« やってない 第30回 テレビゲーム | トップページ | 聴いてない 第199回 ニック・カーショウ »

聴いてみた 第119回 クイーン その2

ロックが中高年のじわじわ来る趣味になって久しい感もある昨今、またしても中高年をターゲットにした貴重なライブが公式にリリースされた。
我らがクイーンの40年前!の未発表ライブ盤である。
今回はモンスリー師匠のご指導により、この「LIVE AT THE RAINBOW '74」を聴いてみました。

Queen74

BLOGでクイーンを採り上げるのは実に9年ぶりである。
9年前に「The Miracle」を聴いてスタジオ盤はいちおう全て制覇しており、自分としては全盤教習を終えた極めて珍しいケースだ。
(ただしポール・ロジャース加入の再結成版等は除外)
ライブ盤も「ライブ・キラーズ」「ライブ・マジック」「女王凱旋!」などいくつか聴いている。
またその昔FMやNHKテレビでライブの模様を放送していたこともあり、いくつかはカセットテープに録音している。
たぶん西武球場のライブだと思うが、日本公演の特番もテープが残っていたはずだ。
「クイーンのファンでぇーす」とでかい声で言えるほどの自信はないが、子供の頃から自分の好みに合致する音楽である。

実はこのライブ盤が発売されたことを全く知らず、モンスリー師匠から教えられて初めて知った次第。
自分がボケっとしてる間に、あちこちで70年代80年代の音楽がパッケージされて世の中に出回っているようだ。
さて今回のライブについては、映像・音声含めていくつか商品があるが、自分が今回聴いたのは2枚組CDである。
CD1は1974年3月のレインボーシアターでのライブ(クイーンIIツアー)、CD2は1974年11月のレインボーシアターでのライブ(シアー・ハート・アタック・ツアー)。
3月の音源を使ったライブ盤は当時発売の予定もあったそうだが、その前にバンドは「シアー・ハート・アタック」の録音に入り、ライブ盤は発売されることなく40年が経過・・という経緯とのこと。
クイーンくらいになるとライブ音源もさぞかしたくさん眠ってると思われるが、出し惜しみしないでどんどん世に出していってほしいものである。
・・などと勝手なことを考えながら聴いてみました。

・・・・・聴いてみた。

CD 1:QUEEN II TOUR

1. Procession
2. Father To Son(父より子へ)
3. Ogre Battle
4. Son And Daughter
5. Guitar Solo
6. Son And Daughter (Reprise)
7. White Queen (As It Began)
8. Great King Rat
9. The Fairy Feller's Master-Stroke(フェアリー・フェラーの神技)
10. Keep Yourself Alive(炎のロックンロール)
11. Drum Solo
12. Keep Yourself Alive(炎のロックンロール・Reprise)
13. Seven Seas Of Rhye(輝ける七つの海)
14. Modern Times Rock'n' Roll
15. Jailhouse Rock(監獄ロック) / Stupid Cupid / Be Bop A Lula (Medley)
16. Liar
17. See What A Fool I've Been

CD 2:SHEER HEART ATTACK TOUR

1. Procession
2. Now I'm Here(誘惑のロックンロール)
3. Ogre Battle
4. Father To Son(父より子へ)
5. White Queen (As It Began)
6. Flick Of The Wrist
7. In The Lap Of The Gods(神々の業)
8. Killer Queen
9. The March Of The Black Queen
10. Bring Back That Leroy Brown
11. Son And Daughter
12. Guitar Solo
13. Son And Daughter (Reprise)
14. Keep Yourself Alive(炎のロックンロール)
15. Drum Solo
16. Keep Yourself Alive (炎のロックンロール・Reprise)
17. Seven Seas Of Rhye(輝ける七つの海)
18. Stone Cold Crazy
19. Liar
20. In The Lap Of The Gods… Revisited(神々の業)
21. Big Spender
22. Modern Times Rock 'n' Roll
23. Jailhouse Rock(監獄ロック)
24. God Save The Queen


74年当時の若いクイーンの魅力に満ちあふれたステージである。
リリースにあたってそれなりに編集はあろうが、やはりライブでもスタジオ盤に匹敵するような演奏レベルにあるのがさすがクイーンだ。
今さらだが、4人の一体感や躍動感はライブにおいてもこの時期で完全に確立されており、技巧派でありながらポップでアートなサウンドは非常にいい。
特にブライアンのギターソロは「Brighton Rock」の間奏部分の再現なのだが、レコード同様の素晴らしい音がする。
「Great King Rat」「Modern Times Rock 'n' Roll」「See What A Fool I've Been」など、公式ライブ盤に初めて収録される曲も多いそうだ。
昔はこんなセットリストだったのね。

フレディの声も若い。当たり前か。
ライブでは高音を抑えオクターブを下げて歌うフレディはこの頃も同じスタイルだが、若さで押している感じもあり、それほど違和感はない。
ドラムが若干荒削りな気がしないでもないし、ジョンが緻密に裏メロで主張したりするようなこともまだあまりないようだが、フレディに対するロジャーのサポートもいい感じだし、ブライアンのギターも安心して聴ける、痛いところのないライブだと思う。

レインボーシアターがどれくらいの規模の会場なのかはわからないが、ライブ盤にしては客の歓声はそれほど聞こえない気がする。
もちろん曲間やMC部分にはそれぞれ拍手や歓声はあるのだが、後の「ライブ・キラーズ」「ライブ・マジック」にあるような、フレディと観客の掛け合いや大合唱はなく、ものすごく盛り上がってますというほどの音量にはなっていない。
編集によって抑えられているということだろうか?

そういえばメンバー紹介もこのライブ盤にはないです。
「ライブ・キラーズ」のメンバー紹介部分の盛り上がりなんかけっこう好きだけどね。
ちなみにロジャーは「ライブ・キラーズ」は音が悪くてキライなんだそうです。

もともとクイーンに限らずライブ盤はスタジオ盤よりも低い評価をしてきた自分だが、このライブ盤はいいと思う。
とにかく水準はスタジオ盤並みに高いし、難な部分はほとんどない。

時間的にはCD1と2で半年くらいの差があり、セットリストも多少違うが、かぶっている曲も多い。
どちらもクライマックスに「Liar」を持ってきている。
「ボヘミアン・ラプソディー」「伝説のチャンピオン」といったワールドクラスのヒット曲が登場するのはもう少し後のことだ。
自分の好きな曲も「オペラ座」以降「ザ・ワークス」までに集中しているので、それほど思い入れのある曲はないが、貴重な記録であることは間違いない。

というわけで、「LIVE AT THE RAINBOW '74」。
あらためて思うけど、クイーンはこの頃から「リスナーを置いていかない」バンドだったことがわかる。
安い表現だと「万人受けするバンド」になるのかもしれないが、そういう存在になること自体がとても大変な話であり、今なお多くの人を引き付けてやまない貴重なバンド、そしてライブであると思う。
フレディはすでにこの世におらず、ジョンが引退した現在、ロジャーとブライアンが誰と何をしようとも、やはりそれはクイーンではないのだ。
エンディングの「God Save The Queen」を聴きながら、あらためてそんな想いにさせられました。
今後もこうした貴重な記録が再発されることを望みます。

| |

« やってない 第30回 テレビゲーム | トップページ | 聴いてない 第199回 ニック・カーショウ »

コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
クイーンのライブは中期以降を公式盤で聴いていました。ブート等は聞いた
ことがなく初期のライブはこれが初めてでした。
しかしぶっとびました。ものすごくかっこいいです! 
中期以降は演奏しなくなった初期の曲ばかり演奏しています。ブライアン・
メイは後期の華麗なソロではなくZEP直系のハードなリフで迫ります。
そしてフレディ・マーキュリーですが、よい意味で後期にあった余裕があり
ません。これが緊迫感をもたらしており、他のメンバーにも緊張感を与えて
最高の演奏になっています。

>>とにかく水準はスタジオ盤並みに高いし、難な部分はほとんどない。

私もそう思いました。いやあ、初期クイーン、本当に素晴らしいです。

投稿: モンスリー | 2014.12.24 22:04

モンスリーさん、この度はご指導ありがとうございました。

>初期のライブはこれが初めてでした。

あ、そうでしたか!
記事中にも書きましたが、「女王凱旋!」という名の73年のライブ盤を聴いたことがあります。

>中期以降は演奏しなくなった初期の曲ばかり演奏しています。

これはその通りですね。
その後の世界規模でのヒット曲量産の実績を考えると、初期の曲を演奏しなくなったのもやむを得ないですが・・
貴重な記録だと思います。
セカンドアルバムを最高と評価するファンが多いとも聞いていますが、そういう初期のファンからするとたまんないライブでしょうね。

投稿: SYUNJI | 2014.12.27 23:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 聴いてみた 第119回 クイーン その2:

« やってない 第30回 テレビゲーム | トップページ | 聴いてない 第199回 ニック・カーショウ »