聴いてみた 第107回 ヤードバーズ その2
十二指腸よわよわサラリーマンのSYUNJIです。
今年の夏も結局都合2ヶ月ほど台本どおり夏バテ。
2ヶ月間3食まともに食えた日はほとんどありませんでした。
しかも7月末にはカゼまで併発こいてしまい、来年からは夏だけアイスランド移住を本気で検討せねばならないのではないかと心乱れる毎日です。
そんな夏バテクソ野郎(下品)のあたしが今日聴いてみたのはヤードバーズの「Little Games」。
ジミー・ペイジが参加した唯一の、またバンドの公式スタジオ盤としては最後のアルバムである。
以前聴いた企画盤ではペイジ参加の曲がひとつも収録されておらず、ヤードバーズ所属のペイジのギターを聴くのはこれが初めてだ。
久しぶりに立ち寄った下北沢の中古CD店で購入。
このCDは2003年3月5日に発売された日本盤で、オリジナル10曲に加えてボーナストラック7曲とBBCセッション8曲が収録されている。
オリジナル「Little Games」は67年発表だが、イギリスでは発売されずアメリカでのみ発売。
翌68年にはキース・レルフとジム・マッカーティがバンドを脱退。
ペイジはロバート・プラントとジョン・ボーナムを加入させ、ジョン・ポール・ジョーンズにも声をかけてニュー・ヤードバーズを結成。
北欧ツアーなどを経てレッド・ツェッペリンと改名し、ヤードバーズは消滅した。
ここまではツェッペリンのファンであれば誰でも知っている話だろう。
名門ヤードバーズ加入後も、その名に慢心することなくその先の偉大なる野望に向かって着実にポテンシャルを高めていったジミー・ペイジ。
果たしてあたしは若き日のペイジのギターに幻惑されて弱った十二指腸をユラユラグルグルすることができるのでしょうか。
・・・・・聴いてみた。
1.Little Games
2.Smile On Me
3.White Summer
4.Tinker, Tailor, Soldier, Sailor
5.Glimpses
6.Drinking Muddy Water
7.No Excess Baggage
8.Stealing Stealing
9.Only The Black Rose
10.Little Soldier Boy
[Remaster CD Bonus Tracks]
11.Puzzles (1991 US Stereo Mix)
12.I Remember The Night (1991 US Stereo Mix)
13.Ha Ha Said The Clown
14.Ten Little Indians (1991 US Stereo Mix)
15.Goodnight Sweet Josephine (Version 1)
16.Think About It
17.Goodnight Sweet Josephine (Phased"US Single" Version)
[BBC Sessions]
18.Most Likely You Go Your Way(我が道を行く)
19.Little Games
20.Drinking Muddy Water
21.Thinking About It
22.Goodnight Sweet Josephine
23.My Baby
24.White Summer
25.Dazed And Confused(幻惑されて)
BBCセッションの「Most Likely You Go Your Way」はディランのカバー、「My Baby」はジャニス・ジョプリンもカバーした名曲。
どういう状況で録音されたのかわからないが、イントロにはDJの曲紹介みたいな声が入っている。
ラストの「Dazed And Confused」はツェッペリンでおなじみの「幻惑されて」である。
以前聴いたクラプトン期・ベック期のヤードバーズの音とはずいぶん違う気がする。
「Glimpses」「Drinking Muddy Water」「Only The Black Rose」などはペイジ参加前のヤードバーズのサウンドを継承してるように聞こえるが、「Little Games」「Tinker, Tailor, Soldier, Sailor」「No Excess Baggage」「Stealing Stealing」あたりはなんだかポップで歌謡曲っぽい雰囲気もある。
どっちも好みとは相当離れてはいるんだが、三大ギタリストの歴史をなぞってみるという妙な目的意識を持って聴くとそれなりに面白いから不思議だ。
「ツェッペリンを期待して聴くとガッカリする」という評判はまさしくその通りだった。
楽曲そのものは正直ツェッペリンとは全然比較にならない。
このCDでは「Dazed And Confused」も聴けるのだが、完成度としてはまだ相当低い。
感じたままを言えばヤードバーズにはツェッペリンの持つ怪しさやいかがわしさやクスリっぽさが全然ないし、ペイジのギターもまだ慎重な感じだ。
ボンゾもプラントもいないので当然ではある。
ペイジのファンにとっては鉄板な話だろうけど、サウンドのあちこちにすでにツェッペリンの音が見え隠れしているのがわかる。
あーあーこの音がツェッペリンに行ってあの音になったんだ・・と気づく度に、パズルが解けたような感覚になる。
ペイジはヤードバーズでプレイしながらツェッペリンでまきちらすための毒キノコをじっくり育てていたのだろう。
ただBBCセッションの各曲は音質がかなり悪く、ブート盤を聴いてるような感覚になる。
なおメンバーのクリス・ドレヤによれば、ボーカルのキース・レルフはミュージシャンとしての才能は非常に優れたものがあったが、バンドをまとめるチカラが足りなかったのだそうだ。
クリスはベックとペイジのツインギターでバンドを強固なものにしようと画策したり、ペイジとも比較的良好な関係を保ったりしていたが、ヤードバーズをやめてカメラマンに転身。
この転身の理由には諸説あるようだが、クリスは本音ではペイジとヤードバーズを続けたかったらしい。
ヤードバーズもメンバー間でいろいろあったようだが、いずれにしろペイジの鉛の野望に必要とされた人は結果的に誰もいなかったことになる。
このアルバム、純粋に音楽を楽しむ人ももちろんいるんだろうけど、やはり若き日のペイジが参加してるという付加価値で一応コレクションしておく、という方向性の人も多いのではないだろうか。
もちろん楽曲として優れたものを発表したからツェッペリンはビッグなバンドに成長したのだろうが、他にもレコード会社のエライ人にお中元贈ったり接待ゴルフしたりタクシーチケットをばらまいたりといった商売上の努力もぬかりなくこなしたのがペイジである。(知り合いかよ)
いや、ホントのところはどうか知らんけど、たとえば、たとえばだよ?
もしロック検定でこんな問題が出たらどうする?
Q:バンドの活動中、レコード会社の社長に欠かさずお中元を贈ったというギタリストは誰か?
1.エリック・クラプトン
2.ジェフ・ベック
3.ジミー・ペイジ
4.リッチー・ブラックモア
5.キース・リチャーズ
ほら。
ね?
やっぱり3に丸印をつけたくなるでしょ?
ミュージシャンとしての評価の順位は意見が割れるだろうけど、ビジネスマンとして最も才覚を発揮してきたのは間違いなくペイジさんなのである。(知り合いかよ)
ベックからお中元が来たら誰かと間違えてんじゃないかと疑うし、キースやリッチーからお中元来たらそれはそれで怖いよなぁ。
そんなくだらない妄想をしながらこのアルバムを聴いてみました。(邪道)
というわけで、「Little Games」。
実際のところ楽曲としてはどれも微妙でそれほどの感動もわきませんでしたが、ツェッペリン前夜の学習指導要領としては興味深いものがありました。
結果論ですが、ツェッペリン全盤制覇を終えてから聴いてみてよかったと思います。
今後はツェッペリン以降のそれぞれの活動も順に追っていきたいと考えております。
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