聴いてない 第199回 ニック・カーショウ
日本人はなにかと「三大○○」とか「三頭体制」とか「新御三家」とか「闘魂三銃士」とか「三碧木星」とか「三軒茶屋」など、3つにくくるのが好きだと言われる。(適当)
まあ4つの場合は四天王とかどうせ言うんでしょうけど、座りがいいのはやはり3だ。
で、80年代ブリティッシュ・ポップ若手御三家というダサいくくりにまとめられたのが、ハワード・ジョーンズとポール・ヤングとニック・カーショウである。
本人たちは遠い極東の島国でこんなまとめにされていたのを認識してたのか?という疑問はあるが、この三銃士の中で全く聴いていないのがニック・カーショウだ。
他の二人も聴いてないに等しいが、ハワードとポールはとりあえず顔の判別はつくし、エアチェックした履歴もある。
ニック・カーショウだけが、自分のズサンな洋楽鑑賞経歴の中で見事に抜けているのだ。
日本での人気も知名度も、申し訳ないけどハワード・ジョーンズやポール・ヤングには遅れをとっていたと思われる。
でも柏村武昭がニック・カーショウだけ拒絶してたとも考えにくいので、たまたま自分がエアチェックの機会に恵まれなかっただけだろう。
ということで聴いてない度は1。
1曲も知らないし、名前しか知らない・・・と思っていたが、今回PVをいろいろ見ていて「The Riddle」という曲のメロディにだけ聞き覚えがあった。
まあ曲名も今まで知らなかったので、実質全く聴いていないのと同じである。
そこでニック・カーショウの経歴を年末調整のようにあわててかけこみ調査。
年の瀬のクソ忙しいさなかいったい自分は何をやっているのだろうか。(知らねーよ)
1958年イギリスのブリストル出身、本名はニコラス・デイヴィット・カーショウ。
ちなみに名前はNickではなく「Nik Kershaw」と書く。
プロとしての経歴は78年フュージョンというジャズ系バンドのギタリストで始まる。
80年頃バンド解散とともにソロに転向し、84年のデビュー・アルバム「Human Racing」からのシングル「Wouldn't It Be Good(恋はせつなく)」が全英4位のヒットとなる。
同年アルバムと同じタイトルの「The Riddle」が全英3位を記録。
この曲をパクったのが小泉今日子の「木枯らしに抱かれて」だと、あちこちのサイトに書いてある。
85年には「Wide Boy」「Don Quixote(ドン・キホーテ)」など連続7曲トップ20ヒットを放つ活躍ぶりを見せ、あのライブ・エイドにも参加。
そうだったのか・・
ライブ・エイドに出てたなんて全然覚えていない・・
ところが86年以降、アイドル路線からの脱却を画策し始める。
「Radio Musicola」「The Works」といった意欲的なアルバムを残すが、セールスとしては伸び悩み、チャートにも登場しなくなる。
90年代以降は歌手よりもソングライターやサポートミュージシャンとしての活動に比重を移す。
チェズニー・ホークスというアイドルグループのために作った「The One And Only」が、マイケル・J・フォックス主演映画「ドク・ハリウッド」の主題歌として採用され大ヒット、といった裏方としての業績を残している。
もともとジャズ・ファンク系からスタートし、フュージョンやロックにも対応できるギターの腕前は、他のミュージシャンからも高く評価され、エルトン・ジョンの「悲しみのニキータ」でギターを弾いたり、トニー・バンクスのソロアルバムにも参加している。
98年、久々にアルバム「15 minutes」を発表。
2013年にはオーストラリアでキム・ワイルドとのジョイントコンサートを開催し、そして2014年には29年ぶりの来日公演。
へぇー・・・今年日本にも来てたんスね。
ビルボード東京・大阪で歌い、ライブ終了後は即売のCDにサインしたりといった距離感の近いアットホームな公演だったらしい。
以上が調べるまで1ミリも知らなかった経歴なのだが、歌も作曲も楽器もできる才能を持っていながら、長くチャートをにぎわすまでには至らなかったということのようだ。
受ける印象としては器用貧乏というか、マジメであまりオカネに固執していないという感じがする。
ハデなプロモーションをしかけたり女性スキャンダルで話題を振りまいたりステージで生きたコウモリを食いちぎったり新聞記者のシャツを破いて病院送りにしたりといったダーティーな話はなさそうである。
プロデューサー業も経験はあるようだが、本人は「あまり得意ではない」とのこと。
純粋に自分で曲を作って人前で歌うことが一番好きというタイプらしい。
ちなみに来日直前のインタビューでは、「子供の頃はパープルやツェッペリンやボウイを聴いていた」「音楽を始めるきっかけになったのはパープルの『ライブ・イン・ジャパン)』とボウイの『Aladdin Sane』だ」と発言しているので、若い頃はわりとハードロック芸人だったらしい。
なおネットで検索すると、ニックのヒット曲として「ワイルド・ボーイ」と表記しているサイトやブログが非常に多いが、これは「ワイド・ボーイ(Wide Boy)」が正しいようだ。
「ワイルド・ボーイ」は同じ頃デュランがヒットさせた曲で、あのミルコ・クロコップの入場曲にも使われていた。
というわけで、全然関係ない話でまとめてしまいましたが、ニック・カーショウ。
PVを見た範囲ではそれほど聴きづらいという印象もありませんけど、聴くとすればやはり「The Riddle」からになるんでしょうか。
年末でご多忙のところ恐縮ですが、みなさまの鑑賞履歴を教えていただけたらと思います。
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コメント
SYUNJIさん、明けましておめでとうございます。
ついに199回を迎えられたこちらへコメントします。
ニック・カーショウですが、名前は知っておりました。「ザ・
リドル」のジャケ画にも覚えがあります。が、曲を失念して
おりましたので、ユーチューブで聞いてみました。
・・・・多分、当時好きになれなかったのだと思います。ヒット曲
にはもう少しロック色が強くてアップテンポなものを求めて
いた時代です。
とはいえ、今聞いても「う~ん」という感じです。「ザ・リドル」
は80年代色が強すぎるようです。
ちなみに、もう少し洋楽アイドル色が強い人かと思っていましたが、
SYUNJIさんの記事で、裏方仕事も出来る人ということを初めて
知りました。
裏方→メジャーという人はTOTOやジミー・ペイジなどが有名ですが、
メジャー→裏方という人はぱっと思い出せません。カーショウは
結構よい仕事をしているのかもしれません。
ちなみに洋楽アイドルといえばこのグループ、
http://amass.jp/47444/
それでは、今年もよろしくお願いします。
投稿: モンスリー | 2015.01.02 18:19
モンスリーさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
>ニック・カーショウですが、名前は知っておりました。「ザ・ リドル」のジャケ画にも覚えがあります。
自分はジャケットには見覚えはなかったです。
タイトルも全然知りませんでした。
>メジャー→裏方という人はぱっと思い出せません。
そう言われると確かに思い浮かばないですね。
ミック・ジョーンズが多少そんな感じの経歴だった気がしますが・・
ちなみにG.I.オレンジは全く聴いてません・・
しかも来日公演に新曲ですか・・
ニック・カーショウもそうですけど、やはり日本てのはまだ彼らにとって重要なマーケットなんですかね?
投稿: SYUNJI | 2015.01.03 09:58