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聴いてみた 第121回 シンディ・ローパー

先日ガラにもなく唐突にアラン・トゥーサンなんか見に行ってしまったあたし。
調子に乗ってアラン・トゥーサン学習も少しだけ兼ねてシンディ・ローパーを聴くことにしました。

Memphisblues

聴いてみたのは2011年発表の「Memphis Blues」。
B.B.キング、ジョニー・ラング、アラン・トゥーサン、アン・ピーブルズ、チャーリー・マスルホワイトといったビッグネームたちを従えてメンフィスで録音した、魂のブルース・カバー集である。
以前からモンスリー師匠のおすすめでもあったため、今回教育的指導をふまえて聴くことにした。

自分が聴いたのは輸入盤だが、日本盤にはボーナストラックが2曲追加されている。
参加ミュージシャンの中で一人若いのがジョニー・ラングという人。
1981年生まれでシンディとは親子ほども年が違うようだが、ブルースの天才少年と称された歌い手だそうだ。

シンディ・ローパーもベスト盤しか聴いてない(しかも記事にしたのが10年前)という荒涼たる有様な自分だが、さらにブルースを選択するという大胆な展開。
仮免も取ってないのにプレミアなハーレーを先に買ってしまったようなものだろうか。
果たして自分はシンディの運転するハーレーで振り落とされずメンフィスのブルースについていけるのでしょうか。

・・・・聴いてみた。

1. I'm Just Your Fool (feat. Charlie Musselwhite)
2. Shattered Dreams (feat. Allen Toussaint)
3. Early in the Morning (feat. Allen Toussaint & B.B. King)
4. Romance in the Dark
5. How Blue Can You Get (feat. Jonny Lang)
6. Down Don t Bother Me (feat. Charlie Musselwhite)
7. Don't Cry No More
8. Rollin and Tumblin (feat. Kenny Brown and Ann Peebles)
9. Down So Low
10. Mother Earth (feat. Allen Toussaint)
11. Cross Roads (feat. Jonny Lang)

うーん・・・・
当然だが全編ブルースである。
シンディならではの部分もあるが、80年代にはじけて世界中を席巻したシンディではなく、「ブルースも歌える器用な大人のシンディ」がいる。
メンフィスという場所、参加している豪華メンバー、スタンダードなブルースナンバーといった、これ以上ない素晴らしい条件の中でいきいきと歌うシンディ。

「Early in the Morning」はアラン・トゥーサンとB.B.キングが参加しているゴージャスな曲。
軽快で楽しそうなリズムがいい雰囲気である。
他にもアラン・トゥーサンがピアノを弾いている曲がいくつかあるが、ついこないだアラン・トゥーサンを知ったばかりなので、音だけで「おおおこれぞまさにアランのピアノ!」・・・などとわかるはずもない。
「このピアノはキース・エマーソンだ」とぷく先輩に言われても「へぇーそうなんスか・・」と言うと思う。
いずれにしても楽器の音やブルースのリズムにシンディのボーカルは負けていない。
「Don't Cry No More」などはなかなかいいと思う。

ただし。
ブルースもシンディも聴き慣れていない自分には、この組み合わせが心にしみる・・というレベルには、申し訳ないが全然達していない。
ブルースと言えばもっと野太く濁った酒焼け気味の声の人がうなったりするもんだという浅はかな先入観があるので、シンディの声は少し薄い気がするのだ。
ブルースナンバーなのでそもそも必要がないということなのだろうが、80年代にあったシンディの目いっぱい張り上げる歌い方は、このアルバムにはない。

だいたい自分という人間はどっぷりのブルースは実は苦手である。
ブルースなくしてロックが語れるはずもないけど、それぞれの時代に若者がブルースを様々な形で昇華したのがロックであり、その解釈や表現の工夫やアレンジや転換のしかたや調和にこそ自分はひかれるのだろう。
ロック・ミュージックの源流原型であるブルースを「そのまま聴く」ことには慣れていないのである。

具体的に言うと、このアルバムにロバート・ジョンソンの「Cross Roads」があるが、ご存じのとおりクリームでも有名な曲である。
しかしシンディの歌う「Cross Roads」はクリームのそれとは全く別の音楽だ。
クリームの「Cross Roads」はすでに原曲からもかなり離れたところにあると思われるが、あの3人の「誰も裏をやっていない」ガチなド突き合いこそがロックとしての「Cross Roads」であり、そこに自分は魅力を感じるのである。
(クリームも含め、クラプトンの曲で一番好きなのがこれ。)

なので、どこかに80年代のシンディがいないか探すような聴き方自体が決定的に誤っていると思う。
今の自分には「メンフィスでブルースを歌うシンディ」を、酒でも飲みながらゆったり鑑賞するというようなマネはとてもできない。
端的に言って「難しい音楽」である、というのが正直なところだ。
繰り返し聴けばメンフィス・ブルースの味わいを少しは理解できるようになるのだろうか。
今のところ予感は全くないが・・・

ちなみにアルバム発表後、日本(名古屋・東京・大阪)でのツアーが組まれたのだが、直前に東日本大震災が発生。
しかし震災当日に来日したシンディは、被害の惨状を知り、歌で日本の客を勇気づけることを決意。
ツアーは予定どおり行われたそうだ。

というわけで、シンディ・ローパー。
やはり厳しい結果となりました。
アラン・トゥーサンの学習も兼ねるなどとデカイことをほざいたわりに、何もできずに終わった感じがします。
やはりシンディの学習であれば、自分の場合80年代のアルバムから積み上げていったほうが良さそうです。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
シンディのブルースアルバムを聞かれましたか!

>>「ブルースも歌える器用な大人のシンディ」がいる。
>>いきいきと歌うシンディ。

これを聞き取っていただけるだけで十分かと思います。

私自身、本格的ブルースは苦手です。また、このアルバムも
熱心なブルースファンが聞くと、目を三角にして怒るような
内容かも知れません。
しかしです、シンディが「こういう音楽と歌も素敵よ」と
いって聞かせてくれるのですから、ファンとしては感動
しました。

掲載された2011年来日公演について少しだけ。
このアルバムは2010年夏に出ました。私はすごくいいと
思ったのですが、国内盤はしばらく出ませんでした。
2011年秋くらいに、ブルースを中心に歌う来日公演が告知されました。
私は、「この内容だったらお客が来ないかもしれない。オレが
応援にいかなくてどうする」
と思って、急ぎチケットを購入しました。
で、2011年3月の来日公演を迎えたわけですが、なんと、
80年代のヒット曲もブルースも同じようにものすごく盛り上がりました。
熱心な日本のファンの底力、そしてシンディの変わらぬ歌の魅力に
感動して帰ってきました。

投稿: モンスリー | 2015.02.09 21:16

モンスリーさん、今回もお世話になりました。
さすがに自分のような三流にはハードルが高かったです・・

>このアルバムは2010年夏に出ました。私はすごくいいと思ったのですが、国内盤はしばらく出ませんでした。

あ、そうだったんですね。
レコード会社側もアメリカ市場の動向を見てから日本盤を作ることにしていたんですかね?

>私は、「この内容だったらお客が来ないかもしれない。オレが応援にいかなくてどうする」と思って、急ぎチケットを購入しました。

すごいセリフだ・・
関係者が見たら号泣しそうなファンの心意気。
素晴らしいです。
東京では余震や停電の恐れもあったはずですが、予定どおり公演を行ったシンディの決断もまた素晴らしかったと思います。

投稿: SYUNJI | 2015.02.11 18:33

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