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聴いてみた 第118回 U2 その2

今日聴いてみたのはU2。
全曲無料ダウンロードの「Songs Of Innocence」である。
勝手にスマホにダウンロードされてしかも消去できず(その後Appleが消去方法を公開)、若い人たちから不評を買ったという、あの話題先行の問題作だ。

Songs_of_innocence

自分も今年からiPhoneユーザーなので、iTuneで入手してみました。
ただし自分はiPhoneでは音楽を聴く設定にしていないので、ダウンロードした先はPCである。

AppleとU2が突然始めたアルバムまるごと無料ダウンロード。
音楽の提供のしかたが変わることはみんなわかっていただろうが、U2がこういう形でしかけてくるとは誰も予想していなかったとは思う。
Appleのティム・クックは「史上最大規模のアルバムリリース」と宣言し、ターゲットは世界中で5億人とも言われる。
iPhone6もそうだけど、中身よりはまず知ってもらうというAppleの戦略にU2が乗っかった形ということだろうか。
ちなみにボノは音楽の無料配信にはやっぱ反対の姿勢なんだそうで、今回のことは「我々がタダで配っているわけではなく、Appleがやってること」と話しているらしい。
U2だから無料も可能だったと思うし、同じように無料配信で後に続くアーチストなんてなかなかいないのでは?
まあ自分も無料だから今回ダウンロードしたんであって、ふつうに2400円になりますなどといった設定だったら静観していたはずだけど。
今も毎日テレビCMが流れているが、CDは10月下旬に発売されるので、それまで無料ダウンロードは可能のようだ。

ボノによれば「U2のアルバムにしては珍しく歌詞的に作品に一体感がある」とのこと。
果たして自分もその一体感をつかむことはできるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1.The Miracle (of Joey Ramone)
2.Every Breaking Wave
3.California (There is no End to Love)
4.Song for Someone
5.Iris (Hold Me Close)
6.Volcano
7.Raised By Wolves
8.Cedarwood Road
9.Sleep Like a Baby Tonight
10.This is Where You Can Reach Me Now
11.The Troubles

全体的に曇り空のようなサウンドが多い。
明るく楽しい曲や激しいロックはそれほどなく、U2らしい、彼らの得意なスピードで進行する曲が続く。
全て新曲だが、ファンの人から「これ昔のアルバムにあったよ。よく聴いたなぁ」などと言われたら「へぇーそうなんですか」と信じてしまうような、そんな印象。
自分の好きなU2のサウンドやリズムとも微妙に違う。
前回聴いた「How to Dismantle an Atomic Bomb」のようなはじけた部分がほしいと思う。

歌っている内容はやはり重いものが多いようだ。
たとえば「Iris」はボノが子供の頃に亡くなった母親について歌った曲、「Raised by Wolves」はアイルランドの自動車爆破事件を歌ったものだそうだ。(訳詞を読んでもあんましわからないけど)
まさにU2本領発揮の名曲であろうが、80年代の彼らだったらもっとものすごくインパクトのあるサウンドまで持ってきていたのではないかと思うのだ。
「New Year's Day」「Sunday Bloody Sunday」などのように。
そうはなっていないところが、いわゆる「円熟」ということなのかもしれないが・・・

U2はメンバーを変えていないのにサウンドはかなり変化してきたという不思議なバンドだ。
自分もその変化についていけた時とダメだった時がはっきりしていて、各アルバムの評価も明確に差が出る。
前作「No Line on the Horizon」は聴いていないので、今回の変化度合いはわからないのだが、自分の知っているU2から大幅に変わったという印象はない。
変化を期待していたわけではないのだが、このアルバムはなんというか「B面特集」みたいな雰囲気だと思う。
悪くないが、それほどインパクトのある曲もない。

ネットでは今のところマスコミも業界側もリスナーも、やはり無料ダウンロードという話題が先行しているようだ。
リスナーの「楽曲については新鮮味に欠ける」「有料で買って聴いたら不満」といった感想も散見され、共感するものもある。
たとえばもし2015年にU2が日本にやってきて、東京ドームや武道館で公演する場合、このアルバムの中でイントロが鳴りだしたら会場が大きく盛り上がるような曲ってあるだろうか?
今回のアルバムについての評価は正直そんなところだ。

ただ、どの曲もやはりU2のものであり、「なんだこれ」と思うような痛い作品がないのはさすがだと思う。
もしも自分がもっと若い年齢で聴くことができたら、おそらく評価はもう少し違っていたはずである。
ボノもエッジも自分も同じだけトシをとったのだ。(知り合いかよ)

パッケージになっていないので、ジャケットと言っていいのか不明だが、ダウンロードされるデータに付いてきた絵は、白地に「U2」という文字と、「LP」という手書きの文字があるだけの状態。
CDで発売される時には違ったデザイン(ラリーが息子を抱きしめている写真)になるようだ。

というわけで、「Songs Of Innocence」。
話題の新譜を聴けたことはよかったです。(タダだし・・)
しかしながら楽曲についてはやや厳しい評価となりました。(浅いけど)
そもそも自分は新譜をほとんど買わない貧困リスナーなので、今回のダウンロードも、かつて「マイ・サウンド・グラフィティ」で全曲オンエアをまるごとエアチェックした感覚とほぼ同じ。
仮にショップで何曲か試聴したとしたら、おそらくCDは買わないだろう・・と思います。
みなさまの感想もぜひお聞かせください。

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コメント

B面集というのはたぶん当たりです。プロモ盤と言っている人もいました。

四月発売のはずが九月にずれて、その間、U2が何をやっていたかというと、Coldplayの新作をプロデュースしたばかりのポール・エポワースとColdplayのフォロワーとも呼ばれるOneRepublicのライアン・テダーを新たにプロデューサーに迎えて、最終仕上げをしていたようです。

その際、何をしていたのかというと、あくまでも推測ですが「最初Coldplayぽかったけれど、段々U2らしく……」という感想が多かったことから、曲順や曲目を弄って、最初にColdplayみたいな曲を持ってきて、その後U2ぽい曲を持ってきたのではないでしょうか? その狙いはずばりColdplayファンの獲得と80年代ファンの再獲得。だからこその無料配信なのです。ちなみに私は新譜を聴くと、無性に「焔」や「ヨシュア」を聴きたくなります。

そして恐らくヒットしそうな曲は外された。なにせ無料ですからモッタイナイ……それは次の「Song Of Experience」に取っておいたのではないでしょうか?


また収録曲のクレジットが普段は作詞ボノ作曲U2なのに、本作では作詞ボノ&エッジ作曲U2になっています。つまりボノの比重が小さくエッジの比重が大きい(ちなみにクレジットは制作の実態ではなく、印税の配分を表しているようです)。これは恐らくアルバム制作が、政治活動に忙しかったボノではなく、エッジ主導で行われたということで、それゆえにややポップ性が薄らいだのでしょう。なんだかんだいって、人の心を掴むのがうまいのは、お調子者のボノですから。この点同じくエッジ&イーノ主導で制作された「Zooropa」に似てますね。


投稿: bonoxylove | 2014.10.05 07:00

SYUNJIさん、こんばんは。
iPhone+U2は、若い人が「何これ?」と言うというニュースを
見ましたが、アルバムまるごと無料でしたか。

>>全体的に曇り空のようなサウンドが多い。
>>会場が大きく盛り上がるような曲ってあるだろうか?

私のU2の印象そのままのようなアルバムですね。あれだけ人気が
あるのに、いわゆる「ノれる曲」が少ないというのも、珍しい
感じがします。その希少性がU2の人気の秘密なのかも。

ちなみに最近、2000年以降のトム・ペティ&ハートブレイカーズ
を聞いています。U2との共通点はありませんが、あえて言えば
カラッとした曲が少ないところが似ているかもしれません。

投稿: モンスリー | 2014.10.05 18:15

bonoxyloveさん、コメントありがとうございます。
あのまとめサイトを作られた方でしょうか?
自分が昔書いた文章を引用していただいて恐縮です。
すいません、大して聴いてもいないのに・・

>そして恐らくヒットしそうな曲は外された。なにせ無料ですからモッタイナイ……それは次の「Song Of Experience」に取っておいたのではないでしょうか?

なるほど、そういうことですか。
ボノの無料配信に対する発言とも整合しますね。

>また収録曲のクレジットが普段は作詞ボノ作曲U2なのに、本作では作詞ボノ&エッジ作曲U2になっています。
>これは恐らくアルバム制作が、政治活動に忙しかったボノではなく、エッジ主導で行われたということで、それゆえにややポップ性が薄らいだのでしょう。

そうですか、これもなるほどですね。
確かにポップ性というかキャッチーなサウンドやリズムがあまりなかったように感じましたが、エッジ主導ということもあったんですね。

詳しいご説明ありがとうございました。
まとめサイトも一通り読ませていただきましたが、ものすごい情報量で圧倒されました。
ふつうに書籍になる内容だと思います。
U2に限らず有名アーチストを全然聴いてないことを延々綴る愚かなBLOGですが、またご指導いただければと思います。

投稿: SYUNJI | 2014.10.05 18:35

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>iPhone+U2は、若い人が「何これ?」と言うというニュースを見ましたが、アルバムまるごと無料でしたか。

若い人でもU2を聴いている人もいるとは思いますが、今回は「ユーザーに断りもなしに勝手にダウンロードされた」点が反発をくらったと思います。
たとえば自分が全然聴かないJ-POPのアルバムが、ある日自分のスマホに勝手にダウンロードされて容量食ったり消せなかったりしたら、やはり迷惑だと思いますね。
Appleの戦略のようでしたが、聴かない若い人からの評価を下げたのはまずかったんじゃないかなぁ。

>あれだけ人気があるのに、いわゆる「ノれる曲」が少ないというのも、珍しい感じがします。

今回のアルバムに関してはノれる曲はあまりない、という印象です。
U2のライブ映像もあまり見たことないんでわからないですが、「プライド」「フライ」「ヴァーティゴ」なんかはおそらく会場が盛り上がる曲なのではないかと思いますが・・

投稿: SYUNJI | 2014.10.05 18:49

SYUNJIさん、こんばんは。

今年中には出る出るって、お化けのように言われていたU2の新作ですが・・・突然出ましたね(笑)
しかもネット先行の無料なんて、凄い営業戦略!!!
U2らしいと言えばU2らしいですが・・・
さて肝心の楽曲ですが、あまり期待しないほうがいいのでしょうか?
「ズーロッパ」の感じだったら大好きですけど・・・

まぁどっちにしてもCDで買います(笑)

投稿: ボレロ | 2014.10.06 20:10

ボレロさん、コメントありがとうございます。

>しかもネット先行の無料なんて、凄い営業戦略!!!

まあこんな戦略をとれるのもU2ならではですよね。
U2の場合、アルバム売り上げよりはライブでの興行収入が大きいからという話らしいですが・・

>「ズーロッパ」の感じだったら大好きですけど・・・

「Zooropa」はいまいちなじめず、あまりマジメに聴いてませんが、今回のアルバムは少し違うように感じます。
「Zooropa」のような実験的なハデさはなく、抑えた感じの曲が多いと思いました。
あ、あくまで自分の感想なんで全然アテになりませんけど・・
CD購入の前にダウンロードされてはいかがでしょうか。

投稿: SYUNJI | 2014.10.07 23:03

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