やってない 第21回 世間話
さっぱり意味不明なタイトルですが、今回のエントリに対する感想はおそらく「ああーわかるわかる」という方と「何を言っているのか全然わからない。バカじゃないの?」という方に分かれることと思います。
さて世間話。
正確には「やってない」というより「やれない・できない・苦手」ですけど、この時点で「なにそれ?やりゃいいだけじゃん」となりますわね、ふつう。
要するに自分は人見知り胃腸よわよわOPP芸人なので、世間話もまともにできない、ということです。
そもそも世間話なんぞ「やれる・やれない」という観点で語るようなものじゃなく、意識して構えた時点で世間話じゃないだろってものなんですけどね。
もう少し説明させてください。
初対面の人と対峙した時(大げさ)や、生活のいろんな場面の中で少し時間ができた時、お店に客として行ったりサービスを受ける時など、ふつうに世間話をする場面てのはいくらでもあると思うんだが、その時にうまく話ができないのが自分である、ということですわ。
たとえば。
ひとりでタクシーに乗った時。
床屋で髪を切ってもらっている時。
買い物にでかけて品物を選んだりオカネを払う時。
仕事でよその会社に出かけて会議が始まる間のちょっとした時間。
「・・・それで?そこでなんで世間話ができないの?」ってなると思うんですけど、それがうまくできないんですよ。
何を話したらいいのかわからないし、そんなに世間話のネタなんて持ってないし。
で、自分は上記のような場面では基本的に黙ってます。
「なんちゅう愛想のないヤツ」と思われるでしょうけど、実際そんなもんです。
以前妻の知り合いの案内で信楽焼の店に行った時、自分は特に買いたいものもないので並んでいる焼き物をぼんやりとながめていた。
するとお店の方が突然自分に「今日は新幹線で来られたんですか?」と聞いてきた。
突然と思ったのは当然自分だけで、お店の人は客として来てくれた自分に、しかも手持ち無沙汰でぼんやり退屈そうにしているのを見かねて?の配慮として話しかけてくれたのだが、不意をつかれた(大げさ)自分は「はい。」と返事をしてそのまま黙ってしまったのだった。
黙ったあと「しまった」とは思ったんだが、次の言葉が出てこない。
新幹線で来たのは事実なので回答は間違いじゃないんだけど、オトナの反応としては全く不適切なのだった。
そこは「そうなんですよ。今日はちょっと混雑してましたね」とか「はい、信楽は初めてなんですよ。けっこう暑いですね」くらい言えないといけないよなぁ。
お店の人も「なんだこいつ」と思ったらしく、それ以上は話しかけてこなかった。
今思い出してもがっかりである。
もうこんなの世間話以前の問題です。
こんな自分ほどポンコツではないけど、やはり人見知りで世間話や雑談が苦手な人は一定の割合で存在するようで、「気軽に雑談できる本」「話の接ぎ穂に困らない本」などは書店に行けば必ず置いてある。
特にビジネスにおいて「雑談もできないヤツ」はジャマでしかないので、みんな克服しようと思っているのだろう。
しかし。
この手のノウハウ本で雑談苦手が克服できた試しがない。(←読んでたのかよ)
だいたい書いてあることは「さあ勇気を出して話しかけてみましょう」「お天気でも家族のことでも故郷の話でも何でもいいんです」などといった、「世間話で苦労したことのない人」からのアプローチだ。
「だからそれができないんですけど」といったことばかりで、一生わかりあえない断絶がそこにある。(大げさ)
仕事の面でもこんなクソ性格は基本的に不利にしかはたらかないけど、仕事の場合は周囲の人と共通の目標があったり話題を共有できたりという環境なので、世間話がなくてもなんとか目的は成立はする(と思う)。
また今までネットを通じて数人の方々とお会いしてきたが、この場合「音楽」という非常に心強い共通の話題があるので、カタコトではあるが会話をすることは可能なのである。
なので年齢や趣味や性格も全く未知だったり異なる環境の人が登場した時に、世間話をする備えができていないので黙ってしまう・・ということになる。
あーあ。
従って「知り合いのほとんどいない立食パーティー」などは自分にとって苦行の場となる。
ふつうの知り合い同士の飲み会なら周りが話しているのをうなずいて聞いてればなんとかなるが、知らない人だらけの立食パーティーでそれをやってるのは非常に奇妙だ。
「だからそこを世間話から始めるんじゃん」と言われても、まず30秒と持たない。
必然的にひとり黙って食い物をもそもそ食ったり、端のほうでスマホなんかいじってみたりという「こいつ何しに来たんだ」状態になるのである。
人見知りしない人から見ると理解できないことばかりだろうが、衝撃だったのは、人見知りしない人は「人見知り」を「子供がすること」だと考えて疑わないことだった。
高校生の時、人見知りなんかとは無縁の天真爛漫な同級生から「高校生にもなって人見知りは恥ずかしいよな」と言われた時は殴ったろかとも思ったが、殴られるべきは自分のほうであり、友人の見解は真理であり常識であり当然であろう。
あれからものすごく年月が経ってるんだけど、自分みたいに中年になっても未だに人見知りで世間話もできないヤツは今すぐ死んでいいですよサヨウナラ程度のレベルなのかもしれない。
こんなんでよく社会生活が送れているなぁと我ながら感心するけど、まあ多くの人に支えられてなんとか生きている状態なんだろう。
そういう意味では「アメトーーク」の「人見知り芸人」という企画は非常に画期的だ。
だいたい日本のテレビにおいて、NHK教育の育児番組でもなければ「人見知り」をテーマに1時間番組を放送するなどありえなかったはずである。
それをお笑い芸人の中に一定の人数で存在することに目をつけ、苦労しながらも懸命にお笑いの世界で生きる人見知り芸人の様を笑いをまじえて紹介する、というのはどんなドキュメンタリーよりも伝わる内容だ。
人見知りしない人からすると「人見知りするヤツがよく人前で笑いをとるお笑い芸人なんてやれるもんだな」と信じられないことかもしれない。
しかし、自分のような「こっち側」の人間から見れば非常に納得のいく話なのだ。
人見知りは人嫌いと同義では決してない。
人見知りは他人の反応に人一倍敏感である。
客がどんなネタで笑ってくれるか、人見知り芸人は常にものすごく探求しているはずだ。
ただし彼らは楽屋での先輩芸人や番組スタッフとの世間話はきっと苦手なはずだ。
自分はもちろんお笑い芸人ではないし、オードリー若林やバカリズムにも会ったこともないんだが、彼らの心理や行動原理にはいちいち共感するのである。
というわけで、世間話。
あまりにもレベルの低い内容に我ながら辟易しますけど、みなさんは世間話、お得意でしょうか?
(この質問自体がすでにおかしいですけど・・・)
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