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聴いてみた 第108回 ジミー・ペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズ他 「炎帝」

前回のヤードバーズに続くジミー・ペイジ歴史探訪シリーズ、今回は非常にマニアックな企画盤を採り上げてみます。
ペイジとジョーンジー参加の「Burn Up」というセッションアルバムで、「炎帝」というナイス(死語)な邦題がついている。

Burn_up

ライナーによると録音時期は1966年から68年あたりらしい。
当時行われたジャム・セッションを収録したもので、参加メンバーは以下のとおり。

ジミー・ペイジ(G)
ジョン・ポール・ジョーンズ(B)
アルバート・リー(G)
ジム・シルヴィアン(G)
ニッキー・ホプキンス(P)
クレム・カッティーニ(D)
クリス・ヒューズ(Sax)
キース・デ・グルート(V)

時期的にはペイジがヤードバーズに加入していた頃の録音であり、「Little Games」同様ツェッペリン前夜のジミー・ペイジの記録のひとつでもあるようだ。
果たしてあたしはこのアルバムでもツェッペリンのかけらを見つけることができるでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Lovin' Up A Storm
2. Everything I Do Is Wrong
3. Think It Over
4. Boll Weevil Song
5. Livin' Lovin' Wreck
6. One Long Kiss
7. Dixie Fried
8. Down The Line
9. Fabulous(伝説)
10. Breathless
11. Rave On
12. Lonely Weekend
13. Burn Up(炎帝)

買ってからわかったのだが、全曲ペイジが参加してるというわけではない。
ペイジがギターを弾いているのは2・3・7・9・12・13である。
それ以外はアルバート・リーとジム・シルヴィアンがギター。
8人全員が参加した曲はなく、曲ごとに少しずつメンバーが替わっている。
メンバーもバンドやグループといった枠組ではなく、たまたま参加できたミュージシャン同士だったようだ。
曲はロカビリーやブルースなどのカバー集で、ヤードバーズで感じたツェッペリンのかけらは一切感じない。
もっと言うとヤードバーズの香りすら感じない、全く違う音楽である。

解説によっていちおうペイジの弾くギターはここだろと推測できるのだが、うなるような演奏でもなく、単なる一人のパートとして機能しているだけだ。
曲によってはベックっぽい音も出している。
ボーカルはキース・デ・グルートという人だが、ジェリー・テンプルという別の芸名で活動していたこともあるようだ。
どこかクラプトンにも少しだけ似ており、それなりに聴かせてくれる。
ラストのタイトルナンバー「炎帝」はノリのいい古きよきロックで、ペイジもいろいろな音を出している。
一度フェードアウトして再び戻ってくるという演出もある。

一方アルバート・リーやニッキー・ホプキンスも参加している貴重なアルバムなのだが、この二人についても名前くらいしか知らず、素人の自分には価値がわからない。
調べたら二人ともクラプトンやベックと交流があり、ニッキー・ホプキンスはストーンズのアルバムにも参加した経歴を持っている。

正直どの曲も軽い感じでさほど特徴もなく、それほど好みの音楽ではない。
福生のレストランやパブでBGMとして流れているようなイメージである。
ここからペイジがどんな経験を経てツェッペリンに発展していったのか、全然想像できないほどかけ離れている。
ツェッペリンの持つ毒キノコっぽいサウンドはやっぱりどこにもない。

なので「ツェッペリンを期待して聴くとがっかりする」のはヤードバーズ以上だ。
非常に失礼な評価になるが、このアルバムはペイジやツェッペリンのファンにとって「聴く」より「持っている」ことに意義があるのだろう。

そもそも自分はどうしてこんなCDを持っているのか?
10年以上前になるが、「オーディオフェア」という音響製品の展示会が東京ビッグサイトで行われた時、「廃盤セール」のような催しも会場外で行われていたのだ。
売っているのが廃盤CDばかりなのでマニアにとっては貴重なものを探す絶好の機会なのだが、ド素人の自分には廃盤の価値があまりわからず、空いているワゴンのまわりをウロウロしていた。

そんな中で発見したのがこの「炎帝」である。
ジャケットの絵でペイジだとすぐにわかったので買ってみることにしたのだが、この時もツェッペリンで聴いていたのは実はまだ「II」と「IV」だけだった。

ツェッペリンすらまともに聴いてなかった自分が、こんなレア盤を理解できるわけがない。
「炎帝」は2回くらい聴いて飽きてしまい、そのまま長いこと放置。
売り飛ばし候補に何度もあがったのだが、「まあ廃盤だし」という貧乏くさい理由でとりあえずここまで売らずに来た。
先週ヤードバーズの「Little Games」を聴いてみたので、続けて聴き比べてみようと思い立ったのだった。
なので聴くのは10年ぶりくらい。
どの曲も全く覚えていなかった。

ネットでもこのアルバムのレビューは非常に少ないが、入手することはなんとかできるようだ。
日本盤は93年発売だそうだが、国によってジャケットが全然違う。
また収録曲が少し異なる別の名前のアルバムもいくつか見つかるので、マニアにとってもそれほど珍しい盤でもなさそうである。

ということで、「炎帝」。
万年初心者の自分にはその価値もよくわかりませんが、ペイジはその昔こんな音楽もやっていたんだなということがわかって勉強になりました。
逆に言えば楽曲として興味がわくようなものは特にありませんでしたが・・・
今後はツェッペリン後のペイジを少し追ってみようかとうっすら考えております。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。

マニアックですねぇ~存在自体も知りませんでした(笑)
>もっと言うとヤードバーズの香りすら感じない、全く違う音楽である
それはそれで貴重な気がします・・・
こうやってブログをやっているとブロガーさんの新鮮な意見で
依然聴いたリッチーもジミーも聴いてみようとなるのは、やっていて結構楽しいものがあります(笑)

>今後はツェッペリン後のペイジを少し追ってみようかとうっすら考えております

そうなると・・・【OUTRIDER】ですね。
私は好きです、しつこくないブルースとはっきりとジミーと分かるフレーズがあって
世間がいうほど駄作ではないと思います。しかしあまりCDコーナーには無いので入手困難なのかも知れません。

投稿: ボレロ | 2013.09.10 00:58

こんばんは、JTです。

私もこんなアルバム全く知りませんでした。ボーカルのキース・デ・グルートなる人のボツになったアルバムをツェッペリン人気にあやかって、あたかもセッションアルバムみたいに出したのでしょうか。

ペイジ色を出さずに言われるがまま、日銭稼ぎでペイジさんはギター弾いていたのでしょうか。

>福生のレストランやパブでBGMとして流れているようなイメージ

福生といえば大滝詠一の住まいやプライベートスタジオのイメージがありますが、あの辺り(知らんけど)のレストランやパブのBGM風なんですね。

ジミーペイジで思い出しましたが、北京オリンピックの閉会式に演奏してましたね。となればリオのオリンピックの閉会式で日本から誰か行って何かやるのかしらん?世界的な知名度なら坂本龍一?派手さならPerfume?

投稿: JT | 2013.09.10 01:40

ボレロさん、コメントありがとうございます。
すいません、返信がおそくなってしまいました。

>マニアックですねぇ~存在自体も知りませんでした(笑)

まあ自分のような素人はふつう手にしない珍盤でしょうね。
廃盤セールで出会ってなければ自分もおそらく存在を知り得なかったと思います。

>こうやってブログをやっているとブロガーさんの新鮮な意見で
>依然聴いたリッチーもジミーも聴いてみようとなるのは、やっていて結構楽しいものがあります(笑)

自分がBLOGをやってる目的もそこにあります。
というか自分の場合はそれ以上ですね。
そもそも名盤を聴いてないので誰かに教わって聴いてみようというセコイ魂胆なBLOGですが・・

>私は好きです、しつこくないブルースとはっきりとジミーと分かるフレーズがあって世間がいうほど駄作ではないと思います。

なるほど。
確かに評判はそれほど高くなさそうですけど、ペイジの場合どうしてもツェッペリンがあまりにも偉大すぎて、以降の作品はどれも相対的に低い評価みたいですね。
近いうちに「アウトライダー」を聴いてみようかと思います。

投稿: SYUNJI | 2013.09.13 17:55

JTさん、コメントありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ありません。

>私もこんなアルバム全く知りませんでした。

そうでしたか。
まあ貴重ではあるんでしょうけど、中身はそれこそ「別に・・」な感じですが・・

>ペイジ色を出さずに言われるがまま、日銭稼ぎでペイジさんはギター弾いていたのでしょうか。

音としてはそんな感じですね。
スタジオミュージシャンとしての務めをきっちり果たしている、そういうレベルです。

>福生といえば大滝詠一の住まいやプライベートスタジオのイメージがありますが、あの辺り(知らんけど)のレストランやパブのBGM風なんですね。

自分も福生はなじみの土地でもありませんが、一言で言うと「基地の街」です。
横田基地の前の国道沿いに、昔のアメリカを意識した店がたくさんあるのですが、BGMも当然そっち系な感じです。

>となればリオのオリンピックの閉会式で日本から誰か行って何かやるのかしらん?

たぶん小田和正でしょう。(笑)
日本から誰が行くのかわかりませんが、フレディが生きてたらクイーンに演奏してほしかったなぁ。

投稿: SYUNJI | 2013.09.13 18:14

ツェッペリンサウンドを毒キノコっぽいサウンドと例えるくだりが最高に笑えました。もう爆笑ものです。…でも確かに…www

投稿: ほつ | 2013.10.30 21:36

ほつさん、コメントありがとうございます。
ツェッペリンのサウンドって非常に怪しいしクスリっぽくてヤバイので、「毒キノコ」ってつい書いちゃうんですよね。
といっても毒キノコ食ったことないですけど。
ご覧のとおりド素人なBLOGですけど、他にもいろいろ聴きなれていない音楽がたくさんありますんで、お好きなアーチストについてコメントいただけたらと思います。

投稿: SYUNJI | 2013.10.31 23:13

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