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聴いてない 第187回 サード・アイ・ブラインド

以前から告白しているとおり、90年代以降はFMエアチェックもCDレンタルもほとんどせず、新しい音楽を積極的に聴かずに過ごした闇の時代である。
まあ新しい音楽を聴いてないのは2000年以降も同じなんだが、その闇金時代でCDを買って聴いていた貴重なバンドが少しだけある。
オアシスがそうだ。
そしてもう一つがサード・アイ・ブラインドである。
と言っても聴いたのはアルバム1枚だけではあるが・・・

サード・アイ・ブラインド、従って聴いてない度は4となる。
聴いたのは97年発表のデビューアルバム「Third Eye Blind」。
ただしバンドの存在を知ったのは98年になってからで、アルバム購入はさらに2年ほど後のことだ。

最初に聴いた曲が大ヒット曲「Semi-Charmed Life」だ。
MTVの年間ヒット曲特集番組を丸ごと録画し、その音声をテープに録って聴いたものだ。
PV映像はもう全然覚えていない。
好みのジャンルとは微妙に違ったが、タイトなリズムやギターサウンド、荒っぽいがコーラスを当てた秀逸なボーカルなど、安いセリフだが非常に衝撃を受けた。
衝撃とか言ってるわりにアルバム聴くまで2年もかけてるんだけど。

で、そのアルバムを買った日にたまたま会社のイベントがあり、その打ち上げみたいな席で若い連中に「今日こんなCDを買ったんや」と自慢したら誰もサード・アイ・ブラインドを知らなかったので、結果的に自分が大スベリしたような感じになってしまい、悲しい記憶だけが残った。

あそこでスベったのが悔しかったせいでもないが、結局その後サード・アイ・ブラインドを聴くことはなく、またメンバーについて情報を仕入れるようなこともなかった。
なのでアルバム1枚聴いてはいるが実はよく知らないバンドという相変わらずヒドイ扱いなのだった。

遅まきながらバンドの生い立ちについて緊急に学習してみることにした。
サード・アイ・ブラインドは90年代半ばにサンフランシスコで結成された。
結成時のメンバーは結成時のメンバーは、スティーヴン・ジェンキンス(Vo・G)、エイドリアン・バーリー(D)、ジェイソン・スレーター(B)、ケヴィン・キャドガン(G)。
このうち3人はカリフォルニア大学バークレー校出身というインテリジェンスなバンドである。

1997年デビューアルバムを発表。
大ヒット曲「Semi-Charmed Life」が収録され、全米で300万枚のセールスを記録し、約2年に渡りビルボードの200位以内にチャートインした。
またバンドは97年の第1回フジロックフェスティバルにも登場している。

99年にセカンド・アルバム「ブルー」をリリース。
このアルバムは1曲目から5曲目までをシングル・カット曲で集めるという80年代っぽい仕込みが施されている。
このアルバムもアメリカでは200万枚以上売れた。

順調に見えたサード・アイ・ブラインドだが、ロックバンドの台本どおりボーカルのスティーヴン・ジェンキンスとギタリストのケヴィン・ギャドガンとの間に亀裂が発生。
ケヴィンは解雇され、後に裁判沙汰にもなったそうだ。

ケヴィンはU2のジ・エッジに強く影響を受けたギタリストであり、初期の曲の大半はケヴィン作とのこと。
バンドにはもともとトニー・フレディアネリというメタル志向なギタリストがいたが、デビュー当時にはバンドを離れていた。
トニーはケヴィン解雇とともにバンドに復帰し、3枚目のアルバム「Out Of The Vein」でギターを弾いている。
今のところ最後のアルバムは2009年発表の「Ursa Major」であり、2012年スティーヴンは「次のアルバムが最後になる」と宣言しており、レコーディング予定とその後の解散まで公言している。

アメリカではサウンドはもとより歌詞も多くの若者から支持されていたようで、「Semi-Charmed Life」はかなり長い歌詞なのだが、ライブでは観客のほとんどがバンドともに歌えるのだそうだ。
ニュアンスや細かい雰囲気はわからないが、訳詞を見ると結構神経質で多感な男の心情が歌われている。

よく考えるとサウンドはパンクっぽくて粗野な感じでもあり、自分の好みに整合したとも思えないのだが、「Semi-Charmed Life」のノリの良さや印象的なボーカルはなぜか繰り返し聴きたくなったのだった。
アルバムの中でも「Semi-Charmed Life」は突出していて、他の曲は実はそれほど印象には残らないのだが、通して聴いていても飽きたりするようなことはあまりない。
オープニングの「Losing A Whole Year」などはいいと思う。
アルバム1枚きりで続きを聴いてないところが相変わらず情けない有様だが・・・

というわけで、サード・アイ・ブラインド。
アルバムはベスト盤を含めても5枚しかなく、制覇するのもさほど困難ではなさそうです。
日本ではもしかすると一発屋の扱いもされかねない感じですが、みなさまの鑑賞履歴はいかがでしょうか?

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コメント

こんばんは。聴いてないシリーズおもしろいです!はまりました(笑)
実はこのバンドについて調べていたのがこのブログに来たきっかけなんです。最近深夜番組でセミチャームドライフを聴いて大好きになって、1stアルバムは買いました。2ndも注文済みです。
1stアルバムは音楽オタクの旦那さんからは全否定されましたが、私はかなり好きです。あと女目線で恐縮ですが、ケヴィンキャドガンかっこよすぎ。あと才能ありすぎ。ソロアルバムを聴いて確信しました。
ヴォーカルのジェンキンスはキャドガンに対してかなりひどい仕打ちをしたことが分かったので、3枚目以降は絶対に聴きません(笑)

投稿: ゆか | 2017.12.20 22:13

ゆかさん、再度のご来訪ありがとうございます。

>実はこのバンドについて調べていたのがこのブログに来たきっかけなんです。

本当ですか?
よりによって聴いてない自慢のウチのBLOGにたどりつくとは・・すいません・・
でもこのサード・アイ・ブラインドの記事には今までコメントがなかったのでうれしいです。

>あと女目線で恐縮ですが、ケヴィンキャドガンかっこよすぎ。あと才能ありすぎ。ソロアルバムを聴いて確信しました。

あ、ケヴィンのソロも聴かれたんですね。
サウンドはバンドに似てるんでしょうか?
バンドの評価はケヴィン脱退後どんどん下がっていったそうですが、やはりこの人の才能が初期のバンドの柱だったことは間違いなさそうですね。

投稿: SYUNJI | 2017.12.20 22:38

ソロはyoutubeでセカンドのみ聴いているところです。
はっきり言って、ソロのほうがはるかに良いです。
サウンドが似てることは似てるんですが、洗練されたメロやアレンジの完成度が違います。
あと、歌も驚くほど上手いです。
この人ヴォーカリストじゃなかったのに大したものだと。
むしろ最初からひとりでやれば良かったんでない?ってかんじです。どのアルバムも配信のみでディスクにはなっておりませんが。機械音痴の私には未知の領域です(恥)

投稿: ゆか | 2017.12.22 00:02

ゆかさん、コメントありがとうございます。

>はっきり言って、ソロのほうがはるかに良いです。
>サウンドが似てることは似てるんですが、洗練されたメロやアレンジの完成度が違います。
>あと、歌も驚くほど上手いです。

へえーそうなんですか。
バンドでツインボーカルとしてやっていたら評価はまた違っていたかもしれないですね。
スティーヴンのボーカルも熱量は高いけど「うまい」というのとは少し違うタイプですよね。

>どのアルバムも配信のみでディスクにはなっておりませんが。

調べたらそのようですね。
CDじゃないとなんかしっくりこない・・
自分も配信で曲を購入したことがまだありません。
無料でU2のアルバム全曲聴いたことはありますけど・・

投稿: SYUNJI | 2017.12.22 21:33

しつこいようですが、またこのバンドについてです(笑)
やっとセカンドが届いて聴いたのですが、私はファーストより好みです。激しい曲もあって、ヘッドホンで聴くとギターの音に殴られているようでやみつきになりそうです。全体的にファーストより凝っていてマニア向けっぽいアルバムだと思いました。素晴らしいです。しかしやはりケビンにしか興味がないのでアルバム収集はこれにて終了ですが、このバンドを知れて良かったと心から思います。

投稿: ゆか | 2018.01.06 08:57

ゆかさん、コメントありがとうございます。
セカンド聴かれたんですね。

>激しい曲もあって、ヘッドホンで聴くとギターの音に殴られているようでやみつきになりそうです。
>全体的にファーストより凝っていてマニア向けっぽいアルバムだと思いました。

なるほど・・
「ギターの音に殴られているよう」ってのは気になりますね。
記事にも書きましたが、このバンドの粗野な部分は不思議に拒絶感がないので、セカンドも案外聴けそうな気もします。
少しですがまた興味がわいたので、機会があれば探してみます。

投稿: SYUNJI | 2018.01.07 17:03

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