラーが出会い、さらにドラムのビル・ワードとギターのトニー・アイオミが加わり、アースというバンドを結成。
69年にバンド名をブラック・サバスと変え、デビューシングル「Evil Woman」を発表。
その後わずか2日間で7曲を録音し、70年にアルバム「黒い安息日」をリリースした。

当時のセールスとしては全英で8位、全米で23位などの記録があるそうで、売れたアルバムであることは間違いない。
しかも発売日を2月13日の金曜日に設定という手のこんだこともしている。
ジャケットも沼のほとりに立つ黒い服の女という、オカルト映画のポスターみたいないやーな絵である。
このジャケットにも見覚えがあったわけではないが、LPだとやはり相当気味悪かったんだろうなぁ。

元祖メタルと呼ばれ、セバスチャン・バックやマーティ・フリードマンなど多くの信者を集めるブラック・サバス。
一方でサバスを語る形容詞として必ず目にするのが「重い・暗い・遅い」。
やはり聴く前からなんとなく気も胃も重いが、とにかく聴いてみることにしよう。
果たして本当に重く暗く遅い音楽なのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Black Sabbath(黒い安息日)
2. The Wizard(魔法使い)
3. Behind The Wall Of Sleep(眠りのとばりの後に)
4. N.I.B.
5. Evil Woman(魔女よ、誘惑するなかれ)
6. Sleeping Village(眠れる村)
7. The Warning(警告)
8. Wicked World(悪魔の世界)

1曲目。
2曲目。
3曲目・・・・・あれ?

「げぇーキツイ・・」「なんだよこれ・・」という拒絶感は意外にも全くない。
あれ?サバス、もしかしていいかも?
直感的にそんな感じ。

まずトニー・アイオミのギターだが、難解な進行ではないし、メロディも思ったほど突飛なものはない。
トップのタイトル曲「Black Sabbath」は、クリムゾンのようにも聞こえる。
「The Wizard」はブルースを基調とした重いサウンドだが、思いのほかベースの裏メロが渋くてこれもなかなかいい。
「N.I.B.」という曲はどこかクリームの音にも似ているし、「Sleeping Village」「The Warning」なんて意外にポップなサウンドにも思える。
とにかく、不思議とイヤな音がどこにもない。
なにこれ。
サバスってこんな音楽だったの?

どうやら自分は大幅に誤解していたようだ。
ブラック・サバスなんてお不良の人たちが聴く音楽・・・とまでは思ってなかったけど、暗く重く遅いんだったら当然自分には合わないだろう、と長いこと(さっきまで)思っていた。
ところが聴いてみると自分の聴ける音楽の範疇からあまりはずれていない。
この感覚はクリムゾンELPを初めて聴いた時のものに近いし、もっと言うとクリムゾンやELPよりも抵抗がない。
そうだったのか・・・

「重く、暗く、遅く、怖い」という恐怖の四重奏が評判のサバスだが、印象としてはまあ確かにその通りだ。
速い曲はなく、ぼんぼんどすどすというゆるいリズムにぶんぶんびんびん響くギターと甲高いボーカル。
たまにドラムだけ忙しかったりする。
重いのはベースとギターで、怖いのはオジーの声と顔。
基本的にはオジーと各楽器の掛け合いで構成される曲が多い。
どこかプログレの香りも漂うような、独特の世界がそこにある。
でもこれが決して悪くない。

楽しい音楽ではないのに、なぜ悪くないと感じるのだろうか。
おそらく、各パートとボーカルに調和がとれているからだと思う。
重く暗く遅く怖く、そして美しく。
これができているので、イヤな音にはなっていないのだろう。たぶん。
ツェッペリンのような毒キノコサウンドも、パープルのような垢抜けなさもない分、むしろ誠実な印象を受ける。

オジーのボーカルを聴くのもほぼ初めてだが、このアルバムに関しては、絶叫したりうなったりというケモノっぽい歌い方はしておらず、わりと堅実?に歌っている。
これも悪くない。
特に好きな声でもないと思うが、続けて聴いても疲労がこないタイプのボーカルである。
比較するのも気が引けるが、自分にとってイアン・ギランは長く聴いてると疲れるボーカリストだ。

あとオジーについて思うのは、話し声とあんまし変わらない気がする点。
以前テレビで、オジーの大ファンであるふなっしーがオジーの自宅を訪問する、という番組を見たのだが、その時のオジーの話し声はこのアルバムで聴ける声とあまり変わらなかった。
まあ加齢はしてるけど同じ人だしね。
ちなみにその番組では最後にお約束どおりオジーがふなっしーをプールに突き落として大笑い、という内容でした。

というわけで、初めて聴いてみたサバス。
予想以上によかったです。
もっと若い頃に聴いておけばよかったなぁ。(こればっか)
なおサバスといえばモメ事も多く出入りの激しいバンドであるが、自分のような初心者はやはりオジー時代から順を追って学習すべきだろう。
(個人的にはロニーは好きなボーカリストの一人ですけど)
とりあえず次もオジー在籍時のアルバムを聴いてみようと思います。

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