聴いてみた 第103回 フリートウッド・マック
今日聴いてみたのは、フリートウッド・マックの「Rumours(噂)」。
77年発表の鬼みたいに売れた名盤だが、このトシになるまで全然聴いてなかったので、モンスリー師匠のご指導もふまえ、今さらだが聴いてみることにしたのだった。
フリートウッド・マックを「聴いてない」シリーズで採り上げてから、実に7年半も経過してしまった。
7年半と言えばオリンピックがこの間に夏冬4回もあり、小学一年生は中二病にかかるくらいの長い時間である。(うるさい)
いやーこの間はずっとツェッペリンやレインボーやストーンズ学習に忙しくて、マックにまで手がまわらなかったのよとダサい言い訳。
今はマックと言ってフリートウッド・マックを思い浮かべる人は誰もいない。
このアルバム作成時のメンバーは、ミック・フリートウッド、ジョン・マクビー、クリスティン・マクビー、リンジー・バッキンガム、スティービー・ニックスの5人。
元はイギリスのバンドだが、後から加入したリンジーとスティービーがアメリカ人という英米混合男女混成合奏合唱団である。
ベストメンバーによる彼ら最大のヒット作である「噂」。
果たしてあたしも噂を信じることができるでしょうか。
・・・・・聴いてみた。
1. Second Hand News
軽快なリズムに乗せてリンジーが歌う。
スタートとしては期待が持てる展開だ。
スティービーがバックボーカル、クリスティンがバックコーラスという体制もなかなかよい。
2. Dreams
この曲はベスト盤で聴いている。
憂いのあるサウンドにスティービーのくもった声がマッチしていい感じである。
さすがに80年代よりも声が若い。
3. Never Going Back Again
どこかラテンっぽいアコースティックギターの美しい調べ。
短いが輝きのある名曲。
4. Don't Stop
これもベスト盤で聴いている。
ウキウキしたリズムにクリスティンとリンジーのボーカルが重なり、バンドとしての一体感が伝わってくる。
5. Go Your Own Way
これもまたベスト盤収録曲だ。
つくづく「噂」が大ヒットアルバムであることがわかる。
サウンドは躍動感に満ちているが、実はリンジーがバンド内の人間関係に悩みつつ作った曲で、スティービーを皮肉っているらしい。
6. Songbird
クリスティンによるバラード。
楽器はピアノだけのシンプルな構成。
この曲は後にエバ・キャシディという人がカバーしているそうだ。
7. Silver Springs
スティービーが歌うゆったりとしたバラード。
このあたり、女性ボーカルの対比は見事な配置だ。
後半からエンディングにかけて声の雰囲気が少し変わっている。
8. The Chain
この曲だけは全員の共作で、ボーカルも3人勢揃い。
ただ曲は暗く重たく、聴いていてあまり楽しくない。
9. You Make Loving Fun
さらにベスト盤収録の曲がまた登場。
やや辛口でアダルトな雰囲気。
クリスティンの作品で、バックのスティービーとの絶妙なハーモニーが聴ける。
10. I Don't Want to Know
全編にわたってリンジーとスティービーが声を合わせる。
スティービーはかなり高くツヤのある声を出しており、80年代のダミ声ボーカルとはかなり違う。
11. Oh Daddy
クリスティンのブルースっぽい曲。
かなり悲しい音がする。
12. Gold Dust Woman
今度はスティービーの悲しげな歌。
80年代のスティービーと同じで、低い声でビブラートをきかせて歌うので、聴いてすぐスティービーとわかる。
ひたすら暗い。
右側からシタールみたいな音がする。
エンディングの2曲は突出して暗い。
少し後味の悪い構成のように思う。
さすがに「噂」にたがわず名曲揃いの素晴らしいアルバムであることに異論はない。
メンバーの個性、バンドの一体感、多面的なサウンド、バラエティ豊かな楽曲。
終盤やや暗く難しい曲が続くところだけは惜しい感じがするが、アルバム全体のまとまりは強固なものがあると思う。
この多様性がバンドの魅力でもあり強みでもある。
3人のシンガー&ソングライターを擁し、様々な音楽を発信できるところは、ビートルズやクイーンやイーグルスにも見られる大きなバンドの財産だと思う。
フリートウッド・マックはその中でも女性ボーカルが二人おり、他のバンドにはない多彩な楽曲を作っている。
ただしアルバム製作過程においてメンバー間の関係やプライベート事情は相当悪く、ミックやマクビー夫妻は離婚、リンジーとスティービーは破局という、安定した人が誰もいない中で進行したという話。
そんな人たちが80年代半ばまでなんとかバンドの体面を保ち、ヒットも飛ばしたというからすごいよなぁ。
あたしなんか会社の同僚とモメたら以降延々根に持つタイプなんで、「仕事とプライベートは別」と割り切ってアルバム作ってコンサートで声を合わせるなんて絶対にできないと思います・・・(比べんなよ)
ジャケットはミックとスティービーが怪しく踊る雰囲気のあるアート。
もともと音楽性もジャケットの絵も多様で一貫性が全然ないバンドのようだが、このジャケットはいいと思う。
後に97年の「The Dance」というアルバムで「噂」のジャケットのパロディをやっているそうだ。
ということで、「噂」。
月並みですいませんが、かなり良かったです。
もっと早く聴いておけば良かったなぁ。(こればっか)
次回は「ファンタスティック・マック」「Tusk」「Mirage」のどれかを聴いてみようかと思います。
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コメント
SYUNJIさん、こんばんは。
「噂」はもはや奇跡といっていい1枚です。
フロント3人の個性のぶつかり具合が絶妙で、
特にコーラスはドゥービーともイーグルスとも
違う「これぞマック」という感じです。この
コーラスとこれまた素晴らしいソングライティング
のおかげで、捨て曲というものがありません。
アルバム解説はSYUNJIさんが見事になされています
ので、ゴシップネタを少々。
この時期、ミック・フリートウッドとスティービーは、それぞれ妻
と恋人(リンジー)がいながらも「大人の」関係があったそうです。
はたまた「Dreams」という曲は、スティービーからリンジー
へのあてつけが歌われているそうです。リンジーは
ギターで応戦する他はなかったとか。
次は是非「ファンタスティック・マック」を。個人的
には「噂」と甲乙付けがたい作品です。
投稿: モンスリー | 2013.02.11 16:52
モンスリーさん、ご指導ありがとうございました。
>フロント3人の個性のぶつかり具合が絶妙で、特にコーラスはドゥービーともイーグルスとも違う「これぞマック」という感じです。
そうですね、やはり女性ボーカルが織りなすコーラスは他のバンドにはない特徴ですね。
特にクリスティンとスティービーは聴いてすぐ特定できる声なので、バンドの強力な武器となっていると思います。
>この時期、ミック・フリートウッドとスティービーは、それぞれ妻と恋人(リンジー)がいながらも「大人の」関係があったそうです。
すごい人たちだなぁ・・
潔癖なぷく先輩が知ったら「不潔よ!不潔だわ!」とマツコ調で叫んでたたき出すんじゃないでしょうか・・
そういえば昔雑誌でドン・ヘンリーがスティービーと関係してしまったことを告白した記事を読んだことがあります。
投稿: SYUNJI | 2013.02.11 18:12
不潔よ!不潔だわ!
投稿: ぷくちゃん | 2013.02.12 18:21
ぷく先輩、魂の叫びコメント感謝です。
やはり潔癖な先輩としてはマックのただれた男女関係は許しがたい、と・・・
あ、さっき気づいたんですけど、「聴いてない」シリーズのマックの巻でV.J.若が初めてあたしのBLOGにコメントしてました・・
投稿: SYUNJI | 2013.02.12 22:20
こんなもんマックぢゃねーよ!
と、恐らく似た様な内容のことをコメントしていたのではないでしょうか…
こんなもん、マックじゃないです。はい。
投稿: V.J. | 2013.02.18 17:47
V.J.若、コメントありがとうございます。
マックについては「M.Greenが在籍していた、BLUES ROCK時代がとても好きで聴いている」とのコメントでしたね。
グリーン時代・ウェルチ時代のマックも全然聴いてないんで、三頭体制(違うと思う)の音とどのくらい違うのか見当もつきませんが・・
自分みたいなミーハーなリスナーには、おそらく相当ハードルが高いものと思ってはいますが。
投稿: SYUNJI | 2013.02.20 21:59
はじめまして、jamken といいます。
フリートウッド、懐かしく拝見しました。
一時期このアルバムばかり聞いていたじきがありました。飽きませんね。
投稿: jamken | 2013.02.24 13:56
jamkenさん、はじめまして。
こんな三流BLOGにコメントありがとうございます。
このアルバム、「飽きない」という評価はわかる気がしますね。
バラエティ豊かでそれぞれの楽曲もボーカルもすごく主張してますよね。
jamkenさんのBLOGも拝見しました。
ジャンルが幅広くてすごい情報量ですね。
自分は聴いてない音楽を公表する珍奇BLOGを9年も続けてますが、他のアーチストについてもご指導いただければ幸いです。
投稿: SYUNJI | 2013.02.24 21:44