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読んでみた 第43回 YUCARI

今回読んでみたのは「YUCARI」。
「20代から40代の女性を主な読者層とするワンテーママガジン」だそうだ。

読んでみた」シリーズで女性誌を採り上げるのは初めてである。
そもそもこの雑誌、存在自体全く知らなかった。
胃腸の調子が相変わらず悪いため内科医院に行こうとして、長い待ち時間をつぶすためコンビニで適当に選んだのが「YUCARI」だった。

選んだ理由は680円というお手頃価格と100ページというお手頃なボリューム、あとは特集に「日本の庭」があったからだ。
女性誌だと気づいたのは家で公式サイトを見てからである。
当たり前だが特集がブライダルエステや足つぼダイエットや強力つけまつげだったら買ってない。

Yucari

創刊は2012年3月の隔月刊雑誌。
版元はマガジンハウスだが、「シダックスグループが特別協力するカルチャー誌」とある。
雑誌まるごと特別協力という形態はけっこうめずらしいんじゃないだろうか?
「毎号ひとつのテーマにしぼり、1 冊をとおして、日本の暮らしの中にある人と人との絆、おもてなし、文化、風習、地域のつながりなどを追求し、日本の魅力をお伝えしています。」とのこと。

日本の魅力を伝えるという趣旨と、シダックスという企業イメージがいまいち結びつかないんだが、そういう雑誌だそうです。
ちなみにシダックスが運営するレストランやカラオケ店には、この「YUCARI」の通常市販誌を抜粋した特別編集版がタダで置いてあるそうだ。

テーマはともかく、仕組みとしてはなんだか新しい試みのような雑誌である。
果たしてあたしはこの雑誌で日本の魅力に気づくことができるのでしょうか。

・・・・・読んでみた。

今回読んだのはVol.9、7月20日発売、680円。
テーマは前述のとおり「日本の庭」である。

目次はこんな感じ。

・特集 日本の庭
 重森三玲の世界
 どうしても見ておきたい名庭
・連載 私の日本遺産
・残しておきたい日本の風景
・深夜の10分料理
・ニッポン 習ってます!
・美しい和のふるまい
・今日の手習ひ

まずトータルなイメージとして非常にナチュラルで自然志向的なものが感じられる。
いわゆるファッションやゴシップ中心の女性誌とは全然趣が異なり、表紙やページデザインも「リンネル」とか「ku:nel」みたいな感じで生成っぽい雰囲気。
ただ書体やレイアウトに必要以上に凝ったものはなく、主義主張が前面に出まくりというような機関誌調の香りはない。

特集が「日本の庭」なので買ってみたのだが、これはなかなか面白い。
庭園の種類や石組などについてもわかりやすく解説しており、50ページ程度の特集なので入門編としては充分な内容である。
あまり細かいことはわからないのだが、実は寺の庭園や坪庭を眺めるのは嫌いではない。
京都にある有名な寺の庭はけっこう見てきたし、黒谷のように庭目当てで見に行ったりした寺もある。

巻頭は「重森三玲の世界」。
京都の東福寺の庭園を手がけたことで有名だが、他にも全国に作品の庭があり、どれも非常に印象的だ。
旧友琳会館は一度見てみたいと思うすごい庭園である。
表紙も重森三玲の作品である興禅寺庭園。

「どうしても見ておきたい名庭」として、以下の全国10の庭園を紹介している。
・毛越寺庭園
・西芳寺庭園
・天龍寺庭園
・龍安寺庭園
・大仙院庭園
・兼六園庭園
・修学院離宮庭園
・栗林公園庭園
・六義園
・桂離宮

数えてみたら自分が行ったことのある庭園は7つあった。
逆に言うと行ってない3つの庭園は西芳寺・修学院離宮・桂離宮で、これらは全て京都にある。
この3つに共通するのは見学に事前予約が必要な点だ。
当然申し込みが多い場合は希望の日時に見学できるとは限らない。
なので普通の庭園に比べてハードルが一段高いのだが、修学院離宮はいつか行ってみたいと思っている。

特集以外には日本の伝統や食べ物や場所などに関わるページがある。
どれも編集には気負いがなく、読みやすい。
広告のない機内誌という感じだろうか。
また本文には広告ページは全くない。
出版の仕組みが他の雑誌とは違うようなので、こういうことが可能なのだろう。

日本の伝統や習慣や文化を共有しましょうという全体のコンセプトはわかりやすく、体裁やレイアウトもその理念にそって作られており、まとまりのある編集だ。
「日本の伝統文化や、日本に古くから伝わる生活習慣の中から、これからの日本や日本で暮す私たちにとって大切な何かをみつけられる雑誌になりたい。日本に暮らしていてよかったと思える読後感を読者のみなさんと共有したい」というのが編集長の言葉だそうだ。

紙はどのページも光沢のないマットなものを使っているが、これもおそらく和の情報を表現することへの配慮だろう。
巻末にモノクロのページがあるが、完全なモノクロでなく、ヨモギというかウグイスというか、淡いグリーンを1色使っている。
この色の使い方も、雑誌全体のコンセプトにきちんと整合したものだ。

ということで、「YUCARI」。
偶然手に取ってみただけですけど、内容はかなりよかったです。
特に日本の伝統に強い興味を示すタイプの人間ではありませんが、今後も面白そうな特集が組まれればまた買ってみてもいいかなと思います。

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コメント

こんにちは。こんな雑誌、初めて知りました。ところでルドフィーは生きているのかしら?

投稿: ぷくちゃん | 2013.08.10 11:41

ぷく先輩、お暑うございます。
自分も今回この雑誌を初めて知りました。

そういえばルドフィーはどうしてるんでしょうね?
コメントも最近来ないし、BLOGも今年に入って更新されていないようですが・・

投稿: SYUNJI | 2013.08.11 18:05

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