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聴いてない 第195回 リチャード・マークス

80年代にほぼ期間限定して洋楽を聴いていた自分だが、リチャード・マークスはその聴き方が変わった頃の人である。
具体的にはFMのエアチェックをしなくなり、MTVの音声だけカセットに録音するという、今思うと意外に面倒なことをしていたのだが、リチャード・マークスの曲はちょうどその頃に流行っていたのだった。
従っていくつか聴いた曲があるが、FMのエアチェックによって仕入れたものは全くない。
全てMTVからの録音である。

聴いたのは以下の曲。
・Hold On To The Nights
・Satisfied
・Right Here Waiting
・Angelia

ほぼ89年に集中しており、この年にいかにリチャード・マークスが流行っていたかがよくわかる。
MTVを丸ごと録画すると毎週必ず1曲はリチャード・マークスが入っている、そんな状況だったと思う。
「Satisfied」以外はバラードの名曲であり、好みというわけではなかったがメロディはよく覚えている。

その80年代末期、音楽鑑賞の媒体はすでにレコードからCDに移行しつつあり、貸しレコード屋はレンタルCD店に続々変貌していた。
で、その頃自分は新譜を借りるということをほとんどせず、主に70年代名盤掘り起こし作業強化月間みたいなことに注力していたのだった。
なので当時やたらと流行っていたリチャード・マークスも、結局アルバムは1枚も聴いておらず、雑誌などで情報を学習したこともない。

あれから四半世紀が経過し、突然リチャード・マークスの存在を思い起こした次第。
25年遅れでリチャマーの一般教養を学習してみる。

リチャード・マークスは63年シカゴに生まれる。
両親もミュージシャンであり、10代の頃からライオネル・リッチーのバックで歌ったり曲を作ったりしていたそうだ。

87年ソロデビュー。
当時のレコード会社のアピール文は「グラス・タイガー、ロビー・ネヴィルに次いでマンハッタン・レコードが放つ超大型新人」だったそうだ。
「元イーグルスのメンバー(ランディ・マイズナーとティモシー・B・シュミット)がバックアップ」などという情報もあり、会社としてはウエストコースト系で推そうとしていたらしい。
本人はシカゴ出身なんだが・・・?

最初のシングル曲「Don't Mean Nothing」が全米3位となり、続く「Should've Known Better」「Endless Summer Nights」も連続してチャートイン、「Hold On To The Nights」が全米1位を獲得。
さらに88年のセカンドアルバム「Repeat Offender」からも「Satisfied」「Right Here Waiting」が大ヒットした。
この年には来日公演も行っている。
要するにデビューしていきなりピークに達したというすごい経験を持つのがリチャード・マークスである。

しかし1991年にアルバム「Rush Street」を発売したあたりで人気は下降し始める。
このアルバムはそれまでのようにはヒットせず、94年のシングル「Now and Forever」が全米7位になった以降はチャートにもあまり登場しなくなる。
一説には「曲がわかりにくく神経質な感じになった」ためとも言われているらしいが、90年代のアメリカでの退廃的なグランジ台頭による影響もあったのではないかとも思う。

90年代後半からはシンガーよりもプロデューサー業やソングライティングに仕事の比重を移し、他のミュージシャンの活動をサポートする側に回る。
ただ2000年以降も4枚ほどアルバムは発表している。

で、もはや歌手としては引退同然の状況なのかと思ったら、実は最近精力的に活動中だそうだ。
2012年秋にアルバム「Inside My Head」をリリースし、東京公演も行われた。
同年12月にはクリスマス・ソング「The Little Drummer Boy」で14年ぶりとなるトップ10入りを果たす。
今年も3月に来日し、横浜でケニー・Gと競演。
ケニーとは長年の友人同士という関係だが、競演は初めてだったとのこと。
でも4月には残念ながら離婚。
来たる7月には新作「Beautiful Goodbye」を発表予定。
いろいろと忙しそうな人である。

聴いてる範囲では確かにこれならヒットもするわなというメロディではある。
歌も声もいいし、サウンドも80年代のゴージャス感を踏襲していて緻密に作られている。
好みではないが、聴いていて不快になるような音ではない。
適当な意見だけど、日本で言えば演歌のような感じではないだろうか。

というわけで、リチャード・マークス。
他にもそういう感覚になるアーチストは多いが、この人ももう5年早く登場していたら、おそらくもっと聴いていた可能性が高い。
自分もリチャードもそれなりに歳を重ねたので(知り合いかよ)、今ならむしろ大人の上質な音楽として年相応に楽しめるのでは?という気がしないでもない。
今から昔の作品を再学習するというより、最近の作品を聴いてみたい気がしていますが、皆様の鑑賞履歴はいかがでしょうか?

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コメント

Right Here Waiting 覚えてますね。この曲がはいってたアルバムだけもってますね。時代を感じる曲ですね。Divaと今言われてるような人がヒット飛ばしてる時代ですよね。ベルリンの壁崩壊、美空ひばりの死去。ノルウェイの森 初版 プリプリのダイアモンド などなど そんな時代にマッチした名曲ではないでしょうか?でも今更聴かないかも。

投稿: マルチオーディオ | 2014.07.02 15:41

マルチオーディオさん、コメントありがとうございます。

>Right Here Waiting 覚えてますね。この曲がはいってたアルバムだけもってますね。

やはりそうでしたか。
この時にやはり相当売れてた人なんですね。

>ベルリンの壁崩壊、美空ひばりの死去。ノルウェイの森 初版 プリプリのダイアモンド などなど そんな時代にマッチした名曲ではないでしょうか?

なるほど、出来事を並べてみると時代がよくわかりますね。
確かにあの頃にマッチした名曲だと思います。
感覚的にはそれほど時間がたったとは思えませんが、実はすでに四半世紀前ですね・・

投稿: SYUNJI | 2014.07.03 21:14

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