聴いてみた 第109回 インペリテリ
今日聴いてみたのはインペリテリ。
もちろん聴くのは初めてであり、そもそも「聴いてない」シリーズでも採り上げたこともなかったバンドである。
実はインペリテリなのかインテリペリなのかすらはっきりとはわかっていなかったという非常識なレベル。
「バニー・マリロウ」とか「ピート・タウンゼント」同様、きっとネット上では誤記の多い名前だと思う。(言い訳)
聴いてみたのは彼らのファーストアルバム「Stand in Line」。
新宿のユニオンで思いつきで買ってみました。(失礼)
参加メンバーは以下のとおり。
クリス・インペリテリ(G)
グラハム・ボネット(V)
フィル・ウォルフェ(K)
チャック・ライト(B)
パット・トーピー(D)
聴く前に薄っぺらく生ぬるいバンドの身元調査を実施。
クリスとグラハム以外は知らないのだが、チャック・ライトは元クワイエット・ライオット、パット・トービーは後にMR.BIGに参加した人物だそうだ。
バンドの歴史は、クリスとロブ・ロックというボーカリストが組んで1987年にシングル曲を発表したところから始まる。
その後グラハム"やっさん"ボネットをボーカルにむかえてリリースしたのが、今回聴いた88年の「Stand in Line」。
メタルバンドなので人の出入りはやっぱりいろいろあったらしいが、ロブ・ロックがボーカルの期間が比較的長いようだ。
やっさんは2002年に再加入して「SystemX」というアルバムを残している。
2008年頃まではカーティス・スケルトンという人がボーカルを務めていたが、現在は脱退。
メタルという分野は相変わらずよくわからないのだが、90年代の冬の時代を経て最近再び見直されてるという話なので、インペリテリもコアなアメリカのファンのために地道に地方でのライブを続けているそうだ。
ポイントはやはりクリスのギターとやっさんのボーカルにあるのだろう。
果たしてどんなサウンドなのだろうか。
・・・・・聴いてみた。
1. Stand In Line
2. Since You Been Gone
3. Secret Lover
4. Somewhere Over The Rainbow
5. Tonight I Fly
6. White And Perfect
7. Leviathan
8. Goodnight And Goodbye
9. Playing With Fire
楽曲自体はアメリカのメタルのイメージそのものである。
やっさんのボーカルもレインボー時代よりずっと金属方向にシフトしており、どの曲も大げさでコーラスも分厚くプロレスっぽい音になっている。
「Since You Been Gone」はレインボーにもあったカバー曲だが、やっさんはむしろ粘着でややもったいつけた歌い方をしており、レインボーの時よりも進行はゆっくりで、ざわざわした印象。
まあどのバンドで歌っても独自の世界を作り上げるのがやっさんなので、本領発揮というところだ。
シャウトも多く、気のせいかのびのび歌っている感じすらある。
ちなみに「Since You Been Gone」はラス・バラードという人の作品で、レインボーの「I Surrender」もこの人が作った曲とのこと。
で、肝心のクリス・インペリテリのギターなんだが、これ以上誰も速く弾けませんわという領域に達しているみたいで、霊長類最速の称号のとおりムダに速い。
ギターだけどキーボードみたいな恐ろしい音がするよ。
イングウェイ・マルムスティーンのクローンとかコピーとか言われてるそうだが、確かに音はインギー同様ぽりぽりかき鳴らし系である。
このくらいハジケたギターだと、線の細いボーカルではバランスがとれないと思うので、やっさんが歌って正解なんだろう。
ロニー・ジェイムス・ディオが歌っても案外イケそうな気はする。
だけど。
じゃあサウンドとして好みなのかと言われると結構微妙。
もともとレインボーでのやっさんのボーカルは好きだったし、クリスのギターも超絶なのはよーくわかる。
ただインペリテリ、やはりどこかやりすぎ感があるのだ。
ギターもボーカルも、あああなにもそこまでやらんでも的なムリめな音が多用されてるので、まともにつきあうと少し疲れる。
「Tonight I Fly」の大げさ加減などは繰り返し聴くには結構キツイ。
そんなリスナーの体力を考慮してか、アルバム全体としては35分程度とかなり短め。
クリス自身はどうとらえているのか不明だが、良くも悪くもインギーの存在が何かと影響しているのは間違いなさそうだ。
グラハムのバンドであるアルカトラスで人類史上最速のギタリストとして地位を確立したインギー。
実際クリスとインギーの奏法にはかなり違いがあるそうだが、後発のクリスはやはりあちこちでインギーのクローンだのコピーだのと評価されてしまったとのこと。
実際ギターサウンドを聴いてみても「げぇーインギーそっくり」なんて思う箇所はたくさんある。
クリスはアルカトラスのオーディションを受けた経歴を持っており、やっさんとはインペリテリ結成以前から面識はあったそうだ。
この後インペリテリはアルバム「Grin & Bear It」を発表しているが、もうやっさんは去っており、ロブ・ロックが復帰して歌っている。
ただし音楽性は少し変わっていて、いわゆる普通のアメリカンなロックに仕上がっており、メタルなファンからはかなり不評を買ってしまったらしい。
時代的にも若干グランジ台頭の影響はあったんじゃないかと思うが、その後も作品ごとに趣向をいろいろ変えるなどしてきたようだ。
というわけで、インペリテリ。
超絶ギターには確かに圧倒されるのですが、逆にすごすぎて正直とまどいを覚えました。
この後も引き続き彼らの作品を聴いてみることになるのか、まだ自分でもよくわかっておりません・・
他におすすめのアルバムがあれば教えていただきたいと思います。
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コメント
SYUNJIさん、こんばんは。
またしても全く知らないバンドでした。SYUNJIさん
ご指摘の通り、「インテリペリ」と確実に間違えそうな
バンド名です。
>>楽曲自体はアメリカのメタルのイメージそのものである。
ということは、80年代ということもありナイトレンジャー
あたりを想像してしまうのですが???
しかし早弾きギタリストがいるわけですね。私が聞く早弾き
ギタリストはジェフ・ベックくらい(これもライブで1,2曲
披露する程度)ですが、メタルサウンドということも
あって、全然違うのでしょうねえ。
>>リスナーの体力を考慮してか、アルバム全体としては35分程度
なるほど。バン・ヘイレン「1984」がやはりそのくらい
の収録時間ですが、私にはちょうどよかったです(^^;)。
投稿: モンスリー | 2013.10.22 21:31
モンスリーさん、コメントありがとうございます。
インペリテリ、ご存じなかったですか。
実は今回ホントに「インテリペリ」と書いてしまっていた箇所があり、アップした後気づいて急いで修正したという有様でした・・
>ということは、80年代ということもありナイトレンジャーあたりを想像してしまうのですが???
うーん、ナイトレンジャーとは客層が違うかもしれないですね。
あのバンドもギター主体ですけど、インペリテリほどの速弾きではないですね。
まず「速い」のは聴けば一瞬でわかりますね。
ギターとは思えないぽりぽりした音で・・
>バン・ヘイレン「1984」がやはりそのくらいの収録時間ですが、私にはちょうどよかったです(^^;)。
そう、あのアルバムも物足りないくらい短いんだよなぁ。
昔90分テープに録音したら、テープが余っちゃって損した気がしたもんです。(貧乏人)
投稿: SYUNJI | 2013.10.22 23:54
こんにちわ。いつも楽しく読ませていただいています。
自分は70年代は主にプログレ、80年代はベストヒットUSA世代(これはSYUNJIさんと同じですね)、90年代は主にメタル...と聴いてきました。
インペリテリも数枚持っていますが、お勧めは「アニメタルUSA」です。
企画モノ臭(というか2匹目のドジョウ狙い?)がプンプンしますけど。(笑)
来日もしたようです。
投稿: banks | 2013.10.24 00:07
SYUNJIさん、こんにちは。
はい、覚えてます。インペリテリ。
高校3年ぐらいじゃないかなぁ~
もうメタルの音楽には興味がなくなり欠けてた頃でした・・・
インギーが出てきた頃は早弾きが極まった感じでしたが
ここまで来ると「もう早いのよくない?」って感じです(笑)
4曲目はリッチーへの当て付けですか?(笑)
まぁこれといって思いではありません・・・すいません。
投稿: ボレロ | 2013.10.24 12:45
banksさん、コメントありがとうございます。
>自分は70年代は主にプログレ、80年代はベストヒットUSA世代(これはSYUNJIさんと同じですね)、90年代は主にメタル...と聴いてきました。
おお、まさに洋楽リスナーのエリートコースですね。
自分は確かにベストヒットUSAも見てましたが、途中で「サタデーナイトショー」に変えてました・・
>インペリテリも数枚持っていますが、お勧めは「アニメタルUSA」です。
ああーこれCD店で見かけたことがありますね。
公式サイト?を見てみましたが、クリスのギターは「宇宙一速いギターソロ」などといった子供っぽいアオリが書いてありました・・
投稿: SYUNJI | 2013.10.24 23:11
ボレロさん、こんばんは。
>インギーが出てきた頃は早弾きが極まった感じでしたが
>ここまで来ると「もう早いのよくない?」って感じです(笑)
確かにそうですねぇ・・
速くてすごいんだけどあまりにぴろぴろしててギターじゃないような音がしますね。
>4曲目はリッチーへの当て付けですか?(笑)
たぶんそうでしょう。(笑)
この曲もちゃんと聴くといい音なんですけどね。
あまりにすごすぎて支持率がそれほど高くならない、というのはなんか気の毒だなぁ・・
もう少し聴いたほうがいいかもしれないですね。
投稿: SYUNJI | 2013.10.24 23:45
SYUNJIさん、こんばんは。
私もインペリテリを聞くことができました。
メタルはほとんど聞いたことがありませんが、これが典型的な
メタルサウンドであることはわかります。
たまに「ロックとメタルの線引きはどこかな」と考えますが、
これを聞いているとよくわかりますね。たたみかけるような
ドラム(これがツーバスサウンド?)とギターのリズムは
メタルそのものですし(残念ながらベースは聞き取る力がないの
でわかりません)、シャウトの多いボーカル
もそうですね。インペリティの場合、ボーカルは金属調に
寄りすぎず、ワイルドな感じなのがアメリカンなのかも。
私はZEPをメタルではなくロックと捉えていますが、ZEP
サウンドとも違いますね。
あと、親しみやすいポップな曲が多いのがうれしいですね。
このあたりはアメリカンメタル(?)なナイトレンジャーに
通じるものがあるかもしれません。特に気に入ったのは大げさな
旋律で迫る5曲目「Tonight I Fly」です。シンセのバッキングも
いい! スラッシャーな6曲目「White And Perfect」もギターが
忙しそうなところにひかれました。
やはりメタルは破壊力があります。中毒性が高い理由も
何となくうなずけました。
投稿: モンスリー | 2014.02.09 17:15
モンスリーさん、インペリテリ聴かれましたか!
思ったより高評価ですね。
>インペリティの場合、ボーカルは金属調に寄りすぎず、ワイルドな感じなのがアメリカンなのかも。
メタル全般を実は聴いてないんで、比較もできませんが、ご指摘のとおりかもしれないですね。
グラハムのボーカルはレインボー時代よりは金属調だと感じます。
>私はZEPをメタルではなくロックと捉えていますが、ZEPサウンドとも違いますね。
>あと、親しみやすいポップな曲が多いのがうれしいですね。
自分もツェッペリンをメタルととらえたことはないですねぇ。
うまく言えませんが、インペリテリのサウンドは確かにポップで、なんつうかとても実直でつかみやすいというか・・少なくともツェッペリンのようなクスリっぽい怪しさはないと思います。
投稿: SYUNJI | 2014.02.09 22:43