« 聴いてみた 第105回 ローリング・ストーンズ その11 | トップページ | やってない 第24回 囲碁 »

聴いてみた 第106回 ディープ・パープル その7

東洋で二番目くらいにダサイあたしのBLOG。
その中の「聴いてみた」シリーズにおいて、ここ2~3年はストーンズジェフ・ベックレインボーなんかを学習することが多く、ふと気づけばパープルはすっかり放置状態。
もう有名なアルバムはだいたい聴いたよなという思い上がりなスタンスでいたのだが、実は第2期の作品でまだ聴いていないものが残っていた。
「紫の肖像」である。

Syouzou

「紫の肖像」は原題が「Who Do We Think We Are」という73年のアルバム。
メンバーは世界の御大リッチー・ブラックモア、代表取締役兼鍵盤執行役員ジョン・ロード、放浪の宿敵イアン・ギラン、サウンド編集の鬼ロジャー・グローバー、経済評論家ドラマーのイアン・ペイス。
リッチーとギランの仲が最悪な状態となり、リッチーのギランに対する「オレはオマエのかませ犬じゃない!」という歴史的発言と、ギランの「こんな会社やめてやる!」と叫んで雪の札幌をさまよった事件に象徴される第2期最後のアルバムである。(全部適当)

このアルバムについて、実は自分の認識もかなり適当だった。
第2期と言えばパープル黄金期名勝負数え歌ひとり民族大移動時代であり、多くのヒット曲はこの時期に生み出されている。
またアルバムでは「Machine Head」「Fireball」「In Rock」はタイトルもジャケットもすぐに思い浮かぶのだが、この「紫の肖像」は「そういやこれもあったんだっけ」程度のレベルでしか記憶していない。
やはり第2期作品は全盤聴き倒さねば真のパープル者とは言えないのだ。
なぜか突然マジメにそう考えたあたしは、ストーンズの「It's Only Rock'n Roll」とともにユニオンで「紫の肖像」を800円で購入。

パープル学習をさぼってた間にジョン・ロードは亡くなってしまった。
ささやかながらジョン追悼の念もこめて「紫の肖像」を聴くことにする。(遅い)

・・・・・聴いてみた。

1.Woman From Tokyo
ご存じ「オレの彼女は東京出身」。
どっちかっつうとカッコイイというより垢抜けないというかダサめのメロディなのだが、それでも聴いてると楽しくなるから不思議だ。
パープルのヒット曲ってどれもそうだけど。
東京で女を引っかけた実話が元になっている・・・ということでもなく、ギランは「別に東京でもモスクワでも同じだろ」と言ったとか。
日本では大ヒットかと思いきやそうでもなく、メンバーにもそれほど思い入れがあったわけでもなさそうで、なんとなく事務所の熱意が空回りしたような曲になってしまった感じ。

2.Mary Long
こっちのほうがパープルの王道サウンドだと思う。
リッチーのギターは少しカタイ気もするが、ジョンのびりびりキーボードとの対決姿勢もわりと明確で良い。
終盤テンポがスローダウンするが、この演出はなくてもいいかなぁ。

3.Super Trouper
ゆがんでくもった変な音。
ちなみに同名の曲はアバにもある。
意味は「特別な役者」「頼りになる仲間」、または「スポットライト」ということらしいけど、この曲の場合はどれ?
訳詞を見ても「スーパー・トゥルーパー」としか書いてないんですけど・・・

4.Smooth Dancer
アップテンポでファンクなナンバー。
後のレインボーの路線がこんな感じだ。
リッチーのギターよりもジョンのキーボードが前に出ているからだろうか。

5.Rat Bat Blue
お得意の疾走感に満ちたロックなのだが、少しリズムにクセがあり、各パートの急ぎ方に多少差があるように聞こえる。
思ったより難しい曲だ。
中盤のジョンのキーボードも変な音がする。

6.Place In Line
一転どっぷりのったりの重いブルース。
パープルにしては珍しい入り方だと思う。。
中盤以降はリズムも持ち直し、リッチーとジョンの長いソロもある。
ギランがいろんなキーで歌うので別人のように聞こえたりする。
この人の声をテープの回転数を少しだけ落として聴くとデイヴ・リー・ロスになる。
全体としてはいまひとつまとまりに欠ける。

7.Our Lady
ラストは壮大なイメージの大げさな曲。
土台にバラードがあり、それをサイケやプログレ風にアレンジしているようなサウンド。
あまりパープルに似合っているとは思えないが、意外に悪くはない。
アルバムの最後を飾るにふさわしい曲である。

印象としてはやはり今ひとつ力強さが足りない。
リッチーの見せ場(聴かせ場)が思ったよりも少ないからだ。
「その代わりジョンが大活躍だよ!」というご意見もあろうが、やはりリッチーあってのパープルであることは否定のしようがない。
トータル35分弱の中で、「Woman From Tokyo」だけ華やかで、他は悪くはないがあまり脳内にも残らない。
他の2期作品に比べると残念ながら物足りない・・・というのが率直な感想である。

確かにジョンのアーティスティックなシンセやキーボードは、バンドの音楽性に多面的な彩りをもたらしたかもしれないが、リッチーのギターとギランのシャウトとのガチなドツキ合いが少ない分、魅力も薄まってしまったような感じなのだ。

ロックバンドにおいて、メンバー間の不和と作品の質は必ずしも整合するわけではない。
むしろ仲が悪い状態でも後世に残る名盤が生まれた事例はたくさんある。
「紫の肖像」は72年から録音が始まっていたらしいが、リッチーも今ひとつテンションが上がらず、メンバー間の意志疎通が不足したままアルバム制作は進行。
ただ同時期に発売された「Live In Japan」は初来日公演の伝説的な名盤とされており、この影響もあって「紫の肖像」もチャート的には好成績を残している。

「紫の肖像」が発表された直後、リッチーはジョンに脱退をほのめかす。
ジョンは脱退を引き留めるためリッチーを説得したが、これに対するリッチーの提案は「だったらギランとロジャーを追い出せ」だったそうだ・・・

73年の2度目の来日公演ではギランはもう脱退を決意しており、他のメンバーにもやる気のなさが伝染し、6月25日の日本武道館公演ではアンコールもやらず、観客が暴動を起こすという新日本プロレスっぽい騒動に発展。
結局リッチーのギラン問責決議案が通り、ギランとロジャーは離党。
パープルはデビカバとグレン・ヒューズを迎えて第3期に入る。(楽しい・・)
ちなみに昨年ジョン・ロードが亡くなった直後、カバはキャンディス・ナイトを通じて何十年かぶりにリッチーと連絡を取り合い、交流が復活したそうだ。
パープル再結成の話は全く出なかったらしいけど。

第2期から6期?あたりまでのパープルのアルバムをいろいろ聴いてみたのだが、自分なりの失礼な結論としてはっきりしたのは「申し訳ないけどレインボーのほうがずうっと楽しい」ことだ。
そもそもギランのボーカルがそれほど好みでもない、という時点でパープルのリスナーとして致命的なんだが、こればかりは個人の感覚なので「クソド素人が何をほざいてやがる」と言われても変更のしようがない。
レインボーはボーカルが誰であろうと全部のアルバムが聴きどころ満載で、リッチーのプレイも楽曲の華やかさもパープルよりは上回っていると思う。

というわけで、「紫の肖像」。
残念ながら物足りなさが残る結果となりました。
今さらだけど、パープルというバンドを自分は思っていた以上に曲単位で評価していたんだと気づいた。
この点はツェッペリンともレインボーとも明確に違うのだが、理由はよくわからない。
聴いてないパープルのアルバムはまだ残っているが、正直学習意欲はもうほとんどない。
第3期「Stormbringer(嵐の使者)」、第7期「The Battle Rages On(紫の聖戦)」あたりは気にはなるけど。
聴いてないのに言うのもナンだが、どれも第2期を超える内容だとも思えないし・・・
バンドのモメごとをなぞるのは相変わらず楽しくてしかたがないのですが。
なので次の未聴アルバム鑑賞は当面行わないと思います。

|

« 聴いてみた 第105回 ローリング・ストーンズ その11 | トップページ | やってない 第24回 囲碁 »

コメント

SYUNJIさん、こんばんは。

>雪の札幌をさまよった事件に象徴される第2期最後のアルバムである
この喩で分かる世代はもう少ないです・・・(大爆笑)

私も持ってました(過去形)が、よく聴いたとの記憶がないので、パープルにしてはどうでもよい作品だったんだなぁ~とこの記事で思いかえしました。
たしかに一曲目ぐらいしか知らないです。

>リッチーのプレイも楽曲の華やかさもパープルよりは上回っていると思う。
SYUNJIさんはやっぱり御大の「俺様だけどなにか?」という本田圭介ばりの自信とエゴイスティックなカリスマ性が好きなんですねぇ~・・・(よく分かります)

「嵐の使者」は地味ですけどブルース好みのカバーディルが主体でギターは目立ってませんが、作品としては良いです(笑)
これと「カム・テイスト・ザ・バンド」はグレン・ヒューズの才能が開花した作品だと思っています。

このジャケットも意味不明ですね(笑)
川?からシャボン玉が出てきてるって・・・


投稿: ボレロ | 2013.06.09 20:14

ボレロさん、こんばんは。

>この喩で分かる世代はもう少ないです・・・(大爆笑)

よくぞ拾っていただきました・・
いえ、ウチのBLOGに来られる方だと、この手の話にわりと反応される方は多いですけど。
昔から思うんですけど、パープルみたいなロックバンドって、やってることがプロレス団体っぽいですよね。

>SYUNJIさんはやっぱり御大の「俺様だけどなにか?」という本田圭介ばりの自信とエゴイスティックなカリスマ性が好きなんですねぇ~

さすが、今風な表現・・
まあリッチーのギターだけ好きというより、他のパートとも互角に勝負してるバランスを重視しますね。(上から目線)

>「嵐の使者」は地味ですけどブルース好みのカバーディルが主体でギターは目立ってませんが、作品としては良いです(笑)

なるほど・・
ボーカルとしてはギランよりカバのほうが実は好みです。
「カム・テイスト・ザ・バンド」は確かに悪くないですけど、リッチー不在はやはり大きいですね。

>川?からシャボン玉が出てきてるって・・・

よく見るとシャボン玉の中にメンバーの顔があるんですけど、CDだといまいち伝わらないスね・・

投稿: SYUNJI | 2013.06.09 21:22

はじめまして

いやあ 面白いブログですねー
自虐的な文体がツボに程よく効きます

東洋で二番目位にダサいあたしのブログって・・・
スゴいウケるんですけど ハハハ

東洋一ダサいブログとゆーのも気になりますなあ ハハハ

投稿: 四季 夏子 | 2013.06.19 11:58

四季夏子さん、初めまして。
こんな三流BLOGにコメントありがとうございます。

>東洋一ダサいブログとゆーのも気になりますなあ

「オレのBLOGのほうがダサイ!」と自信のある方がおられましたら、遠慮なく東洋一の称号はお譲りします・・(なんだそれ)

未体験な話を延々10年近く書いてるヘンなBLOGですが、お好きなミュージシャンやジャンルについて、またコメントいただけたらと思います。

投稿: SYUNJI | 2013.06.19 23:13

御返事ありがとうございました。
四季夏子です。

>レインボーはボーカルが誰であろうと全部のアルバムが聴きどころ満載で、リッチーのプレイも楽曲の華やかさもパープルよりは上回っていると思う。

こうゆう平等な御意見好きだなあ
私もそう思います
ギターの音色も段々高貴な感じになってますしねえ
ジョーリン期の頃の音色が一番好きですねえ

投稿: | 2013.06.20 15:31

四季夏子さん、コメントありがとうございます。

>私もそう思います
>ギターの音色も段々高貴な感じになってますしねえ

そうですか!
共感していただいてうれしいです。
自分の好みなんで変えようがないんですけど、パープルのどのアルバムよりもレインボーのほうが楽しく聴けるんですよね。
どの時代の作品もいいですけど、ジョーのボーカルが一番あわれで好きですね。

投稿: SYUNJI | 2013.06.20 23:11

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/9509/57556962

この記事へのトラックバック一覧です: 聴いてみた 第106回 ディープ・パープル その7:

« 聴いてみた 第105回 ローリング・ストーンズ その11 | トップページ | やってない 第24回 囲碁 »