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見ていない 第34回 ミュージックトマト

ポッパーズMTV」の巻でも告白したが、80年代の洋楽プロモーション・ビデオ紹介番組で自分がマメに見ていたのは「ベストヒットUSA」だけである。
当時PVを紹介するテレビ番組は他にもいろいろあったはずだが、「ポッパーズMTV」同様いっさい見ていなかったのが「ミュージックトマト」だ。
この番組は地元のテレビ神奈川が放送していたので、見てはいなかったが存在自体は知ってはいた。
ただし他の地方での放送実績は全然わからない。
また洋楽という分野では自分より先行していた姉も、この番組を見ていなかったと思う。

で、今回「ミュージックトマト」についてネットで調べてみたが、思ったよりも情報が少ない。
正確な放送開始年月日はわからなかったし、いつ終わったのかも不明。
どなたか詳細をご存じでしょうか?
主にウィキペディアで調べた概要は以下のとおりである。

「ミュージックトマト」は80年代に放送開始。
「ベストヒットUSA」や「ポッパーズMTV」との放送開始順序はわからないが、感覚的には同じ頃に放送していたんじゃないかと思っている。

放送時間は毎回16:55~17:45というややハンパな時間。
開始当初は全編洋楽ではなく、邦楽のビデオも混ぜて流していた。
その後邦楽部門は「ミュージックトマトJAPAN」という別番組となり、洋楽部門は「ミュージックトマトWorld」に名前を変更。
90年代には月曜がアーチスト特集、水曜がハードロック、金曜がリクエスト特集といった形で曜日ごとにテーマと担当ビデオジョッキーを分け、そのうち火水金は生放送だった。
水曜の担当は伊藤政則だが、このハードロック特集も見た記憶が全然ない。

同じテレビ神奈川のトマト系番組には「ファンキートマト」もあったが、どっちも見ていなかったのでどう違うのかもよく知らない。
「ファンキートマト」は洋楽中心ではあるが限定ではなく、また電話リクエストが番組の趣旨だったようだ。
司会はシャーリー富岡。
他にも「ライブ・トマト」「夕焼けトマト」「TVグラフィックおしゃべりトマト」「トマト・パーティー」なんてのもあったらしいが、どれも全然知らない。
長いこと神奈川県民なんですけど、なんで見てなかったのかよくわからないです。
なんでトマトなんだろう?
地元の名産品でもないと思うが・・・

「ミュージックトマト」を見てなかった理由として考えられるのは、「放送時間には基本的に家にいなかった」というもので、これは「夕やけニャンニャン」と同じである。
学生の頃はたぶん雀荘にいた時間だし、働いていたとしたらまだ会社にいる時間帯だ。
ビデオデッキは持っていたが、音楽番組はMTVしか録画していなかった。

「ミュージックトマト」って、PVはフルで流してトークをかぶせないスタイルだったんですかね?
もしそうだとしたらエアチェックの代わりにも使えたかもしれないなぁ。
サンスイ・ベストリクエスト」を聴かなくなってからは、MTVの録画映像から音声だけカセットテープに落とすという地味な活動をしばらく続けていたのだ。
レコードを買えない貧乏なリスナーは、実際に楽曲を鑑賞するにはひたすらFMを聴くとかPV放送を見るくらいしか手段がなかった。
だからこそ「テープに録音する」という行為自体に意味があったと言える。

今はかなり薄いアーチストの曲であっても、動画サイトでたいがいのPVを見ることが可能だ。
好きな時に好きなアーチストの好きな曲を能動的に見られる・聴けるという夢のような世界が実現してるんだけど、そう考えると当時の番組をもし録画していたら、価値はむしろトークのほうにあるような気がしてきた。
昔テレビで録画した映画やドラマをたまに見たりすると、感動するのは本編じゃなくてCMのほうだったりすることがあるよね。

ということで、なんだか変な結論になってますけど、「ミュージックトマト」。
そもそも他の地方では放送していたんでしょうか?
またいつ始まっていつ終わったのか、正確な情報をお持ちの方がおられましたら教えていただければ幸いです。

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聴いてない 第178回 ビッグ・カントリー

洋楽界において本国では人気の高いアーチストなのになぜか日本では全然人気がない、という例は意外に多いように思う。
当BLOGでもいくつか採り上げているが、ミート・ローフボブ・シーガーなどは本国の評価と日本での人気には異常な乖離が発生しているようだ。
今日のお題であるビッグ・カントリーもどうやらそんな扱いらしく、本国イギリスではTOP10入りを記録したアルバムを複数枚持つくらいのレベルなのだが、日本ではヘタすると一発屋に分類されることもあるというバンドだ。

ビッグ・カントリー、聴いてない度は3。
大ヒット曲「In A Big Country」と、「Look Away」という曲だけ知っている。
アルバムは聴いておらず、メンバーも一人も知らない。
ファンの方には申し訳ないけど、こういう日本のリスナーはかなり多いんじゃないかと思う。

とりあえずビッグ・カントリーについてスモールな付け焼き刃学習。
まずビッグ・カントリーというトシちゃんばりのビッグで大胆な名前は、「広い田園」「広大な原野」みたいな意味らしい。
「In A Big Country」という曲においては、スコットランドの大地を表しているとのこと。
自分は勝手に「でかい国」だと解釈してカナダかアメリカのバンドだと思っていたが、スコットランド出身の四人組だそうだ。
あたしの英語読解力はそもそもこんなレベルです。

さてビッグ・カントリー、1981年にスチュアート・アダムソン、ブルース・ワトソン、トニー・バトラー、マーク・ブレゼジッキーの4人で結成された。
1982年に当時の人気プロデューサーであるクリス・トーマスのプロデュースでファーストシングルを発表。
しかし順位はいまいちだったのでプロデューサーをこれまた人気者スティーブ・リリーホワイトに変更。
これは功を奏し翌年のシングル「Fields of Fire」と「In A Big Country」は英米で大ヒット。
ファーストアルバムも本国イギリスでは3位を記録した。

ここから先の展開が日本とイギリスでは大きく違うと思われる。
84年のセカンドアルバム 「Steeltown」はイギリスでは1位、86年の「Seer」も2位まで上がった大ヒットアルバムである。
しかし日本での記録はもう全然わからない。
「Seer」からカットされたシングル「Look Away」はエアチェックはできたけどそんなにヒットはしてなかったと思うし、イギリスではこのアルバムからさらに3曲のシングルヒットが出たそうだが、全然聴いたことはない。

リーダーのスチュアート・アダムソンはスキッズというバンドの出身なので、ビッグ・カントリー結成時には超ド新人という身分ではなかったようだが、それでもクリス・トーマスやスティーブ・リリーホワイトといったそれこそビッグネームなプロデューサーを起用できたという略歴はけっこう驚きである。
事務所やレコード会社的にも最初から大きな期待を持っていたということだろうか。

オリジナルのアルバムは99年まで制作されているが、バンドは2000年に解散。
さらにスチュアートは2001年に自殺。
残ったメンバーで何度か再結成しているが、昨年トニー・バトラーが脱退を表明している。
なおトニーとマークはピート・タウンゼンドのソロ・アルバムに参加したことがあるそうだ。

人気絶頂の頃、スチュアートは「世界中でロックバンドはU2、シンプル・マインズ、エコー・アンド・ザ・バニーメン、そしてビッグ・カントリーの4つだけだ」と豪語していたそうだ。
そうスか・・・4つの中で聴いていたのはU2だけだったなぁ。

自分がビッグ・カントリーを知った経緯は、たぶんバンド・エイドである。
当時「バンド・エイド・スペシャル」というオムニバスのLP盤が発売され、それをレンタルで聴いた。
もちろんバンド・エイドの「Do They Know It's Christmas?」目当てに借りたのだが、このレコードにビッグ・カントリーの「In A Big Country」が収録されていたのだ。
他にもティアーズ・フォー・フィアーズの「Mothers Talk」、ボン・ジョビの「Runaway(夜明けのラナウェイ)」などが入っていた。
すでにお気づきのとおり、名前こそ「バンド・エイド・スペシャル」とは言うものの、ボン・ジョビなんかアメリカの人たちだし、もちろんユニットにも参加していない。
どうやら日本だけの企画盤だったようだが、いちおうCD化もされたらしい。

ビッグ・カントリーについては、その後「クロスオーバー・イレブン」で「In A Big Country」のロング・バージョンをエアチェック。
少し経ってから「Look Away」も録音できたが、これはあまり印象に残っていない。
なので実質「In A Big Country」しか知らないも同然だが、この曲はなかなかいいと思う。
行進曲のようなロールなドラムに、ギターを使ってバグパイプのような音を出しているのが特徴だが、広大で力強いサウンドや途中で入る剛竜馬のような「ショアッ!!」というかけ声は聴いていて元気になる感じだ。(ゆがんだ感想)

しかしアルバムを借りてみるところまで意欲はわかず、以降彼らの曲をFMで聴く機会は全然なかったので、鑑賞としてはこれっきりになっている。
友人との会話にビッグ・カントリーが登場したことも一切ない。

ということで今さらではあるが四半世紀以上も放置してしまった状態のビッグ・カントリー。
日本での評価も全く見当がつきませんし、掘り起こして聴くことも難しいのかもしれませんが、聴いていた方がおられましたら感想など教えていただけたらと思います。

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聴いてみた 第103回 フリートウッド・マック

今日聴いてみたのは、フリートウッド・マックの「Rumours(噂)」。
77年発表の鬼みたいに売れた名盤だが、このトシになるまで全然聴いてなかったので、モンスリー師匠のご指導もふまえ、今さらだが聴いてみることにしたのだった。

フリートウッド・マックを「聴いてない」シリーズで採り上げてから、実に7年半も経過してしまった。
7年半と言えばオリンピックがこの間に夏冬4回もあり、小学一年生は中二病にかかるくらいの長い時間である。(うるさい)
いやーこの間はずっとツェッペリンレインボーストーンズ学習に忙しくて、マックにまで手がまわらなかったのよとダサい言い訳。
今はマックと言ってフリートウッド・マックを思い浮かべる人は誰もいない。

Rumours

このアルバム作成時のメンバーは、ミック・フリートウッド、ジョン・マクビー、クリスティン・マクビー、リンジー・バッキンガム、スティービー・ニックスの5人。
元はイギリスのバンドだが、後から加入したリンジーとスティービーがアメリカ人という英米混合男女混成合奏合唱団である。
ベストメンバーによる彼ら最大のヒット作である「噂」。
果たしてあたしも噂を信じることができるでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Second Hand News
軽快なリズムに乗せてリンジーが歌う。
スタートとしては期待が持てる展開だ。
スティービーがバックボーカル、クリスティンがバックコーラスという体制もなかなかよい。

2. Dreams
この曲はベスト盤で聴いている。
憂いのあるサウンドにスティービーのくもった声がマッチしていい感じである。
さすがに80年代よりも声が若い。

3. Never Going Back Again
どこかラテンっぽいアコースティックギターの美しい調べ。
短いが輝きのある名曲。

4. Don't Stop
これもベスト盤で聴いている。
ウキウキしたリズムにクリスティンとリンジーのボーカルが重なり、バンドとしての一体感が伝わってくる。

5. Go Your Own Way
これもまたベスト盤収録曲だ。
つくづく「噂」が大ヒットアルバムであることがわかる。
サウンドは躍動感に満ちているが、実はリンジーがバンド内の人間関係に悩みつつ作った曲で、スティービーを皮肉っているらしい。

6. Songbird
クリスティンによるバラード。
楽器はピアノだけのシンプルな構成。
この曲は後にエバ・キャシディという人がカバーしているそうだ。

7. Silver Springs
スティービーが歌うゆったりとしたバラード。
このあたり、女性ボーカルの対比は見事な配置だ。
後半からエンディングにかけて声の雰囲気が少し変わっている。

8. The Chain
この曲だけは全員の共作で、ボーカルも3人勢揃い。
ただ曲は暗く重たく、聴いていてあまり楽しくない。

9. You Make Loving Fun
さらにベスト盤収録の曲がまた登場。
やや辛口でアダルトな雰囲気。
クリスティンの作品で、バックのスティービーとの絶妙なハーモニーが聴ける。

10. I Don't Want to Know
全編にわたってリンジーとスティービーが声を合わせる。
スティービーはかなり高くツヤのある声を出しており、80年代のダミ声ボーカルとはかなり違う。

11. Oh Daddy
クリスティンのブルースっぽい曲。
かなり悲しい音がする。

12. Gold Dust Woman
今度はスティービーの悲しげな歌。
80年代のスティービーと同じで、低い声でビブラートをきかせて歌うので、聴いてすぐスティービーとわかる。
ひたすら暗い。
右側からシタールみたいな音がする。
エンディングの2曲は突出して暗い。
少し後味の悪い構成のように思う。

さすがに「噂」にたがわず名曲揃いの素晴らしいアルバムであることに異論はない。
メンバーの個性、バンドの一体感、多面的なサウンド、バラエティ豊かな楽曲。
終盤やや暗く難しい曲が続くところだけは惜しい感じがするが、アルバム全体のまとまりは強固なものがあると思う。

この多様性がバンドの魅力でもあり強みでもある。
3人のシンガー&ソングライターを擁し、様々な音楽を発信できるところは、ビートルズやクイーンやイーグルスにも見られる大きなバンドの財産だと思う。
フリートウッド・マックはその中でも女性ボーカルが二人おり、他のバンドにはない多彩な楽曲を作っている。

ただしアルバム製作過程においてメンバー間の関係やプライベート事情は相当悪く、ミックやマクビー夫妻は離婚、リンジーとスティービーは破局という、安定した人が誰もいない中で進行したという話。
そんな人たちが80年代半ばまでなんとかバンドの体面を保ち、ヒットも飛ばしたというからすごいよなぁ。
あたしなんか会社の同僚とモメたら以降延々根に持つタイプなんで、「仕事とプライベートは別」と割り切ってアルバム作ってコンサートで声を合わせるなんて絶対にできないと思います・・・(比べんなよ)

ジャケットはミックとスティービーが怪しく踊る雰囲気のあるアート。
もともと音楽性もジャケットの絵も多様で一貫性が全然ないバンドのようだが、このジャケットはいいと思う。
後に97年の「The Dance」というアルバムで「噂」のジャケットのパロディをやっているそうだ。

ということで、「噂」。
月並みですいませんが、かなり良かったです。
もっと早く聴いておけば良かったなぁ。(こればっか)
次回は「ファンタスティック・マック」「Tusk」「Mirage」のどれかを聴いてみようかと思います。

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聴いてみた 第102回 ソウル・アサイラム

今回採り上げるのはソウル・アサイラムの95年のアルバム「Let Your Dim Light Shine」。
みなさんはこのバンド、ご存じでしょうか?

このバンドを知ったのは「Runaway Train」という曲のプロモ・ビデオをMTVで見たのがきっかけである。
曲自体はそれほどインパクトは強くなかったが、映像は衝撃的な内容だった。
全米で行方不明になった子供達の写真が次々に映し出され、曲が終わった後には「もしこの子供達を見たら、またはあなた自身がこの子供だった場合は、この電話番号に電話してください」と呼びかけるというものだ。
実際に数人の子供がこのビデオを見た人からの通報で発見に至ったらしい。

ソウル・アサイラムは「聴いてない」シリーズでは記事にしていない。
どうでもいい規程ではあるが、「オリジナルスタジオ盤を2枚以上聴いた」ことが自分なりの「聴いている」とする条件である。
この条件だと実はソウル・アサイラムは聴いていることになってしまう。
今日採り上げる「Let Your Dim Light Shine」の他に、「Runaway Train」が収録された「Grave Dancers Union」も持っているのだ。
「Runaway Train」を聴いて興味がわいたので、その後立て続けに上記2枚のCDを買ってみたのである。

ただし。
持っているだけで聴きこんだりしたわけではなく、印象に残る曲は残念ながらやっぱりシングルでヒットした「Runaway Train」「Misery」くらいである。
というかなぜか2枚ともほぼ放置に近い扱いだった。
いずれも中古で買ったんだが、数回聴いただけでどうもいまいちなじめず、それっきりで10年以上が経過したという状態。

Let_your_dim_light_shine

売り飛ばす候補に何度もノミネートしていたのだが、結局「Grave Dancers Union」も「Let Your Dim Light Shine」もまだ手元にある。
再聴のきっかけは特に明確なものはないが、ウォークマンを買って容量に余裕ができたことは理由としてある。
今部屋でCDから直に地味に音楽を聴くということを全くしないので、ウォークマンに入れれば聴くようになるだろうと小学生のような理屈を考えただけである。
あまりにも失礼な扱いで申し訳ないが、このタイミングであらためて聴いてみることにした。

・・・・・聴いてみた。

1. Misery
2. Shut Down
3. To My Own Devices
4. Hopes Up
5. Promises Broken
6. Bittersweetheart
7. String Of Pearls
8. Crawl
9. Caged Rat
10. Eyes Of A Child
11. Just Like Anyone
12. Tell Me When
13. Nothing To Write Home About
14. I Did My Best

今さらだが、14曲も収録されていることにちょっと驚く。
事情としては前作が大ヒットしたため、バンドもレコード会社も相当気合いを入れて予算もかけて作った、ということのようだ。
制作にあたっては40曲以上も用意していて、それを14曲にまとめたのがこのアルバムとのこと。

時期的にグランジ・オルタナの台頭と重なる頃に活躍していたので、彼らも同じくくりに扱われることが多いようだが、実際には80年代半ばから活動してきたロックバンドであり、グランジとは違うそうだ。
ただしネットで調べてみると「オルタナ」とするサイトもあれば「オルタナではない」と否定する記述も見つかるので、このあたりの明確な定義はしづらいような感じである。
そもそもグランジとオルタナの違いもちゃんと説明できないし。
でも自分も長いことソウル・アサイラムをグランジだと勝手に思っていた。

彼らを「グランジな人々」だと思った根拠になったのが「Crawl」「Caged Rat」「Nothing To Write Home About」などの曲だ。
基本的に重く暗く、特に「Caged Rat」は展開がわりと大胆で、絶叫調に歌う様はニルヴァーナを思わせるところもあり、実はこのあたりが今ひとつなじめなかった原因でもある。

このアルバムに関して言えば、楽曲としてはどうやら3つくらいのパターンがあるようだ。
素朴な色合いを帯びたアメリカン・ロック、そしてパンクっぽい音、さらにバラード。
今聴き直してみると確かにパンクやグランジっぽいサウンドもあるにはあるけど、フォークやインディーズみたいな雰囲気のほうが強く、思ったほどヒネリもゆがみもない、ストレートな楽曲ばかりだ。
楽器の音もギター中心で、キーボードやストリングスやサックスといったサポートもほとんどなく、エレクトリカルなアレンジもたぶん全然ない。
ライブみたいなスタジオ盤である。

「Misery」は珠玉のバラードである。
アルバムがこんな曲から始まるというのはロックバンドとしてはかなりの変化球だとは思うが、個人的には「Runaway Train」よりもいいと思う。
歌詞も絶望的な内容ではあるが伝わるものがあるし、ゆったりとしたリズムやギターに乗せたデイブ・パーナーのびりびりした声が雰囲気を作っている。
この人は声もきれいとは言い難く、歌もそんなに上手ではない気がするが、そこもむしろ魅力のひとつなのだろう。

その他に同じようなバラード路線は「Eyes Of A Child」「I Did My Best」などがある。
ただ「Misery」を超えるような作品ではない。
「Misery」が突出して素晴らしいバラードなわりに、「Caged Rat」がかなりパンクで少し変わっている。
偉そうに評論すれば「ちょっと雑然としていてまとまりがない」ということになる。
放置してしまったのは、おそらく「Misery」と「Caged Rat」の落差についていけなかったためと思われる。

ソウル・アサイラムは「Runaway Train」のビデオでもわかるとおり、純朴で真面目な社会派ロックバンドなのだが、このアルバムではやはり90年代特有の少し陰のあるサウンドとなっている。
80年代のチャラいミーハーな音と映像に漬かってきた煮くずれゆでガエルな自分にとっては、なじむまでに少々時間を要するバンドだったようだ。
でも今回あらためて何度も聴いてみたが、売り飛ばさなくて良かったとも思う。
全部の曲を受け入れられたわけでもないが、こんなアルバムだったんだ・・という発見はあったと感じる。

というわけで、ソウル・アサイラム。
そう簡単にはいかないレベルの高さはあるものの、悪くはなかったです。
「Misery」は何度聴いても素晴らしい曲だとあらためて感じました。
もう1枚の「Grave Dancers Union」も近いウチに再履修しようと思います。

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