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聴いてみた 第120回 メガデス

先週おめでたく「聴いてないシリーズ」が200回をむかえ、間違った安堵感に包まれるSYUNJIといいます。
200組も聴いてないものを積み上げてる一方、「聴いてみたシリーズ」は今回120回目。
でもパープルストーンズみたいに何度も採り上げてるアーチストも多いので、実質「聴いてない」から「聴いてみた」にステップアップできたのは半分もないと思います。
そんな納期に大幅に遅れた編集プロダクションみたいな言い訳をしつつ、今日のお題をご紹介。

Rust_in_peace_2

人生初のメガデス鑑賞にあたり、グループ4作目の「Rust In Peace」を選択。
もちろんそうわかっていて選んだわけではなく、渋谷のレコファンで物色中に偶然手に取っただけ。
「Rust In Peace」は90年発表の作品。
メンバーは以下のみなさんである。
デイヴ・ムステイン(V・G)
マーティ・フリードマン(G)
デイヴ・エレフソン(B) 
ニック・メンツァ(D)

本作よりマーティとニックが参加し、ここからメガデス黄金期が始まるという歴史的にも重要なアルバムである。
2004年にはリマスター盤も発売されるなど人気の高い作品だそうだが、自分が購入したのは通常盤のようだ。
目玉はなんと言ってもギター職人マーティの織りなす独創的なメロディ。
メガデスは基本的にムステイン大佐が曲を作って歌って踊ってチケット売ってという労働配分に問題のありそうなバンドだそうだが、マーティ加入により表現力が飛躍的に向上し、名盤に仕上がったとのこと。
果たしてあたしもマーティのおかげで残業せずまっすぐ家に帰ることができるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Holy Wars...The Punishment Due
2. Hangar 18
3. Take No Prisoners
4. Five Magics
5. Poison Was The Cure
6. Lucretia
7. Tornado Of Souls
8. Dawn Patrol
9. Rust In Peace...Polaris

速い。
どの曲もとにかく楽天の社是みたいにムダに速く、また構成がそれなりに複雑で、なんとなくかすかにプログレの香りがする。
スピードも曲の中では一定でもなく、とにかく曲のどこかに必ず「急ぎのコーナー」が作られていて、メンバー全員そこだけは全力疾走納期厳守という約束になってる感じ。
なのでどれも同じに聞こえる・・といった失礼なことは言わないけど(言ってるやんけ)、曲ごとの特徴がいまいちつかみ切れず、いつの間にか次の曲に変わっているという状態。

何はともあれスピード重視・リフ多用・メロディアス上等といったメタルの王道を行くメガデス。
ムステインとマーティのギターも実直に速いが、インギーインペリテリのようなやりすぎ感はなく、むしろそこは安心して聴ける気がする。
似た進行パターンが多いが、ノリはキライではないので、慣れると結構サウンドとしては面白い。
「どどどどずーんずーんずーんずーん、ぽりぽりぽりぽりぽりぽり」といった音の繰り返し。
このアルバムに限っては、フェードアウトで終わる曲がなく、どれもバシッと冷徹に終了する。

曲はほぼデイヴ・ムステインとベースのデビッド・エレフソンによって作られており、マーティ・フリードマンの名はクレジットにはない。
明るく楽しそうなメロディやじっくり聴かせるメタルバラードはなく、かと言ってものすごく暗く重く不可解なサウンド・・という音楽でもないので、素人でも聴けるメタルといったおもむき。
デートドライブのBGMには向いてないけど、掃除する時に流したらはかどるんじゃないでしょうか。
繰り返し聴いていくと案外悪くない。

デイヴ・ムステインのボーカルは正直好みからやや遠い。
もっと金属的な声かと思っていたが、そうでもなく、ヘビーな楽器の音に対して意外に甲高く濁った声をしている。
アクセル・ローズをもっと一般人に寄せたような感じで、思ったほど絶叫したり音を長く伸ばしたりをしていないので、声楽として聴かせるような歌い方ではない。
「無機質ボーカル」という評価があるようだが、バラードとか歌わせたらもっとうまいんじゃないだろうか?

またところどころテープの回転数を落とした野太いバックボーカルやコーラスが聞こえるが、デイヴの甲高い声との対比を定型の様式にしているようだ。
ただしそれほど調和はとれておらず、ボン・ジョビデフ・レパードほどのハーモニーはない。
メガデスはあまりコーラスワークを重視する方向には行こうとしていない気がする。
なおムステインはかつてインタビューで「歌う時は別のキャラクターを演じている。クリント・イーストウッドなんかを参考にしてる」と発言したことがあるそうだ。

マーティのギターはさすがにこの後バンドを牽引していくだけのことはあると思わせるに充分なクオリティ。
エドワード・ヴァン・ヘイレンやインギーみたいなクスリっぽいイカレた部分はなく、まさに職人芸と呼べる勤勉なプレイである。
ちなみにマーティ、今ではすっかり「日本語に堪能でJ-POPにも詳しいアメリカ人」になっており、先日もニコニコ動画で「センター試験の英語問題を解く」という企画に参加し、ホリエモンにわずか1点という僅差で破れるという結果になった。
「アメリカ人なんだから英語の問題くらいできて当然やろ」という意見もあろうが、センター試験問題という特殊な日本語文章をまず理解した上でそれなりの結果を出した、という点に驚くべきだよね。
メガデスを脱退して日本語を独学で勉強し、読み書きも不自由しないレベルにまでなったらしい。
今マーティはBABYMETALを非常に高く評価してるそうです。

そんなわけで、初めて聴いてみましたメガデスの「Rust In Peace」。
ボーカルはやや苦手な感じですが、トータルとして悪くはなかったです。
次に聴くとしたらまたマーティ在籍期間の作品になると思います。

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コメント

お久しぶりです。

前回は場を弁えず、一人で勝手に当り散らすという無礼を働いてしまって誠に申し訳ございませんでした。
そのお詫びも込めてコメントさせて頂きます。

メガデスお聴きになりましたか。
実は、ヘヴィメタルでは一番好きなバンドなんです。
それにしても、初メガデスで『ラスト・イン・ピース』とはナイス御判断です!
何せ本作は彼らの最高傑作と誉れ高い作品であり、スラッシュメタルにおける名盤中の名盤ですから。
私も最初聴いた時は、その速さにただただ圧倒されましたね。
SYUNJIさんはメタルが苦手らしいですが、評価は割と良かったみたいなので、非常にうれしい限りです。
まあムス大佐のボーカルは、非常に独特なので好みがはっきり分かれるうえに苦手な方も多いので、それはしょうがないですよ。

この『ラスト・イン・ピース』の他に、おススメなのは『Countdown to Extinction』(92年発表)です。
こちらはメガデスで最も売れたアルバムで、全米だけで200万枚以上売り上げています。
ちなみに両者ともメガデス黄金時代の作品で、『ラスト~』の後に発売されたのが、『Countdown~』です。
ただ作風は大きく異なっていて、『ラスト・イン・ピース』が、まさにスラッシュメタルな高速かつ複雑な構成のナンバーで固められているのに対し、『Countdown to Extinction』は、全体的にミドルテンポでシンプルな曲によって構成されています。
まあ分かり易く言うと、ヘヴィメタルとハードロックの中間的なアルバムになっているんですよ。
だからメタラーやスラッシャーからは正直不人気です。
ただ、アルバムとしてはこちらもかなりの完成度となっています。
それにメタラーから不人気ということは、ヘヴィメタル及びメガデス初心者には最適なアルバムでもあるということで、入門編としてはぴったりな作品です。
早い話、取っ付き易いんですよ。
なので、本来はこちらから聴くのがベストだとよく言われます。
ただ、最初に『ラスト・イン・ピース』を聴くというのも非常に素晴らしいと思います。
なんせ『ラスト~』は、メガデスとはなんたるかを理解するにはぴったりなアルバムなので、選択としては全く間違ってないです。

強制するつもりは毛頭ありませんが、もし気が向くようなことがあったら聴いてみては如何でしょうか?

投稿: ザ・アンノウン | 2015.01.25 10:11

ザ・アンノウンさん、コメントありがとうございます。
お待ちしておりました。
こちらこそ先日はいろいろ失礼しました。

>実は、ヘヴィメタルでは一番好きなバンドなんです。

おお、そうでしたか!
それはこちらもありがたいです。
メガデス記事にして良かったです。

>それにしても、初メガデスで『ラスト・イン・ピース』とはナイス御判断です!

いえ、たまたま手に取ってマーティ在籍を確認しただけでしたが・・
でもこのアルバム自体は悪くなかったので、結果論ですが良かったです。

>この『ラスト・イン・ピース』の他に、おススメなのは『Countdown to Extinction』(92年発表)です。
>まあ分かり易く言うと、ヘヴィメタルとハードロックの中間的なアルバムになっているんですよ。

なるほど・・
調べてみたら、あの怖いジャケットには見覚えがありました。
邦題が「破滅へのカウントダウン」てのもすごいですね・・
でもメタルとハードロックの中間的なサウンドであれば、確かに自分みたいな素人にはより向いているかもしれないですね。

ともあれ、メガデスに思ったほど拒絶感を覚えなかったのは収穫でした。
次回はおすすめの「Countdown to Extinction」も聴いてみようと思います。

投稿: SYUNJI | 2015.01.25 20:42

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