聴いてない 第175回 スマッシング・パンプキンズ
先日風呂に入っていたら突然左後頭部をハリセンではたかれたような衝撃を感じた。
これは脳内で何か大変な事態が起こったに違いない・・・と薄れゆく意識の中で懸命に風呂場を這い出て、電話をかけようとして玄関で力尽きて画面は暗転、気がつくと病院で麻酔からさめた状態。
・・・というような火曜サスペンスみたいな展開じゃなかったんですけど、突然の頭痛にたじろいだあたしは、とりあえず普通に手足や口が動くことを確認してその日は寝ました。
しかしながら翌日も頭痛が治まらず、二日後に以前脳ドックを受けた脳外科に行ってMRIも受けてみました。
結果は異常なし。
じゃああのハリセンはいったいなんだったのか、かえってわからなくなって不安な年頃のSYUNJIといいます。(長い)
ちなみにクモ膜下出血はよく「頭を鈍器で殴られたような衝撃が・・」などと表現される病気ですけど、実際に鈍器並みに痛い状態になるのは4人に1人くらいらしいです。
そんなクモ膜よわよわハリセン芸人の自分にとって、90年代は新しい音楽を聴く機会が劇的に減少した暗黒の時代である。
80年代末期からエアチェックという行為もしなくなり、柏村武昭や津嘉山正種や石田豊や渋谷陽一やセーラ・ロウウェルやロイ・ジェームスとも疎遠になった。
当然この時期に台頭した音楽には極端に疎い。
今日採り上げるスマッシング・パンプキンズも、申し訳ないけどまさにこの暗黒の時代ど真ん中のバンドである。
スマッシング・パンプキンズ、一切聴いておらず1曲も知らない。
聴いてない度は鉄板の1。
そもそもさっきまで「スマッシュ・パンプキン」だと思ってました・・・
ということでスマッシング・パンプキンズの正しい基礎知識を学ぶとしよう。
結成は1988年。
シカゴでビリー・コーガンと日系三世のジェームス・イハが出会ったことがバンド発足につながる。
女性ベーシストのダーシー・レッキー、ドラマーのジミー・チェンバレンを加えて91年にファーストアルバム「ギッシュ」をリリース。
93年のアルバム「サイアミーズ・ドリーム」、95年の「メロン・コリー・アンド・ザ・インフィニティ・サッドネス」がいずれも大ヒットとなり、高い評価を得る。
しかし96年にジミー・チェンバレンが薬物中毒で逮捕・解雇され、ここからバンドは下り始める。
セールスとしても停滞し、メンバーチェンジが行われたが良い方向に作用せず、2000年にバンドは一度解散する。
ビリーとジミーの二人はスマパンとは別のユニット「ズワン」を結成するが、こっちもあまり芳しい実績が残せずアルバム一枚発表して解散。
その後一時的な再結成や新メンバー加入などがあり、アルバムも作成されている。
2010年のサマーソニックにも参加し、東京でも公演が行われた。
2012年現在のメンバーはビリー・コーガン、ジェフ・シュローダー、二コール・フィオレンティーノ、マイク・バーンの4人。
ニコールは女性メンバーであり、マイクはまだ22歳の若者である。
6月にはアルバム「オセアニア」を発表している。
・・・ということで、メンバーの名前もアルバムタイトルも全く知らない。
わずかに「メロン・コリー・アンド・ザ・インフィニティ・サッドネス」のジャケットに見覚えがあるくらいだ。
スマッシング・パンプキンズはニルヴァーナと同様にグランジやオルタナといったジャンルにくくられることが多いようだ。
しかしビリー・コーガン自身はグランジ芸人にくくられることをあまり良く思っていないらしい。
音楽性は時代やアルバムによって様々らしいが、特徴はビリー・コーガンの中性的な甲高い声にある、という話。
初期の頃はアングラ調ハードロックといった趣の音楽だったが、その後サウンドの幅が広がりオーケストラを起用したり多面的な展開を見せる。
しかし98年にドラマーが抜け、打ち込みによるエレクトロなサウンドに転じたため評価は落ちてしまい、やがて解散につながっていく。
バンドはビリー・コーガンのワンマン経営とされるようだが、本人は「解散の原因は自分ではなくジェームズ・イハにある」と発言したり、薬物中毒になったメンバーをクビにしたり、自分自身も精神を病んだりと、なかなか大変そうな感じ。
このあたりはロックバンドの正しい経歴を教科書どおりなぞっていて大変よろしい。
グランジ・オルタナの一大ムーブメントは、スマパンやニルヴァーナに商業的成功をもたらしたが、一方でその成功が彼らの芸術的感覚を失わせたという評価もやっぱり多いらしい。
そもそもあまり美しくないかっこうでどろどろな歌を歌う退廃的なミュージシャンに、大金持たせるとロクなことがない、というのはわかりやすい図式ではある。
まあこれはグランジに限らず70年代からあった固定的なものの見方かもしれないけど。
ビリー・コーガンはアルバムというパッケージでの曲発表手段を時代遅れと感じているようで、最近はネットで40曲以上ものリリースを行うなど、なかなか興味深い行動を起こしている。
またレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドについて「態度がでかくてムカツク」などと発言している。
雑誌「ローリング・ストーン」で「歴史上最も偉大なギタリスト100人」でジョニーが48位、リッチー・ブラックモアが50位となったことも気に入らなかったらしい。
ビリー・コーガンはリッチーのファンなのかな?
なおビリー・コーガン本人は残念ながら100位以内に入っていない。
かと思うと昨年ビリーはプロレス団体を旗揚げという行動に出て、レスラーの舞台裏を映像化してみたり、一方でシカゴに喫茶店をオープンする準備を始めたりと、実業家なのか目立ちたがり屋なのかわからないけどいろいろ手がけている人みたいです。
さらにビリー・コーガンは今年10月に隣人である俳優のエリック・デインという人から訴えられている。
ビリーの家の敷地の木が強風で倒れ、その影響でエリックの家が浸水したり高圧電線がエリックの家にせまってきたりして、エリック家が避難を余儀なくされたという、アメリカの安いドラマみたいな展開。
「木を切るよう再三注意した」というエリックの主張と、「注意なんか受けたことがない」というビリーの言い分は全く整合せず、エリックが訴訟を起こすという事態に発展。
なんだか音楽活動よりもこうした東スポっぽいネタのほうが話題になってしまっているようだ。
というわけで、スマッシング・パンプキンズ。
結局ネットでの情報だけではどんな音楽なのか全然わからないんですけど、おすすめのアルバムがあれば教えていただければと思います。
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コメント
SYUNJIさん、こんにちは。
検査の結果、異常なしということでとりあえず何よりでした。
おかしいと思ったら、すぐに病院へ行きましょう。高い
健康保険料の元を取りましょう。
>>渋谷陽一
ツェッペリン再結成ライブの国内版ライナーノーツは
渋谷先生が書いている可能性が高いので、ほしかった
のですが、輸入盤との価格差があまりにもひどいので、
輸入盤にしました。
また、ロッキンオンも久しぶりにZEP特集、渋谷
御大も大いに語っているようですが、節約のため
これも断念しました。
すまんです、マスター渋谷。
さて、本題ですが「スマッシング・パンプキンズ」
今初めて名前を聞きました。全く知りませんでした。
>>ジョニー・グリーンウッドについて「態度がでかくてムカツク」
>>「歴史上最も偉大なギタリスト100人」でジョニーが48位
これって、コーガン氏の単なるひがみ?
>>正しい経歴を教科書どおりなぞっていて大変よろしい
どちらかといえば、紅一点のニコールさんをめぐって
おっさんメンバーが煩悶するという昼ドラマ的
展開の方を期待したいです(^^;)。
投稿: モンスリー | 2012.11.04 14:38
モンスリーさん、コメントありがとうございます。
異常なしはありがたいんですが、結局ハリセンの原因は不明なのでまだ不安です・・
>ツェッペリン再結成ライブの国内版ライナーノーツは渋谷先生が書いている可能性が高いので、
こういう時はしゃしゃり出ますね、陽一は。(←ひどい物言い)
まあおそらく彼が書くのが一番ファンが安心するんでしょうね。(超上から目線)
>今初めて名前を聞きました。全く知りませんでした。
あれ、そうですか?
まあ自分も名前はウロ覚えでしたんでエラそうなことは言えませんが・・
>これって、コーガン氏の単なるひがみ?
そんな気もしますね。
リッチーを引き合いに出してますけど、ホントは100位以内に入りたかったのかもしれないですね。
ただ「ローリング・ストーン」のサイトを見ると、順位が少し違っているようです。
リッチーは55位、ジョニー・グリーンウッドは60位ですね。
http://www.rollingstone.com/music/lists/100-greatest-guitarists-of-all-time-19691231/jonny-greenwood-19691231
投稿: SYUNJI | 2012.11.04 22:10