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聴いてみた 第101回 カンサス

今日聴いてみたのはカンサス。
ドリムシ以来の久々のプログレ学習である。
ストーンズの次がカンサスという相変わらず脈絡のないあたしのBLOG。

カンサスは「聴いてない」シリーズでも採り上げておらず、BLOGで書くこと自体が初めてである。
当然聴いてないのだが、バンド名以外の情報も全然持っていない。
「Carry On Wayward Son(伝承)」という曲だけ聴いたことがあるが、メンバーの数や名前も一切知らない。
現時点では聴いてない度は2だ。

ということで、健康診断直前に断酒するサラリーマンのように、聴く前にカンサスの基礎知識を詰め込むというムダなあがきをやってみる。

カンサスはその名のとおりアメリカのカンザス州で結成。
ということはバンド名は正確にはカンザスのはずだが、日本ではカンサスと濁らずに発音したり表記したりが慣例のようだ。

オリジナルメンバーはスティーブ・ウォルシュ、ロビー・スタインハート、ケリー・リブグレン、リチャード・ウィリアムス、デイブ・ホープ、フィル・イハートの6人。
この6人でツインギター・ツインキーボード・ツインボーカルにバイオリンという、楽団のような珍しいバンド編成。
主にスティーブとケリーが曲を作り、スティーブとロビーで歌う。

1974年にメジャーデビューし、4作目の「Leftoverture(永遠の序曲)」が大ヒット。
実は3作目までのアルバムも、発売当時はあまり売れなかったが、最終的には全てゴールド・ディスクとなっているという、息の長い作品を持つのが特徴。
曲の展開がダイナミックで技巧派なところから「アメリカン・ハード・プログレ」といういまいちピンと来ないカテゴリーに分類され、ジャーニースティクスやボストンとともに人気が出る。
・・・って書いてあるサイトが多いけど、日本での人気はやっぱジャーニーやスティクスには及ばないだろうなぁ。

でもってやっぱりプログレなのでメンバーの脱退や再結成も多く、中途採用の人たちも数人いる。
後にパープルに参加して日本にも営業に来たスティーブ・モーズも80年代後半のメンバーである。
ただ大英帝国系プログレミュージシャンとの交流はそれほどないらしく、イエスELPから来ましたよろしくねというメンバーはいないようである。
現在も活動は続いているそうで、2009年にはオーケストラと共演したライブを納めたDVDも発売された。

やはり全然知らない話ばかり。
そもそもプログレなバンドだという認識もあまりなく、「伝承」を聴いても「ああオレは今プログレを聴いてるんだなぁ」などとしみじみ感じたことは一度もない。
プログレファンの間ではいったいどういう評価なんだろうか。

Kansas

ということで、今回もモンスリー師匠の教育的指導のもと彼らの代表作である76年の「Leftoverture(永遠の序曲)」をチョイス。
アルバムタイトルもそうだが、全曲に邦題(死語)がつけられており、このあたりはプログレの掟どおり。
ただし「でぶでよろよろ」とか「むかつくばかり」とか「今納豆はいらない」といった後世に残るほどインパクトのあるタイトルはない。
ジャケットは中世の宗教画のような絵だが、「曲作りで疲れ切った男」を表しているらしい。
いわゆる理工系難解プログレとは一線を画すカンサス。
果たしてあたしは彼らの奏でる文系プログレになじむことができるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1.Carry On Wayward Son(伝承)
この曲だけ知っている。
最初に聴いたのは90年代になってからである。
駅売りオムニバスCDか何かに収録されていたのをテープに録音して繰り返し聴いていた。
聴いた当初も今もプログレという認識は全然なく、ふつうのアメリカンロックだと思っていた。
まあ確かにリズムや構成が少し変わってはいるのだが。
訳詞を読むとどこか受験生向け応援歌みたいな内容。

2.The Wall(壁)
壮大でいてどこかもの悲しい旋律。
サビのあたりで長調に転じる部分もあるが、あまり徹底はしていない。
これもメロディ構成がなんとなく変わっていて展開が少し読みづらい。

3.What's On My Mind(深層心理)
これは比較的わかりやすいロックだ。
スティクスやナイト・レンジャーにも似たような曲があるような気がする。

4.Miracles Out Of Nowhere(奇跡)
ツインボーカルとキーボードが特徴的な曲。
後半からエンディングにかけてキーボードが鳴り渡る。

5.Opus Insert(挿入曲)
前の曲と同じような路線だ。
ボーカルがハイトーンで声を張り上げる力強いスタイルだが、楽器の音はどうも完全にマッチしているようにも思えず、どこかコミカルな演奏部分もある。

6.Questions Of My Childhood(少年時代の謎)
スピード感のあるテンポは、他の曲とは少し違う。
明るいとは言い難いが、楽しそうなELPといった感じがする。

7.Cheyenne Anthem(黙示録)
ドラマチックなメロディ、壮大なサウンド。
キーボードを聴くとやはりELPを思わせるが、バイオリンが聞こえたり女性コーラスパートがあったり突然テンポアップしたりまた静かになったりと、忙しい展開はイエスのようでもある。
エンディングが思ったより長い。

8.Magnum Opus(超大作)
 ・Father Padilla Meets The Perfect Gnat(ファーザー・パディラと完全なるブヨの対面)
 ・Howling At The Moon(月に吠える)
 ・Man Overboard(船から落ちた男)
 ・Industry On Parade(メカニック総出演)
 ・Release The Beavers(ビーバーを自由に)
 ・Gnat Attack(ブヨの襲撃)
「超大作」という自信に満ちたタイトル。
その名にふさわしく大がかりな、いわゆる組曲ということになろうが、どこからどこまでが最小単位なのかわからない。
邦題もなんだか意味不明で、キンクスっぽいタイトルが並んでいる。
「ブヨの対面」とか「ブヨの襲撃」って、何?
「ファーザー・パディラ」って誰?(これは16世紀のアンダルシア出身のカソリック宣教師だそうです)
サウンドは最もプログレでかなりやりたい放題。
難解な進行の中にところどころ美しい旋律やリズムがあるけど、大半はついていけない状態。
最初にイエスやELPを聴いた時の感覚と同じだ。
で、ラストは盛り上がって唐突に終わり、置いてきぼり感が残る。

アルバムにはボーナストラックとして「伝承」「黙示録」のライブバージョンが収録されている。
「伝承」はスタジオバージョンとあまり変わらない音だ。
ライブでもスタジオの音を忠実に再現できるのはプログレバンドの本領発揮といったところだろうか。

聴き終えた。
楽曲や演奏技術は確かにハードプログレという評価そのままである。
あちこちのサイトに書いてあるとおり、難解さという点においては、クリムゾンやイエスなど英国系の人たちに比べると強くはないこともわかる。
組曲の一部を除いてどの曲にもボーカルがあるし、技巧派でありながらロックの要素もふんだんに採り入れている点は、後のドリーム・シアターにも継承された路線だろう。
自分のような素人には「聴きやすいプログレ」の範疇に入ることも確かだ。

しかし。
好みの範疇に入るかどうかはまたしても微妙。
そもそもこれまで「伝承」を聴いてもカンサスの音楽に興味がわいてこなかったし、現時点では他のアルバムへの鑑賞意欲もあまりない。
ジャーニーのファーストもやっぱり微妙だったし、花の80年代産業ロックに溺れて育った自分としてはアメリカン・ハード・プログレと言われてもなかなか共感しがたい部分もあるようだ。
カンサスには80年代のジャーニーやスティクスのような、もっとポップでアンチ陽一な作品もあるんだろうか?

というわけで、カンサス。
英国プログレのような難解さは希薄なものの、好みに合致するところまでは到達しませんでした。
アルバム1枚だけでは何も評価できないはずなので、機会があれば別の作品も聴いてみようかと思います。

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コメント

「永遠の序曲」・・・あきまへんでしたか...
カンサスではこのアルバムと「暗黒への曳航」が有名ですが、個人的には「暗黒への曳航」などブッチギッて「永遠の序曲」のほうがイイと思っています。
1,2曲目のツカミはいいし、エンディングに向かっての壮大な、それでいて難解すぎない組曲もgood・・・

でも、もしかすると、このバンドはライブ演奏が良いのかもなんて思ってもいたりもします。見た目はど田舎の肉体派青年たちが無理やり高尚なサウンドを志向して演奏しているようにも見えますが(笑)、なんかいいんですよねー、うまく言えないんですが。

ライブ映像がよく転がっているので、結構YouTubeでよく視聴するバンドのうちの一つです。

投稿: ルドルフ | 2013.01.20 11:26

ルドルフさん、コメント感謝です。

>1,2曲目のツカミはいいし、エンディングに向かっての壮大な、それでいて難解すぎない組曲もgood・・・

この点は確かにその通りですね。
まあ自分は基本的にミーハーなリスナーなので、カンサスくらいのゆるやかプログレでも慣れるまで時間がかかりそうですが・・

>見た目はど田舎の肉体派青年たちが無理やり高尚なサウンドを志向して演奏しているようにも見えますが(笑)

うわははは!
素晴らしい評価。
写真見ると確かにカンサスの人たちは純朴そうな感じだもんなぁ。

投稿: SYUNJI | 2013.01.20 20:58

SYUNJIさん、こんにちは。
早速ですが、ZEP教の司祭・渋谷陽一様を「アンチ陽一」
だなんて! 今年はZEPのペイジ監修ボートラ付き最新リマ
スター盤が出ると言われており、陽一様の時代が来るのです。

冗談はさておき、カンサスは好きです。オリジナル作品の中では
やはりこの「永遠の序曲」が一番好きです。
英国プログレにはない親しみやすい楽曲、アメリカンなコーラス、
そして何より、交響曲的なアンサンブルを生かした演奏。
曲はわかりやすいだけではなく、ドラマチックな展開も
たまりません。プログレなだけではない、アメリカンロック
との融合が魅力です。カンサスは、2~5枚目によい曲が
多数ありますますので、機会がありましたら是非また(^^;)。

ところで、邦題はSYUNJIさんのエントリーで初めてしりましたが、
何で「ブヨ」? 「メカニック総出演」ってガンダム???

投稿: モンスリー | 2013.01.21 20:30

モンスリーさん、今回もお世話になりました。

>ZEP教の司祭・渋谷陽一様を「アンチ陽一」だなんて!

オレがアンチ陽一だ!!きぃぃいー!!
・・・お約束はこれくらいで、まあ陽一は(完全呼び捨て)産業化したジャーニーもスティクスもボロクソでしたし。
陽一的にはカンサスはどういう評価?

>曲はわかりやすいだけではなく、ドラマチックな展開もたまりません。

わかりやすくドラマチックというのは同感ですね。
ただそれが自分の好みにはまだ整合しない、というのが正直なところです・・・

>何で「ブヨ」? 「メカニック総出演」ってガンダム???

あれ、ご存じなかったですか?
しかしハエや蚊じゃなくてブヨってのがまたヒネてるというか・・・
ブヨとメカニックにも何の関連性もないようですけど。
これはきっと真相はぷく先輩がご存じですね。(決めつけ)

投稿: SYUNJI | 2013.01.21 22:49

僕にとってKANSASは世界一のバンドです。
プログロックなのかと問われるとちょっと困りますが。
このバンドはライブでは超大作だろうとイカルスだろうと縦ノリグルーブとアップテンポ化によりロックンロール化します。
最後の組曲もなにやら凄い演奏シーンかと思いきやローディが出てきて半裸で踊りまくったり分けわからない演出してました(メカニック総出演?)
彼らは楽器の達人集団では全く無いです。
他人の曲のカバーはてんでダメダメで、自分達の曲ならどんなに難しくても完璧に演奏できるという奇特な人達です。
「田舎の純朴な~」は正にその通りです。
作品の完成度がどうであっても時期によるライブの出来不出来の振幅はそれほどでもありません(喉の状態以外は)
全員がおそろいのワンポイントタトゥーを彫ってたり脱退した人達殆ど全員に感謝する記載をブックレットに長々といれてたりと団結してたんだなぁという印象でした。
当時カンザス州で音楽やってた最後の生き残りの人達。

投稿: G.64P@;mUTz\3_- | 2014.12.06 22:55

初めまして、コメントありがとうございます。
この記事を書いてからカンサス学習も全然進んでいませんが・・

>このバンドはライブでは超大作だろうとイカルスだろうと縦ノリグルーブとアップテンポ化によりロックンロール化します。

そうなんですか・・
聞けば聞くほど不思議なバンドだなぁ・・

>他人の曲のカバーはてんでダメダメで、自分達の曲ならどんなに難しくても完璧に演奏できるという奇特な人達です。

ええ~?
ますます不思議ですね。
技巧派プログレのイメージが強いと思ってましたが、カバーがダメダメってのは意外ですね。

>全員がおそろいのワンポイントタトゥーを彫ってたり脱退した人達殆ど全員に感謝する記載をブックレットに長々といれてたりと団結してたんだなぁという印象でした。

これも興味深いエピソードですね。
音楽性はともかく、脱退したメンバーも含めて絆が固いというのはロックバンドとしては珍しいと思います。

投稿: SYUNJI | 2014.12.07 22:41

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